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2022年10月30日 (日)

サラの考察17: クッションを死守

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サラ「これ使っちゃダメだよ 私のだから」

私「えええ そんな。もっとふかふかのがあるだろう」

サラ「このさらさらした感じがいいの」

私「えええ もっと猫らしくコタツで丸くなれば! 風邪ひくよ」

サラ「私は私らしくでいいの」

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2022年10月28日 (金)

まだあと1ヶ月はベランダで過ごすサボテン

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このサボテンも2008年のブログに写っているのでかなり古株です。
http://morph.way-nifty.com/grey/2008/12/post-88f1.html

マミラリアという品種のようです。サボテンは小さいうちは水とか日当たりとか大変ですが、ある程度生長するとたまに水さえやって陽が当たる場所に置いておけば、放置で大丈夫な植物です。

ただこの株はいろいろあって主幹を切断することになってしまい、これは残った幹です。枯れてしまうかと思ったら意外に生命力が強くて、ボコボコと新しい幹が出てきています。これからどうなっていくのでしょうか?

サボテンは寒さには強い植物ですが、さすがに氷点下になるとまずいので、私は12月から2月は室内に入れることにしています。冬は動物で言えば冬眠したような状態になるので、水も2週間に1回くらいになります。ですからリビングのような暖かめの部屋はダメで、寝室の窓際あたりが冬越しには適していると思います。私は寝室の冷暖房はほぼしません。

 

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2022年10月26日 (水)

私のインスタントランチ ペペロンチーノ

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青の洞窟のペペロンチーノソースを使ったパスタ。鮭ほぐしとオーガニックベビーリーフをアソート。

香草とにんにくチップはソースに別袋で付いています。私は薄味好きなので少し塩辛く感じます。これならパスタ(バリラ1.7mm)は無塩で茹でるべきだったかも。

 

 

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2022年10月25日 (火)

都響-準・メルクル ムソルグスキー(ラヴェル編曲)「展覧会の絵」@東京文化会館2022/10/24

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11月の都響は初台にはりついてオペラのお仕事なので、このコンサートのあとはしばしのお別れです。薄ら寒いなか上野の東京文化会館にやってきました。今日の指揮者は準メルクル、コンマスはボス矢部、サイドはマキロンです。最近のボス矢部はステージで鎮痛剤を飲むようなこともなく、健康を取り戻して絶好調だそうです。都響の近況としては、最近デイヴィッド・メイソンというヴィオラ奏者が加入しました。彼は達人である上に演奏している姿が絵として素晴らしく、トロンボーンの髙瀨新太郎につぐすごい補強だと思います。オーケストラといえども、聴衆のテンションを上げるうえでビジュアルは意外に重要だと思います。

最初は細川さんの現音で渦という曲ですが、まあ軽井沢のはずれで秋の自然に触れるような音楽。自然にはメロディもリズムもないのでこういう感じかも。ただそれを実行するには旅費・宿泊費がかかるので、文化会館で体験できるのには意味があるかもしれません。自然の音はサラウンドなので、本当は客席が中央で周りで演奏するのがベストかもしれませんが、そういう意味ではテニスコートに客を入れて観客席でオケが演奏するのが良いのかもしれません。

プロコフィエフのVn協奏曲はなんと言ってもソリスト五明佳廉のヴァイオリンの音ですね。あまたのストラディバリウスのなかでもとびきり柔らかい夢のような響きです。この曲は若い頃の作品で、あまりとんがってなくてロマンチックなのがいいです。それでも過去の作曲家の作品とは全く似ていないと思います。こんなすごい楽器を手に入れた演奏家は、この楽器のための人生を送らざるを得なくなるのでしょうが、それはきっと幸福なことです。

休憩後の「展覧会の絵」はラヴェルの編曲が圧倒的に素晴らしい曲で、しかもメルクル都響の面目躍如で素晴らしい演奏でした。ただ今日の都響は、多分すべての管楽器にエキストラを入れていて、これで都響といえるのか?? という疑問がわいてきました。ひょっとすると他のオケとの合併を水面下で画策しているのでしょうか?

 

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2022年10月21日 (金)

続・生物学茶話192 カリウムチャネル

カリウムチャネルはナトリウムチャネルやカルシウムチャネルに比べて生物進化のなかで古くから存在すると言われています(1)。そしてその研究もイオンチャネルのなかでは最も早くから進み、ロデリック・マキノンは細菌のカリウムチャネルの構造をX線結晶解析によって1998年に解明し、2003年にはノーベル化学賞を受賞しました(2、図192-1)。

カリウムは皆様ご存じのように、周期律表をみればナトリウムよりひとまわり大きな原子なので、チャネルのイオンフィルターがカリウムを通過させてナトリウムを通過させないというのは謎でしたが、構造が解明されることによってその理論的な裏付けがとれました(3)。基本的にはカリウムはまわりのカルボニル基のマイナスイオンから均等な位置をとれますが、ナトリウムは片側に吸着されるという差があるようです。そういうわけでナトリウムはカリウムの1000分の1くらいしか通過しないとされていましたが、最近の研究によって80分の1くらいは通過することがわかりました(4)。

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図192-1 マキノンと電位依存性カリウムチャネルの立体構造

カリウムチャネルについては脳科学辞典にわりと詳しい解説があって、初心者もはいっていきやすくなっています(3)。大別するとこのチャネルの核心部を形成するαサブユニットには3つのタイプがあり、最もシンプルなものは2カ所の膜貫通部位とひとつのポア構成部位をもつ2TM(transmembrane)型で、このタイプは4つの分子が集合してイオン通過ポアを構築します(図192-2左)。ふたつめは4カ所の膜貫通部位を持ち、ふたつのポア構成部位をもつ4TM型で、この分子は2個でひとつのイオン通過部位を構築することができます(図192-2中央)。Two-pore domain potassium channel とも呼ばれています。ここで主に取り扱いたいのは最も一般的な図192-2右に示したタイプで、6つの膜貫通部位を持ち、ひとつのポア構成部位を持つ6TM型です。

6TM型はポアから離れた位置にあるN末側の4つの膜貫通部位が電位センサーとして機能し、C末側の2つの膜貫通部位がポア構成部位となります。4分子が集合してひとつのイオン通過ポアを構築します(図192-2右)。基本的には電依存性チャネルですが、一部の6TM型は電位依存性は持たないで、脱分極ではなくカルシウムによって活性化されるチャネルとして機能するものもあります(3)。哺乳類は2TM・4TM・6TMのすべてのタイプのカリウムチャネルを持っており、細菌の時代から生物進化の過程で構築されてきた分子型をすべて廃棄せず保有していることになります。しかもそれぞれのタイプにはさらに細かいバラエティーがあり、膨大な分子集団が多様な仕事をしていてまだ不明な点も多いようです(3)。

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図192-2 さまざまなタイプのカリウムチャネル

イオン通過ポアの開閉はダイナミックな分子構造の変化によって行われるようで、特にオープン時の細胞質部分にみられる分子が傘が開くように構造変化する様子には驚かされます(5-7、図192-3)。ただすべてのカリウムチャネルの開閉がこのように行われるとは限らないようで、チャネルの種類によってメカニズムは多様で、βサブユニットの関与もあるようです(3)。

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図192-3 カリウムチャネル開閉時の立体構造

図192-4はカリウムチャネルから派生した分子群の系統図で、これらのほとんどがヒトにも存在するということには驚かされます(6、7)。ナトリウムチャネルやカルシウムチャネルもカリウムチャネルから派生した分子群ですが、これらが神経伝達や筋収縮のキープロセスを担っていることはもちろんですが、この親戚筋にあたる図の緑系の分子群は精子のCatSperだけでなく、痛覚・味覚・温度感知・血圧・視覚などに関与する TRP(transient receptor potential channel) も含みます(8)。

赤・橙・ピンクで示されている分子群がいわゆるカリウムチャネルを構成しています。カリウムチャネルの最も一般的な役割は、電位依存性カリウムチャネルが担っている脱分極した細胞をカリウムイオンを放出することによってもとの静止電位にもどすことですが、Inwardly Rectifier K+ channels (または Inward-rectifier potassium channel)はカリウムを取り込む(回収する)役割を担っています。

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図192-4 カリウムチャネルファミリーの分子系統

電位依存性カリウムチャネルの種類・機能・分布について、脳科学辞典の記載のほかいくつかの文献を参考にリストアップしてみました(3、9-12、図192-5)。まだよくわかっていないことも多いようです。興奮性の制御とはカリウムを放出して脱分極した細胞を静止電位にもどすことですが、カリウムを出したままでは困るのでいずれ取り込まなければいけません。この作業は主に2TM型のKirという分子が担っているようです(図192-2、192-4)。

このほかにも Two-pore domain型やカルシウムによって活性化されるタイプなど、アイソフォームを含めると非常に多くの種類のカリウムチャネルがあり、詳しい研究が行われていないものも多いようです。

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図192-5 電位依存性カリウムチャネルのアイソフォームとその性質

最後にペンシルベニアのジグラらの興味深い仮説を紹介しておきましょう。カリウムチャネルはもともとショウジョウバエのシェイカー変異をもたらす遺伝子の産物として注目され、同じ6TMタイプであることから、植物のカリウムチャネルもプラントシェイカータイプと呼ばれていましたが、彼らは分子構造の詳細から見て植物のチャネルは動物のシェイカー型とは全く異なる出自であることを示しました(13)。

特に興味深いのは、彼らの図によると動物(メタゾア)は細菌由来と古細菌由来のチャネルを保有していますが、植物は細菌由来のものだけを保有していることになっています(図192-6)。これが真実であるとするならば、ウィルスによる遺伝子の水平伝播ということも考えられるでしょう(14)。

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図192-6 カリウムチャネルの進化

参照

1)Peter A.V. Anderson and Robert M.Greenberg, Phylogeny of ion channels: clues to structure and function., Comparative Biochemistry and Physiology Part B: Biochemistry and Molecular Biology vol.129, issue 1, pp.17-28 (2001)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1096495901003761?via%3Dihub

2)ウィキペディア:ロデリック・マキノン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%87%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AD%E3%83%8E%E3%83%B3

3)脳科学辞典:カリウムチャネル
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB

4)Kenichiro Mita, Takashi Sumikama, Masayuki Iwamoto, Yuka Matsuki, Kenji Shigemi, and Shigetoshi Oiki, Conductance selectivity of Na+ across the K+ channel via Na+ trapped in a tortuous trajectory., Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol.118, no.12, e2017168118 (2021)
https://doi.org/10.1073/pnas.2017168118
https://www.pnas.org/doi/epdf/10.1073/pnas.2017168118

5)Jiang, Y., Lee, A., Chen, J., Cadene, M., Chait, B.T., Mackinnon, R., Crystal Structure and mechanism of a calcium-gated potassium channel, Nature vol.417: pp.515-522 (2002) DOI: 10.1038/417515a
https://www.nature.com/articles/417515a

6)Educational portal of  PDB (PDB-101)
https://pdb101.rcsb.org/motm/38

7)Wikipedia: Potassium channel
https://en.wikipedia.org/wiki/Potassium_channel

8)Wikipedia: Transient receptor potential channel
https://en.wikipedia.org/wiki/Transient_receptor_potential_channel

9)澤田光平,日原裕恵,吉永貴志  電位依存性イオンチャネル探索研究における蛍光および電気生理学的高速スクリーニング(HTS)法
日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)126,321~327(2005)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/126/5/126_5_321/_pdf

10)Yuanzheng Gu, Dustin Servello, Zhi Han, Rupa R.Lalchandani, Jun B. Ding, Kun Huang, Chen Gu, Balanced Activity between Kv3 and Nav Channels Determines Fast-Spiking in Mammalian Central Neurons., iScience, vol.9, pp 120-137 (2018)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30390433/

11)H. Ying; D. J. Ramsey; H. Qian, The Potassium Channel kv12.1 Is an Interactor for the Go Subunit in Mammalian Retina.,
Investigative Ophthalmology & Visual Science., Vol.49, 1289 (2008)

12)Guo, J., Cell Surface Expression of Human Ether-a-go-go-Related Gene (hERG) Channels is Regulated by Caveolin-3 via the Ubiquitin Ligase Nedd4-2., The Journal of Biological Chemistry, 287(40), 33132-33141 (2012)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22879586/

13)Timothy Jegla, Gregory Busey, and Sarah M. Assmann, Evolution and Structural Characteristics of Plant Voltage-Gated K+ Channels., The Plant Cell, vol.30: pp.2898–2909 (2018)
http://www.plantcell.org/cgi/doi/10.1105/tpc.18.00523
file:///C:/Users/Owner/Desktop/192/Plant%20potassium%20channels.pdf

14)Gerhard Thiel, Anna Moroni, Guillaume Blanc, and James L. Van Etten, Potassium Ion Channels: Could They Have Evolved from Viruses? Plant Physiology, vol. 162, pp.1215–1224 (2013) http://www.plantphysiol.org/cgi/doi/10.1104/pp.113.219360
file:///C:/Users/Owner/Desktop/192/Kion%20channel%20Thiel.pdf

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2022年10月18日 (火)

サラの考察16: 冬に備えて

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これはサラが自主的にハウスに入居したのではなく、冬に備えて暖かいハウスになれてもらうために私が運んだのですが、サラは意外にもすぐには移動せず首だけだしてしばらくくつろいでいました。でもやっぱりここを住処とすることはなく、1時間くらい経つと出て行って私の座椅子に落ち着きました。人間が良かれと思って用意した場所をサラが気に入ることはほとんどありません。

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サラ「私は閉所恐怖症だけど、首が外に出ているとちょっぴり安心かも」

私「もうすぐ冬だけど、それじゃ困るよね。ミーナはよく布団にもぐっていたけれど、サラはどうするんだい」

サラ「こたつくらいの広さがあればギリ大丈夫なのよ」

私「じゃあそろそろコタツを出すとするかな」

植物の冬支度も必要です。ベランダの植物で一番寒さに弱いのはコーヒーで、もうそろそろ限界で取り込まなければいけません。うちに来て5年目ですが花は咲かず実もつけません。ガジュマルとサボテンは20年以上うちにいますが、彼らはあと1ヶ月くらいは外で大丈夫です。

家に取り込むには、ガジュマルは超重量級なので腰痛に注意しなければいけませんが、それよりも家の中に場所を確保するのが大変です。もうそろそろ限界かもしれません。もらってくださる方がおられたらコメントください(コメントしても内容が直ちに表示されることはありません。個人情報が含まれる場合表示はいたしません)。もちろん無料ですが、私の家までクルマでとりにきていただく必要があります。冬には陽が当たる室内に1.5mx1.5mくらいのスペースが必要です(12月~2月)。20年も経てば本来は大木になっているはずの木ですが、うちのは盆栽化しています。

写真:http://morph.way-nifty.com/grey/2019/10/post-847354.html

 

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2022年10月15日 (土)

木星大接近

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私は特に星に興味は無いので普通に夜空を見上げるだけなのですが、木星が非常に明るいので人に聞いてみたら、地球と木星が大接近しているそうで、なんと手持ちのコンデジで撮影できるほどです。次の大接近は12年後だそうで気がついて良かったと思います。

https://turupura.com/new/2022/2209_99.html

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木星はとても人が住めるような星ではないのですが、衛星が80個もあってそのなかにはエネルギ-と水さえ確保できれば住める場所があるかもしれません。この写真に写っている衛星はイオとエウロバだそうです(パブリックドメイン)。

そんな毒にも薬にもならないことを書いていたら、1ドル=148円というニュースが耳に入ってきました💥。

昨今非常に腹立たしいのはリフレ派に日銀が乗っ取られていることで、異常な円安になっても何もできない彼らは日本にとって害虫でしかありません。これは晋三の負の遺産の最たるものです。野口悠紀雄氏(一橋大学名誉教授)はこう言っています「円安によって自動的に輸出企業は儲かるため、企業は技術開発したり、新しいビジネスモデルを構築してこなかった。だから、日本経済の体力が衰えたのです。そして、足腰が立たない状態になった」そもそも金融緩和はすべきではなかった?「もちろんそうです。大企業や株式を所有している人にとってはプラスでも、国民の大半を占める働く者にとっては良くなかった。賃金が上がらず、物価だけが上がってしまっている。日銀は大企業の利益を重視し、働く者を無視してきました」

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/312110

リフレ派はとっくに学派ではなく、国家の中枢で政策を実行している責任者であり、失敗すれば当然責任をとるべきです。



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2022年10月13日 (木)

デジタル・ファシズム

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デジタル・ファシズム 堤未果著 NHK出版新書 2021年刊

マイナンバーカードと健康保険証・運転免許証・その他資産などの個人情報を統合しようとする試みが急ピッチで進行しています。これはまさしく堤未果が警告していたようなデジタルファシズムの暗雲が日本を覆い尽くそうとしているのでしょう。

この様な試みは中国のような全体主義国家だけでなく、米国でも1970年代から進められています。当時の米国は不況で貧困者が増え援助が必要な状況でしたが、富裕層からは福祉予算に対する反発が激しい状況でした。堤未果によると、それを解決するために編み出されたのが、援助受給者の個人データをデジタル化して整理するという試みでした。これは不正受給を防止するという錦の御旗があったので、徹底的に推進されました。

しかしその結果、社会保障番号-名前-住所-年齢-顔写真-家族-資産-病歴-勤務先-勤務先での評価、そしておそらく現在ではアマゾンでどんな本を買ったか、グーグルでどんな検索をしたか、フェイスブックやインスタでどんな人と付き合いがあるのかなどもデータベース化され、その人に関する家族や友人も知らないような個人情報が政府に集められるわけです。

こんな社会でいいのか という判断はまだかすかに主権者にあると思いますが、それも風前の灯火のような気がします。

《きっこ》さんの発言 ↓

自民党政権は「マイナカードは義務や強制ではない」と断言して導入したが、管理する政府に信用がないため加入が進まず、ポイントで釣っても未だ49%の加入率。すると今度は「2024年までに紙の国民健康保険証を廃止してマイナカードに一元化する」という事実上の義務化。これを世間では「詐欺」と言う。

 

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2022年10月11日 (火)

続・生物学茶話191: 電位依存性カルシウムチャネル

前回の続・生物学茶話190では電位依存性ナトリウムチャネルをとりあげましたが、そのなかでこのツールはもともと細菌では鞭毛形成に使われていたという説を紹介しました(1)。電位依存性カルシウムチャネルについても、私たちは筋収縮のトリガーとして、またはシナプス前細胞が化学伝達物質を放出するトリガーとして使っていますが、細菌は筋肉もシナプスもないにもかかわらずこの特殊なチャネルを保持しているわけです。細胞質イオン環境のホメオスタシス以外にもなんらかの役割があるのかもしれません。

鞭毛を動かすにはプロトンモーターやナトリウムモーターが知られていましたが、最近になってカルシウムやマグネシウムを使って鞭毛を駆動する細菌がみつかりました(2、3)。カルシウムチャネルはナトリウムチャネルと極めて近い関係にあり、わずかなアミノ酸配列の変化があるだけなのですが、それがどのような役割を持って細菌→古細菌→単細胞真核生物と引き継がれてきたかはまだまだ謎めいています。

単細胞の真核生物も筋肉や神経を持っていないわけですが、彼らも細菌と同様、電位依存性カルシウムチャネルを鞭毛運動に利用していました。昔からゾウリムシが障害物にぶつかると繊毛の打ち方を変えて後方に泳ぐことについて、脱分極とカルシウムの流入がかかわっていることが知られていましたが(4)、藤生(ふじう)らはクラミドモナスを用いて、電位依存性カルシウムチャネル Cav2 が鞭毛の打ち方を制御することを証明しました(5)。カルシウムチャネルは私たちの精子の活動にも、おそらく深く関わっていると思われます(6)。

原核生物の電位依存性カルシウムチャネルの系譜は下村らによって詳しく調査されています(7、8)。カルシウムチャネル(CavMr)はバチルス系のナトリウムチャネルと近縁な AnclNav と彼らが名付けたグループから派生したようです(図191-1)。下村らはAnclNav グループは,我々ヒトも含めた多細胞生物の Nav や Cav の先祖型の特徴を保持したチャネルである可能性が高いと考えています(8)。

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図191-1 細菌におけるナトリウムおよびカルシウムチャネルの分子系統樹(下村らによる)

CavMr は電位依存性ナトリウムチャネルとよく似た構造で、6つの膜貫通部位を持った分子4個で構成され、カルシウムチャネルの場合イオンを選択するフィルターを構成している部分のアミノ酸配列の4番目の位置にグリシンがあることがキーポイントのようです(7、図191-2)。

ヒトの Cav は4ドメインの1分子型ですが、図191-2のようにドメインIとドメインIIIは4番目がグリシンで、CavMr に似た配列がみられます(7、8)。

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図191-2 イオン選択フィルター部位のアミノ酸配列

図191-3は1ドメインx4型の電位依存性ナトリウム・カルシウムチャネルの進化的系譜を示しています(9)。この型の遺伝子が2回タンデムな重複を繰り返すことによって4ドメインx1型のチャネル分子が形成されたと考えられています(図191-3A)。

しかし生物全体を見渡すと、図191-3Bのようにメジャーなのは1ドメインx4型であり、植物を含む真核生物のさまざまなスーパーグループにまたがって原核生物の遺伝子が受け継がれていることがわかります(見にくいですがクリック拡大してご覧ください)。

哺乳類精子で鞭毛の動きを制御しているのもこの1ドメインx4型で(10)、この古い型のチャネルを私たちも捨てずに保存しています。おそらく重複した後、4ドメイン型とは別々に進化したのでしょう。古い型といっても細菌からひきついだものですから、長い年月の内にカチオンチャネル複合体という高度に組織化されたチャネルに進化していることが最近報告されました(11)。私たちは精子だけでこのチャネルを使っているようです。

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図191-3 1ドメイン4分子型カルシウムチャネルの分子系統樹

4ドメインx1型のカルシウムチャネルはオピストコンタに含まれる生物(菌類、襟鞭毛虫、メタゾア=動物)にみられます(11、図191-4)。S.pombe や S.cerevisae は酵母で、これらが持つのは Nav ですがメタゾアのカルシウムチャネルのルーツとみられています(12)。ですからメタゾアのカルシウムチャネルはカルシウムチャネルとして細菌から受け継いだわけではありません。

平板動物(Placozoa)や海綿動物 (Polifera) は神経系をもっていませんが、カルシウムチャネルは保持しています。特に平板動物は3つのタイプの分子種をすべて保持しています(12)。このことはもともと4ドメインx1型のカルシウムチャネルが神経伝達のために生まれてきた分子ではなく、刺胞動物 (Cnidaria) 以降の動物が流用したものと思われます。有櫛動物 (Ctenophora) は Cav2 タイプしか持っていませんが、これで神経系を運用しています(12)。

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図191-4 4ドメイン1分子型カルシウムチャネルの分子系統樹と神経システムの系譜

ここまで述べてきたカルシウムチャネル分子はα1サブユニットだけについてですが、実際のチャネルはイオンフィルターと電位を感知する部位を持つα1サブユニットだけでなく、その他の制御部位などを持つβ、γ、α2、δという別のサブユニットが加わった複合体であることが知られています(13、図191-5)。これらが加わることによって正しい電位のレベルによる反応や、カルシウムの効率よい通過が維持されます(13)。キャテラルはサブユニットが集合した際の3次元構造も示していたので、図191-5にお借りして示しておきます。

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図191-5 4ドメイン1分子型カルシウムチャネル複合体の全体像

ヒトのαサブユニットには10種類のアイソフォームが知られていて、それぞれ別の領域に分布して、さまざまな役割を果たしています。基本的には神経伝達物質の放出、筋収縮、遺伝子発現の変換などが主な役割です。一覧表が脳科学辞典に掲載されていたので、ここにも貼っておきます(14、図191-6)。

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図191-6 ヒト電位依存性カルシウムチャネルアルファサブユニットのアイソフォーム 分布と役割

DHP:ジヒドロピリジン(dihydropyridine)、PAA:フェニルアルキルアミン(phenylalkylamine)、BTZ:ベンゾチアゼピン(benzothiazepine)、オメガアガトキシン:クモ(Agelenopsis aperta)由来のP/Q型カルシウムチャネルのブロッカー、オメガコノトキシン:イモ貝由来のN型カルシウムチャネルのブロッカー、SNX-482:タランチュラ由来のR型カルシウムチャネルブロッカー。

参照

1)続・生物学茶話190: 電位依存性ナトリウムチャネル
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/09/post-b7024f.html

2)Riku Imazawa, Yuka Takahashi, Wataru Aoki, Motohiko Sano & Masahiro Ito, A novel type bacterial flagellar motor that can use divalent cations as a coupling ion., Scientific Reports volume 6, Article number: 19773 (2016)
https://www.nature.com/articles/srep19773

3)伊藤政博 世界初:2価陽イオンで駆動するべん毛モーターCa2+やMg2+でもべん毛は回転する Kagaku to Seibutsu vol.55(4): pp.240-241 (2017)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=766

4)Yutaka Naitoh and Roger Eckert, onic Mechanisms Controlling Behavioral Responses of Paramecium to Mechanical Stimulation., Science, Vol 164, Issue 3882
pp. 963-965 (1969) DOI: 10.1126/science.164.3882.963
https://www.science.org/doi/10.1126/science.164.3882.963

5)藤生健太 単細胞生物クラミドモナスの鞭毛カルシウムチャネルの分布と機能の分子基盤 生物物理 vol.49(6),pp.294-295(2009)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/49/6/49_6_294/_pdf

6)柴小菊 カルシウムシグナルを介した鞭毛・繊毛運動制御機構の解明
科学研究費補助金研究成果報告書 (2011)
https://core.ac.uk/download/pdf/56651494.pdf

7)Takushi Shimomura, Yoshiki Yonekawa, Hitoshi Nagura, Michihiro Tateyama,
Yoshinori Fujiyoshi, Katsumasa Irie, A native prokaryotic voltage-dependent
calcium channel with a novel selectivity filter sequence., eLife 2020;9:e52828. DOI: https://doi.org/10.7554/eLife.52828
https://elifesciences.org/articles/52828

8)下村拓史,入江克雅, 細菌の祖先型イオンチャネルから探る,普遍的なカルシウム
選択機構 生物物理 61(4),223-226(2021)
DOI: 10.2142/biophys.61.223

9) Katherine E. Helliwell, Abdul Chrachri, Julie A. Koester, Susan Wharam, Alison R. Taylor, Glen L. Wheeler, Colin Brownlee, A Novel Single-Domain Na+-Selective Voltage-Gated Channel in Photosynthetic Eukaryotes., Plant Physiology, Vol.184, Issue 4, pp.1674–1683 (2020)
https://doi.org/10.1104/pp.20.00889

10)Alejandro Vicente-Carrillo, Manuel Álvarez-Rodríguez, Heriberto Rodríguez-Martínez, The CatSper channel modulates boar sperm motility during capacitation., Reproductive Biology Vol.17, Issue 1, pp.69-78 (2017)
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201702257559599827

11)Lin, S., Ke, M., Zhang, Y., Yan, Z., Wu, J., Structure of a mammalian sperm cation channel complex., Nature vol.595: pp.746-750 (2021)
DOI: 10.1038/s41586-021-03742-6
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03742-6

12)Adriano Senatore, Hamad Raiss and Phuong Le, Physiology and Evolution of
Voltage-Gated Calcium Channels in Early Diverging Animal Phyla: Cnidaria, Placozoa, Porifera and Ctenophora., Front. Physiol. vol.7: article 481.(2016)
doi: 10.3389/fphys.2016.00481
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27867359/

13)William A. Catterall, Voltage-Gated Calcium Channels., Cold Spring Harb Perspect Biol 2011;3:a003947 doi: 10.1101/cshperspect.a003947
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3140680/

14)脳科学辞典:電位依存性カルシウムチャネル
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%9B%BB%E4%BD%8D%E4%BE%9D%E5%AD%98%E6%80%A7%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB

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2022年10月 8日 (土)

マダラシュ-都響 ドヴォルザーク交響曲第8番@サントリーホール2022/10/08

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なぜか都響プロムナードシリーズが9月23日からすぐに今日も連続してあって、またサントリーホールにでかけました。午後1時頃着いたので、まずは水内庵(みのちあん 蕎麦屋)で腹ごしらえです。隣に中国人の家族連れが座って大丈夫かなと思っていたら、店員が流ちょうな中国語で対応。そうかネイティブなんですね。

今日のマエストロはゲルゲイ・マダラシュというまだ30才台のピチピチとした若手。コンマスは四方さんでサイドはマキロンです。なんとフルート、オーボエ、クラリネットがエキストラのお偉い方々(N響・東響)で豪華絢爛です。前半のバルトークは、よくもまあこんな鬱滅とした音楽をしこしこと時間かけて作曲してたもんだというような曲ですが、ヴァイオリンは超絶技巧でシュパチェクが達人であることだけはわかりました。とはいえ全く私の体質には合わない曲で無駄な時間でした。私は暗い曲が嫌いというわけではないのですが、バルトークはダメですね。

後半は打って変わって、おなじみのドヴォルザークの交響曲で、マダラシュの繊細かつ濃いめの味付けに都響の反応も鋭敏で素晴らしい演奏を聴かせてもらいました。前回のマエストロ小泉の回に匹敵する快演で、どの楽章も大変楽しく聴かせてもらいました。マエストロ・マダラシュはこれから欧州でもトップクラスの指揮者になっていく人なのでしょう。錚々たるエキストラ陣はもちろん、四方さんをはじめとする都響メンバーも熱烈にマエストロの表現をサポートしていました。お客さんは6~7割くらいしか入っていませんでしたが、今日の演奏を聴けた人は超ラッキーだと思います(P席¥2,500✨)。

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2022年10月 7日 (金)

都響 2023楽期プログラム発表

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都響の2023年度楽期のプログラムが発表になりました。フライヤーと書いてありましたが、クラシック界でこの言葉を聞くのは初めての気がします。
https://www.tmso.or.jp/j/news/20105/

まず見て驚いたのは、音楽監督のプログラム紹介記事(メッセージ)が昨年と比べてすごくあっさりとしていたことです。疲労困憊で文章を書く気力がなくなったんですかねえ。山田・尾高・下野・大友の日本人指揮者陣のプログラムなんて言及ゼロです。アンナ・ヴィニツカヤやジュミ・カンもスルーされていました。こんなことなら国塩主幹が記事を書くべきだったと思います。

プログラムの内容を見て、交響曲で言えばブラームスはひとつもなし、ハイドン・モーツァルトはなし、「新世界より」・「運命」・交響曲じゃないですが「四季」やバッハはなし、コンサート形式の歌劇もなし、というちょっと変わったメニュー。指揮者におじいさんが多いのも特徴。あっと驚くフレッシュ感はほぼゼロですね。今楽期はマケラをはじめとして、少しはフレッシュ感がありましたが・・・。そうならないのは監督や主幹だけの責任じゃなくて、楽団に若手指揮者を受け入れる、あるいは育ててあげようとする度量がないのではないかという疑問があります。これはコンマスが解決しなければいけない課題です。指揮者の評価をするのはコンマスの仕事ではありません。

他のオケは若手指揮者をどんどん起用していますよ。例えば今期読響はエミリア・ホーヴィングやアンナ・ラキティナという若い女性指揮者を起用しました。日本人若手に有能な指揮者がいないわけではなく、沖澤まどか・太田弦・大井剛史・角田鋼亮など多士済々だと聞いています。田中祐子だってNHKでバッチリやりましたからね。春祭のアレクサンダー・ソディも素晴らしかったですし、以前にスカートで都響を指揮したアイスランドフィルのエヴァ・オリカイネンもほんとにいいですよ。三ツ橋敬子、高関健、現田茂夫も呼びませんね。以前はコバケンや佐渡裕も振りに来てたのですが、大植でしくじってから必要以上にナーバスになっている気がします。そんなに消極的では、華やかさに欠けてしまうことを避けられません。

まあそんな中でもブルックナーの交響曲第2番(小泉)とかマーラーの交響曲第10番(インバル)・第7番(大野)とかウェーベルンの夏風(アラン)は楽しみですし、アクセルロッドとレネスには一応期待しますが。神尾真由子のメンコンが私好みであまりに深く感動したので、金川真弓が同じ曲でどんな音楽を聴かせてくれるかも興味深いです。

 

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2022年10月 4日 (火)

2022ノーベル生理学医学賞

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ノーベル生理学医学賞を人類学者のスヴァンテ・ペーボ氏が受賞したというのは、多くの人が驚いたと思いますが、ウィキペディアなどで調べると、彼がプロスタグランディンの発見者でノーベル賞受賞者であるベリストロームの婚外子だと書いてあってさらにびっくりです。彼はデニソワ人を発見しました。またネアンデルタール人のゲノム配列を報告しました。いつも思うのですが、ノーベル物理学賞や化学賞があるのに、そして文学賞まであるのに、どうして生物学賞はないのでしょうか?

私もひとりの野次馬として私たちと違う人類には関心があるので、いくつか記事を書いています。

ネアンデルタール人と現代人
http://morph.way-nifty.com/grey/2006/12/post_7275.html

北京原人はいつごろ生きていたのか
http://morph.way-nifty.com/grey/2009/04/post-9268.html

ネアンデルタール人のゲノム
http://morph.way-nifty.com/grey/2010/05/post-1d7d.html

デニソワ人と私たち
http://morph.way-nifty.com/grey/2010/12/post-b671.html

やぶにらみ生物論33: 私たち以外の人類
http://morph.way-nifty.com/grey/2016/09/post-1b9f.html

コロナとネアンデルタール人
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/01/post-375ceb.html

(写真はウィキペディアより リンク

 

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2022年10月 2日 (日)

ロングライフハイビスカス

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今日も良い天気です。夏のような日差しですが、蝉の声は全く無くやっぱり秋ですね。
これはプチオレンジというロングライフハイビスカスで、気持ちよさそうに咲いています。
エアコンの室外機にカバーを掛けて封印し、半袖のシャツもすべて押し入れに収納しました。

今年の夏は長く、世話になったタオルケット2枚をようやくしまい、3シーズン用の布団を取り出して干しました。

ベランダから下を見ると、キジバトが地面を歩いていました。

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