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2022年7月30日 (土)

サラの考察11: 検査難民

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サラ「どうやら人間は新型コロナウィルスに完敗しそうだね」

私「残念ながら」

サラ「人間はもう少し頭がいいとおもったのだけど、どうしたのかな?」

私「腕組んで話すとは、お前も考察が板についてきたのかな。それはそうと、2日続けてPCR陰性だと4日目には出勤できるなんて制度にしたら、みんなPCR検査に殺到するのは目に見えているのに、政治家はそんなことにも気がつかないんだからね」

グレチコ「そう、これは政治家が勝手に決めたと思うね。厚労省の官僚や、医師のアドバイザリーボードに相談していれば、こんなことにはならなかっただろう。彼らはどのくらいの検査が可能かは知っているから」

サラ「もう打つ手はないのかな?」

グレチコ「ワクチンワクチンと馬鹿の一つ覚えだが、そろそろ危ないね。5回も射つと、だんだん体がスパイクタンパク質を異物と認識しなくなってくる人がでてきそうだ。なにしろmRNAなんだから、抗原の量はコントロールできていないというのが大問題。花粉症の場合などは花粉を認識しなくなれば万々歳なんだけど、ウィルスを認識できなくなるとイチコロになってしまう」

私「吉村知事の老人は出歩くなというのもおかしな話。最初の頃は老人のカラオケがクラスターになることもあったけど、今老人関係でクラスターになっているのは介護施設だからね。職員から感染させられているのが真相。あとは家で家族に移されるという経路が主流だね。吉村はそんなことは知っているにもかかわらず、何もやっていないという批判をかわすためにこんなことを思いついたに違いないね」

サラ「思いつきでやってしまってコケるというのは、猫でもレベル低いよ」

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2022年7月29日 (金)

アンドレ・ジョリヴェの音楽 シュテファン・シーリと彼のお友達による演奏

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アンドレ・ジョリヴェ(1905-1974) は生きている頃はフランス音楽界の重鎮であり日本でも有名で、多分演奏会でも取り上げられることが多かったと思われますが、現在は演奏機会が少なくなりました。

私は現音はたいてい理解できないのですが、ジョリヴェは私が理解できる数少ない作曲家のひとりです。シュテファン・シーリ氏はオーボエとコーラングレの演奏家ですが、今回ジョリヴェの作品を取り上げ、人を集めて室内楽のアルバムを作りました。コーラングレは私が一番好きな楽器でもあり聴いてみました。

「典礼組曲」(Suite liturgique pour voix, cor anglais prenantle haubois, violoncelle et harpe) はソプラノが歌う宗教音楽ですが、ジョリヴェの音楽の心地よさをたっぷりと体験できます。特にマニフィカートは美しい音楽です。

Suite liturgique: IV. Magnificat
https://www.youtube.com/watch?v=x6SalJdL1xM

小品ですが「オリノコ川の丸木舟を操る人の歌」もいいですね。ピアノが川の流れで、オーボエが船を操る人です。船を操るのは毎日のルーティンでもあり人生でもあります。途中で一休みしてまたこぎ出し、最後は静かに消えていきます。不完全な収録のうえに演奏が?ですがYouTubeにもありました。

Canto del Piraguero del Orinoco, Andre Jolivet
https://www.youtube.com/watch?v=ELe0ZD4bGXI
https://www.youtube.com/watch?v=Bb4LMjwc1lI

セレナーデなど他の収録曲も名曲ぞろいです

Serenade for oboe and piano. I. Cantilene
https://www.youtube.com/watch?v=X72xuaLSJKI

 

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2022年7月26日 (火)

続・生物学茶話184: 頭索動物の脊索

ヒトの脳はかなり特殊で、チンパンジーと比べても、進化のスケールで言えば極めて短い期間に激しく変化した(巨大化した)といえます(1)。そんな特殊化した脳への関心はもちろんありますが、その前に脊椎動物一般の中枢神経系の発生様式や特徴について考えておくのは王道でしょう。

まずヒト胎児の脳の模式図を見てみましょう(2、図184-1)。3~4週の胎児の場合脳は三つの膨らみからなり、前(rostral)から順に前脳胞・中脳胞・菱脳胞という名前がつけられています。5週には前脳胞から終脳胞と間脳胞が分化し、菱脳胞から後脳胞と髄脳胞が分化します。その後、終脳胞は大脳となり、間脳胞は眼と視床、後脳胞は脳橋と小脳、髄脳胞は延髄に分化します(図184-1)。

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図184-1 ヒト胎児の脳形成

次に脊椎動物のなかでも進化上基底的な位置にある魚類についてみてみましょう(3、図184-2)。図184-2で、T+D:前脳胞・MB:中脳胞・HB:菱脳胞と考えると、基本はヒトと変わらないように見えます。前脳胞が終脳胞と間脳胞に分かれていくのもヒトと同じです。ひとつ異なるのは、魚類では中脳胞が視覚情報を処理する部位として分化していくのに対して、ヒトなどの哺乳類は視覚情報処理は主に前脳胞から分化する大脳が行ない、中脳は中継点となっているという点です(4)。文献3の著者たちは終脳の背側を除いて脊椎動物の脳はよく似ていると述べています。終脳の背側は哺乳類が特別に進化させました(5)。

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図184-2 ゼブラフィッシュ脳の発育

生物の進化に関して、大野乾(おおのすすむ)は全ゲノム重複という全遺伝子の倍化によって進化が劇的に進行するという説を発表しました(6)。この学説はその後さまざまな生物で遺伝子構造が解明されるにつれて信憑性が高まり、現在では定説となりました(7-9)。図184-3のように、脊椎動物は硬骨魚類が生まれるまでに3回の遺伝子重複を経験したと考えられています。1回目(1R)で広義の魚類が生まれ、2回目(2R)で有顎魚類が生まれ、3回目(3R)で条鰭類が生まれました。フナや金魚は4回目の遺伝子重複を経験したともされています(10)。

このような遺伝子重複による進化から取り残されたグループとして、尾索動物と頭索動物があります(図184-3)。尾索動物は幼生期には脊索動物としての特徴を保っていますが、成体になると中枢神経系を発達させないとか、泳がないとか、本来の脊索動物としての特徴を消失し、全く別方向への進化へと舵を切りました。頭索動物(ナメクジウオ)は尾索動物に比べると保守的で、ピカイヤのようなカンブリア時代の頭索動物と大差ないような形態を保存していて、古い時代のゲノムがかなり保存されていると考えられます。

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図184-3 脊索動物が進化する過程で発生した3度の遺伝子重複

図184-4は科学雑誌の表紙になったナメクジウオの上半身です。ナメクジウオは普通のガラス水槽で飼っても生きているそうですが、砂を入れるとたちまち潜り込むそうで、通常は砂の中で生活していて餌(珪藻)を食べるときに上半身を出して口から餌を吸い込むようです。好きな種類の珪藻を選り好んで食べるようです(11)。

ナメクジウオはホヤのような固着生活をするのではなく泳げるのですが、それでもカンブリア紀のピカイアのように泳ぎながら採餌するわけではありません。ですからカンブリア紀の頭索動物のままのゲノムや生態が保存されているのではなく、砂の中に隠れるという術を獲得したことによって捕食を逃れ現代まで生き延びたグループの子孫です。

カンブリア紀にはすでに脊椎動物と思われるミロクンミンギア(ハイコウイクティス)が生きていたので、ナメクジウオがそのまま脊椎動物の祖先というわけではありません。ただミロクンミンギアもピカイアも絶滅した動物なので、魚類と頭索類の共通祖先に近く、遺伝子重複も経験していないナメクジウオは貴重な研究材料です。

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図184-4 科学雑誌の表紙に採用されたナメクジウオ

リンダ・ホランドらは FoxD という転写因子に注目しました(12-14)。この因子はナメクジウオでは脊索・前脳胞・体節中胚葉に発現します(図184-5)。普通遺伝子重複が起こると同じ遺伝子が複数になるので、過剰となった遺伝子はしばらくすると変異を重ねて無意味なシーケンスになると思われるのですが、この FoxD はなんと4つの重複遺伝子すべてが生き残り、しかも突然変異によってその数が増えて、脊椎動物では5種類になりました(図184-5)。そして脊索、前脳胞、体節中胚葉でそれぞれ別のパターンで発現し、さらにナメクジウオにはない神経堤で FoxD3 が発現しているという大変興味深い実験結果が得られています(12-14、図184-5)。

神経堤は頭蓋骨・眼・歯・心臓・色素細胞・神経細胞・シュワン細胞などを形成する細胞を製造するという発生途上に出現する大事な場所で、頭索動物には存在せず、脊椎動物に存在します。頭索動物と類似した祖先生物から脊椎動物が分岐する上でのエポックメーキングなキーといえます(14)。

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図184-5 脊椎動物と頭索動物におけるFoxD発現の比較

フェランらは脊椎動物では頭部に脊索がなく、頭索動物では逆に頭部より前まで脊索があることに着目し、脊索およびその延長線上で発現する分化誘導因子を調べました(15)。脊椎動物の場合、脊索が頭部まで伸びていない代わりにプレコーダルプレートがあり、さらにその前部にはプレコ-ダル細胞があります(図184-6)。これらの部分では脊索でつくられるブラキウリやNogは合成されませんが、FoxA2やShhは脊索同様につくられます。このプレコ-ダル領域に特異的に発現する Six3 という因子もあります(図184-6)。

そして驚くべきことに、この Six3 と同様な因子が頭索動物の脊索前端部でつくられているのです(Six3/Six6 図184-6)。ただし前端部でもブラキウリが合成されていたり、Shhが合成されていなかったりという脊椎動物との違いもあります。ひとつの臓器のようにみえる脊索が部域によって異なる働きをしていることを示唆する研究結果です(15)。

確かに頭索動物の神経策は頭部の膨らみが小さく、見た目脳の部分がないように見えますが、実際には脊椎動物の脳のプロトタイプが存在するということが認められるようになってきました(16)。

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図184-6 脊椎動物と頭索動物の脊索およびその関連組織における遺伝子発現の比較

ナメクジウオ(頭索動物)で脊索の前端部が頭部より前まで出ているということは、脊椎動物との共通祖先の時代にはより立派な脳があったのに、半固着生活をするようになってから脳が退化して小さくなってしまったからということは当然考えられますが、さてどうなのでしょう。

参照

1)京都大学広報資料 世界で初めてチンパンジー胎児の脳成長が明らかに:ヒトの脳の巨大化はすでに胎児期からスタート
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/archive/prev/news_data/h/h1/news6/2012/120925_1

2)Wikimedia commons: File:1302 Brain Vesicle DevN.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:1302_Brain_Vesicle_DevN.jpg

3)Martin Sebastijan Sestak and Tomislav Domazet-Loso, Phylostratigraphic Profiles in Zebrafish Uncover Chordate Origins of the Vertebrate Brain., Mol. Biol. Evol. vol.32(2): pp.299–312 (2014) doi:10.1093/molbev/msu319
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4298178/

4)脳科学辞典:中脳
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%AD%E8%84%B3

5)脳科学辞典:終脳
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%B5%82%E8%84%B3

6)Susumu Ohno “Evolution by Gene Duplication”Springer (1970)
https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-642-86659-3

7)P W Holland, J Garcia-Fernàndez, N A Williams, A Sidow, Gene duplications and the origins of vertebrate development., Dev Suppl.(1994) pp.125-133. PMID: 7579513.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7579513/

8)Oleg Simakov et al., Deeply conserved synteny resolves early events in vertebrate evolution., Nat Ecol Evol vol.4, pp.820–830 (2020). https://doi.org/10.1038/s41559-020-1156-z
https://www.nature.com/articles/s41559-020-1156-z

9)沖縄科学技術大学院大学 公開資料 古生代における種間交雑:脊椎動物における全ゲノム重複の真実が明らかに (2020)
https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/35053

10)Science Portal: キンギョの祖先は1400万年前に遺伝子が倍になり進化の原動力になった 阪大グループがゲノム解読 (2019)
https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20190628_01/

11)小林真吾・村上明男 ナメクジウオの長期飼育及び生体展示に関する技術報告
愛媛県総合科学博物館研究報告,No.11,pp.77-84(2006)
file:///C:/Users/Owner/Downloads/kagaku12.pdf

12)Yu JK, Holland ND, Holland LZ. 2002 An amphioxus
winged helix/forkhead gene, AmphiFoxD: insights
into vertebrate neural crest evolution. Dev. Dyn.
225, 289–297. (doi:10.1002/dvdy.10173)

13)Yu JK, Holland ND, Holland LZ. 2004 Tissue-specific
expression of FoxD reporter constructs in amphioxus
embryos. Dev. Biol. 274, 452 –461. (doi:10.1016/j.
ydbio.2004.07.010)

14)Linda Z. Holland, The origin and evolution of chordate nervous systems., Phil.Trans.R.Soc.B370:20150048. (2015)
http://dx.doi.org/10.1098/rstb.2015.0048

15)José Luis Ferran, Manuel Irimia, Luis Puelles, Is There a Prechordal Region and an Acroterminal Domain in Amphioxus ? Brain Behav Evol vol.96: pp.334–352 (2021) DOI: 10.1159/000521966
https://www.karger.com/Article/FullText/521966

16) Beatriz Albuixech-Crespo, Laura López-Blanch,Demian Burguera et al., Molecular regionalization of the developing amphioxus neural tube challengesmajor partitions of the vertebrate brain.  PLoS Biol. vol.15(4): e2001573. (2017) http: //dx.doi.org/10.1371/journal.pbio.2001573
https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.2001573

 

 

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2022年7月24日 (日)

アラン・ギルバート-都響 モーツァルト3大交響曲@池袋芸術劇場2022/07/24

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炎天下ですが意外に風が熱くないので、すぐに汗だくにはならないのが助かります。サラは置いてけぼりですが、エアコンつけっぱなしにしておいたので、まあ大丈夫でしょう。

東京はコロナ爆発など誰も気にしてない感じで、池袋の地下道も人でいっぱいです。芸術劇場も1Fはほぼ満席。私がいた2Fはまあまあの入りでした。私は電車や雑踏では、100円の水ボトルを買ってときどき喉のウィルスを水で胃に流し込むという防疫法をやっています。

今日はモーツァルトということで、都響としては珍しい小さな編成でステージが広く見えます。しかもVn1&2が対向配置で指揮台もありません。アランは指揮棒も持たず、指揮者と言うより、むしろパントマイムをやっている感じです。本日のコンマスはボス矢部、サイドは四方さんです。

都響は爽やかで品がよい音を出すのは苦手で、それをやろうとするとわざとらしい感じになります。なので39番は何かいまいちの感じでしたが、40番になると一気に本領発揮で、この曲が持っている雰囲気をうまく表現できていたと思います。聴いていてすっかり引き込まれました。41番は指揮者のやりたいことがズバズバ決まっている感じで、これもなかなか楽しめました。ただティンパニの真紅のマレットは気になりましたね。

帰宅すると、サラがエアコンつけてない部屋から出てきました。やれやれ。

 

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2022年7月22日 (金)

都響のラジオ体操第一

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ラジオ体操第1 都響の演奏
https://www.youtube.com/watch?v=az_109-rMAo

<図解>ラジオ体操第一・立位
https://www.jp-life.japanpost.jp/radio/instruction/radio_first.html

指揮者 和田一樹 この人だけが笑いをこらえてやっていますが、オケメンは皆さんいたってまじめ。素晴らしい音楽です。柳原氏・鷹栖氏・南方氏らはちゃんと指揮者を見ながら演奏しているのがすごい。こんなところでも性格は出ます。ちなみに古川氏はよそ見しながら弾いているように見えます。長氏はイケメンらしく、チラッとカメラ目線になるときがあります。ラジオ体操する人も指揮者に合わせてやりたいのですが、映っているのは演奏者なんだよね。

 

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2022年7月21日 (木)

My favorites 10: セミヨン・ビチュコフのボックス

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どんな指揮者が優れた指揮者かというのはいろいろ議論があるところだと思いますが、実演ではやはりオケメンをやる気にさせる能力でしょう。レコーディングではあまり指揮者の恣意を感じさせずに、曲に浸れる自然な流れをつくることができる人を好ましく思います

セミヨン・ビチュコフ(ビシュコフ、ビチョコフなどとも)はまさしくそういう能力を持った指揮者で、かつ細部にまで血液が生き生きと脈動している演奏で安心して聴けます。このボックスセットは2016年に出版されたものですが、そろそろ商品の数が減って買いにくくなりつつあるようです。ブラームスやベートーヴェンの交響曲ははいっていなくて、写真のようなロシアとフランスの代表的な交響曲や管弦楽曲を中心に、パリ管弦楽団やベルリンフィルなどと収録しています。

奥様がマリエル・ラベックというラベック姉妹で活動するピアニストなので、ピアノ2台とオーケストラのためのめったに演奏されない作品が4曲も収録されています。契約の関係か彼が長く指揮者を務めたケルンWDR交響楽団との演奏は収録されていません。WDRと制作したボックスセットはオペラを中心とした特殊なものです。ただYouTubeには多くの映像付きの演奏が残されています。

彼は現在はチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務めていますが、そちらはそろそろ若手のチェコ人にまかせて、最後は都響に来てくれないかなあ・・・とかすかな期待を抱いています。

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調
https://www.youtube.com/watch?v=YWwssdM6BVY

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2022年7月16日 (土)

続・生物学茶話183: 脊索の出自と役割り

私たち人類は分類学上は脊索動物門というグループに所属していて、頭索動物(ナメクジウオ)・尾索動物(ホヤ)・脊椎動物(魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類など)という亜門がその下に置かれています。人類はもちろん脊椎動物亜門に所属しています。脊索動物は形態学的には、一生あるいは発生のある時期に脊索(ノトコード)を持つことが特徴とされています。しかし近年この構造はウルバイラテリア(始原的左右相称動物)の時代から存在し、それが形を変えて様々な左右相称動物に残っているという見方も有力になりつつあります(1、2)。

脊索についての研究はそこそこ多いのですが、その発生のプロセスについては意外に研究が少ないのは不思議です。ジュランは光学顕微鏡を用いたマウス胚の形態観察によって、将来脊索に分化する細胞群がまず胎生8日目に腹側の内胚葉上皮に現れ、これが10.5日目に体内に陥入して脊索を構成することを1974年に報告しましたが(3)、これが最初の報告のようです。20年後にスリクらはSEMを用いた詳細な研究によって、ほぼジュランの記載が正しいことを再確認しました(4)。

脊索の原基(中胚葉と言われていた)がまず内胚葉または内胚葉上皮と接続した組織として出現するというのは、ちょっとした驚きだったでしょう。この原基を構成する細胞は元はといえばノード(ヘンゼン結節)に由来します。つまり背側から腹側まで移動し、いったん間葉→上皮転換をおこなって内胚葉上皮の一部となった後に、また背側方向に落ち込んでチューブ状の脊索を形成するというわけです(3-5、図183-1)

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図183-1 脊索は内胚葉上皮から形成される

脊索はもともとは左右相称動物が歩行とか遊泳を行うために、左右の筋肉の内端を脊索とくっつけて左右交互に収縮させる目的で存在していた構造だと思われますが(1)、脊椎動物では胚期に前後軸を作って形態形成の座標にすることや、さまざまな臓器の発生分化を調節するためのシグナリングハブとなることを目的としているようです。大人になると椎間板の一部となるため、連続した構造は失われます。

脊索がその本来の役割を果たすためには、体の前後軸の正中に存在しなければいけません。原条は正中位置にありますが、この場所では細胞の動きが激しく、少し離れた位置に居なければまきこまれて体内に陥入してしまいます。それ以外で正中にある構造は消化管だけでしょう。実際脊索原基になるはずの細胞はもともと中胚葉細胞とされていますが、中胚葉で分散して存在していると脊索はできません。脊索の原基を構成する細胞が正中のマーカーとなる消化管に集まるのは必然です。ただこのとき完全な間葉→上皮転換を行って腸管上皮と区別できない組織になるはずはありません。なぜならいずれ消化管の上皮から独立して脊索を形成しなければならないからです。前回「3胚葉説の崩壊」というタイトルで記事を書きましたが、脊索はまさしく独自の運命をたどる例といえるでしょう。

脊索が中枢神経系を誘導することはよく知られていますが、実はこの原稿を書くために調べているうちに、脊索が膵臓を誘導することを知ってびっくりしました。25年くらい前の論文ですが、報告したのはハーバード大学のキムらです(6)。図183-2はその概要で、この図はクリーバーとクリーグの総説(7)の図をもとに作成しました。実際ヒトの場合も先天性背側膵欠損症という病気があるそうです(8、9)。最近この脊索の分化誘導因子がBmpアンタゴニストのひとつnog2だと報告されました(10)。アモリムらによると、側板中胚葉からのBmpの情報を脊索から分泌されたnog2が遮断することによって膵臓が分化するとのことです(10)。

脊索はこのほか内胚葉から形成される様々な臓器、すなわち肺・肝臓・小腸などの発生分化にもかかわっているそうで(7)、これは発生生物学研究のエアーポケットのような領域だと思いました。

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図183-2 脊索は膵臓原基を誘導する

脊索による内胚葉性臓器の誘導についてはまだまだ研究は緒に就いたばかりの段階ですが、神経索(Neural tube)の誘導は昔から研究されていて、このブログでも以前に取り上げたことがあります(11)。簡単にまとめれば、Shh(Sonic hedgehog)、Noggin、Chordal、Nosal などのノトコードおよびフロアプレートの因子が、そのままだとBmpの影響で表皮になるはずの外胚葉組織を神経組織に誘導するという話ですが、最近ではさらに詳細な解析が行われ、フロアプレートの主要な因子は Shh とされています(12)。一方ルーフプレート側はBmp、Wnt系の複数因子を使っているようです(12)。

これらの因子の働きにより、神経管の中央部の幹細胞が増殖・分化して、誘導因子の濃度や種類に応じて、背側では少なくとも6種類の細胞群が形成され、それぞれ様々な感覚に対応した感覚神経系や介在神経を構成します(12、図183-3)。一方腹側では運動神経系をつくる細胞群(MN)のほか、4つの調節・介在神経系をつくる細胞群(V0~V3)が形成されます(図183-3)。これらの細胞群が形成されるにはルーフプレート・フロアプレート・脊索由来の因子のほかに、側板中胚葉から放出されるレチノイン酸のアシストも必要なようです(12)。

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図183-3 神経索内部の分化

図183-3はアンドリュースらの文献に従ってやや単純化されたメカニズムを表示しましたが、神経管の増殖と分化には上記の Noggin、Chordal、Nosalの関与(11)のほか、FGF系の因子が重要な役割を果たしているという報告もあります(13)。

参照

1)続・生物学茶話165:脊索の起源をめぐって
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/11/post-ce318d.html

2)Giovanni Annona, Nicholas D. Holland and Salvatore D'Aniello, Evolution of the notochord., EvoDevo vol.6, 30 (2015) DOI 10.1186/s13227-015-0025-3

3)Jurand A. Some aspects of the development of the notochord in mouse embryos. J.Embryol.Exp.Morphol., vol.32, pp.1-33 (1974)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4141719/

4)Sulik K, Dehart DB, Iangaki T, Carson JL, Vrablic T, Gesteland K, Schoenwolf GC. Morphogenesis of the murine node and notochordal plate. Dev. Dyn., vol.201, pp.260–278 (1994) DOI: 10.1002/aja.1002010309
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7881129/

5)Sophie Balmer, Sonja Nowotschin, and Anna-Katerina Hadjantonakis, Notochord Morphogenesis in Mice: Current Understanding & Open Questions., Dev Dyn., vol.245(5): pp.547-557. (2016) doi:10.1002/dvdy.24392

6)Kim, S. K., Hebrok, M., and Melton, D. A., Notochord to endoderm signaling is required for pancreas development. Development vol.124, pp.4243– 4252 (1997)
https://www.semanticscholar.org/paper/Notochord-to-endoderm-signaling-is-required-for-Kim-Hebrok/7539affdf5a1e5126a35e487eef607e191ba4981

7)Ondine Cleaver and Paul A Krieg, Notochord Patterning of the Endoderm., Developmental Biology vol.234, pp.1–12 (2001) doi:10.1006/dbio.2001.021
file:///C:/Users/Owner/Desktop/Notochord%20in%20the%20endoderm.pdf

8)沖裕昌 et al., 先天性背側膵欠損症に合併した膵癌の1例 日本消化器病学会雑誌 第110巻 第6号 (2013)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/110/6/110_1044/_pdf

9)コトバンク 膵奇形
https://kotobank.jp/word/%E8%86%B5%E5%A5%87%E5%BD%A2-2098627

10)Jo~ao Pedro Amorim et al., A Conserved Notochord Enhancer Controls
Pancreas Development in Vertebrates., Cell Reports vol.32, 107862, (2020)
https://doi.org/10.1016/j.celrep.2020.107862
https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S2211124720308433?token=351AC88E11645BF6098F95CBEC13F4B94ED924A346F3C1DB3F558C1DF99057E7AD9E412D847D6FA3D67CBE13967C4BC1&originRegion=us-east-1&originCreation=20220712072246

11)続・生物学茶話164:脊索(ノトコード)
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/11/post-c842c4.html

12)Madeline G. Andrews, Jennifer Kong, Bennett G. Novitch, Samantha J. Butler, New perspectives on the mechanisms establishing the dorsal­
ventral axis of the spinal cord., Curr Top Dev Biol., vol.132: pp.417–450. (2019) doi:10.1016/bs.ctdb.2018.12.010
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30797516/

13)Ruth Diez del Corral and Aixa V. Morales, The Multiple Roles of FGF Signaling in the Developing Spinal Cord., Front. Cell Dev. Biol. vol.5, 58. (2017) doi: 10.3389/fcell.2017.00058
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcell2017.00058/full

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2022年7月15日 (金)

サラの考察10: 願い事メーカー2022

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私「これはまたサラらしい願い事だね」

サラ「そう?」

私「誰のこと?」

サラ「当ててみれば」

私「まさかあの国葬されようとしている人のこと?」

サラ「ふふ」

願い事メーカー2022
https://irotsuku.com/a/bwxyust8

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2022年7月12日 (火)

これはまずい コロナ再爆発か!?

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陽性率79.8%ということは、風邪の症状が出たらまずコロナってことですね。今年の夏もまた墓参りに行けそうもありません。

 

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2022年7月 9日 (土)

高関-東京シティフィル ブラームス交響曲第3番@ティアラ江東2022/07/09

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少し暑さが和らいだ感じの土曜日です。今日は猿江のティアラ江東のマチネにでかけました。住吉駅で降りてA4の出口から道路の向こう側に珈琲館が見えたのではいりました。中はまるで昭和の喫茶店で懐かしい感じです。ホットケーキ(パンケーキ)とか缶詰のチェリーがはいったレモンスカッシュとかがメニューにあります。何よりウェイトレスが注文取りに来るのがいいですね。

ティアラ江東は大盛況で空席はほぼありません。才色兼備の竹山さんのフルートは上品で軽やか。やっぱりフルートはこうじゃなくちゃね。オケはちょっとその品の良さについていけてない感じでしたが、大変楽しめるモーツァルトでした。

メインのブラームスはゆったりとしたテンポで、にもかかわらずのりはいいという演奏。特にヴィオラのパートに今まで感じたことがないような心情のゆらぎを感じさせられて、これは素晴らしいと思いました、マエストロ高関がこの曲「ブラームス交響曲第3番」をとても深く愛しておられることがひしひしと感じられました。オケも真摯にタクトに反応して全力で演奏していると思います。このコンビはきっとこれからも、次々と名演奏を紡ぎ出していくことと思います。

ひとつ注文をつけるならば、やはり管楽器は20cmくらいでも高い位置で演奏してほしいですね。弦楽器奏者に隠れているようなフラットな状態だと、音響的にも好ましくないと思います。このホールはかなり傾斜はあって、私は最後列でかなり高い位置で聴いたのですが、それでも違和感がありました。

 

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2022年7月 8日 (金)

サラの考察9: ウクライナ

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私「もうすぐ参議院選挙だね」

サラ「私には関係ないけどね。政治家というのは所詮犬族なのよね。犬族じゃないと政治家を職業にしようなんて思いつくはずもないから」

私「たしかに同胞愛をセールスポイントにしている人は受け入れられやすい、ということはあるね」

サラ「だから私たち猫族はなんとか自分の居場所をみつけて、犬族から隠れて生きていくしかないのよ」

私「プーチンもゼレンスキーも典型的な犬族のようだね」

グレチコ「今回のロシアによるウクライナの侵攻も、その背景はウクライナ政府が義務教育でのロシア語の使用を禁止したことにありそうだね」

私「ドンバスやルガンスクというロシア語を話す住民が多数いるところでロシア語が迫害されるというのは、住民にとっては耐えがたいことだっただろうね」

グレチコ「スターリンの時代にはウクライナ語を禁止していたこともあるので、ウクライナ語派とロシア語派の対立は根深いものがある。クリミア半島はよく軍事拠点として重要だからロシアが占領したと言われているが、実はソ連時代からここはロシアの領土で、なぜかフルシチョフがウクライナに気前よくプレゼントしたという歴史があるんだよ。だからここはロシア語の話者が非常に多い地域であることは知っておく必要があるね。」

ウクライナ政府 義務教育でのロシア語使用を2020年に完全廃止
こちら1

ウクライナ、ロシア語広告禁止 影響力排除狙いか
こちら2

今トロツキーの自伝(トロツキー「わが生涯」岩波文庫)を読んでいます。19世紀末のウクライナの農村の生活が大変詳しく書かれています。その頃からウクライナは小麦・大麦・燕麦などを輸出する世界の穀倉だったようです。

トロツキーはレーニンとともにロシアの10月革命を成し遂げた人物ですが、実はウクライナのど真ん中で生まれ育ったウクライナ人です。彼は人種的にはユダヤ系で父親はユダヤ人居留地に住んでいたそうですが、努力してお金を貯めてロシア人からエリザベートグラード(現キロヴォフラード)近郊の土地を買い、農業経営者として成功しました。そんな父親ですがユダヤ語(イディッシュ)は苦手で、ウクライナ語とロシア語のちゃんぽんで会話していたそうです。トロツキーも小学校はユダヤ系の学校にいれられたのですが、イディッシュがわからずやめています。私の印象ですが、彼は猫族だったように感じます。だからというわけじゃないでしょうが、最後は亡命先のメキシコでスターリンのエージェントに暗殺されました。

どうも言語の違いと人種差別というのは「人間 Homo sapiens という種」のアキレス腱のように思います。この問題を解決しないと、いくら軍拡競争をやっても平和はもたらされません。

写真は私と二人で猫会議中のサラ。

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2022年7月 5日 (火)

続・生物学茶話182: 3胚葉説の崩壊

本題に入る前に2つの因子についての知識が必要です。まずブラキウリ(Brachyury)ですが、これは様々な臓器・器官の発生に関与するTボックスファミリーに属する転写因子の一つで、ウィキペディアによると、これまで調べられたすべての左右相称動物でみつかっているそうです(1、2)。この因子は中胚葉形成に必要であることから、特に脊索動物の gastrulation における中胚葉細胞のマーカーとして用いられます(2)。もうひとつのSOX2はSRYボックス転写因子のひとつで、胚性幹細胞(ES細胞)や胎盤幹細胞(TS細胞)の維持に必須であることが知られていますが、脊索動物の発生の過程で神経前駆細胞のマーカーとしても使われます(3、4)。

これらのマーカーを用いて、ギヨーらはニワトリ胚原条形成期における中胚葉形成細胞と神経幹細胞の追跡を行いました(5、6、図182-1)。ギヨーは最近独立して自分の研究室を動かしているようですが、ウェブサイトの表紙デザインが私のお気に入りです(図182-1)。しかも彼女の研究室のサイトには自分と子供たちの家族写真まで貼ってあります(7)。

まず神経幹細胞のマーカーであるSOX2の発現ですが、原条ができた頃(4HH、18hr)にはエピブラストの前方領域の一部にしかみられなかったのですが、5HHになると胚の前半部全域に広がり、ヘンゼン結節より後部ではダラ下がりとなります(図182-1a)。一方T(ブラキウリ)はヘンゼン結節周辺からはじまって後方にかけて漸増していくような発現パターンになります(図182-1b)。

ここで注目すべきは、ヘンゼン結節周辺から原条の最前部周辺に両マーカーのダブルポジティブな細胞(図182-1で黄色の細胞 一番右側の図ではっきりと見える)がみられることです。これはすでにその存在が指摘されていた Neuro-Mesodermal Progenitors かもしれません(8、9)。

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図182-1 SOX2/Tダブルポジティブな細胞

次にこれらダブルポジティブな細胞がどのような運命をたどるかを検証する必要がありますが、この種の研究を進めるために好適なマーカーがあります。それはレトロウィルスの増殖に必要な部分を削除し、GFPの発現に必要なパートと抗生物質抵抗性を発現するパートを組み込んだベクターです(図182-2)。最近の進歩は、これにさらにバーコードシーケンスと呼ばれるひとつひとつのベクターに特異的な配列を組み込んだ製品です。これを使えば、GFPを発現した細胞の遺伝子をPCRで増幅し、細胞をクローンごとに識別することが可能です(10、11、図182-2)。

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図182-2 バーコードシーケンスを含むGFP発現ベクター

ギヨーらはステージ5HHでこのレトロウィルスベクターを原条前部周辺の細胞に感染させ、36時間後に神経管と側板中胚葉の細胞をひとつづつ分離してバーコード分析を行いました。このとき第27体節より前と後に分けて分析しました。図182-3は調査した7つのクローンについての結果をテーブルにまとめたものです。この結果4つのクローンが同じバーコードを持つ神経管細胞と中胚葉細胞を含んでいました。これは神経管・中胚葉の両者に実際分化する幹細胞が存在することを示しています。

特に興味深いのはクローン2で、このクローンをつくった幹細胞は囊胚期には分化増殖しないで後部に移動し、そのあと分化増殖して後部のみの神経管と中胚葉の一部を構成したことを示しています。彼女らはレトロウィルスベクターだけでなく、ブレインボウ法(12)でも同様な結果を得て、バイポテントな幹細胞が存在することを確認しています(5、6)。

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図182-3 SOX2/Tダブルポジティブ幹細胞の分化

Neuro-Mesodermal Progenitors を様々な方法で追跡していくと、原条(Primitive streak)の縮退に伴って体の後方に移動し、最終的には最後方の尾芽(Tail bud)まで移動することがわかりました(5、6、図182-4)。移動しても神経管と中胚葉を形成する能力は失われず、この場所で体の伸長に伴う脊髄や筋肉などのプロバイダーとして活動します。Neuro-Mesodermal Progenitors は Primitive streak の近傍の細胞であるにもかかわらず溝に落ち込みにくく、その多くが表層で増殖(自己複製を含む)しながら Primitive streak の縮退とともに後部に移動していくというイメージのようです(5、6)。

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図182-4 Neuro-Mesodermal Progenitors の移動

ここでは簡単に紹介しましたが、ギヨーらは様々な方法を用いて Neuro-Mesodermal Progenitors の存在とその運命を検証・追跡することに成功しています。これによってツザナクーらが穴を開けた3胚葉説の壁の破壊を、さらにパワフルに進展させました。この考え方が鳥類以外の脊索動物でも正しいと証明できるかどうか興味深いところです。

 

参照

1)HandWiki: Biology: Brachyury
https://handwiki.org/wiki/Biology:Brachyury

2)Sylvain Marcellini, Ulrich Technau, J.C.Smith, Patrick Lemaire, Evolution of Brachyury proteins: identification of a novel regulatory domain conserved within Bilateria., Develop. Biol., vol.260, pp.352-361 (2003)
https://doi.org/10.1016/S0012-1606(03)00244-6
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012160603002446?via%3Dihub

3)Scott R.HuttonLarysa H.Pevny, SOX2 expression levels distinguish between neural progenitor populations of the developing dorsal telencephalon., Develop. Biol., vol.352, pp.40-47, (2011) https://doi.org/10.1016/j.ydbio.2011.01.015
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S001216061100039X

4)Alejandro Amador-Arjona, Flavio Cimadamore, Chun-Teng Huang, Rebecca Wright, Susan Lewis, Fred H. Gage, and Alexey V. Terskikh, SOX2 primes the epigenetic landscape in neural precursors enabling proper gene activation during hippocampal neurogenesis., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.112, no.15, E1936-E1945,
https://doi.org/10.1073/pnas.1421480112
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1421480112

5)Charlene Guillot, Arthur Michaut, Brian Rabe, & Olivier Pourquie, Dynamics of primitive streak regression controls the fate of neuro-mesodermal progenitors in the chicken embryo., bioRxiv (2020),
https://doi.org/10.1101/2020.05.04.077586doi:

6)Charlene Guillot, Yannis Djeffal, Arthur Michaut, Brian Rabe, Olivier Pourquie, Dynamics of primitive streak regression controls the fate of neuromesodermal progenitors in the chicken embryo., eLife 10:e64819, (2021)
DOI: https://doi.org/10.7554/eLife.64819
file:///C:/Users/Owner/Desktop/182/%E2%97%8F%E2%97%8FGiullot%202021%20elife.pdf

7)Guillot Lab
https://scholar.harvard.edu/charlene_guillot/home

8)Elena Tzouanacou, Amelie Wegener, Filip J. Wymeersch, Valerie Wilson and Jean-Francois Nicolas, Redefining the Progression of Lineage Segregations
during Mammalian Embryogenesis by Clonal Analysis., Developmental Cell vol.17, pp.365-376, (2009) DOI 10.1016/j.devcel.2009.08.002
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19758561/

9)Filip J Wymeersch et al., Position-dependent plasticity of distinct progenitor types in the primitive streak.,
Elife. e10042 (2016)
doi: 10.7554/eLife.10042
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26780186/

10)addgene: Retroviral Barcoding Library
https://www.addgene.org/kits/winslow-retroviral-barcoding/#kit-details

11) Grüner BM, Schulze CJ, Yang D, Ogasawara D, Dix MM, Rogers ZN, Chuang CH, McFarland CD, Chiou SH, Brown JM, Cravatt BF, Bogyo M, Winslow MM., An in vivo multiplexed small-molecule screening platform Nat Methods., vol.13, pp.883–889 (2016) doi: 10.1038/nmeth.3992.
https://www.nature.com/articles/nmeth.3992

12)Wikipedia: Brainbow
https://en.wikipedia.org/wiki/Brainbow

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2022年7月 3日 (日)

地熱発電を進めなかったのは政権の大きな失敗

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私たちは地球を卵とすると殻に相当する薄い地殻の上に住んでいます。その下の白身や黄身の部分はマグマやマントルという灼熱地獄であり、これを利用できれば人類はエネルギー不足に悩まされることはありません。

まして日本は世界でも有数の火山国。マグマがすぐ地表の近くまで上がってきているので地熱発電には圧倒的に有利な状況にあります。実際20世紀には非常に盛り上がった時期もあったのですが(研究開発もかなり進展しました)、原発に執心する勢力やお手軽な太陽光発電や風力発電が優先され、しょぼくなってしまいました。しかし地熱発電は気象に影響されませんし、スケールも大きいので、やっとこさ少し見直されているようです。日本の上層部でも一部の人々はようやく原発をあきらめたのかもしれません。

今日のサンデーステーションでは火山がほとんどないドイツでも積極的に地熱発電に取り組んでいると報道していて、ちょっと驚きました。

マグマだまりがどこにあるのかをつきとめる、高熱に耐える配管シールドをつかってなるべくマグマだまりの近くに配管を設置する、国立公園内に発電所の設置を認めるなどを行えば、効率の良い発電が行えます。そんなことまでやらなくても、穴を掘れば高温の土にぶつかる場所は北総も含めていくらでもあります。温泉は必要ありません。原発や火力発電所よりずっとメンテが簡単ですし、資源の枯渇はありません、二酸化炭素もだしません、配管はいくらでも増設できます。富士電機など世界を代表するメーカーも存在します。

このブログでも10年以上前から何度も地熱発電の重要性を指摘してきました。もう電気代で生活が危うくなるのは勘弁してほしい。

日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由
https://diamond.jp/articles/-/200086

地熱発電を支持しよう
http://morph.way-nifty.com/grey/2015/06/post-dbb6.html

マグマ発電の実現は近い
http://morph.way-nifty.com/grey/2012/09/post-95e9.html

期待される地熱発電
http://morph.way-nifty.com/grey/2009/01/post-a251.html

富士電機
https://www.fujielectric.co.jp/products/geothermal_power_generation/

 

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2022年7月 2日 (土)

マケラ-都響 マーラー交響曲第6番@サントリーホール 2022/07/01

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最近は夜の公演に出かけると疲労が激しいので、なるべくマチネに行くようにしていますが、マケラがマーラーを振るというのでは出かけざるを得ないでしょう。今年は異常に暑いということで、2時間に1本しかないコミュニティーバスを捕まえて駅まで行きました。それでもさすがに35℃はきつくて、数分しか歩いてないのに汗だくです

ようやくアークヒルズに到着し、以前は2Fにあった蕎麦屋の水内庵(みのちあん)がいったん閉店した後、3Fに再開店していたので行ってみました。2Fにあったときには昔ながらの蕎麦屋って感じだったのですが(都響の団員もよくたむろしていました)、3Fの新店は明るくてモダンな感じに変わっていました。私は親子丼を注文したのですが、鶏肉が少し大きい塊になっていたように感じました。これはどちらかというと好みじゃないんですが、味は相変わらず最高です。

本日のコンミスは四方さん、サイドはボス矢部の豪華版です。コントラバスなどあと5cmで転落しそうなくらい楽器満載のステージ。もちろんハンマーでたたかれる板もあります。

マーラーの交響曲第6番は、今日はアンダンテ→スケルツォの順で、ハンマーは2回でした。マケラの演奏はマーラーの音楽に特有な百鬼夜行、韜晦、気まぐれ、愛と死、天使と悪魔などの雑多な要素を排し、実に若々しくピチピチと音がするような元気百倍のすっきりとした音楽でまとめていました。マーラーはこの曲では特に自分の中の分散しがちな要素を捨てて、ベートーヴェンの運命交響曲のような古典的ルールにきちんとはまった音楽を作りたいと思っていたようなので、マケラのような解釈がかえってはまる感じがしました。

1回目のハンマーは演奏者(エキストラ)が異常に緊張していて心配になりましたが、なんとか無事にお役目を果たしていました。2回目はなんなく完了。都響の皆さんは普段にもまして髪を振り乱して頑張っている印象を受けました。本当に素晴らしい演奏だったと思います。個人的には四方さんのソロがお気に入り。マケラはこれから毎年忙しくなって、都響を振りには来てくれないかもしれませんが、今日の演奏は忘れません。聴衆の皆さんも照明がついた後2度も指揮者をステージに呼び出してスタンディングオベーションで迎えていました。

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