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2023年3月30日 (木)

サラの考察28:増えた脳細胞

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サラ「猫にしてみれば人間は不思議な生き物よ。起きたら着替え、出かけるときに着替え、帰宅したら着替え、入浴したら着替え、寝るときに着替えって忙しいわね」

私「その上脱いだら洗濯だからね」

サラ「全くエネルギーの無駄使いよね。お風呂というのもすごいエネルギーの無駄使いよ」

私「でも脳細胞はかなり猫より多いんだよ」

サラ「だいたい会社に行ったら、毎朝屋上で社長訓示、次に社歌斉唱なんて何なの?」

私「人間は猫と違って組織で生きる生物だからね。ボスに忠実に行動させるためのマウンティングをやるわけよ」

サラ「ボスがいるだけじゃなくて、人間社会はヒエラルキーをつくるというのが異常」

私「そう。株主→社長→取り巻き→中間管理職→社員という構成だね」

サラ「増えた脳細胞でそんなことをやっているなんて空しくない?」

私「そう言われればそうだけど、人間はかならずそうだとも言えないんだよ。第二次世界大戦の少し後まで、ニューギニアには文明人未接触の旧石器時代と同じ生活をしていた人々がいたんだけど、西丸震哉さんという人はその中に飛び込んで一緒に生活してみたんだ」

サラ「それで?」

私「彼らは焼き畑農業で、畑にイモを植えて生活していたんだけど、そこにはボスも中間管理職もいなくて宗教もなく、個人で農業をやる以外はほとんど猫と同じような生活だったようだよ。毎日夜になると猫会議みたいなのをやって、ちょっと猫と違うのはタバコを吸ったり、歌を歌うってことかな。あと野原を焼いて畑を作るときはみんなで協力していたみたいだ。もともとは増えた脳細胞はそういうことに使っていたようだよ」

サラ「それなら納得できるわね」

参照:

さらば文明人 その1
http://morph.way-nifty.com/grey/2006/07/post_8a37.html

さらば文明人 その2
http://morph.way-nifty.com/grey/2006/07/post_1c40_1.html

さらば文明人 その3
http://morph.way-nifty.com/grey/2006/07/post_bfd3.html

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2023年3月27日 (月)

続・生物学茶話206 HOX遺伝子一覧

このあたりでHox遺伝子について復習しておこうと思います。前口動物、特にショウジョウバエの初期発生の基本については20世紀にクリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルトとエリック・ヴィーシャウスが解明してノーベル賞を受賞し、現在では高校の教科書にも記載されています。後口動物である私たち脊椎動物の体は一見すると体節などわかりませんが、レントゲンで背骨の写真を撮影するときちんと体節が存在することがわかります。神経の構成もその体節構造に従っています。

とはいえ脊椎動物における体節のでき方はショウジョウバエとはかなり異なっています。ショウジョウバエの場合、母親が未受精卵にmRNAの濃度勾配を残しており、bicoid mRNAが卵の前端に、nanos mRNAが後側に局在します。しかもこれらのmRNAはその場所に係留されていて、拡散しないようになっています(1)。これらが発現する情報をもとに、特定の位置にギャップ遺伝子→ペアルール遺伝子→セグメントポラリティー遺伝子が発現して体節の構造が形成されます。このあと各体節の特色を決めるホメオティック遺伝子(Hox遺伝子)群が各体節に発現し、それぞれのホメオティック遺伝子によって規定された実際の組織はリアライゼータ遺伝子などによって作られます(2-4)。

マウスの場合前後軸は始めから決まっているわけではなく、受精後4日目にDVE(distal visceral endoderm)細胞が決められ、この細胞が5~6日目に頭側に動くことによって前後軸が決定されるというメカニズムなので、ショウジョウバエとは異なります(5)。ただHox遺伝子によって各体節の特徴が決定されるという点は同じで、この遺伝子は前口動物(C.エレガンス、ショウジョウバエ)、後口動物(ナメクジウオ、マウス、ヒト)で保存されており、それぞれパラログの関係にあります(図206-1)。

図206-1をみるときに留意すべきは、ナメクジウオと脊椎動物の共通祖先が進化する過程で、脊椎動物のブランチにだけ2回全ゲノムの倍化が起こったので脊椎動物の遺伝子が4倍となり、増えたHox遺伝子はその多くがそれぞれの役割を持って生き残ったので、ヒトやマウスでは遺伝子数が多くなっています。ナメクジウオの場合、進化の過程でショウジョウバエの Abd-B 遺伝子のパラログがタンデムリピートを起こしたため、遺伝子の倍化が起こらなかったのにもかかわらず、比較的多数のHox遺伝子が生まれたと思われます(図206-1)。

体節のない線虫でもHox遺伝子は保存されていることから、Hox遺伝子は特に体節のような明確な区分がなくても生物の発生分化に関与することができるようです。

厳密には図206-1に示したクラスターに存在するホメオボックス遺伝子をHox遺伝子と呼び、その他の部位にあるホメオボックス遺伝子を非Hoxホメオボックス遺伝子とするわけですが、ホメオボックス遺伝子とHox遺伝子が同義語として使われる場合もあります(6)。ここではとりあえず狭義のホメオボックスについて述べていますが、特に区別しないことにします。

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図206-1 さまざまな動物のHox遺伝子

これらのHox遺伝子の産物は転写因子としての機能を持つタンパク質(ホメオティックタンパク質またはHoxタンパク質)であり、2つのαヘリックスが折れ曲がった状態でつながっている構造(ホメオドメイン)を持っています(図206-2)。ホメオドメインがDNAダブルヘリックスのメジャーグルーヴに、N末がマイナーグルーヴにフィットするようです(7)。Hoxタンパク質はリアライゼータ遺伝子などさまざまな遺伝子のエンハンサーに結合し、転写を制御します。例えば足の形成に関与する遺伝子を活性化し、眼の形成に関与する遺伝子を抑制するというような形で特定の体の部分の形成をサポートするわけです。

Hoxタンパク質の保存性は高く、前口動物であるショウジョウバエと後口動物であるマウスの対応する遺伝子を入れ替えても機能するそうです(6)。両者の祖先が分岐したのは6.7億年前と考えられているので、恐ろしいほどコンサーバティヴと言えます。Hoxタンパク質はTAATの配列に結合して機能するので、擬人的表現であることを恐れずに言えば、遺伝子がHoxタンパク質が存在するステージで発現したいと思えばエンハンサーにTAATという配列をつくるかあるいは持ってくれば良いわけで、それは進化のタイムスケールでは容易な変異です。

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図206-2 ホメオボックスタンパク質のDNAへの結合

図206-3は左右相称動物のさまざまなグループがどのようなHox遺伝子を持っているかを、レスリー・ピックが整理して示したものです(8)。似ても似つかないくらい遠い親戚の生物であっても、左右相称動物の共通祖先を持っている限り、それぞれ同じ色のパラローガスな関連遺伝子を保存的に持っていることが示されています。

脊椎動物はナメクジウオやウニの祖先と分岐した後、2回の全ゲノム重複というイベントを経験し、Hox遺伝子もいったん4倍になりましたが、同じ機能が重複していた遺伝子が淘汰されて図206-3のようになりました。その後私たちの祖先である肉鰭類(にくきるい)と条鰭類(じょうきるい)に分岐し、さらに条鰭類から真骨魚類が分岐してから3回目の全ゲノム重複が約3億年前に起こったので、現在の多くの魚類は哺乳類より多数のHox遺伝子を持つことになりました(9、10)。サメなどの軟骨魚類はこの3回目の全ゲノム重複は経験していません。真骨魚類においてもHoxD群の遺伝子は全ゲノム重複したにもかかわらず、ワンセットは完全に脱落しています(図206-3)。それでもこの図を見ると、ある意味真骨魚類の方が私たちより進化しているとも言えます。

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図206-3 左右相称動物のHox遺伝子

図206-1あるいは3に掲載されているHox遺伝子はホメオボックス関連遺伝子群の一部であり、その他のグループに属するTAAT配列をターゲットする遺伝子も多数あります。図206-4はもっともよく研究されているショウジョウバエのホメオボックス遺伝子を分類し、網羅したものです(11)。ここで ftz (フシタラズ)という遺伝子にあとで注目します。これはペアルール遺伝子として知られていますが、他の昆虫ではホメオボックス遺伝子としての働きがみられる場合もあります(8)。

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図206-4 FlyBase を元に網羅したショウジョウバエのホメオボックス遺伝子

レスリー・ピックらは図206-4に記載してある ftz について詳細に調査して、これがすべての節足動物に存在することを確認し、ftz はもともとはホメオボックス遺伝子であって、ある進化のステージでリジン-アルギニンーアラニン-リジン-リジンというプロダクトのアミノ酸配列を獲得し、これによってペアルール遺伝子としての機能を獲得したとしています。そのタイミングは完全変態する昆虫が現れたとき(Endopterygota 以降)のようです(図206-5)。ただし蜂(Hymenoptera) ではまだ完全に機能せず、甲虫(Coleoptera)・蝶(Lepidoptera)・ハエ(Diptera)などでは完全に機能しているとしています(図206-5)。

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図206-5 前口動物における ftz の進化

ショウジョウバエに比べると哺乳類での研究は遅れていますが、各Hox遺伝子を欠損するノックアウトマウスは製造されており、それぞれ表現型が報告されているので文献12に従って簡単にまとめておきました(12、図206-6)。脊椎の異常はとりあえず解剖すればすぐわかるので記載されていますが、神経の異常などの詳細はこれからの研究が必要でしょう。具体的にどのような形質異常なのかは、文献12のテーブル2にそれぞれのノックアウトマウスについての原著論文が引用されています。

しかしこれまでに得られた情報だけでも、Hox遺伝子が哺乳類の形態にも大きな影響を与えることは明らかです。

文献12にはHox遺伝子の変異が原因となるヒトの疾病についても、患部の写真なども含めて詳しい記述があるので、関心がある方は参照されることをおすすめします。

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図206-6 各Hox遺伝子をホモで欠損するノックアウトマウスの表現型

 

参照

1)東京医科歯科大学 個体の発生と分化Ⅱ - 発生と分化のしくみ
https://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/develop2.htm

2)脳科学辞典:ホメオボックス
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%9B%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9

3)Wikipedia: Hox gene
https://en.wikipedia.org/wiki/Hox_gene

4)ウィキペディア:形態形成
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%A2%E6%85%8B%E5%BD%A2%E6%88%90

5)大阪大学 浜田ラボ 高田勝吉
https://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/hamada/%E5%89%8D%E5%BE%8C.html

6)ウィキペディア ホメオティック遺伝子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90

7)Wikipedia: Homeobox
https://en.wikipedia.org/wiki/Homeobox

8)Leslie Pick Hox genes, evo-devo, and the case of the ftz gene., Chromosoma., vol.125(3): pp.535–551.(2016) doi:10.1007/s00412-015-0553-6
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4877300/pdf/nihms-740608.pdf

9)沖縄科学技術大学院大学 プレスリリース
https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/22387

10)Jun Inoue, Yukuto Sato, Robert Sinclair, and Mutsumi Nishida, Rapid genome reshaping by multiple-gene loss after whole-genome duplication in teleost fish suggested by mathematical modeling., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.112 (48) pp.14918-14923 (2015)
https://doi.org/10.1073/pnas.1507669112
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1507669112

11)FlyBase: https://flybase.org/reports/FBgg0000744.html

12)Shane C. Quinonez, and Jeffrey W. Innis, Human HOX gene disorders., Molecular Genetics and Metabolism vol.111 pp.4-15 (2014)
http://dx.doi.org/10.1016/j.ymgme.2013.10.012
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24239177/

 

 

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2023年3月26日 (日)

My favorites 14: Albinoni オーボエ協奏曲 Op.9-2

Albinoni

トマゾ・アルビノーニは17~18世紀に活躍したヴェネチアの作曲家です。ヴェネチアは英語名はベニスで、シェークスピアの「ベニスの商人」やヴィスコンティの「ベニスに死す」で有名な街です。アルビノーニの作品で一番有名なのはアルビノーニのアダージョですが、これは第二次世界大戦後に作曲されたジャゾットの偽作で、アルビノーニとは関係がありません。アルビノーニは50曲くらいのオペラを作曲して結構売れっ子の作曲家だったようですが、その楽譜がひとつも残っていないというのは残念です。ただ数曲のアリアの楽譜は残っていてYoutubeでも聴けます。

彼が生まれた頃のヴェネチアはひとつの都市ではなく、アドリア海周辺に広い領土を持つヴェネチア共和国として大いに繁栄していました。アルビノーニ家も実業家でお金持ちだったようです。当時のヴェネチアではそんなお金持ちが妾を持って子供を産ませることも珍しくなく、そうしてうまれた非嫡子はしばしば修道院に放置されたりすることがあったようです。アルビノーニはそうした修道院の仕事がない女子にヴァイオリンなどの楽器を演奏させ、生活の資とさせるために多くの器楽曲を作曲して提供しました。こうしてチャリティーで作った器楽曲は修道院に保存されて、ほとんどが現在まで残っています。バッハはアルビノーニの作品が好きだったようです。

そんな中でも最高傑作とされるのが作品9-2のオーボエ協奏曲で、実にチャーミングな作品です。このYoutubeの演奏(アダージョ)は、いかにも近隣の音楽好きが集まって教会で楽しんでいる感じです。オーボエは若手の名演奏家(Amy Roberts)を呼んでいます。結構オーボエ奏者が勝手に作曲して演奏していますが、まあそんなものなのでしょう。そんなに違和感はないです。

https://www.youtube.com/watch?v=Z9xfJDftEUA

私が聴いているCDはブダペスト・ストリングスの演奏で、この動画よりも洗練された感じです(Capriccio 67 126/29)。

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アルビノーニの楽譜が残っていた数少ないオペラアリアの中の1曲です。

Albinoni - Opera «L'incostanza schernita» Aria 'Quel sembiante e quel bel volto' | Ana Quintans

https://www.youtube.com/watch?v=VJRdT1spgvM

 

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2023年3月25日 (土)

異常気象と曇天の桜 2023

今年の北総の桜開花は1週間以上早いと思います。こんなことは私が住み着いてから20年間はなかったことで、異常気象に不安が募ります。お天気はよくありませんが、明日にも満開になりそうです。やはり青空がバックでないと桜も映えませんが、毎年この季節にはアップしているので。

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Sakura3

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2023年3月23日 (木)

理研 リストラを強行

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(from wikipedia)

大学の同窓会をやると、一番貧乏なのは理系で博士号を取得した者です。まあ出席する場会はいい方で、金銭感覚にずれがあるので出てこない人も多いと思います。

理研(理化学研究所)は10年を超える有期雇用の研究者に無期雇用転換の権利を得させないために、大規模なリストラを行うことを決め、この結果自主退職して逃げ出した研究者も数多くいるそうです。中には外国に就職した人もいて、理研でプロジェクトを組むということは重要で将来性があると認められた研究ですから、そういうプロジェクトを担っていた人たちが海外に流出するということが日本の科学技術の破滅であることは明らかです。

研究所に残ればいろいろといじめられて、結局生首を切れられるという結果が待っています。欧米と違って日本ではやめた後なかなか行き先がみつかりません。小泉政権が大学への文科省の介入を強めてから、大学は役人の天下りを受け入れるようになって(そりゃ監督官庁に媚びを売りたいでしょう)、解雇された研究者と文科省の役人が大学のポストをめぐって競合するというような事態にもなっています。

政府は雇用を非正規化すればお金を使わずに成果を得られると考えるわけですが、ノーベル賞量産の世代はそんな非正規とは縁遠い終身雇用の世界で研究していた人々です。役人は机上のプランで仕事を進めますが、実態を知らないので結果は思い通り行きません。現状の日本では非正規が増えれば増えるほど研究所の雰囲気は悪くなり、成果はしぼんでいきます。もう中国はおろか韓国の後塵を拝することになっています。ロケット技術は北朝鮮にも劣ります。

政府は開発途上国はじめいろんなところに大盤振る舞いしている上に、ワクチンに至っては数億本を廃棄することになりそうです。にもかかわらずたった600人ほどの理研研究者を維持できないというのが日本の実態なのです。科学=文明であるということを国会議員が認識していないということがこの問題の遠因なのですが、さらに言えば人類に降りかかる様々な困った問題を解決する最終手段はサイエンスであるということを、市民が理解することも大切です。

 

参照

Mass layoff looms for Japanese researchers
Thousands could see their jobs axed in the wake of labor law adopted a decade ago
Science 8 JULY 2022 • VOL 377 ISSUE 6602
https://www.science.org/doi/pdf/10.1126/science.add803

東京新聞 ワクチン使いきれずに大量廃棄 国の調達や配分に疑問の声も 参院選で論戦みられず
こちら1

理化学研究所労働組合
こちら2

理研非正規雇用問題解決 ネットワーク
こちら3

東洋経済 理研、雇い止め批判の回避狙うカラクリの実態
こちら4

中日新聞 研究者6000人雇い止めの危機 「無期雇用へ転換」5割未満
こちら5

赤旗 理研雇い止め プロジェクト途中でも
こちら6

赤旗 研究者の使い捨てを許すな
こちら7

管理人追加コメント:私は共産党はサイエンスに関してはプラグマティズム=実用主義だと理解していたので、赤旗が基礎研究者の立場を支持していることには驚きを隠せません。これが単に労組の関係からでないことを願いたいと思います。

 

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2023年3月21日 (火)

都響-大野 ドビュッシー「海」@サントリーホール2023/3/21

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例年より1週間も早い桜の開花で、この異常気象には恐怖感がありますが、ともあれ今日はサントリーホールにでかけました。桜坂の桜は満開にはまだ1~2日というところでした。

今日はいかにもマエストロ大野のお気に入りプログラムという感じです。コンマスはボス矢部、サイドはマキロンです。糸永さんも腕の負傷が癒えたようで元気そうです。最近の都響は27・28日のリゲティのチケットを売るために涙ぐましいほど必死のプロモーションをやっていて、今日の演奏会はそのあおりを食ったせいか空席が結構ありました。

バルトークのピアノ協奏曲第1番は異様な楽器の並びに驚きました。ピアノ奏者の対面にティンパニ、後ろが小太鼓など各種打楽器。つまりステージの最前部にピアノと打楽器がずらりとならぶ感じです。ティンパニの後ろが2Vn。1Vnの後ろにコントラバスです。曲を聴けばその意味がわかりました。これはピアノとティンパニの2重協奏曲のような曲でした。

バルトークの音楽はあまりピンとこない曲が多いのですが、この曲はとてもわかりやすく結構インパクトありました。ソリストのバヴゼさん、ティンアパニの久一さんの丁々発止のプレイはすごいのもがありました。それとヤマハのピアノがこの曲には非常にマッチしています。満場の拍手のあと、アンコールはなんとバヴゼ&大野の連弾とは恐れ入りました。マエストロ超ごきげんの巻です。

終わった後の席替えが大変で、スタッフ総出でも時間をはみ出しそうになるくらいの大作業のようでした。後半のラヴェルとドビュッシーもとても繊細できれいな素晴らしい演奏でした。特にエキストラのオーボエの方の演奏が印象に残りました(後日調べたら神農広樹氏-新日フィルだということがわかりました) 。

今日のプログラムや演奏に文句はないのですが、私的にはやはりマーラーやブラームスを聴いた後のような充足感はなく、ラヴェル、ドビュッシー、プロコフィエフなどのプログラムの時はいつも考えさせられます。

 

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2023年3月20日 (月)

フェンス(WOWOWオリジナルドラマ)

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私は猫を飼っているので旅行はほとんどせず、沖縄に行ったことはありません。まあそういうリッチな身分でもないのですが・・・とはいっても青い海に珊瑚礁、美ら海水族館にはあこがれます。

日本のテレビ局はいろんなドラマをつくりますが、現在の沖縄の空気を感じさせてくれるようなものはとても少ないと思います。WOWOWのオリジナルドラマ(連ドラ)「フェンス」は沖縄を肌で感じさせてくれるような希少な作品だと思います。昨日(日曜日)第1話を放映しました。WOWOWは結構リピートしてくれますしアーカイヴ配信もやっているので、まだまだ大丈夫でしょう。

https://www.wowow.co.jp/drama/original/fence/

WOWOWは会員制ですし、報道やワイドショーはやっていないので、放送局や番組への政治的・経済的な圧力が少なく、キャストの俳優さんたちものびのびと実力を発揮していると思います。松本佳奈という監督さんが指揮しているようですが、レイプ犯罪ものを女性監督がやるとくさくなりがちなので、そこは気をつけてやってほしいと思います。映画やライブをそのまま流すだけでなく、オリジナルドラマを作成するというのは放送局の心意気が感じられて素晴らしいですね。

沖縄は日本が戦後70年以上経過してもまだ米軍の占領下にあるということが露骨にわかる場所でもあり、このような状況をいつまで経っても改善できない政府しか持てなかったことは日本人として情けないと思います。安全保障がどうのこうのというのは独立したあとの話でしょう。オカシオ=コルテスが米国大統領になったときには絶好のチャンスなので、必ず独立できるように今から準備しておくよう政府にお願いしたい。

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この地図はウィキメディアコモンズと同様な扱いだそうですが、著作権は内閣府にあります。

この着色した広大な土地に日本政府の支配が及んでいません。本土にもこのような場所は多くありますが、特に空は広大な範囲が米国の支配下にあります。

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2023年3月18日 (土)

ミーナ 一周忌

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縞三毛ミーナを喪失してから1年になります。

サラと共に冥福を祈ります。

 

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2023年3月16日 (木)

続・生物学茶話205 脳神経の基本構成

ひとつ疑問に思っていることがあります。それは中枢神経系についてですが、果たして最初に脊髄があってその前端が膨らんで脳になったのでしょうか? ウルバイラテリア(始原的左右相称動物)は移動手段を獲得する前か同時期に、口から肛門へと通じる消化管・酸素を取り込むための鰓と付随する筋肉・口器とそれを動かすための筋肉を持ったに違いありません。そのようなツールを得て、はじめて藻類を探して食べるという生活が成立します。

ならば口器や鰓を動かすための統合的な神経システムが体の前部にできなければいけません。後方の神経系(始原脊髄)は主に移動手段を活用するためにやや遅れて整備された可能性があります。その後ランダムに動いていたのでは間に合わず、エサを探してみつけなければいけないような状況に変わる中で、視覚とか嗅覚とかにかかわる臓器が発達し、始原脳の前側に新しい脳(中脳・間脳・後脳)が形成されたと思われます。餌を見つけることと、その方向に動くということは連動してなければいけないので、進化した新しい脳と移動手段を制御する脳は協調して活動する必要があります。

このような考え方に立てば、円口類と魚類、そして私たち哺乳類の末梢神経系のなかで採餌や呼吸にかかわる枢要な末梢神経の脳への出入り口がほぼ同じであっても不思議ではありません。円口類と魚類が分岐したのはエディアカラ紀末とされているので(1、2)、菱脳(橋+延髄)に出入りする末梢神経系のシステムはその頃までに確立し、その後円口類と魚類に引き継がれ、さらに私たちまでマイナーチェンジしながら引き継がれてきたわけです。

システムの基本構成は図205-1のようなものです。基本構成はできてからほぼ2億年の間おそらく安定した形で保持されてきましたが、両生類が肺呼吸を開始し、舌を使った食事をはじめたことで少し複雑になりました。さらに私たちも含めて音声でコミュニケーションをとるようになったのでそれをコントロールする神経が必要になりました。これらがマイナーチェンジの要因です(図205-1)。いずれにしても、V、VⅡ、IX、Xの脳神経は始原的であり、保存的であるといえるでしょう。

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図205-1 脊椎動物が採餌と呼吸に使う枢要な脳神経

菱脳から伸びる神経に直結する始原的な組織は鰓弓と呼ばれるもので、脊索動物に特徴的な呼吸・採餌のシステムと深い関係があります。クラゲは体全体を動かして水管の海水を動かすことによって呼吸します。しかしもともとはそのような活発な全身運動をしないで、ポリプ的な海底での生活を選んだ私たち脊索動物系グループの祖先は、消化管に穴を開けて出口に筋肉を配置し、ポンプ的な動きで水流を作り出すという方式を開発しました。穴から水を強制排出すると消化管は陰圧になり、口から水を取り込むことができます。同時にエサを取り込むこともできて、呼吸と採餌が容易になります。

ヒトの解剖学では、ヒトは鰓を持たないため鰓弓は咽頭弓と呼ばれるのが普通です。鰓弓はもともとは6つあったのですが5番目が退化しているので、1~4と6の5つになります(3、4、図205-2 脊椎動物胎児の菱脳)。

菱脳(rhombencephalon)はHox遺伝子の発現などによって r1-r8 に領域がわけられていますが、各末梢神経(脳神経)はコントロールする組織ごとに同じ領域に入出力が行われます。図205-2では左が入力、右が出力としていますが、これは便宜的な表記で実際には複雑です。菱脳最前部の r1 は特別な領域で、ここにはHox遺伝子が発現していません。この領域が始原脳(橋+延髄)と進化脳(中脳・間脳・終脳)の境界となります。円口類より前から存在するナメクジウオ(頭索動物)の中枢神経系においてもある部分より前ではHoxの発現が見られないので(5、6)、視覚や嗅覚の情報を処理するためのHoxフリーな新しいタイプの脳(進化脳)のプロトタイプは、頭索動物が出現した時点ですでにできていると推察されます。

図205-2の脊椎動物における末梢神経系の標準的な出入りの状況が、ヤツメウナギの末梢神経系の出入り(7)と比較しても非常に類似しているのには驚きます。この始原脳の構造がエディアカラ紀から保存されてきたことがよくわかります。舌下神経はここでは省略されています。

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図205-2 脊椎動物の菱脳(橋+延髄)に接続する神経

哺乳類の脳神経は12対あり、I~IVは中脳より前の進化脳に接続し、V~XとXⅡは始原脳(菱脳あるいは橋・延髄)に接続しています。副神経XIは脊髄に接続している部分も多いことから脳神経と言えるかどうか微妙です(8、図205-3)。

図205-3に示したように、中脳より前に出入り口を持つ脳神経はすべて視覚または嗅覚に関連したものです。しかし始原脳から出入りする神経にも視覚に関係する外転神経があり、これは眼球の向きを制御しています。これは始原的生物が触覚の次に視覚を獲得したことを示唆しています。三叉神経はメジャーな太い脳神経ですが、これは主に触覚を担当する神経で、進化上最も古いグループの脳神経だと考えられます。この他平衡感覚を担当する内耳神経や呼吸器・消化器を担当する迷走神経なども始原的な脳神経でしょう。

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図205-3 哺乳類の脳神経

ヒトの脳でもこのような脳神経の基本配置は保存されており、図205-4のようになっています(9)。この図では嗅神経は書いてありませんが、図には描かれていない前部に接続点があります。ただヒトの場合嗅覚が退化しているので、嗅神経も退化して細くなっています。滑車神経以外はすべての脳神経は腹側で脳に接続しています。

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図205-4 ヒトの脳と脳神経

図205-5(10)は軟骨魚類であるイエロースティングレイ(エイの仲間)の脳ですが、このようにヒトとは似ても似つかない生物においても、脳神経の接続点はほぼ一致しています。終脳は嗅覚中心の情報処理を担っていると思われますが、ヒトと同様非常に巨大になっています。脳神経の中でも嗅神経が最大の太さになっています。一般にサメやエイの仲間は嗅覚が発達しています。延髄と同じくらいの太さの嗅神経を持つものもいるようです(11)。このサメの終脳(大脳)も巨大です。

もうひとつ驚いたのはイエロースティグレイの小脳の巨大さです。しかも明らかに分節していて3つのパーツ(ARc:anterior rostal cerebellum, ACc:anterior caudal cerebellum, Pc:posterior cerebellum)に分かれています(図205-5)。そして奇妙なことに ACc は左右相称ではありません。これは哺乳類の小脳より発達している可能性があり、興味深い研究対象かもしれません(10)。

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図205-5 イエロースティングレイ(エイの一種)の脳と脳神経系

Cranial Nerves: I-Olfactory, II-Optic, III-Oculomotor, IV-Trochlear, V-Trigeminal, VI-Abducens, VII-Facial, VIII-Auditory, IX-Glossopharyngeal, X-Vagus. Major Topography: ACc-Anterior caudal cerebellum, ARc-Anterior rostral cerebellum, CE-Cerebrum, H-Hypophysis, I-Inferior lobes of infundibulum, MO-Medulla oblongata, OL-Olfactory lobe, OpL-Optic Lobe, Pc-Posterior cerebellum.


参照

1)続・生物学茶話195:円口類の源流 図1
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-1f4cf6.html

2)Tetsuto Miyashita, Michael I. Coates, Robert Farrar, Peter Larson, Phillip L. Manning, Roy A. Wogelius, Nicholas P. Edwards, Jennifer Anne, Uwe Bergmann, Richard Palmer, and Philip J. Currie, Hagfish from the Cretaceous Tethys Sea and areconciliation of the morphological?molecularconflict in early vertebrate phylogeny., Proc Natl Acad Sci USA vol.116, no.6, pp.2146-2151 (2019).
https://www.pnas.org/doi/suppl/10.1073/pnas.1814794116

3)ウィキペディア:咽頭弓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%BD%E9%A0%AD%E5%BC%93

4)Shun Li and Fan Wang, Vertebrate Evolution Conserves Hindbrain Circuits despite Diverse Feeding and Breathing Modes., eNeuro vol.8(2), pp.1-15 (2021)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33707205/

5)ピーター・ホランド 形の進化とゲノムの変化―ナメクジウオが教えてくれること
季刊「生命誌」23号
https://www.brh.co.jp/publication/journal/023/iv_1

6)続・生物学茶話202:脳の起源をめぐって
http://morph.way-nifty.com/grey/2023/02/post-c61096.html

7)続・生物学茶話204 脳の部域化
http://morph.way-nifty.com/grey/2023/03/post-abc72d.html

8)脳科学辞典:脳神経
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%B3%E7%A5%9E%E7%B5%8C

9)Nurselabs: Nervous system anatomy and physiology
https://nurseslabs.com/nervous-system/

10)Spieler, Richard & Fahy, Daniel & Sherman, Robin & Sulikowski, James & Quinn, T., The Yellow Stingray, Urobatis jamaicensis (Chondrichthyes: Urotrygonidae): a synoptic review. Caribbean Journal of Science. vol.47, pp.67-97 (2013)
https://www.researchgate.net/publication/290976197_The_Yellow_Stingray_Urobatis_jamaicensis_Chondrichthyes_Urotrygonidae_a_synoptic_review

11)Go! Joppari, サメの脳
https://jopparika.exblog.jp/10910039/

 

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2023年3月13日 (月)

玄侑宗久著 般若心経

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この本の著者 玄侑宗久(げんゆうそうきゅう)氏は臨済宗妙心寺派の指導的地位にある高僧であると同時に、新潟薬科大学の客員教授であり、小説家でもあるという変わり種です。

そういうスタンスの人なので、たとえば同じ花でも人が見る場合と鳥が見る場合とでは全く異なるので、絶対的認識というものは存在しないという科学的な説明をします(般若心経では色即是空・空即是色)」。そして量子論の粒子と波動の二重性をしばしば引用し、人間の認識の無意味を指摘して般若心経の正しさを強調しています。

また事物は刻々と変化しているのである時点における認識には意味がないとし、私たちが宇宙の一部であり、一体であることを実感することによって解脱できるというのが臨済宗の考え方のようです。不思議なのは著者が科学的認識の意義を否定しているにもかかわらず、教義の正しさを証明するために科学の成果を引用したり、自ら理系大学の教師をしていることです。

般若心経の最大の問題点は不生不滅と書いてある点で、天文学者のコンセンサスとして138億年前に宇宙はビッグバンによって誕生したことになっているので、これは決定的な矛盾点です。著者はこの点には言及していません。ローマ教皇はビッグバンを認めているそうです。

とはいえ釈迦は紀元前の哲学者としては、古代ギリシャの哲学者たちを凌駕するような偉大な人物だったと思います。不増不減というのは質量保存の法則を示唆しているように思いますし、認識の相対性というのは視覚についていえば、前述のように鳥、昆虫、人間、マウスみんな目の構造は違っていて色彩を認識できるスペクトラムも違うので、当然正しいわけです。聴覚や嗅覚も同じく相対的なものです。釈迦はソクラテスと同じく著書を残さなかったのが残念です。

 

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2023年3月11日 (土)

3.11

また3.11がやってきました。2011年3月11日にはもちろんこのブログは存在していました。当時の記事を読み返すと恐怖が蘇ってきます。あらためて災害で亡くなった方々のご冥福をお祈りします。

当時私はイオンモール3Fの本屋さんにいて、買った本を持って一万円札をレジ係に渡したところでした。そこでものすごい揺れが来たので、レジ係が必死で「どうしますか」と言うので、お札を引き取って本をカウンターに置き、その場にしゃがみ込みました。

その後私は不可解な行動をとります。どうしてそのような行動をとったのか全く説明できません。ショックを受けると理性的な行動ができないということだけはわかりました。私は猛烈な揺れの中を這いつくばりながら、なんと非常に危険な3Fブリッジを渡って隣の映画館のビルに移動したのです。映画館はなんと水浸しで(消火用の貯水プールが破損して天井から水が流れたようです)、滝のようになっている止まったエスカレーターを歩いて降りていきました。なんとか外に出ると、ヘヤーカット途中で逃げ出した人が何人か居たのを覚えています。

家に帰るとメチャクチャで、特に食器棚が悲惨な状態でした。翌日イオンに行くと棚は空っぽで、これからどうやって生活していこうかと呆然としました。ペットショップに行くと閉まっていていつ再開するのかわかりません。ガスと電話は止まりました。ガソリンスタンドを見に行くと、車で周辺まであふれていてとても入れられる状況ではありませんでした。しかもなんと原発がメルトダウンし始めているというではありませんか。

私は車のガソリンが静岡くらいまではありそうだったので、とりあえず猫たちを車に積んで神戸に疎開することにしました。幸い静岡でガソリンを継ぎ足すことができたので、無事疎開させ、私だけ仕事を済ませるために、新幹線でとんぼ返りしました。当時の写真を再掲します。そのうち本当に原発がメルトダウンしたので、私も疎開しました。

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3.11の翌日 イオンの食料品売り場 棚には何もない

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車で移動中のサラとミーナ

後日原発に関する本を数冊みっちり読んで、私は菅直人はやるべきことはほとんどやったという確信を得ました。東電は御用学者を使ってマスコミ操作をしたり、海江田大臣をとりこむなど、あらゆる手段を使って原発の全廃を阻止しようとしました。このブログにも東電の関係者とおぼしき人からコメントがついたりとかもありました。彼らは現場と直結する通信手段(テレビ電話)を持ちながら、政権にはブラインドにしていたのは許しがたいことです。このことは菅直人が直接本社に乗り込むまで露見しませんでした。私は現在でも東電という会社が言うことは信用していません。

 

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2023年3月10日 (金)

和田-都響 「皇帝」と「運命」@池袋芸劇2023/03/09

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和田一樹というマエストロの名前はごく最近まで知らなくて、都響-ラジオ体操第一のMVが初めての出会いでした(1)。今夜は都響の演奏が格安で聴ける特別な演奏会で、これを聴かない手はありません。コンマスは山本さん、サイドはゆづき。偉そうなエキストラの方がフルートの席に(誰だか知らない)。あの有名なリュックのおじいさんが開演直前になんと2列目に着席(いつもは1列目)。

ソリストの小山さんはさすがに貫禄の「皇帝」。私は田部ちゃんの「皇帝」が好きなのですが(特に弱音部)、何も申し上げることはございません。生まれて初めてプロ演奏家の「エリーゼのために」(アンコール)を聴いてさらに感動しました。

マエストロ和田の指揮は強靱な弾力で貫かれていて、「運命」はすばらしくグルーヴする演奏でした。都響がここまで乗りに乗って演奏するのを久しぶりで聴いた気がします。山本-和田の相性は抜群です。

都響のホームでもほとんどプロモーションしてないし、フライヤーも和田さんのサイトで初めて見たくらいでした(これ自作で、実はフライヤー自体がなかったのかもしれません)。いつもはスタッフが公式録画しているのですがそれもなし。でも広い芸劇はお客さんで一杯(WBCなんてどうでもいい)。すばらしい演奏会でストレス解消の一夜でした。いやー、またマエストロ和田-山本しげさんの組み合わせで演奏を聴きたい。シューベルトのグレート交響曲を希望します。

余談ですが、蔭井さん(1Vn)の眼の良さには驚きます。3.0くらいあるのではないでしょうか、それとも遠視? 普通の人の倍くらいの距離にスコアを置きます。隣の奏者とも位置がはっきりずれています。これでは最後列でしか弾けないのでは。

1)https://www.youtube.com/watch?v=az_109-rMAo

 

 

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2023年3月 7日 (火)

モーニングムーン(浜本沙良)

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ウォークマンで浜本沙良の「モーニングムーン」を聴きながら、毎朝駅までの道を歩いていたことがありました。この曲を作った有賀啓雄(ありがのぶお)氏が2月27日に亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。

「モーニングムーン」はパフというアルバムに収録されています(名曲満載)。

Sara Hamamoto (浜本沙良) - Puff (1994)
https://www.youtube.com/watch?v=Lw8jIUVbLOI

このCD、今でも販売されているのだろうかとアマゾンを見たら、あるにはありましたが9000円台の価格でした🎵

Puff

ちなみに、うちのサラは浜本沙良さんのお名前を拝借させていただいたものです。

 

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2023年3月 5日 (日)

グラスバーグ-都響 ペトルーシュカ@池袋芸劇2023/3/6

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意外に寒い日。キルティングしまってなくて正解でした。今日は池袋芸劇で都響C定期です。コンマスの山本さんは赤に金ラメのネクタイで気合いが入っていると解釈しました。サイドはマキロン。指揮者はベン・グラスバーグで弱冠29才の若手。一昨年のプログラム紹介パンフレットで、唯一音楽監督からの紹介記事がなかった指揮者で、情報もなかったのでしょう。今日は難曲が多くて心なしかオケメンも緊張気味な感じがしました。

グラスバーグの指揮は立派なもので、すべての曲できちんと楽しませてくれました。ただステージの上で行き来するごとに小走りになるのはせっかちな小者の感じがして改めた方がいいと思いますね。私は特に初めて聴くリャードフの曲が気に入りました。多分メロディを書く能力が低いのだと思いますが、それでもこういう作風なら作曲家としていい線いけるんだということなのでしょう。吸い込まれる曲です。リャードフの他の曲も聴いてみたくなりました。

ペトルーシュカはもちろんピアノの長尾さんも含めて都響の天才奏者たちが大活躍で、すばらしい演奏でした(オーボエトップはエキストラの方でしたが)。ただロトの時のような手に汗握るほどの興奮は感じませんでしたね。ソリスト(チェロ)のドルプレールはやわらかくて暖かいチェロなんですが、少し音量が足りないかな? 8日に朝日ホールでリサイタルをやるそうなので、いける人はそちらの方がベストかもしれません。

帰りに日暮里の駅でパンを買ったのですが、1個300円くらいでびっくりしました。

 

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2023年3月 4日 (土)

続・生物学茶話204 脳の部域化

ウィルヘルム・ヒス(1831~1904 図204-1)は19世紀に活躍した偉大な神経発生学者ですが、リンパシステムが閉鎖系であることを示したり、科学的な復顔術をはじめたりしたことでも有名です。彼は1865年に中胚葉由来の内皮細胞を発見し endothelia と命名して表皮 (epithelia) と区別しました。彼はまた同じ頃末梢神経が外胚葉からできることや、神経堤という組織が存在することを発見しました。これは彼が神経発生学の父とよばれても不思議でない偉大な業績です。

ヒスはそれまでの組織切片を作る技術に限界を感じ、組織をアルコールで脱水し、ラベンダーオイルで透徹して、パラフィンワックスに埋めるという新しい技術を開発し、さらにそうして作成したブロックを薄切するミクロトームを1870年までに設計しました(1、2、図204-1)。このような技術は基本的に現代でも継承されており、組織学の基本であり続けています。つまりヒスは組織学の父でもあるわけです。

ヒスは地表が力を受けて褶曲し山ができることのアナロジーで、胚において細胞分裂の頻度が場所によって異なることによって力が発生し、表層が褶曲するというメカニカルセオリーを考え、ハーゲンバッハ(物理学者)の助力も得て、円形の胚が楕円形になるという計算も行いました(2)。彼は種による形の違いは位置による増殖速度の違いによると考えていたので、ダーウィニズムには関心が無かったようです。脳の部域化というのは、まさしく彼の理論が実現された結果のようにもみえます。

彼は1875年に「Our Bodily Form」という本を出版しましたが、これは発生現象を物理学(力学)や化学の論理で解釈しようという観点で書かれているそうです(私は未読)。この本のフルタイトルは「Our Bodily Form and the Physiological Problem of its Origin: Letters to a Natural Scientist Friend」というもので a Natural Scientist Friend というのは、あのDNAの発見者であるフリードリッヒ・ミーシャーで、彼はヒスの甥です。ただダーウィンの信奉者には不評で、エルンスト・ヘッケルはせっかく進呈された本を返送したそうで、二人は険悪な関係になったそうです(2)。ラヴィッツは「none of the other outstanding anatomists of the nineteenth century was treated with such hostility – almost hatred – as Wilhelm His」という記述を残しているそうです(2)。今から考えてみるとヒスの理論とダーウィニズムには何ら矛盾はないので、この争いにはいまいちピンときませんが、当時は結構シビアだったのでしょう。ともあれ、脳・神経系の細かい構造の比較ができるようになったのはヒスの功績が大です。

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図204-1 ウィルヘルム・ヒス

図204-2は以前にも示したことがありますが(3)、これで明らかなのはヤツメウナギやヌタウナギ(円口類)は私たちと同じく終脳・間脳・中脳・延髄(橋)という脳のセクションを持っていますが、小脳はありません。このような脳の部域化は脊椎動物出現以前の生物の特徴を反映していると思われるナメクジウオでは、形態的には明瞭ではありませんが、機能的にはある程度の分業が行われているようです(4)。ナメクジウオは形を認識する眼は持ちませんが、多くの光受容細胞を持っていて、そこから得た情報を総合処理する上で、萌芽的ではあってもある程度脳の部域化が必要だったと思われます(5)。

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図204-2 円口類と魚類の脳の比較

ここまで述べてきたことから考えると、脳の部域化は脊椎動物出現以前すなわちエディアカラ紀から始まっていたと思われますが、脊椎動物の中でも最も発達した脳を持つヒトにおいても、脳に接続する末梢神経はほとんどが橋・延髄につながるものであり、終脳・間脳・中脳につながっているのは視覚と嗅覚に関連するもののみです(6、7、図204-3)。

脊椎動物の基底生物群に近いと考えられているヤツメウナギでも同様で、嗅覚・視覚に関連した神経束が終脳・中脳からそれぞれ出ているほかは、主要な末梢神経はほとんど延髄(橋)から出ています(8、図204-4)。このことは脊索動物は触覚に頼って生きていた頃は、現在の延髄(橋)に相当する脊髄最前部の部域を使って感覚と運動の統合を行っており、その後視覚や嗅覚が発達するにつれて前方の脳部域(終脳・間脳・中脳)が発達したと考えられます。

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図204-3 脳に接続する主要な12の末梢神経(爬虫類・鳥類・哺乳類の場合)

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図204-4 ヤツメウナギの脳と接続する末梢神経

脳の部域のうちで最も後発なのが小脳で、これは円口類にはみられず、魚類に初めて登場します。小脳は条鰭類・肉鰭類・軟骨魚類すべてにみられるので、顎が形成されると同時にできたと思われます(9、図204-5)。

図204-5を見てまず驚くのはウバザメの小脳が巨大であることです。ウバザメはプランクトン食でゆっくり移動しているだけの巨大サメで平和的な動物なのですが、こんな立派な小脳を持っているとは・・・。軟骨魚類は哺乳類などよりずっと昔から生きていて、現在でも繁栄しているわけですから、もちろん昔のまま=生きた化石ではなくそれなりに進化してきたわけです。ウバザメもシャチなどに襲われることもあるので、それに対抗するために小脳を進化させたのかもしれません。

サメの脳みそでググると森喜朗がゾロゾロ出てきますが、サメの脳を馬鹿にしてはいけません。その嗅覚関係の立派さはヒトと比較すべくもありません(10)。またサメの脳はロレンチーニ器官によって感知した電気信号の処理も行っています(11)。

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図204-5 様々な魚類の脳を比較する

ナメクジウオの脳の部域化はある程度脊椎動物との比較はできるものの、まだまだ萌芽的なので、専門家でもそのつながりを研究するのは苦労しているようです(12)。ナメクジウオはカンブリア紀の弱肉強食の世界をうまくエスケープして生き残った生物の末裔なので、まだ脳の部域化が萌芽的であったエディアカラ紀の面影を残しているのでしょう。脳の部域化はカンブリア紀にイメージを形成できる眼を持つ生物が生まれたことと密接に関係しているはずです。このような眼で獲得した情報を処理するために、生物は菱脳の前方に大量の神経細胞を用意することになりました。画像情報を処理するために、いかに大量のメモリーが必要かは、デジカメやPCを扱う人なら誰でもわかります。

軟骨魚類や条鰭類とくらべて、私たちのご先祖様に近い肉鰭類は概して小脳はあまり発達させませんでした(図204-5)。これは彼らが辺境の生物(淡水・深海・夏には干上がる沼地など)であるため、動作の機敏さより環境への適応が重要な課題であったことを思わせます。彼らから生まれた両生類も小脳はあまり発達していません。

参照

1)His, W., Beschreibung eines Mikrotoms. Archiv fur Mikroskopische Anatomie vol.6, pp.229-232. (1870)

2)Michael K. Richardson and Gerhard Keuck, The revolutionary developmental biology of Wilhelm His, Sr., Biol. Rev., vol.97, pp.1131-1160. (2022)
doi: 10.1111/brv.12834
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9304566/pdf/BRV-97-1131.pdf

3)続・生物学茶話194: 円口類
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-99b318.html

4)続・生物学茶話187: ナメクジウオ脳の部域化
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-277eea.html

5)続・生物学茶話186: ナメクジウオの4種の眼
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-e84af9.html

6)Wikipedia: List of nerves of the human body
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_nerves_of_the_human_body

7)ウィキペディア:脳神経
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E7%A5%9E%E7%B5%8C

8)Manuel A. Pombal and Manuel Megias
Development and functional organization of the cranial nerves in Lamperys.,
THE Anatomical Record vol.302: pp.512–539 (2019)
https://doi.org/10.1002/ar.23821

9)K.Kotrschal, M.J.Vanstaaden and R.Huber, Fish brains: evolution and environmental relationships., Reviews in Fish Biology and Fisheries vol.8, pp.373-408 (1998)
https://link.springer.com/article/10.1023/A:1008839605380

10)Go! Joppari サメの脳
https://jopparika.exblog.jp/10910039/

11)ウィキペディア:ロレンチーニ器官
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%8B%E5%99%A8%E5%AE%98

12)José Luis Ferran and Luis Puelles, Lessons from Amphioxus Bauplan about Origin of Cranial Nerves of Vertebrates that Innervates Extrinsic Eye Muscles., The Anatomical Record vol.302, pp.452-462 (2019) https://doi.org/10.1002/ar.23824
https://anatomypubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ar.23824

 

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2023年3月 3日 (金)

ミーナ:思い出のナイスショット3

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ミーナが言いたいことは90%くらいは理解できていたと思います。サラが言いたいことはいまだに70%くらいしかわからないのが残念。

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ミーナ:思い出のナイスショット2

しばらくミーナの思い出に浸ることにしようかな・・・

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2023年3月 2日 (木)

ミーナ:思い出のナイスショット1

ミーナが死んだのは昨年の3月19日。それからずっと私も、サラも、そしてこのブログも、ペットロス状態が続いています。サラは単独生活者としての猫族を代表するようなキャラですが、ミーナは異常にフレンドリーなタイプで、多分ミュータントだと思います。私が一番好きなショットを貼ります。あの世からもこのブログを応援してほしい。

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