BA.2について
BA.2についての重要な論文が日本人研究グループによって発表されたので拙訳を貼っておきます。
拙訳:重篤な呼吸器疾患を引き起こす新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)のBA.1株が世界に蔓延してしばらくして、今度はもう一つのオミクロン株BA.2がそれに取って代わる勢いとなりました。統計的な分析によればBA.2はBA.1の1.4倍の有効再生産を行うことがわかりました。BA.1の場合と異なり、BA.2ではワクチンによって誘導された免疫は無効です。BA.1とBA.2の免疫的特異性は異なります。細胞培養による実験結果によると、BA.2はBA.1とくらべて鼻粘膜でより早く増殖し、細胞膜との親和性が高いことが示されています。さらにハムスターを用いた実験では、BA.2はBA.1より病原性が高いことが示されています。我々の様々な実験からBA.2の健康リスクはBA.1より高いことが示されました。
タイトル:Virological characteristics of SARS-CoV-2 BA.2 variant
著者:Daichi Yamasoba, Izumi Kimura, Hesham Nasser, Yuhei Morioka, Naganori Nao, Jumpei Ito, Keiya Uriu, Masumi Tsuda, Jiri Zahradnik, Kotaro Shirakawa, Rigel Suzuki, Mai Kishimoto, Yusuke Kosugi, Kouji Kobiyama, Teppei Hara, Mako Toyoda, Yuri L Tanaka, Erika P Butlertanaka, Ryo Shimizu, Hayato Ito, Lei Wang, Yoshitaka Oda, Yasuko Orba, Michihito Sasaki, Kayoko Nagata, Kumiko Yoshimatsu, Hiroyuki Asakura, Mami Nagashima, Kenji Sadamasu, Kazuhisa Yoshimura, Jin Kuramochi, Motoaki Seki, Ryoji Fujiki, Atsushi Kaneda, Tadanaga Shimada, Taka-aki Nakada, Seiichiro Sakao, Takuji Suzuki, Takamasa Ueno, Akifumi Takaori-Kondo, Ken J Ishii, Gideon Schreiber, The Genotype to Phenotype Japan (G2P-Japan) Consortium, Hirofumi Sawa, Akatsuki Saito, Takashi Irie, Shinya Tanaka, Keita Matsuno, Takasuke Fukuhara, Terumasa Ikeda, Kei Sato
https://doi.org/10.1101/2022.02.14.480335
アブストラクト原文:Soon after the emergence and global spread of a new severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Omicron lineage, BA.1 (ref1, 2), another Omicron lineage, BA.2, has initiated outcompeting BA.1. Statistical analysis shows that the effective reproduction number of BA.2 is 1.4-fold higher than that of BA.1. Neutralisation experiments show that the vaccine-induced humoral immunity fails to function against BA.2 like BA.1, and notably, the antigenicity of BA.2 is different from BA.1. Cell culture experiments show that BA.2 is more replicative in human nasal epithelial cells and more fusogenic than BA.1. Furthermore, infection experiments using hamsters show that BA.2 is more pathogenic than BA.1. Our multiscale investigations suggest that the risk of BA.2 for global health is potentially higher than that of BA.1.
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この論文のラストオーサーである東大医科研の佐藤先生によると、BA.2とBA.1の遺伝子配列の違いは、デルタ株とBA.1との差よりも大きいということで、オミクロン株という名前はふさわしくないようです。既存のファイザーやモデルナのワクチンは全く効かないので、日本のTVでワクチン打て打てキャンペーンをやっているのは時代遅れです。
欧米ではBA.2が蔓延したことに伴い、ワクチンパスポートは廃止されています。意味がないので当然です。BA.2用のワクチンが必要です。抗体試薬が効かないのは当然ですが、その他の薬の有効性を早急に確認して欲しいと思います。
これは個人的希望になりますが、本当に早くBA.2に有効なタンパク質のワクチンまたは不活化ワクチンを世に出して欲しいものです。90%以上の有効性などという贅沢はいいません。mRNAのワクチンはどの細胞にどれだけ発現するかわかりませんし、発現した細胞はいずれ自己の免疫システムで攻撃されるので、それが神経細胞や心筋細胞であった場合はまずいでしょう。実際私も半年くらい痛くて、ようやく最近痛みがやわらいできました。多分細胞が死んだか入れ替わったのでしょう。
(写真は国立感染症研究所撮影)
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