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2023年3月23日 (木)

理研 リストラを強行

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(from wikipedia)

大学の同窓会をやると、一番貧乏なのは理系で博士号を取得した者です。まあ出席する場会はいい方で、金銭感覚にずれがあるので出てこない人も多いと思います。

理研(理化学研究所)は10年を超える有期雇用の研究者に無期雇用転換の権利を得させないために、大規模なリストラを行うことを決め、この結果自主退職して逃げ出した研究者も数多くいるそうです。中には外国に就職した人もいて、理研でプロジェクトを組むということは重要で将来性があると認められた研究ですから、そういうプロジェクトを担っていた人たちが海外に流出するということが日本の科学技術の破滅であることは明らかです。

研究所に残ればいろいろといじめられて、結局生首を切れられるという結果が待っています。欧米と違って日本ではやめた後なかなか行き先がみつかりません。小泉政権が大学への文科省の介入を強めてから、大学は役人の天下りを受け入れるようになって(そりゃ監督官庁に媚びを売りたいでしょう)、解雇された研究者と文科省の役人が大学のポストをめぐって競合するというような事態にもなっています。

政府は雇用を非正規化すればお金を使わずに成果を得られると考えるわけですが、ノーベル賞量産の世代はそんな非正規とは縁遠い終身雇用の世界で研究していた人々です。役人は机上のプランで仕事を進めますが、実態を知らないので結果は思い通り行きません。現状の日本では非正規が増えれば増えるほど研究所の雰囲気は悪くなり、成果はしぼんでいきます。もう中国はおろか韓国の後塵を拝することになっています。ロケット技術は北朝鮮にも劣ります。

政府は開発途上国はじめいろんなところに大盤振る舞いしている上に、ワクチンに至っては数億本を廃棄することになりそうです。にもかかわらずたった600人ほどの理研研究者を維持できないというのが日本の実態なのです。科学=文明であるということを国会議員が認識していないということがこの問題の遠因なのですが、さらに言えば人類に降りかかる様々な困った問題を解決する最終手段はサイエンスであるということを、市民が理解することも大切です。

 

参照

Mass layoff looms for Japanese researchers
Thousands could see their jobs axed in the wake of labor law adopted a decade ago
Science 8 JULY 2022 • VOL 377 ISSUE 6602
https://www.science.org/doi/pdf/10.1126/science.add803

東京新聞 ワクチン使いきれずに大量廃棄 国の調達や配分に疑問の声も 参院選で論戦みられず
こちら1

理化学研究所労働組合
こちら2

理研非正規雇用問題解決 ネットワーク
こちら3

東洋経済 理研、雇い止め批判の回避狙うカラクリの実態
こちら4

中日新聞 研究者6000人雇い止めの危機 「無期雇用へ転換」5割未満
こちら5

赤旗 理研雇い止め プロジェクト途中でも
こちら6

赤旗 研究者の使い捨てを許すな
こちら7

管理人追加コメント:私は共産党はサイエンスに関してはプラグマティズム=実用主義だと理解していたので、赤旗が基礎研究者の立場を支持していることには驚きを隠せません。これが単に労組の関係からでないことを願いたいと思います。

 

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