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2022年12月29日 (木)

私の紅白歌合戦2022

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今年もまた暮れようとしています。皆様良い1年でしたでしょうか? どんな1年だったにしても、大晦日にはすべて忘れてリフレッシュするのが1番。もちろん音楽ファンは音楽に浸って過ごすのが至福でしょう。

「私の紅白歌合戦」の内容はミイディアム-スローな歌謡曲寄りのJPOPがメインで、クラシック系も多少という構成です。YouTube にアップしてくださった方々、アーティストの方々に感謝します。

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1a.タンホイザー ピルグリムコーラス(ワーグナー)
デンマーク放送交響楽団と合唱団 Lawrence Foster
https://www.youtube.com/watch?v=fjD126tBlnQ

アップしたとおぼしき人が 「信じてくれ、これがベストのピルグリムコーラスだ」 と書いていますが、納得です。それにしてもすごい女声コーラスに震撼。

1b.いちご白書をもう一度(ユーミン) 小野友葵子 東京大学コールアカデミー
https://www.youtube.com/watch?v=DWon3NOxq2U

小野さんは往年の名力士水戸泉の奥様で、本業は相撲部屋のおかみ。メガネが多いがコールアカデミーも素晴らしいサポート。

2a.粉雪 レミオロメン
https://www.youtube.com/watch?v=1wxTksLZ1Mw

クリスマスより大晦日に雪が降ってほしいと思う。

2b.ホームにて(中島みゆき) ぷりん
https://www.youtube.com/watch?v=gSo4CfOItA4

ギターの弾き語りでしみじみ聴かせてくれます。

3a.Day in vacation 渚のオールスターズ
https://www.youtube.com/watch?v=PnDYIXMqz1E

スペインで首絞められる前の織田哲郎 最後は足でキーボードを弾く(必見)。

3b.マリーゴールド あいみょん
https://www.youtube.com/watch?v=0xSiBpUdW4E

中国の抗日映画撮影の聖地である上海影視楽園でロケ。そのような場所に堂々と乗り込んでしれっと撮影したことに拍手を送りたいです。このPVの視聴回数はまもなく3億回になりそう。
https://www.recordchina.co.jp/b747771-s182-c30-d1182.htm

4a.輝きながら 德永英明
https://www.youtube.com/watch?v=iLAe1qSw-oU

富士フイルムのCMソングですが、フィルムなんて知らない人も多くなりました。FUJIBRO WP FMシリーズには業務上大変お世話になりました。

4b.もっと Je-vous-aime  石川秀美
https://www.youtube.com/watch?v=4RDVgV7hVlA

薬丸裕英氏の奥様 いまでもインスタは人気だそうです。それにしてもハンドマイクなのに一歩も動かず、お地蔵様のように歌う石川秀美とは・・・・・。

5a.Imitation rain Sixtones
https://www.youtube.com/watch?v=pTh-ncw31ZA

Yoshiki の音楽を懐かしく感じるのが不思議。でもこれは2020年の音楽。

5b.Ailleurs  Keren Ann
https://www.youtube.com/watch?v=CkwgugYJFpM

テンポはゆったりなのに、なんとなくウキウキした感じ。Ailleurs(アイヤ)はどこか他の場所でという意味らしい。

6a.DISH// (北村匠海)  猫
https://www.youtube.com/watch?v=gsT6eKsnT0M

2億回再生間近 あいみょんのすごさ でもこのボーカルもほんとにいいね。

6b.愛が消えないように  まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=-PJlrmWwOiw

コロナ禍で苦しんだすべての人のために、アップライトピアノの弾き語りで歌う。まきちゃんぐの素晴らしい歌を、多くの人に聴いてほしいと思います。

7a.いざ進めよ、いばらの道を  山田晃士&流浪の朝謡
https://www.youtube.com/watch?v=X2rl1P7xqmE

これはフラメンコなのか?

7b.Iza Susumeyo OTTA-orchestra
https://www.youtube.com/watch?v=uMj2kKLZISw

7a のロックバージョン みなさん楽器が達者なロシアのガールズバンド。本来インストゥルメンタルのグループなので歌っているのは珍しい。

8a.誰も寝てはならぬ(プッチーニ) ヨナス・カウフマン
https://www.youtube.com/watch?v=xN-JCdM4or0

荒川静香選手がオリンピックで金メダルを獲得したときの曲です。

8b.Dich, teure Halle 貴き殿堂よ(ワーグナー) リセ・ダヴィドセン
https://www.youtube.com/watch?v=U9TofuLQOuk

ホールが小さく見えるような豪快な歌唱。マイクが1.5mくらい離れている。

9a.猫になりたい スピッツ
https://www.youtube.com/watch?v=O-Ehx19Bz-U

野外ライブも雨降ると大変。

9b.愛から遠く離れて(中島みゆき)  伽藍琳
https://www.youtube.com/watch?v=OwmEBrrF-6U

中島みゆきも、時にはこんな<無毒で清澄>な曲もつくるのか?

10a.レンガ通り  村下孝蔵
https://www.youtube.com/watch?v=ak9QPtAqHgU

あまりに気の毒な人生だった故村下孝蔵が世に残した名曲。

10b.海辺の葬列 青葉市子/マヒトゥ・ザ・ピーポー
https://www.youtube.com/watch?v=rh_IsgFI_mc

今の時代の空気を恐ろしいほどの音楽で投射する青葉市子。

11a.いつの日か(矢沢永吉) 矢沢singバラード企画
https://www.youtube.com/watch?v=j8XfhkDzn8E

なりきっている 偉大。

11b.口うつしロマンス 中村佳穂
https://www.youtube.com/watch?v=y3Br32he0C4

こういうのがむしろ音楽の原点かもしれない。

12a.SMILE〜晴れ渡る空のように〜  桑田佳祐
https://www.youtube.com/watch?v=HcaMkpdkN_4

地球の歴史・・・・・参りました。

12b.こと 熊木杏里
https://v.youku.com/v_show/id_XNzQ1MjkxNzky.html?s=362628

浮浪者に扮するという驚愕のMV ピアノは清塚信也。YOUKUなのでCMは中国語です。音声が出ないときはXをクリック。CMの間に進むことがあるので、戻す操作が必要になる場合もある。

13a.ビッグスカイ 中川五郎&真黒毛ぼっくす
https://www.youtube.com/watch?v=Qnu9Ms6FiZg

辞世の歌を楽しくみんなで演奏。

13b.雨が降る パリスブルー
https://www.youtube.com/watch?v=PU9ce2PE8Ho

今まで生きてきていろんなボーカルを聴きましたが、谷口實希さんの声はJPOPの歴史で一番美しいと思います。女子が左前のシャツを着るのが流行していた頃。

14a.雨上がりの夜空に 忌野清志郎
https://www.youtube.com/watch?v=cHehR50TaOo

喉頭癌で2009年に死去 声をあきらめて手術で除去しておけば助かったかもしれなかった。 歌と心中した男。

14b.私は風(カルメン・マキ&OZ)  中森明菜
https://www.youtube.com/watch?v=fi25Q-PtVdk

中森明菜がどんなに偉大なシンガーであるかは、これだけで十分。

~~~ 最後のペアになります ~~~

15a.小さな風景(小田和正) 鎮目政宏
https://www.youtube.com/watch?v=61NyvN2uHCU

TVドラマ 遺留捜査の最後に流れる曲

15b.千登勢橋 西島三重子
https://www.youtube.com/watch?v=0TYECCELT6c

もう40年以上前の曲ですが、今でも千登勢橋の下は電車と車が並んで走っています。

🌼🌼🌼🌼🌼

では皆様良いお年をお迎えくださいませ。(^_^)ノ""""

 

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2022年12月27日 (火)

インバル都響 年末第九@サントリーホール2022/12/26

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今日は都響最後のおつとめで恒例の第九演奏会最終日です。指揮はマエストロ・インバル、コンマスはボス矢部、サイドはゆづき。インバルさんは86歳だそうですが、大変お元気でシャープな動きに驚きます。彼のベートーヴェンは運命交響曲のCDを聴けばわかるように、軍隊的規律とも言えるような統制されたアンサンブルで押し切る感じの潔さが特徴です。

この第九も最初からオーケストラと聴衆を戦場にたたき込み、全力疾走させます。第3楽章もアンサンブルの美しさが印象的で素晴らしい。ところが第4楽章はソリストも合唱もはいるので、インバル流で押し切ろうとすると破綻します。合唱の美しさは損なわれ、ソリストは自分の歌が歌えなくてアップアップしている感じ。ベートーヴェンは結構ロマンチストだったと思いますが、それは感じられませんでした。なんだかもやもやしたまま終了で残念。私的にはさっぱり納得がいかない第九でしたが、隠岐彩夏さんという素晴らしいソプラノに遭遇できたことは幸運でした。佐藤しのぶさん以来の実力派スターになりそう。終演後はY夫妻とスタバでささやかな忘年会。しばしマスクを外しておしゃべりする幸福な時間でした。

そろそろ都響も若い指揮者をスタッフに入れて、ガラガラポンで再起動する時期に来ているのではないかと思いますが、アドバイザリーボードを入れ替える方が先かな。

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2022年12月24日 (土)

My favorites 13: 松田マヨのアルバム「夏」

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忘れられた天才と思っていましたが、ワーナーにはまだ記事が残っていました。

ワーナー・ミュージック・ジャパンによる松田マヨの紹介
<<1999年5人組ロックバンド"デイジー"のソングライター、アレンジャー、ボーカリストとしてデビュー。そのプログレ歌謡ロックとも言うべき才気溢れる作風と松田の謎のキャラが話題を呼びサブカル界のカルトアイドルとなる。2001年にデイジーは松田マヨのソロプロジェクトとして再始動。>>

https://wmg.jp/daisy/discography/

そしてディスコグラフィーには「はじまり」というシングルが1枚紹介されています(この似顔絵はよくできていると思う)。まだ販売しているのでしょう。私が紹介したいのは2000年に出版された「夏」というアルバムです。聞き始めて数秒でもう幽体離脱してしまうような不思議な音楽。もちろんデイジーでやっていたロックではなく、プロデューサーの曽我部氏によればアシッド・フォークというジャンルだそうです。

はっきりした記憶として呼び出せない、脳の深部に潜む秘密の領域に音楽でアクセスする術を持つ不思議な能力があるアーティストだと思います。ただここ20年くらい活動の形跡がありません。ところがアマゾンで検索してみると、発売から20年以上経過していますがまだこのアルバムは新品が販売されていました。自分の脳の深部を探索してみたいと思う方は是非。

記憶(memory), 波打ち際(the seashore), 短い日(darken earlier), 夏(summer), 愛(love), 水(water)  どれもとてつもない名曲。

YouTube に一曲だけ映像と共にアップされていました。ワーナーに言いたいのは、まだCD売ってるんだったら、きれいな映像を一つくらいアップしとけよってことです。

今彼女がどうしているかわかりませんが、まだ引退するような年齢じゃないと思うので再起を期待したいです。

松田マヨ「夏」
https://www.youtube.com/watch?v=jynsl5H6r6c

💧 ググったら松田マヨネーズばかりで閉口

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2022年12月23日 (金)

私のインスタントランチ: ラーメン

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インスタントラーメンをどうやって美味しくいただくかというのは大きなテーマです。基本はしょうゆラーメンですが、このマルちゃん-飯田商店のラーメンスープの味は私的には完璧に思えます。カップは捨てて鍋でつくります。

さてスープはそのまま使うとして、ついているチャーシューはちょっとアレだし、かといってチャーシューを買うというのもこれにしか使わないので逡巡します。当たり外れもあります。なるとも麺類にしか使いません。一番経済的なのはフリーズドライのパックを買っておくのがいいのですが、それだけでは物足りない。というわけでハムを1枚入れると、これは当たり外れがなくていいかも。あとのりと乾燥わかめを入れて完成。

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2022年12月21日 (水)

インバル都響 フランク交響曲ニ短調@東京芸術劇場2022/12/20

Helmchena

平日のマチネなのにインバル都響の公演は大盛況でした。クラシック音楽の演奏会でクラスターが発生したという話はききませんし、会社を休んで来ている人も多いようです。

いつも思うのですが、スタインウェイのピアノでベートーヴェンを演奏すると何か違和感があります。私はヤマハの方が圧倒的に適合していると思います。ヘルムヒェン氏は独自の世界をスタインウェイと共に完全に構築していて完結しています。ベートーヴェンの音楽がこんな高雅な響きでいいんだろうかと思いますが、まあ四の五の言わずに「私の世界に酔ってくれ」と言うことなんでしょう。ソリストアンコールのシューマンも完全にヘルムヒェンの世界。

メインはフランクの交響曲。これはとてもフランクらしい響きでしっくりきました。イングリッシュホルンのソロはいつもの南方さんではなく大植さんでした。私はこの第2楽章がお気に入りです。やたらと豪華なハープも好アシスト。弦も管も絶好調で素晴らしい演奏を有難う。第2楽章の主題を口笛で吹きながら帰路につきました。

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2022年12月19日 (月)

サラの考察24:ワールドカップ終了 アルゼンチンおめでとう

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サラ「ワールドカップはアルゼンチンが優勝して、Monが一押しのフランスは負けちゃったけど、なにかいいたいことはある?」

私「アルゼンチンはフォワードの3人を抑えるのではなく、その背後の3人(グリーズマン、ラビオ、チュアメニ)を押さえにかかったね。これは良いアイデアだったと思うよ。前半フォワードはほとんど仕事ができなかったからね」

グレチコ「ちょっと修正が遅すぎたけど、さすがに後半になるとデシャン監督はなるべく長いパスで中盤を省略する作戦に出て、アルゼンチンの思惑をようやく外すことができて延長に持ち込んだ」

サラ「延長はきついわね。でも今日はメッシも結構走っていたみたい」

私「もう延長は個の技術と精神力の戦いだね。デンベレはPKの原因まで作って前半でベンチに下がったけど、クンデはヴァランとウパメカノという怪物たちと共によくまあ120分頑張ったね。絶大なる拍手を送りたい」

グレチコ「この試合、メッシとエムバペもPKを1回もはずさないで決めたのは立派」

サラ「これで終わったけど、印象に残った選手は?」

私「メッシとエムバペはまあ別格として、GKのボノ(モロッコ)は強く印象に残ったね。スペインは彼に息の根を止められたという意味でもね。日本人では三苫のタイミングをはずすドリブルが印象的だった」

グレチコ「アルゼンチンのアルバレスもいい選手だったね。印象に残ったよ。彼のふわふわしたドリブルはアンスーを思わせるところもある」

私「マンCで使わないんだったら、レンタルでもバルサでプレーして欲しいよ。ずっとトップをレバンドフスキでやるわけにはいかないんだから」

サラ「じゃ 皆さんお疲れ様でした。ともかくアルゼンチン優勝おめでとう」

私「リーガ・エスパニョーラは大晦日から再開されるそうで、また忙しくなるけど頑張るべし」

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2022年12月18日 (日)

私のインスタントランチ 担々麺

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日清の冷凍担々麺に湯がいたチンゲンサイをいれただけ。お店と違うのは、表面をすくって捨てることで辛さを調節できることです。

さあ今日はワールドカップの決勝です。

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2022年12月16日 (金)

熊木杏里のニューアルバム「風色のしおり」

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熊木杏里がニューアルバム「風色のしおり」をリリースしました。今時の流行音楽とは一聴全く無縁なような密やかなサウンドと歌ですが、それが逆に時代の空気に驚くほどフィットしていると思います。

最初に聴いたときには戸惑いました。なにか音楽ごと別の世界にひっこしたような感覚。ウィスパーに近い曲が多いし、バックの楽器はとても控えめです。追い詰められているという感覚がアルバム全体を支配しています。そして歌いたいことを押し出すのではなく、耳打ちするような内向き感が強いですね。さらに共感できる人だけ聴いてくれればいいというさっぱりと割り切った感じもします。

「いのち輝く」や「あなたと共に」は私のフェイバリット。生物学を愛する者としては「根」の歌詞を絶賛したいところですが、実はこのような思想が地球環境を破壊してきたのです。そのくらい人という種スピーシーズは凶悪なんです。「はなむけの歌」はこのアルバムでは例外的に大きな声で歌い上げています。「同じ景色を見て欲しいと思うでしょう それが愛だって言うことが分かるでしょう」という歌詞がこの曲にあります。私もこのことは考えてきましたが、そうなのだろうか なにか違うような気もするのですがどうなんだろう。「もうすぐ春なのに」というラストナンバーは、この時代ならではの情感があふれた佳作。

個人的評価ではアルバム「人と時」を100とすると、このアルバムは80くらいだと思います。この時代の閉塞感が音楽まで閉塞させてしまわないように祈りたい。

あなたと共に
https://www.youtube.com/watch?v=LX2nkSClN_E


https://www.youtube.com/watch?v=Tmzzh79PpCo

 

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2022年12月15日 (木)

サラの考察23:ワールドカップ5

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サラ「セミファイナル 終わったね」

私「クロアチアもモロッコも全力を出し切った感じだったね」

グレチコ「クロアチアは中心がモドリッチ、コバチッチの高年齢コンビで最後まで保たなかった感じだし、ストライカーの人材不足もあった」

私「メッシは子供の頃からドリブルの天才と言われていたけど、ロナウジーニョに言われてPKとFKの練習をものすごく熱心にやったんだ。彼はこの点では努力の人でもあるんだ。今でもPKとFKは世界一なんじゃないかな。」

サラ「アルゼンチンは疲労を最小限に抑えて、ファイナルまでスタミナを残すようなプレースタイルだったのかな。メッシなんていつも歩いてるし・・・。モロッコvsフランス戦はモロッコの中盤選手が疲労していた感じがしたわね」

私「そうだね。フランスはあの故障がちなエムバペがずっと絶好調だったのが大きいね。バルサのメンバー、デンベレとクンデもずっとスタメンで頑張った。あのメンバーでスタメン張るのは半端じゃないよ。私が一押しのウパメカノが、多分コロナだとおもうけどセミファイナルに出場できなかったのは残念だけど」

グレチコ「ファイナルはどうなるかな?」

私「もちろん死闘になると思うけどフランスが勝つよ。デンベレ・ジルー・エムバペのトリデンテは止められないと思うよ。もちろんベンゼマが出ていたらもっと危なげなかったと思うけどね。フランスが注意しないといけないのはエリア内でのファウルだね。わざとファウルを誘うようなプレーに気をつけないと。メッシはPKうまいから止められないよ」

サラ「予想が当たるといいわね」

 

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2022年12月13日 (火)

続・生物学茶話197:円口類の嗅覚

韓国ではヌタウナギを食べるそうです(1)。私は食べたことありませんし、世界でもほとんど食用にする地域はないでしょう。粘液を出したり、かみついたりするので漁業の邪魔で、そのせいか agriculture の領域では嫌われているようで、研究は進化に興味のある生物学者たちが細々と続けてきました。ただヌタウナギが放出する粘液に含まれる繊維がクモの糸より軽くて丈夫だということがわかって、近年注目を集めているようです(2)。

今回は主にヌタウナギの嗅覚について話題にしようともくろんだのですが、どんな匂いに反応するかということについての研究がなかなかみつかりませんでした。もちろんヌタウナギの嗅覚が鈍感なわけではなく、暗い場所でも好むエサを置けばたちまち集まってくるので、彼らが嗅覚を基盤にして生活している動物であることは明らかです。

昔 Walbig という人がオスロ大学の研究施設近郊の海で53匹のヌタウナギを採集し、個体のマーキングを行って2.5km離れた場所に放流したところ、4年後に18匹が元の場所に戻ってきたそうです(3)。ヌタウナギは海底をはいずって生きているベントスであるうえに、死んだり、食べられたり、見つけられなかったりする個体もあったでしょうから、これは驚異的な帰還率だと思います。そして嗅覚をたよりにもどってきたとしか思えません。

鮭の母川回帰は有名なお話ですが、 どうもまだそのメカニズムは完全には解明されていないようです(4)。ですからヌタウナギの嗅覚に関する研究が進んでいないのも仕方ないのかなと思います。Sutterlin はいろいろなアミノ酸やその組み合わせでヌタウナギを引き寄せようとしましたが、失敗におわりました。タラの筋肉には引き寄せられましたが、何が臭いの元なのかということは突き止められませんでした(5)。2019年に出版されたグローバーらの論文には「Currently there is only a rudimentary understanding of chemosensory systems in hagfish」と書いてありました(6)。

まあ気を取り直してヌタウナギの鼻周辺の構造を文献(7、8)をたよりにみていきましょう(図197-1)。ヌタウナギの鼻は口の上にあり、喉に通じています。しかも私たち哺乳類と同様に口と鼻の間に隔壁がある高度な構造です。鼻孔の途中に臭いのセンサーがある嗅覚器官があります(図197-1)。鼻からの水量と口からの水量は、口の中にある弁で調節できます。また鰓からも排出できるので、消化管にすべて流れ込んでしまうことはありません。

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図197-1 ヌタウナギ頭部断面図と嗅覚器官 ヌタウナギの鼻孔はひとつで咽頭に貫通しています。途中に囊(嗅覚器官)があり嗅上皮と神経細胞が分布しています。

嗅覚器官は脳と極めて近接した位置にあり、素早く情報が伝わるようになっています(図197-1)。歯は下向きにも使えるようになっていて、これは顎がないことの利点です。固い物は噛むのではなく、下向きの歯でこそぎとることができます。上向きにすれば石や骨を消化管にいれないようにするフィルターとしても使えます。

鼻の穴をヤツメウナギ、ヌタウナギ、ウツボ(ウナギの仲間の硬骨魚類)で比べてみると、ヌタウナギの鼻がいかに巨大であることがわかります(9-11、図197-2)。正面から見ると口は下についているので、顔のほとんどが鼻の穴という感じです。これはヤツメウナギとは非常に違う点です。ヤツメウナギの場合鼻の穴は頭の上にあるので、これはエサを探すという用途とは直接関係がなさそうな位置です。ヤツメウナギはエサかそうでないかは視覚で判断できるので、嗅覚はおそらく別の目的のために用いられているのでしょう。ヤツメウナギとヌタウナギは鼻の穴がひとつですが、魚類であるウツボは左右ふたつあります。これは発生の初期段階から原基を用意しなければならないので大きな相違です。眼の原基は円口類と魚類が分岐する以前から2つ用意されていたことは明らかなので、鼻については分岐後に大きな発生上の改変がおきたことになります。

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図197-2 円口類の鼻孔はひとつですが、ヤツメウナギの場合頭の上にあり、ヌタウナギは前方に大きく開口します。ウツボは有顎動物であり、私たちと同じく鼻孔は2つです。図のソースは左から順にそれぞれ参照文献9-11です。

ヤツメウナギとヌタウナギで鼻の構造はかなり異なるのでその発生を比較したくなりますが、それは論文が出版されています(12、図197-3)。ポンセラとシメルトによれば、嗅覚器官と腺下垂体(人間の脳下垂体の一部と相同)は一体で分化し、最終的に前後に並んだ形で落ち着きます(図197-3 adult)。

しかしその部域に隣接する前部(青)と後部(緑)はかなり違った形になります。ヤツメウナギの場合前部はとても小さな部域である鼻の穴の後部領域のみを形成しますが、ヌタウナギでは鼻の穴から体内に続く長いダクトの上部全体を形成します。そして隣接する後部は、ヤツメウナギの場合反転して口の上側とここから90°折れて鼻のダクトの下部を構成する大きな部域となります。これに対してヌタウナギでは口と鼻の穴の隔壁を形成します(図197-3)。見方によれば、ヤツメウナギの鼻の穴を90°前に倒して引っ張るとヌタウナギのようになります。

ここでひとつ重要なのはヤツメウナギでは鼻の穴は盲囊になっていてつきあたりがありますが、ヌタウナギでは喉に貫通しているという違いがあることです。盲囊になっていると、そこにたまっている物質を追い出さないと次の臭いを判別できませんが、貫通していると刻々と変化する臭いをリアルタイムで感知できます。これは嗅覚に頼って生活している動物にとっては必要なことでしょう。

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図197-3 ヤツメウナギ・ヌタウナギ嗅覚器官の発生

ヌタウナギはほとんどの時間を何もしないで、近くに屍体が落ちてくるのを待機するという生活をしています。エサを食べずに9~11ヵ月も生存していたという報告があります(13)。これは彼らが脂肪を筋肉に蓄積できるからと考えられています(14)。このような特殊能力こそが、彼らがさして形も変えずにカンブリア紀以来5回の大絶滅を乗り越えてきた要因なのでしょう。

少し脱線しますが、昨今の地球の危機は増加した人類が大量の食料とエネルギーを消費し始めたためといえます。その結果6回目の生物大絶滅時代がすでにはじまっています。これを止めるのは簡単なことです。全世界で株式市場を廃止すればいいのです。バースコントロールだけではなく、こうして時間を稼いでる間に科学を進展させて、人間を冬眠させるとか、記憶を転写して生命活動を停止させ後に再生するとかの技術を開発して人口を削減することによって、真のSDGsが可能となるでしょう。

元に戻してヌタウナギの話ですが、彼らはいったん活動を始めると非常に活発に動いて、時には捕食者になるようなこともあるようです。ジンツェンらはそんな様子をビデオに収録しています(15)。視覚によってエサとなる生物の位置を正確に知ることができないので、狙いをつけてからかみつくまで何時間もかかっていますが、最終的には捕食しているようです。前記のように臭いを頼りに故郷に帰るというような行動も行ないます。

ヌタウナギが臭いに関してどんな行動をとるかという実験はまだまだ始まったばかりのようで、グローバーらは迷路を使ってとりあえずエサには近づき、安息香酸の誘導体からは遠ざかるというような結果を発表しています(6)。

嗅覚情報を処理する脳の部位=嗅球はヤツメウナギもヌタウナギもはっきりとわかります(理研のグループによる16、図197-4)。特にヌタウナギの臭球は大脳や間脳に匹敵するほどのサイズとなっています。断面を見ると、ヌタウナギは臭球だけでなく脳全体がヤツメウナギに比べて容積が大きいことがわかります。

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図197-4 ヤツメウナギ・ヌタウナギの脳の形態と断面図
A, B, E, F:外観、C, D, G, E:断面図 スケール・バー=1mm

同じ理研のグループは聴覚についても研究を進めていて、5億年以上前の円口類と有顎類の共通祖先が内耳半規管を持っていたことを示唆しています(17)。ヌタウナギやヤツメウナギも内耳を持っていて、重力や平衡を感知できるようです。ただ彼らに聴覚があるのかどうかはよくわかりません。魚類は外耳を持っていませんが、うきぶくろや側線を使って実は我々よりよく音が聞けるという説もあるので、円口類についても研究が必要でしょう。

参照

1)Konest ウナギ・ヌタウナギ
https://www.konest.com/contents/gourmet_guide_detail.html?sc=2091

2)National Geographic ヌタウナギの粘液が環境志向の繊維に
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9167/

3)Walving F., Experimental marking of Hagfish (Myxine glutinosa L.)., Nytt. Mag. Zool., vol.15, pp.35-39 (1967)

4)Maruha Nichiro, Salmon Museum. 鮭の母川回帰
https://www.maruha-nichiro.co.jp/salmon/jiten/jiten02.html

5)A. M. Sutterlin, Chemical Attraction of some Marine Fish in their Natural Habitat., Journal of the Fisheries Board of Canada Volume 32, Number 6 (1975)
https://doi.org/10.1139/f75-095

6)Chris n. Glover, Dustin Newton, Jasmin Bajwa, Greg G. Goss & Trevor J. Hamilton, Behavioural responses of the hagfish Eptatretus stoutii to nutrient and noxious stimuli., Scientific Reports vol.9, no.13369 doi: 10.1038/s41598-019-49863-x
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31527627/

7)York University, Kelly Laboratory, Lecture 6, Evolution and Classification Part II, Class Myxini
https://www.yorku.ca/spk/fishbiol09/FB09lecture6.pdf

8)Kjell B. Doving, The Biology of Hagfishes (eds Jorgensen et al), Chapman and Hall 1998, p.534

9)Private Aquarium
https://aqua.stardust31.com/

10)@ニフティブログ HK21 ヌタウナギ2
http://hk21.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-2056.html

11)The Aquarium Adviser Moray Eel Size and Tank Size for Saltwater Eel Species
https://theaquariumadviser.com/saltwater-aquarium-moray-eel/

12)Guillaume Poncelet and Sebastian M. Shimeld, The evolutionary origins of the vertebrateolfactory system., Open Biology, Volume 10, Issue 12, No.200330. (2020)
https://doi.org/10.1098/rsob.200330
https://royalsocietypublishing.org/doi/epdf/10.1098/rsob.200330

13)Mario N Tamburri, James P Barry, Adaptations for scavenging by three diverse bathyla species, Eptatretus stouti, Neptunea amianta and Orchomene obtusus
Author links open overlay panel., Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers, vol.46, issue 12, pp. 2079-2093 (1999)
https://doi.org/10.1016/S0967-0637(99)00044-8

14)Vincent Zintzen, Karyne M. Rogers, Clive D. Roberts, Andrew L. Stewart, Marti J. Anderson, Hagfish feeding habits along a depth gradient inferred from stable isotopes., MARINE ECOLOGY PROGRESS SERIES Mar Ecol Prog Se, vol.485: pp.223–234, (2013) doi: 10.3354/meps10341
https://www.researchgate.net/profile/Vincent-Zintzen/publication/269336865_Hagfish_feeding_habits_along_a_depth_gradient_inferred_from_stable_isotopes/links/548761b30cf289302e2eda58/Hagfish-feeding-habits-along-a-depth-gradient-inferred-from-stable-isotopes.pdf?origin=publication_detail

15)Vincent Zintzen, Clive D. Roberts, Marti J. Anderson, Andrew L. Stewart, Carl D. Struthers & Euan S. Harvey., Hagfish predatory behaviour and slime defence mechanism., Scientific Reports volume 1, Article number: 131 (2011)
https://www.nature.com/articles/srep00131

捕食の様子を収録したビデオ
https://static-content.springer.com/esm/art%3A10.1038%2Fsrep00131/MediaObjects/41598_2011_BFsrep00131_MOESM2_ESM.mov

16)Fumiaki Sugahara, Yasunori Murakami, Juan Pascual-Anaya, Shigeru Kuratani, Forebrain Architecture and Development in Cyclostomes, with Reference to the Early
Morphology and Evolution of the Vertebrate Head., Brain Behav Evol vol.96, pp.305–317 (2021) DOI: 10.1159/000519026
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34537767/

17)神戸大学 Research at Kobe: 脊椎動物の半規管の進化 -脊椎動物の共通祖先の内耳は、思いのほか複雑だった-
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_12_05_01.html

 

 

 

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2022年12月10日 (土)

西島三重子 Spell ~呪文~

Nisijima

個人の見解ですが、私は西島三重子の最高傑作オリジナルアルバムと言えば、テイチク時代の「Lost Hour」と「Soft-i」だと思います。どちらも西島流のメロディーラインが満載のポップスで、時代の影響が少ないシンガーソングライターだったこともあって、今でも十分楽しめるのではないでしょうか。きちんと4ビートで折り目正しいポップスもありますが、アクセントのないゆるい6ビートの曲などもあり、私は特に後者がお気に入りです。

これより前にリリースされたアルバム「Bye-Bye」はCD化されたのに、上記2枚はいまだにCD化されていません。とはいえ YouTube にアップしてくれているので、全曲試聴可能です。

「Soft-i」
https://www.youtube.com/watch?v=ncQQWbwfg88

「Lost Hour」
https://www.youtube.com/watch?v=EqQPfZmseto

当時の曲を収録したベストCDとしては 「Spell~呪文~」といういうのがあるのですが、アマゾンをのぞいてみたら、中古品が4000円くらいに高騰していました。

若い頃の映像「千登勢橋」 これはテイチクに移籍する直前のテレビ出演でしょう。
(多分1980年頃だと思います)
https://www.youtube.com/watch?v=0TYECCELT6c

===============

『西島三重子 Christmas Live 2022』
2022年12月22日(木)開場18:15 / 開演19:00
会場:南青山マンダラ
https://www.facebook.com/nishijimamieko/

 

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2022年12月 8日 (木)

サラの考察22:ワールドカップ4

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サラ「スペインもモロッコに敗退しちゃったね」

私「心配していたとおり、やっぱりB級ストライカーしかいないチームなので順当な結果だね。いくら中盤を支配していても、シュートが打てないんじゃ勝てるわけないよ。アンスーの体がしっかりしてきて、常時出場できるようになるまでの辛抱かな」

サラ「それにしてもPK戦はなさけなかったね。Jのリピートみたいで」

私「ボノもすごかったけどね。完全に方向を読まれていたし、上に打ってもギリギリじゃないとセーブされていたような気がする」

グレチコ「最後のハキミのゆるい中央へのキックはフットボルの神髄だね。相手の心を読むというのがね。パネンカというらしいよ」

私「あとは私が優勝を予想したフランスを見届けるだけになってしまった」

 

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2022年12月 6日 (火)

サラの考察21:ワールドカップ3

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サラ「Jは終わったね。がっくり」

グレチコ「あのPKは駒野の亡霊にとりつかれていたね」

私「そうそう、絶対ふかしちゃいけないという呪縛」

サラ「クロアチアのGKは方向を確認してから動いていたわね」

私「ひとつ監督に言いたいことは、三苫はSBじゃなく、ヴィニシウスやロドリゴのようなエストレーモ(サイドアタッカー)として使うべきってこと」

グレチコ「サッカー協会は監督の続投をもくろんでいるようだけど」

私「私の意見としては、リカルド・ロドリゲスにJを率いてほしい。森保監督とは全く違う景色のJをみてみたいね。浦和を解任されたみたいで、ちょうどいいんじゃない」

グレチコ「浦和がフランクフルトに4:2で勝った試合はすごかったね。でも協会はロドリゲスのサッカーは好まないと思うよ」

サラ「日本人はサッカーはいかにして人をだますかという詐欺師のスポーツだということを理解していないのよ」

私「そうだね。パワー・スピード・根性 vs テクニック・コンビネーション・詐術
というのは アングロサクソン・ゲルマン vs ラテン という昔からのテーマではある。ところでサラ まだ眠っちゃいけないよ。あの弱いスペインを応援しなくちゃ」

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2022年12月 4日 (日)

第13回音楽大学オーケストラフェスティバル

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寒い日でしたが、土曜日に第13回音楽大学オーケストラフェスティバルにでかけてきました。全席1000円だし、練習時間はたっぷりあるので、ひょっとしたらプロオケよりいい音楽が聴けるのではないかという期待がありました。同じ考えの人が多いのか、池袋芸劇は結構盛況。3Fまで大勢詰めかけていました。

円光寺-武蔵野音楽大学はラフマニノフです。いやー固い。間違えないようにと恐る恐るやっている感じで音楽が流れません。ああこんなもんかなと思っていたのですが、第3楽章あたりからようやくエンジンがかかって、フィナーレは盛り上がりました。

終了してからステージの構造を全面的に作り替える作業に30分かかって、ようやく次の桐朋学園の番です。

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高関-桐朋学園は打って変わって、最初からまるでプロオケのような演奏。これはすごいわ。激しいテンポの揺れにもびくともしませんし、ニュアンスもたっぷり。弦の音の美しさもとびきりです。コントラバスのソロもいい感じ。でも一番はティンパニでした。学生なのにまるで老舗旅館の女将みたいにオーケストラを統率していました(Aの方)。お名前はわかりません。演奏するアクションが美しい。プロオケにはこういう映像でも聴衆を魅了できる奏者が必要です。あと個人的にはフルートの音にひきつけられました(Bの方)。都響は打楽器とフルートのメンバー足りないので是非💕。

それにしてもマエストロ高関の指導は素晴らしいですね。はっきり言ってこのマーラー交響曲第1番には、プロオケの演奏会より感動しました。私の前の席の人は狂ったように拍手してました。

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2022年12月 3日 (土)

続・生物学茶話196:円口類の視覚

私たち脊椎動物のルーツに非常に近い生物と思われるカンブリア紀のメタスプリッギナは、鰓弓を持ち、脊索は分離して骨になり、眼を持つ動物でした(1)。彼らはおそらく有顎脊椎動物の祖先とはエディアカラ紀に分岐したと考えられています(2、3)。なので彼らが生きていれば、脊椎動物の眼や視覚のルーツや進化について多くの情報が得られたのでしょうが、カンブリア紀に絶滅してしまいました。円口類が分岐する前には、他にコノドント、ピピスキウス、アナスピッドという生物群が分岐しましたが、現存するものはいません。つまり有顎脊椎動物と最も近い現存生物は円口類ということになります。したがって円口類の脳神経系やそれと接続する感覚器・運動器の研究は特別な意味を持っています。

肉眼で観察すると成体のヤツメウナギにははっきりと魚類のような眼があります。魚類と哺乳類の眼はレンズを収縮するメカニズムに違いがありますが、ほぼ同様な構造です(4)。ヤツメウナギの場合、大雑把な形態は図196-1のようなものです。角膜(透明化した皮膚)、レンズ、網膜、見る方向やピントを合わせるための筋肉が装備されています。一方ヌタウナギは角膜・レンズ・筋肉がない低機能の眼しか持っていません。ヤツメウナギは左右の眼だけでなく、第3の眼である松果体が機能していて、ここに2種類の光受容細胞があって、紫外部と可視部をそれぞれ受光しています。したがって色を識別することができます(5)。ヤツメウナギの眼にはヒトの光受容細胞の始原を思わせる桿体細胞と錐体細胞のような形態を持つ2種類の光受容細胞があります(6)。ヌタウナギが非常に低機能な眼しか持っていないのは、彼らが光があまり届かない海底に住んでいるからと思われますが、このことについてはあとで議論します。

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図196-1 円口類の眼

次に円口類の網膜に言及したいのですが、その前にヒトの網膜の構造について確認しておきたいと思います。ウィキペディアにきれいな図があったので、これに字を入れました(7、図196-2)。本来なら光が当たる側に光受容細胞があって、その裏側に神経細胞が分布しているのが理にかなっていて、実際軟体動物の網膜はそうなっていますが、なぜか脊椎動物の網膜は最初に光が当たる側に神経節細胞の軸索が配置されていて、一番奥に光受容細胞と色素上皮が配置されています。これは明らかに進化上の失敗です。

図196-2のようにヒトの網膜は光が最初に当たる位置から網膜神経節細胞と脳につながる軸索、内網状層、内核層、外網状層、外核層、視細胞外節層、色素上皮という構造になっていて、ここに2種類の光受容細胞(錐体細胞、桿体細胞)、4種類の神経細胞(網膜神経節細胞・アマクリン細胞・水平細胞・双極細胞)、そしてグリア細胞であるミュラー細胞が収蔵されています。

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図196-2 ヒトの網膜

有顎脊椎動物の網膜はほとんどの場合196-2図の様な構造ですが、円口類についてはブラッドショーとアリソンが比較図を公開してくれているので、図196-3に使わせていただきました(8)。図196-2とは上下逆になっているのでご注意ください。

ヤツメウナギの場合、幼体では網膜は未発達で領域は狭く、光受容細胞は1種類、神経細胞は2種類、そしてミュラー細胞しかありません。その他の細胞は変態と同時に分化してくるようです(8、図196-3C)。しかし成体の網膜は驚くべきことにほとんど私たちと同じ構造、同じ種類の細胞で構成されています。違う点は網膜神経節細胞の軸索が網膜の外側ではなく、内側を通って脳と接続している点で、フラッドショートとアリソンはこの領域を optic fibre layer としています(8、図196-3)。このことはこのような共通構造がすでにエディアカラ紀に完成されていたと言うことを示唆し、驚くほかありません(9)。有顎脊椎動物で神経節細胞軸索が露出しているのは、硝子体が進化して保護できるようになったからと思われます。

ヌタウナギの場合、ヒトやヤツメウナギのように各層の境界線がはっきりせず、光受容細胞は1種類しかなく、ミュラー細胞はみつかっていません。しかし4種類の神経細胞は存在するようです(8、図196-3)。あと重要なのは色素上皮層がないことです。これでは散乱光を吸収できないので、光の方向さえわかりません。要するに明るいか暗いかさえわかればいいという、非常に機能の低い眼となっています。眼が松果体の役割を果たすため、松果体はないようです。ヤツメウナギは松果体を持っています。

ヌタウナギ、ヤツメウナギ、有顎脊椎動物の網膜を比較してまとめた表を図196-4に示しました。ヤツメウナギと有顎脊椎動物の組織・細胞の有無が完全に同じであるのに対して、ヌタウナギにはいくつかの欠落が見られます。大石らによってヌタウナギとヤツメウナギの近縁性は証明されているので(9、10)、これはヌタウナギが視覚を重視しない生活環境に適応する過程で失ったと考えるのが妥当でしょう。

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図196-3 有顎脊椎動物と円口類の網膜を比較する(字が小さいのでクリック拡大してご覧ください)

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図196-4 網膜を構成する組織・細胞の比較

構造にかなりの相違がみられるにもかかわらず、網膜の発生に関連するホメオボックス遺伝子は、ヌタウナギ・ヤツメウナギ・有顎脊椎動物で差はみられません(8、図196-5)。これらの遺伝子はおそらくエディアカラ紀の共通祖先が用意したものが引き継がれていると思われます。一方bHLHのグループには差が見られます。この差が網膜構造の差違に関連しているのでしょう(8、図196-5)。

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図196-5 網膜の発生に関連する遺伝子の有無

ヌタウナギの眼はヤツメウナギと比べて非常に貧弱なので、この原因についてはいろいろ議論があります。図196-6Aの考え方は、ヌタウナギがより古いタイプの円口類だというものです。しかしこの考え方はサラ・ガボットらの研究によって旗色が悪くなりました。彼女らは古生代のヌタウナギ Myxinikela siroka の化石を調べ、その眼は現在のヌタウナギより高機能と思われる形態で、当時のヤツメウナギに遜色なくメラニン色素もちゃんと存在することを示しました(11、12)。このことは眼を退化させたグループが現在まで生き残ったことを意味します(図196-5B)。眼の退化は進化というスケールで見れば、極めて短い時間で実現することが洞窟生物などの研究でよく知られています(13)。

一方でヌタウナギの眼は幼形成熟(ネオテニー)による進化によって形成されたという考え方もあります(8、図196C)。ネオテニーという現象は決して珍しい現象ではなく、たとえば鳥類の頭部は恐竜のネオテニーによってできたものだというような説もあります。確かにヌタウナギは洞窟生物のように色素を全く失っているわけではありませんし、洞窟における眼の退化の時間スケールより遙かに長い間明暗を感じることができる眼を保持しています。まあそれは中途半端な暗さの中でずっと生きてきたからだと言えばそれまでですが、真相はまだ定かではありません。

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図196-6 脊索動物における眼の進化

ヌタウナギの生態についてはナショナルジオグラフィックのサイトに動画や解説があります(14)。興味のある方はのぞいてみてはいかがでしょうか。

 

参照

1)ウィキペディア:メタスプリッギナ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AE%E3%83%8A

2)渋めのダージリンはいかが 続・生物学茶話195:円口類の源流
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-1f4cf6.html

3)Tetsuto Miyashita, Michael I. Coates, Robert Farrar, Peter Larson, Phillip L. Manning, Roy A. Wogelius, Nicholas P. Edwards, Jennifer Anne, Uwe Bergmann, Richard Palmer, and Philip J. Currie, Hagfish from the Cretaceous Tethys Sea and areconciliation of the morphological?molecularconflict in early vertebrate phylogeny., Proc Natl Acad Sci USA vol.116, no.6, pp.2146-2151 (2019).
https://www.pnas.org/doi/suppl/10.1073/pnas.1814794116

4)髙橋恭一 魚眼の構造と機能 ――水晶体の役割を中心にして――
広島修道大学リポジトリ (2020)
https://shudo-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3062&item_no=1&page_id=13&block_id=62
file:///C:/Users/Owner/Downloads/KJ19001.pdf

5)Seiji Wada, Emi Kawano-Yamashita, Tomohiro Sugihara, Satoshi Tamotsu, Mitsumasa Koyanagi and Akihisa Terakita, Insights into the evolutionary origin of the pineal color discrimination mechanism from the river lamprey., BMC Biol vol.19, article no.188 (2021)., https://doi.org/10.1186/s12915-021-01121-1
https://bmcbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12915-021-01121-1

6)森慶二,外崎昭、ヤツメウナギの視細胞― 桿状体細胞と錐状体細胞の始まり 電子顕微鏡 Vol.31,No.1(1996) pp.40-44
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo1950/31/1/31_1_40/_pdf/-char/ja

7)ウィキペディア:網膜
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%B2%E8%86%9C

8)Sarah N. Bradshaw and W. Ted Allison, Hagfish to illuminate the developmental and evolutionary origins of the vertebrate retina., Front. Cell Dev. Biol.10: 822358 (2022). doi:10.3389/fcell.2022.822358
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35155434/

9)Oisi, Y., Ota, K., Kuraku, S. et al. Craniofacial development of hagfishes and the evolution of vertebrates. Nature vol.493, pp.175–180 (2013). https://doi.org/10.1038/nature11794
https://www.nature.com/articles/nature11794

10)大石康博、太田欣也、工樂樹洋、藤本聡子、倉谷滋 ヌタウナギの頭蓋顔面の発生と脊椎動物の進化
https://staff.aist.go.jp/t-fukatsu/CATNewsVol3NoS2.pdf

11)Sarah E. Gabbott, Philip C. J. Donoghue, Robert S. Sansom, Jakob Vinther
, Andrei Dolocan and Mark A. Purnell, Pigmented anatomy in Carboniferous cyclostomes and the evolution of the vertebrate eye., Proc. R. Soc. B., vol.283: issue 1836 (2016)
http://doi.org/10.1098/rspb.2016.1151
https://royalsocietypublishing.org/doi/epdf/10.1098/rspb.2016.1151

12)Answers in genesis: Elizabeth Mitchell Discovery of Hagfish Eyes Debunks Claim About Eye Evolution (2016)
https://answersingenesis.org/aquatic-animals/fish/discovery-hagfish-eyes-debunks-claim-about-eye-evolution/

13)Alex Keene and Johanna Kowalko, Repeated evolution of eye loss in Mexican cavefish: Evidence of similar developmental mechanisms in independently evolved
populations., This is the author manuscript accepted for publication and undergone full peer review but has not been through the copyediting, typesetting, pagination and proofreading process, which may lead to differences between this version and the Version of Record. doi: 10.1002/jez.b.22977.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/am-pdf/10.1002/jez.b.22977

14)ナショナルジオグラフィック:【動画】深海魚のヌタウナギ、驚異の7つの異能力
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/031600099/

 

 

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2022年12月 2日 (金)

ワールドカップ 日本代表ベスト16おめでとう

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JvsスペインのゲームにJが勝利しました。これは第一に森保監督の作戦勝ちでしょう。Jは批判を恐れず541の守備的なフォーメーションでスタートしました(テロップがそうなっていないのにはあきれましたが)。しかもワントップの前田がDFとブスケツのラインを切るという戦術です。普通1トップにこのような守備の重荷を課すというのは邪道ですが、ブスケツの年齢と後半の作戦も考慮してやらせたと思います。これでスペインはデフォルトのパスルートがなくなり困りました。

ただJも5バックは経験が少ないのでラインコントロールが難しく、よく頑張ったと思いますが、失点のシーンは少し下げすぎたかな。でも前半1点の失点で終わったのは想定内だったと思います。後半は例によって三笘・堂安の切り札をだして攻撃的なフォーメーションに転換し、2人の大活躍で2点とれました。リードしてからは前回のベルギー戦の敗退の教訓を生かして、徹底した守備に再び戦術変更し逃げ切りました。Jチームおめでとう。

バルサファンとしてはペドリ、ガビ、バルデはいつも通りのプレーができていて良かったと思います。ただブスケツは前田になすすべなく完封されるという失態で、ダメでした。もっと球をもらえるよう動かないといけませんが、もうプレーヤーとして晩年なのかなあとあらためてがっかりしました。スペインのチームはやはりストライカー日照りです。最後にアンスー・ファティが出ましたが、Jのガチ守備の前にいいところなしでした。まあ彼はガラスのエースなので無事で良かったです。スタメンで使わなかったエンリケ監督に感謝です。

Jの次の相手はモドリッチとコバチッチが率いるクロアチアですが、このチームは多分スペインより相当当たりの強いチームだと思います。でも5バックで戦う相手じゃないので、普通のガチンコ勝負でいくしかありませんね。頑張れJ。

 

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2022年12月 1日 (木)

また言い値でミサイルを買うのかい?

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敵基地攻撃能力などといっても、高速移動するトラックから撃つとか、トンネルの中から列車を出して撃ったら引っ込むとか、潜水艦から撃ってきたら、いったいどこをミサイルで反撃するのでしょうか? そうなると別に撃ってきた場所を攻撃することに意味がなくなるので、どこでも攻撃せざるを得なくなります。まさしく制限のない普通の戦争ですよ。いまは反撃能力に言い換えてるとか馬脚を現していますが。

北朝鮮も中国も核兵器をもっているわけですから、普通に戦争をやって勝てるわけがありません。米国が日本を守るために中国と核戦争をやると思いますか?? ですから常識で考えて、安全保障がどうしても必要なら、北朝鮮のように他国からの非難制裁を覚悟で核兵器とミサイルと原子力潜水艦の開発をやるしかありまん。安全保障が必要だと言っている人々も、それをやる覚悟はないんでしょう。ならばどうやっても安全保障などありません。私も国境を警備する程度の軍備は必要と思いますよ。でもそれは戦争のためであってはなりません。まあどうしても何かしたいというなら、朝鮮語と中国語を勉強しておくことです。私はそんな必要は全くないと思いますが。

要するにアメリカに言われて、言い値でミサイルを買わされるんでしょう。全く迷惑な話です。そんなお金、今の日本にあるわけないんですよ。

(写真はウィキペディアより)

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談合

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日本の保守派が守ろうとしている文化とは何なのでしょうか? それは天皇崇拝ではありません。実際晋三と皇室はうまくいっていませんでした(1)。彼らが本当に守りたいのは異論・反論・オブジェクションのない静かな社会なのだと思います。そのような社会を実現するために必要なのは2つです。ひとつめは根回し・談合によってすべてを決定すること、ふたつめはマスコミを規制することです。マスコミで御用評論家の意見ばかり聞かされていると、そりゃ強固なバイアスが形成されて静かになります。根回し・談合によってすでに決まっていることを会議で議論するわけですから、そりゃしゃんしゃんと議事が進行します。

オリンピックのような国家が主導する大事業でも、税金の配分はきっちり業者間の談合で取り分を決めるという違法行為が行われていたようで、司直によって捜査中です(2)。根回し・談合・賄賂は日本社会の隅々まで浸透しています。私が団地の管理に関わっていた頃もそれを痛感しました。例えば業者のリベートが季節の挨拶の範囲を超えているんじゃないかと私が発言すると、みんな黙ってしまうだけで、言いっぱなしでおしまいです。これが上から下まで日本社会の裏側です。本当は犯罪者を捕まえるかどうかの裁量も、政府は談合で決めたいようで、最近も二階元自民党幹事長が大勢の警察幹部を接待したというのが明るみに出ました(3)。

結局保守派が守ろうとしている文化からはみ出しているのは辛うじて検察だけということで、晋三はそこまで件の保守派文化に取り込もうとしたので制裁を受けたのだと思います(4)。

1)https://gendai.media/articles/-/50676

2)https://news.yahoo.co.jp/articles/333265e186f8822353b9ad36a56306f13ea5bb72

3)https://news.yahoo.co.jp/articles/55ed61d42cfc7debc2c5b091fd6853048614c4af

4)https://gekibuzz.com/archives/22076

(写真はウィキペディアより)

 

 

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