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2021年12月29日 (水)

2021 私の紅白歌合戦

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1M. The Beach Boys - Surfer Girl
https://www.youtube.com/watch?v=hu-bXvuPm7c

ブライアン・ウィルソンは社会不適合で閉じこもり、ドラッグや酒に溺れてしまいました。しかし奇跡的に復活して2012年にビーチボーイズを再結成し現在に至っています。ペットボトルを持って唄うビーチボーイズ(置けよ!)。

1F.The SURF GIRLS - I CAN HEAR MUSIC a Beach Boys TRIBUTE
https://www.youtube.com/watch?v=Lq1Ip1PxJIE

ビーチボーイズのトリビュート。こういうきれいな英語を聞いていると気持ちいい。

2M.少年隊 仮面舞踏会
https://www.youtube.com/watch?v=87Ns9QIcRSA

バブルの時代にはこんなテレビ番組がありました。

2F.シモンズ 恋人もいないのに
https://www.youtube.com/watch?v=nGyw1PZAFRk

50年前J-POPの創生期に活躍したデュオ。作詞:落合武司、作曲:西岡たかし

予備:https://www.youtube.com/watch?v=pPGvI6unbSI

3M.DISH// (北村匠海) - 猫 / THE FIRST TAKE
https://www.youtube.com/watch?v=gsT6eKsnT0M

あいみょんの曲だけど、きっちりはまってる。

3F.まきちゃんぐ 愛が消えないように
https://www.youtube.com/watch?v=-PJlrmWwOiw

こんな時代があったのだという記念碑になるのかな。

4M.Tom Waits & Crystal Gayle Take Me Home
https://www.youtube.com/watch?v=2sglrbx6rVo

こんなストレートなラヴソングはなかなかありません

4F.洸美-hiromi- 初恋(村下孝蔵)
https://www.youtube.com/watch?v=PpvD4EN7oho

洸美にカバーされて、村下さんも草葉の陰で喜んでいることでしょう。

5M.back number - 水平線
https://www.youtube.com/watch?v=iqEr3P78fz8

これも新型コロナが生み出した作品

5F.西島三重子 リルケの詩集
https://www.youtube.com/watch?v=fPtQMS7BIbE

今年71才でライヴを成功させました(@ラドンナ原宿)。
若い人にもこういう音楽があることを知って欲しい。

6M.秋川雅史 五月のバラ
https://www.youtube.com/watch?v=LsNbsO50jYE

これだけ気持ちよく歌われると、聴いている方も気分爽快になります。

6F.M'size  やさしさに包まれたなら
https://www.youtube.com/watch?v=C2ldDYn5wlk

プロでやって欲しい素晴らしい美声

7M.ライオネル・リッチー - エンドレス・ラヴ with Crystal Kay
https://www.youtube.com/watch?v=R4rFHvVSMUs

ケイの母親がシンシアだと聞いてぶっ飛びました。それはそうと、クリスタル・ケイってひょとして4Mのクリスタル・ゲイルと関係あるのかな?

7F.Oncemores(シオン) I Need To Be In Love
https://www.youtube.com/watch?v=50ovGUYfACQ

カーペンターズのコピーじゃ世界一かも。

8M.矢沢永吉  時間よ止まれ
https://www.youtube.com/watch?v=1U7aQhPbpUQ

このバージョンが好き。

8F.熊木杏里 夢のある喫茶店
https://www.youtube.com/watch?v=EVcXYt6Kx-M

金のある話より夢のある話をしよう。

9M.ドリアン・ロロブリジーダ 誕生 (中島みゆき)
https://www.youtube.com/watch?v=EmzmNjUQGBI

中島みゆきもびっくり。

9F.伽藍琳 (りん・がらん)  愛から遠く離れて(中島みゆき)
https://www.youtube.com/watch?v=OwmEBrrF-6U

本業はプロデューサーだそうです 美しい日本語。


10M.村田和人&竹内まりや Summer Vacation
https://www.youtube.com/watch?v=LuVkXO73QpA

夏の曲ですが、村田和人もあの世で聴いているだろうか

10F.遥海  記憶の海
https://www.youtube.com/watch?v=Tdkf-_FGK5U

ようやくメジャー世界で仕事ができるようになりました。

11M. Bryn Terfel ブルイン・テルヴェル「夕星の歌」
https://www.youtube.com/watch?v=RRu-aRFEsAc

ウェールズの農家出身の名歌手。歌詞と翻訳は下にあり。

11F.Elīna Garanča エリーナ・ガランチャ- "Una voce poco fa"「今の歌声は」
https://www.youtube.com/watch?v=S7OyQf90WNc

私感では世界で一番声の美しい人。歌詞と翻訳は下にあり。

12M. 大瀧詠一 恋するカレン 完全再現プロジェクト
https://www.youtube.com/watch?v=Kqx3Fc77qoY

趣味もここまで来れば立派な芸術。

12F.竹内まりや シンクロニシティ(素敵な偶然)
https://www.youtube.com/watch?v=lI-YY_RtTNM

バンドメンバーもみんな楽しそう。

13M.RADWIMPS 愛にできることはまだあるかい
https://www.youtube.com/watch?v=EQ94zflNqn4

今の時代の空気にぴったり。ただ次世代のミュージシャンにあまりにも強い影響を与えすぎたという罪はある。

13F.青葉市子/マヒトゥ・ザ・ピーポー 海辺の葬列
https://www.youtube.com/watch?v=rh_IsgFI_mc

予言者の音楽。

14M.新井満  千の風になって
https://www.youtube.com/watch?v=Lt43pjM80Hc

ご冥福をお祈りいたします。

14F.中森明菜 わたしは風
https://www.youtube.com/watch?v=fi25Q-PtVdk

魂をもっていかれる。

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(ラスト) 西島三重子 千登勢橋
https://www.youtube.com/watch?v=0TYECCELT6c

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Extra 1: 夕星の歌 O du mein holder Abendstern

O du mein holder Abendstern
Wie Todes-ahnung Dämm'rung deckt die Lande
umhüllt das Thal mit schwälzlichem Gewande,
der Seele,die nach jenen Höh'n verlangt,
vor ihrem Flug durch Nacht und Grausen bangt.

死の予感のように 夕闇が地を覆い
黒い衣で 谷をかぶせる
かの嘲弄をむさぼる魂は
夜陰と恐怖の飛行を恐れている

Da scheinest du, o lieblichster der Sterne,
dein sanftes Licht entsendest du der Ferne,
die nächt'ge Dämm'rung theilt dein lieber Strahl,
und freudlich zeigst du den Weg aus dem Thal  

この時、お前は現れる おお最愛の星よ
お前の柔らかな光を お前は遠くから送り
その輝きは夜の薄闇を照らし
森からの道をやさしく示す

O du mein holder Abendstern,
wohl grüßt’ich immer dich so gern
vom Herzen,das sie nie verrieth,grüße sie ,
wenn sie vorbei dir zieht,
Wenn sie entschwebt dem Thal der Erden,
ein sel'ger Engel dort zu werden.  

ああ わがやさしの夕星よ
お前に私はいつも快く心より挨拶を送った
彼女を裏切らぬ心からの挨拶を送れ!
彼女がおまえの下を通るとき
彼女が地上の谷より姿を消すまで
天国の天使となるべく


Extra 2: Una voce poco fa (今の歌声は)

Una voce poco fà
qui nel cor mi risuonò
Il mio cor ferito è già
e Lindor fu che il piagò.

今の歌声は
心の中に響きわたり
私の心は
リンドーロに射抜かれた

Si, Lindoro mio sarà,
Lo giurai,la vincerò.
Il tutto ricuserà,
io l'ingegno aguzzerò
Alla fin s'accheterà
e contenta io resterò...
Si, Lindoro mio sarà
lo giurai, la vincerò

そうよ リンドーロはわたしのもの
必ず手に入れてみせる
バルトロが許さないけど
知恵を絞ってうまくやってみせる
そうよ リンドーロはわたしのもの
必ず手に入れてみせる

Io sono docile, son rispettosa.
sono ubbediente, dolce, amorosa,
mi lascio reggere, mi fo guidar.

私は素直で礼儀正しい
従順で優しい 愛情も深い
言われるがままに尽くしてみせる

Ma se mi toccano dov'è il mio debole,
Sarò una vipera,
e cento trappole prima di cedere
farò giocar

けどもし弱みに付け込まれたら
私は毒蛇になって 敵が降参するまで
たくさんの罠で懲らしめてやるわ


Extra 3 : Funeral Procession at the Seashore (海辺の葬列)
Lyrics- Ichiko Aoba (青葉市子)
https://www.youtube.com/watch?v=I7QMYpvDh90

The song of the city vanished into the sea
A huge dragon swallowed it in a single gulp
On the beach, where birds gripped fish
People dried off, one after another

Our eyes met before you went to sleep
Your dreams, driving into the ceiling with your nails
I hear the sound of you swimming through the storm
Outside our tiny little home

The person from the village where I sold my soul
Is swaying back and forth in what used to be a flower garden

Someone who sang of the wind
Was wrapped in bird down
And then carried off into the distance

 



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2021年12月28日 (火)

良いお年をお迎えくださいませ

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今年もようやく終わります。オリンピックなんてあったのかというくらい自粛に明け暮れた年でした。きょうは7つくらい用があって、あちこちうろうろしてようやくミッションコンプリート。安ワインを飲みながらディスプレイに向かっています。

今年の1番の思い出は、なんと言っても「まきちゃんぐライブ@5月23日下北沢コムカフェ音倉」です。新型コロナのせいで私がしばらくライブに行ってなかったこともありますが、立って歌うまきちゃんの凄さに圧倒されました。はらかなこさんのサポートも素晴らしかったと思います。このあとまた蔓延したので、ちょうど谷間だったのも良かったですね。まさに一期一会の経験でした。

http://morph.way-nifty.com/grey/2021/05/post-bd9959.html

2番目は6月1日の小泉-都響のフォーレ「レクィエム」@サントリーホールです。多分新型コロナがなければこんな静謐な幸福感に包まれることはなかったと思います。これも谷間でしたね。

http://morph.way-nifty.com/grey/2021/06/post-a7e9ca.html

3番目はY夫妻とご一緒したベートーヴェンの第9交響曲です。普通だったら会員席でとてもとれないような席のチケットが、新型コロナのおかげで解放されていてとれたので、都響のすばらしさをあらためて感じました。Y夫妻にも久しぶりでお会いできてよかったです。

現在 Cre-loxP の歴史を探訪していますが、ひっかかるところがあってとても今年中にアップできそうにありません。恒例の「私の紅白歌合戦」は年内にアップするつもりで準備しています。では、皆様が良いお年をお迎えになるよう祈念しております。

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2021年12月25日 (土)

大野都響-ベートーヴェン交響曲第9番@東京芸術劇場2022/12/24

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友人と共に都響が演奏するベートーヴェン第9交響曲を聴きに池袋へ。芸劇前のイルミネーションは素晴らしく、カラヤン広場とは大違いです。昨年はコロナで第9を聴けなかったので、ひとしおです。コンマスはボス矢部でサイドはゆづきです。

指揮は本来は準・メルクルさんでしたが、コロナの関係で大野音楽監督が代役です。ショスタコーヴィチの第5交響曲は、彼流のすっきりと整理された解剖術が完全にはまっていましたが、第9も2楽章までは全く違和感はありませんでした。しかし第3楽章は美しいことは美しいのですが、なぜかはまれませんでしたね。ふわふわとした優しい感じが無いんですよ。音楽がきびきびと進行しすぎるせいかな。と思っていたら急激にテンポが落ちたりして違和感がありました。

第3楽章が終わったところでいったん切って、ソリストと合唱団の入場。この方式は良いと思いました。ソリストの方々はオーケストラの後ろに立つスタイルでしたが、皆さんすごい声で圧倒されます。特にソプラノの小林さんの声は圧巻でした。こんな人が居るのなら、日本人でどんなオペラだってちゃんとできると思いました。

合唱団は二期会でしたが、力で押しまくる感じで柔らかさに欠けたように思いました。大野監督はこれでいいと思っているのでしょうかね?

オケはいつも通り頑張っていました。特に久一さんのティンパニは見ているだけでも美しい芸です。私は思ったのですが、柳原はパユや甲斐をめざすのではなく、鷹栖家の執事(爺や)~ 都響の執事 の様な感じでいると収まりが良いのではないでしょうか。鷹栖と柳原、この2人は都響のコアです。

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2021年12月23日 (木)

PCの乾燥 危機回避

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突然PCがキーボードに反応しなくなりました。モニターに画面キーボードを出して入力すると正常に動作します。しかしなにしろスタートのパスワードも入力できないので非常に困りました。強制終了して再起動しても直りません。

PCにつながっているすべてのコードをはずして放電してみたら という話を聞いて半信半疑でしたがそのとおりの状態にして、30分くらい放置して再起動すると、なんと正常にキーボードが使えるようになりました。

空気が乾燥していることが、PCにとっては非常に危険であることを思い知りました。さて、これからどうしたものか? とりあえず食器に水を入れて近くに置くと、1秒もしないうちにミーナが来て飲み始めました。

 

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2021年12月21日 (火)

大野-都響 ショスタコーヴィチ交響曲第5番@サントリーホール2021/12/20

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コロナの合間の平和なひとときに都響のタコ5。これはマエストロ大野の18番で、寒くても出かけるしかありません。サントリーホール前のカラヤン広場はまるでデッドスペースで、クリスマスデコレーションも皆無の寂しいたたずまいでした。

ソリストが達人阪田で、そのせいもあってかほぼ満席の盛況。広場の寂しさと対照的に、久しぶりの賑わいです。座席の制限も設けていませんでした。阪田さんーマエストロ大野ー都響は肝胆相照らすというか、息がぴったり合っていて素晴らしいラフマニノフでした。これだけお客さんが入ると、演奏者も気合いが入りますよね。

ソリスト・アンコール  ニールセン:『楽しいクリスマス』の夢

本日のコンミスは四方さん。サイドはマキロンです。マキロンはダイエットに成功したようです。ただ譜めくりを忘れてコンミスにやらせるとか、ボケぶりは相変わらずです。

お目当てのタコ5は期待通り会心の演奏で、テンション爆上げでした。フルートの柳原氏も今日はなかなか落ち着いてニュアンス豊かな演奏で楽しませてくれました。この曲でいつも思うのですが、第3楽章のシロホンは心臓止まりそうで奏者になりたくないです。ついでですが、マエストロ大野もミスった奏者を最初に立たせるという嫌みはやめてほしい。ともあれ四方さんをはじめ、みんなものすごく頑張った素晴らしい演奏会でした。どうも有難う。

ところで1月の定期演奏会はまだ詳細が決まらず、チケットも販売していません。ソリスト・指揮者が来日できないのは確定的なので、代役さがしが難航しているものと思われます。はらはらです。

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2021年12月20日 (月)

国立国会図書館の怪

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↑ クリックして拡大して見てください

私は国会図書館に「生物学茶話@渋めのダージリンはいかが」という本を献本していますが、これはもともとデジタル本なので国会図書館のデジタルコレクションに収蔵されていて、インターネットで自由に閲覧できるはずなのです。

しかし自分でアクセスしてみて腰を抜かしました。なんと上図のようにアクセスできなくなっているのです。あわてて電話してみて、さらに驚くべき事態になっていることがわかりました。国会図書館のすべてのデジタルコレクションにインターネットからアクセスできなくなっていて、図書館に行かないと閲覧できないようになっているんだそうです。

ええーっ! それじゃ紙本と同じじゃない? 冗談でしょ・・・。

いや本当で、しかもこの事態を解決できるめどはたっていないそうです。少なくとも私の本に関しては著作権問題はあり得ません。執筆も編集も出版も私ひとりでやったので、私がフリーで閲覧できますと言っているのですから、著作権問題が発生するわけがないのです。

デジタル庁はなんのためにあるのでしょうか? デジタル化の根幹というより国家の根幹がこんな調子では、この国の政治家は遊んでいるようなものでしょう。牧島かれんよ なんとかしてちょうだい。

ただ絶対見れないかというと、そうでもなくて国会図書館のHP

https://www.ndl.go.jp/

にアクセスし、検索ボックスに 生物学茶話 などと打ち込むと本の名前が表示されて、右端に デジタル というボックスが現れるので、そこをクリックすると上のような画面が出ます。そこで赤矢印で示した部分をクリックすると読めます。または左上の詳細レコード表示からもアクセスに至れます。

もうひとつ問題なのは、国会図書館のHPからは検索できるのですが、デジタルコレクションに移動すると検索ボックスに入力しても、検索にかからなくなります。これはデータの受け渡しがきちんとできていないからだと思われ、デジタルコレクションの管理がそもそもできていない証拠でしょう。かけ声だけは威勢がいいが、予算も人員も根回しも足りなくて実際はグダグダという最近のこの国によくある事態なのかな(orz.....)。

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2021年12月19日 (日)

新型コロナウィルスの形態

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国立感染症研究所で撮影されたSARS-CoV-2 B.1.1.529(オミクロン)系統の電子顕微鏡写真です。実に素晴らしい写真です。

これをみるとわかるように、新型コロナウィルスの外殻はブロッコリーのようにびっしりスパイクで覆われていて、抗体が接触できるのはスパイクの頭だけです。ですからこの部分にアミノ酸の変異があると、むしろ認識する方がおかしいのです。認識できたとすると、その抗体は特異性が低い不出来な抗体だということになります。

ですから何度もワクチンを打って大量に抗体を作り出す中で、その特異性の低い抗体がいくばくか効果を発揮してくれないかなと期待するのはちょっと無茶な話です。この頭の部分のアミノ酸配列にきちんと対応した新型ワクチンが一日も早く世に出て欲しいと思います。

この頭の部分の短いペプチドをワクチンとして投与するとよさそうですが、ひょっとするとそのペプチドが非常に効率よくACEII受容体に結合して、強い毒性を発揮するというリスクがあるかもしれません。むしろこの部分を認識する抗体試薬に期待すべきでしょうか? それともこのウィルスが持っている酵素の特異的阻害剤に期待すべきでしょうか? 

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2021年12月18日 (土)

第3の敗戦

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Times の World University Ranking を見てみました。まだ終わってませんが2021年版もありました。
こちら

1位はオックスフォード大学、6位はケンブリッジ大学、他のベストテンはすべて米国の大学でした。ではアジアではどうでしょうか?

20位 精華大学(中国)
23位 北京大学(中国)
25位 シンガポール大学(シンガポール)
36位 東京大学(日本)
39位 香港大学(中国)
47位 南洋理工大学(シンガポール)
54位 京都大学(日本)
56位 香港中国大学(中国)
56位 香港理工大学(中国)
60位 ソウル大学(韓国)
70位 復旦大学(中国)
87位 中国科学技術大学(中国)
94位 浙江大学(中国)
96位 KAIST(韓国)
97位 台湾大学(台湾)

中国の精華大学と北京大学は東京大学よりランキングが上位です。しかも中国はベスト100に8校もはいっていますが、日本は2校だけです。シンガポールと2位を争ってやや劣勢というところでしょうか。オセアニアまで含めるとオーストラリアは日本やシンガポールより断然上位にランクされます。

さらに残念なことに、日本の大学は200位以内にも東大・京大以外はランクインしていません。この2校以外の大学は奈落の底に転落してしまいました。もう学術・高等教育の世界では日本は完全に3流国家に転落したと考えて良いでしょう。情けないとしか言いようがありません。このような事態を招いた根源は、すべての国立大学を半民営化した小泉-竹中政権の愚策と、それを引き継いだ政権の見識のなさに起因するものです。

これは太平洋戦争、1990年代からの経済敗戦、に継ぐ第3の敗戦と言えるでしょう。

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2021年12月15日 (水)

心筋・心膜炎

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私はファイザーのワクチンを接種して以来チェストペインに悩まされていますが、医者にかかるほどひどくはないので辛抱しています。CDCもワクチンの副反応で、2021年に約1万7千例の心筋・心膜炎が発生したことを認めています。

心膜炎とはウィキペディアによれば図のような2重構造の心膜が炎症を起こして膨らんでいる状態のようです。心筋炎はまさしく心臓の筋肉そのものの炎症です。

データは Open VAERS のサイトに出ています。

https://openvaers.com/covid-data/myo-pericarditis

インフルエンザワクチンのデータと比較していますが、比較にならないくらい圧倒的に新型コロナワクチンによる心筋・心膜炎が多いことがわかります。

若い人は1回目より、2回目の接種後に発症する場合が多いようです。3回目にどうなるかはまだ神のみぞ知るですが。ともかく余計な患者発生やワクチン接種を避けるためにも、海外からの不急の正月帰省は延期して欲しいと思います。

昨日の報道ステーションに少し感動したのは、テレ朝が武漢に日本語をきちんと話せる中国人のエージェントを確保していて、的確なニュースを流していたことです。彼が武漢では新型コロナの蔓延はみられないが、近隣では発生しているところがあると伝えたのは重要なニュースです。大越氏が仕切るようになってから、視聴者を善導しようという姿勢が希薄になってきたのは歓迎しますし、なるべく報道に徹した姿勢を期待したい。

 

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2021年12月14日 (火)

続・生物学茶話167: C.エレガンスの神経細胞

神経堤細胞というのは、まず大工と左官によって作られた家に、後で入ってきた内装業者が人が住めるようにセットアップするという感じなのでしょう。神経板と予定皮膚外胚葉の間の領域が盛り上がるという意味での神経堤は脊椎動物独自のものですが、同じようなはたらきをする細胞は左右相称動物のはじまり(ウルバイラテリア)から存在したのでしょうか? バイラテリア一族のいわば分家である後口動物ではなく、本家の前口動物は神経堤細胞に類似した細胞を保持しているのでしょうか?

3年前に75才で亡くなったジョン・サルストンという人がいます。彼は線形動物門に属する体長約1mmの生物 Caenorhabditis elegans (通称C.エレガンス)が、ひとつの細胞から細胞数≒959個の雌雄同体または細胞数≒933個の雄ができるまでの全細胞系列をとてつもない執念で完全に明らかにして、2002年にノーベル生理学医学賞を受賞しました(1-3)。私はこれはワトソンとクリックのDNA構造解明にも匹敵する偉業だと思います。

この生物の神経細胞は302個しかなく(とは言ってもすべての体細胞の約3分の1が神経細胞!)、ひとつひとつの神経細胞がどのような役割を果たしているかについての実験研究が可能です(3)。C.エレガンスはたったこれだけの数の神経細胞で餌を探し、食べて排泄し、化学物質や温度を感知し、物理刺激を回避し、生殖し、記憶や学習を行ない、激しい運動を行なうことができます。

彼らは前口動物であり、私たち後口動物とは5億年以上前に分岐した生物です。彼らも神経堤細胞のように、適切な場所に移動しながら神経細胞としての増殖や分化を行なうタイプの細胞を保持しています。QRとQLという神経芽細胞は、右側と左側にそれぞれ6個づつ並んでいるシーム細胞列V1~V6のV4とV5の間という特定の位置に左右対称的に配置されていますが、QRは虫の成長にともない体の前方に移動し、QLは体の後方に移動します。QRとQLは移動先でそれぞれ神経細胞に分化します(4、図167-1)。いずれもひ孫世代ができるまで細胞分裂を行いますが、プログラム細胞死する細胞があるので、結局神経細胞として機能するのはそれぞれ3つで、そのうち2つは感覚ニューロン、ひとつは介在ニューロンとして機能します(4、図167-1)。

ウルバイラテリアはおそらく海底を這うために左右相称構造になったと思われますが、消化管や生殖器はひとつで良いわけですし、すべて左右相称の構造である必要はありません。非左右相称的な進化による分化、あるいはウルバイラテリア以前の伝統を引き継いだ分化が行われた可能性があり、QR・QLもおそらくそのような例と思われます。私たちも消化管や心臓はひとつです。

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図167-1 C.エレガンスの神経芽細胞QR・QL

移動する細胞はまず隣接する細胞との接着を解除し、アメーバのような仮足をつくらなければいけません。このようなスイッチを入れるのは多くの生物では Rho family GTPase であり、Cエレガンスでも UNC73(これは脊椎動物の Trio のホモログです)というグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)が機能しています(5、6)。これによってGタンパク質が活性化されます。また PIX-1 という因子も同様な役割を果たしています(7、図167-2)。これらが起点となって細胞骨格の再編成が行われ、ラメリポディアのような移動装置が出現して移動の準備が行われます(7)。PIX-1 の機能を発見したダイヤーさんはその後多くの論文を発表していますが、多くはヒトの病気などに関するもので、C.エレガンスの研究はほとんど進展がないようです。C.エレガンスの研究にはサポートがないためと想像されますが、残念なことです。

仮足を細胞全体に出すと方向が定まらなくなるので、前または後ろに動くには一方だけに出す必要があります。このメカニズムはまだ不明な点があるようでが、最近のラングとルントクイストの論文に寄れば DPY-17 および SQT-3 というある種のコラーゲン分子が細胞が後方に動くために重要な働きをしているそうです(8)。

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図167-2 細胞骨格の再編成

コルスワゲンらはCエレガンスのQR・QLはそれぞれ移動を始めた後、特定の位置で第1回目の細胞分裂を行うことに着目しました。もしこの細胞分裂が正常な位置よりスタート地点に近ければ、移動になんらかの不具合があるという仮説のもとに、さまざまな突然変異体の解析を行いました。そうすると図167-3のような突然変異体が細胞移動に不具合を発生していることがわかりました。特にQRでは mig-21 と dpy 、QLでは cdh-4 が致命的な欠陥をもたらしました(9)。

mig-21 はロシアの戦闘機のような名前ですが、それとは関係なく wnt-signal のモディファイアーとして機能する膜貫通タンパク質であることがわかっています。dpy はC-マンノシルトランスフェラーゼで、ホモログであるヒトの dpy19L1 は精子の機能不全をもたらすので、やはり細胞運動に関与しているのでしょう。cdh-4 はヒトでは 非クラシック Fat カドヘリンとして知られているタンパク質で、ユニバーサルな細胞接着因子のひとつですが(10)、なぜこのミュータントが移動できないかは謎です。

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図167-3 細胞の移動にかかわる因子

ケニオンらも早くからCエレガンスの突然変異体の解析などから UNC-40/DCC, UNC-73/Trio and DPY-19 などが左右非相称の要因であるとの報告をしており(11)、mig-21も含めてこれらが Wntシグナリングにどうレスポンスするかを決めているとしています(12)。どうレスポンスするかは細胞によっていろいろバラエティーがあるにしても、最初のシグナルはWntがもたらすようです。QLの場合WntシグナルとしてEGL-20が最も重要なようです。図167-4にその体の後方での発現が記してあります。これによってキャノニカルパスウェイが起動し、最終的には mab-5 が移動のスイッチになるようです(4)。QRについてははっきりしていないようですが、ミドルスクープらはCWN-1、2、EGL-20のレベルが低いことによるシグナルが重要であるとしています(4)。MOM-2とLIN-44はQR・QLの移動のメカニズムには関与していないようです(4、図167-4)。

ケニオンさんはその後C.エレガンスの長生きミュータントを発見し、そちらの方面に精力を傾注しているようです(13)。いつかここでもとりあげられればいいなと思います。

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図167-4 各種Wntシグナルが発現する位置

C.エレガンスの特定の神経細胞に分化するわずかな数の神経芽細胞の移動に関しても、分子レベルのメカニズムの解明にてこずるわけですから、さまざまな種類の細胞に分化する脊椎動物の神経堤細胞の解明にはまだまだ時間がかかりそうです。ただ初期発生が終わった後、細胞が個々に移動して分化するというメカニズムは、おそらくウルバイラテリア誕生以前から存在し、現存する生物たちもさまざまに修飾した上でその伝統的メカニズムを利用しているのだろうとは推測できるでしょう。節足動物や環形動物でもそれを示唆するデータが報告されています(14)。

C.エレガンスのQR・QL細胞に関する研究からもうひとつわかることは、これらの細胞が最初から運命を決定されているわけではないということです。これらの子孫の細胞はあるものはプログラム細胞死しますし、感覚ニューロンになるものもあれば、介在ニューロンになるものもあります。それらは子孫細胞において、それらが置かれている環境の影響によって決定されるものと思われます。

参照

1)J.E.Sulston, E.Schierenberg, J.G.White, J.N.Thomson, The embryonic cell lineage of the nematode Caenorhabditis elegans., Develop. Biol., vol.100, pp.64-119 (1983), https://doi.org/10.1016/0012-1606(83)90201-4
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0012160683902014?via%3Dihub

2)Wikipedia: John Sulston
https://en.wikipedia.org/wiki/John_Sulston

3)ウィキペディア:カエノラブディティス・エレガンス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%8E%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%B9

4)Teije C. Middelkoop and Hendrik C. Korswagen, Development and migration of the C.
elegans Q neuroblasts and their descendants., Worm Book edited by Joel H. Rothman and Andrew Singson, (2014) doi/10.1895/wormbook.1.173.1
http://www.wormbook.org/chapters/www_qneuroblasts/qneuroblasts.html

5)Robert Steven, Lijia Zhang, Joseph Culotti, Tony Pawson, The UNC-73/Trio RhoGEF-2 domain is required in separate isoforms for the regulation of pharynx pumping and normal neurotransmission in C. elegans., Genes Dev, vol.19(17): pp.2016-2029 (2005)
doi: 10.1101/gad.1319905.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16140983/

6)Shuang Hu, Tony Pawson, Robert M Steven, UNC-73/trio RhoGEF-2 activity modulates Caenorhabditis elegans motility through changes in neurotransmitter signaling upstream of the GSA-1/Galphas pathway., Genetics, vol.189(1):pp.137-151 (2011) doi:10.1534/genetics.111.131227.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21750262/

7)Jamie O. Dyer, Rafael S. Demarco and Erik A. Lundquist, Distinct roles of Rac GTPases and the UNC-73/Trio and PIX-1 Rac GTP exchange factors in neuroblast protrusion and migration in C. elegans., Small GTPases vol.1: no.1, pp.44-61 (2010)
DOI: 10.4161/sgtp.1.1.12991
https://www.researchgate.net/publication/51231563

8)Angelica E Lang, Erik A Lundquist, The Collagens DPY-17 and SQT-3 Direct Anterior-Posterior Migration of the Q Neuroblasts in C. elegans.,
J Dev Biol, vol.9, no.1, pp.7-21 (2021) DOI: 10.3390/jdb9010007
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8006237/

9)Annabel Ebbing, Teije C. Middelkoop, Marco C. Betist, Eduard Bodewes and Hendrik C. Korswagen, Partially overlapping guidance pathways focus the activity of UNC-40/DCC along the anteroposterior axis of polarizing neuroblasts. Development vol.146, dev180059. (2019) doi:10.1242/dev.180059
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31488562/

10)Seth Blair, Helen McNeill, Big roles for Fat cadherins., Curr Opin Cell Biol, vol.51 pp.73-80 (2018) doi: 10.1016/j.ceb.2017.11.006.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29258012/

11)L Honigberg, C Kenyon, Establishment of left/right asymmetry in neuroblast migration by UNC-40/DCC, UNC-73/Trio and DPY-19 proteins in C. elegans, Development vol.127, no.21, pp.4655-4668 (2000) PMID: 11023868
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11023868/

12)Teije C. Middelkoop, Lisa Williams, Pei-Tzu Yang, Jeroen Luchtenberg, Marco C Betist, Ni Ji, Alexander van Oudenaarden, Cynthia Kenyon, Hendrik C Korswagen, The thrombospondin repeat containing protein MIG-21 controls a left-right asymmetric Wnt signaling response in migrating C. elegans neuroblasts.,
Dev Biol vol.361, no.2, pp.338-348 (2012) doi: 10.1016/j.ydbio.2011.10.029.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22074987/

13)Cynthia Kenyon, The first long-lived mutants: discovery of the insulin/IGF-1 pathway for ageing., Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci, vol.366 pp.9-16 (2011)
DOI: 10.1098/rstb.2010.0276
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21115525/

14)Yongbin Li et al., Conserved gene regulatory module specifies lateral neural borders across bilaterians., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.114, E6352–E6360 (2017) 







 

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2021年12月11日 (土)

「製薬業界の闇」 by ピーター・ロスト

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ファルマシアという会社はあまり一般には知られていないかもしれませんが、スウェーデンの製薬会社でさまざまな医薬品を販売していたほか、研究用の試薬についてもメジャーなメーカーだったので、20世紀の医学・生物学研究者にはなじみ深い会社です。2003年にファイザーに買収されましたが、この本の著者ピーター・ロストはそのときファルマシアで管理職をやっていた人です。

ファイザーはバイアグラなどでお馴染みの米国の会社ですが、世界でもトップクラスの製薬会社です。現在も新型コロナウィルスと戦う最前線の会社です。

そんな会社に買収されて、ファルマシアは「よかったね」というわけではなく、そこには非情な解雇という地獄が待っていたのです。ピーター・ロストはその解雇を担当することになりました。どうすればうまく解雇できるかという綿密な研修を受けて、それを実行することになったのですが、一番の問題は解雇された職員が次の就職先を探すために最も必要なこと、すなわち上司が推薦状を書くことを禁止されたことです。このようなひどい仕打ちに激怒したロストは会社と戦うことにしました。

これはロストと会社の血みどろの戦いの記録です。この本を読めばファイザーがとんでもないブラック企業であることがわかります。

ロストの言葉です「現在の米国は”強欲”の上に成り立っている。・・・強欲とは、ファイザーの最高経営責任者のような連中をいうのだ」

The Whistleblower by Peter Rost
Soft Skull Press, New York (2006)
日本語版監訳 斉藤武郎
東洋経済新聞社刊(2009)

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2021年12月 8日 (水)

サラとミーナ259:満足した?

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かつおぶしはもうあきて食べないのかな、と思っていたら突然むしゃむしゃ食べることもあります。猫は普通食事するとすぐにその場を立ち去る習性があるみたいですが、その場で寝てしまうというのは珍しい光景です。多分他の動物が集まってくるのが嫌なのでしょうが、うちではそういうのはいないからね。

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2021年12月 4日 (土)

続・生物学茶話166:神経堤

神経堤という胚にできてくる土手のような構造は、脊椎動物の発生研究者にとってはとても目立つものです。ただそれは短い期間で消滅するので、20世紀の中頃まではあまり重視はされていませんでした。19世紀に活躍したスイスの解剖学者ヴィルヘルム・ヒスはミクロトームを発明したことで有名ですが、ニワトリが発生するときの切片を詳しく観察する中から、原条周辺の外胚葉が落ち込んで神経管をつくる細胞群、残って表皮となる細胞群のほかに、その中間に位置する部分で神経管の背側表皮の下に埋め込まれる細胞群が存在することを報告しました。そしてその3つめの細胞群を zwischenstrang と名付けました(1、図166-1)。この言葉は脳科学辞典では間索と訳していますが(2)、まさしく神経堤のことです。ヒスの本はドイツ語の長大なものですが、フリーで読めます(1)。私はもちろん読んでおりませんが、多数の図版が収録されていて、それを眺めるくらいはしました。

ヒスはまた zwischenstrang に含まれる細胞が骨髄神経節が発生する位置に移動することから、ganglionic crest という造語も行いました。ヒスは ganglionic crest が脊髄神経節をつくると信じていましたが、それは当時の発生学者には認められず、彼の説が認められるには半世紀の歳月を要しました。

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図166-1 神経堤を発見したヴィルヘルム・ヒス

神経堤の研究史に、次に大きな足跡を残したのはジュリア・プラットです(3、図166-2)。彼女は19世紀の当時としては大変珍しい女性の発生学者だったせいか、なかなか良いポストに就けず米国や欧州を転々として、博士号を得たのも40才を過ぎてからでした。しかし彼女が1890年代に次々と発表した論文は、この分野では古典とも言えるものです。なかでも外胚葉である神経堤が骨や軟骨を形成するという報告は革新的でしたが、当時の発生学者には全く認められませんでした。骨や軟骨は中胚葉からつくられるというのが当時の常識でした。ヒスと同様、彼女の学説も認められるまでに長い年月を要しました。

彼女は結局満足できるポジションを獲得できなかったので、カリフォルニアの地方都市(Pacific Grove)の市長になって、ラッコの保護に力を尽くしました(当時は毛皮をとるために乱獲されがちでした)。現在でもカリフォルニアの海岸でラッコを見ることができるのは、彼女の尽力があってのことだとされています(4)。

20世紀の前半には生体染色法を使って神経堤の細胞を染色し、その動態をさぐるという研究が行われました(5-6)。これによって完全な証明にはならないものの、プラット説はかなり信用度を増すことになりました。またレイヴンはサンショウウオとイモリを使った移植実験で神経堤細胞が感覚神経をつくることを証明しようと試みました(7)。これらの実験は示唆に富んだものではありましたが、細胞の識別がクリアではなかったので、まだ隔靴掻痒感は残りました。そんな中でラ・ドゥアランは日本のウズラの細胞が非常に識別しやすい特徴を持っていることを発見し(8、図166-2)、ニワトリ胚にウズラの組織を移植すれば(またはその逆)その移植片の発生運命がはっきとたどれると考えました(9、図166-2)。図166-2にみられるように、ウズラの細胞では染色体が核小体のまわりに集中して大きな塊になって見えるので、一目瞭然でニワトリの細胞と識別できるのです(8、10)。

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図166-2 神経堤細胞の行く先をさぐる

神経管は図166-3のように外胚葉の神経板が胚の内部に落ち込むことによって形成されます。このとき神経堤の細胞は一部が神経管にとりこまれ、一部は閉じられた予定皮膚の外胚葉と神経管の間のスペースに取り残されます。取り残された細胞(MNCC = migratory neural crest cells)はすぐに移動をはじめ、神経管最上部の細胞(pMNCC = premigratory neural crest cells)もそれに続いて移動します(11、図166-3)。

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図166-3 神経管形成前後の神経堤細胞

胚内部に落ち込む際に、神経堤細胞はその性質を大きく変化させます。上皮細胞の特徴である1)外側と内側で異なるタンパク質を配置し極性をつくる、2)細胞同士を側面で結合させてシートを形成する、などの性質を失い極性をもたずフリーに動く間葉系細胞(胚に特有の未分化細胞)に変化します。これを Epithelial–mesenchymal transition (EMT 上皮間葉転換)といいます。この際にEカドヘリンとギャップジャンクションの喪失が大きな役割を果たすとされています(12、図166-4)。EMTは正常な発生や分化の場面だけで行われれば良いのですが、癌の転移の際にも似たようなメカニズムが発動するといわれています(12)。

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図166-4 上皮間葉転換

ラ・ドゥアランらの手法などを使って、現在では神経堤の細胞が様々な組織を形成することが明らかになっていて、それが脊椎動物の大きな特徴であることがわかりました(11)。神経管は頭から下半身まであるので、神経堤も同じ長さです。図166-5は上半身についてですが、神経堤の細胞はまず咽頭弓を形成し、そこから脳の一部、眼、顔面の骨、角膜、歯、アゴ、聴覚用の骨、神経、血管、舌骨、甲状腺、副甲状腺などを形成することが示してあります(13)。これらは中胚葉由来の細胞と共同してつくられることもあります。

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図166-5 頭部周辺と神経堤細胞

図166-6はある血管がドナーの神経堤由来細胞とホストの中胚葉由来細胞とのキメラで構成されていることを示しています(10、14)。このことは血管が外胚葉性の神経堤細胞と中胚葉性の細胞との共同作業で形成されることを意味しています。

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図166-6 キメラ血管壁 (10)

神経堤細胞がどのような細胞に分化し、組織を形成するかをまとめたのが図166-7です(脳科学辞典の神経堤からお借りした図版、15)。特に神経系の構成を進化上リニューアルすることに大きく貢献していることがわかります。これによって脊椎動物はウルバイラテリア以来の動物の枠組みを乗り越えた形態形成を行うことができました。

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図166-7 神経堤細胞の分化・予定運命のまとめ

参照

1)Wilhelm His, Untersuchungen uber die erste Anlage des Wirbeltierleibes. Die erste Entwicklung des Huhnchens im Ei., Leipzig: F. C. W. Vogel 1868.
https://archive.org/details/untersuchungen1868hisw/page/n5/mode/2up

2)脳科学辞典:神経堤
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A0%A4

3)Julia B. Platt. Ectodermic Origin of the Cartilages of the Head., Anat. Anz., VIII. vol.8, pp.506-509 (1893)
See also: J. S. KINGSLEY., The origin of the vertebrate skeleton., The American Naruralist vol.XXVIII p.332 (1894)
https://www.journals.uchicago.edu/doi/pdf/10.1086/275985

4)Wikipedia: Julia Platt
https://en.wikipedia.org/wiki/Julia_Platt

5)Detwiler, S.R., Application of vital dyes to the study of sheat cell origin. Proc. Soc. Exp. Biol. Med. vol.37, pp.380–382 (1937)
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3181/00379727-37-9579P?journalCode=ebma

6)Hörstadius, S., The Neural Crest., Oxford University Press, Geoffrey Cumberlege (1950)
https://www.amazon.com/Neural-Crest-Sven-HORSTADIUS/dp/B000K717LE

7)Raven, C.P., Experiments on the origin of the sheat cells and sympathetic
neuroblasts in Amphibia. J. Comp. Neurol. vol.67, no.2 pp.221–240. (1936)
https://www.deepdyve.com/lp/wiley/experiments-on-the-origin-of-the-sheath-cells-and-sympathetic-MomfRSwyoQ

8)Le Douarin, N., Details of the interphase nucleus in Japanese quail (Coturnix
coturnix japonica). Bull. Biol. Fr. Belg. vol.103, pp.435–452.(1969)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4191116/

9)Le Douarin, N., A biological cell labeling technique and its use in experimental
embryology. Dev. Biol. vol.30, pp.217–222. (1973)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4121410/

10)Domenico Ribatti, Nicole Le Douarin and the use of quail-chick chimeras to study the developmental fate of neural crest and hematopoietic cells., Mechanisms of Development, vol.158, 103557 (2019)
https://doi.org/10.1016/j.mod.2019.103557

11)Joshua R. York and David W. McCauley, The origin and evolution of vertebrate neural crest cells., Open Biol., vol.10, issue 1, 190285 (2020) https://doi.org/10.1098/rsob.190285
https://royalsocietypublishing.org/doi/pdf/10.1098/rsob.190285

12)Wikipedia: Epithelial–mesenchymal transition
https://en.wikipedia.org/wiki/Epithelial%E2%80%93mesenchymal_transition

13)File: Cranial Neural Crest Cells - migration.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cranial_Neural_Crest_Cells_-_migration.jpg

14)Roncali, L., Virgintino, L., Coltey, P., Bertossi, M., Errede, M., Ribatti, D., Nico, P.,Mancini, L., Sorino, S., Riva, A., Morphological aspects of the vascularizazion in intraventricular neural transplants. Anat. Embryol. vol.193, pp.191–203. (1996)

15)脳科学辞典:神経堤
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A0%A4

 

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2021年12月 3日 (金)

ボルケーノ・パーク(天火 Sky Fire)

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WOWOWで中国のパニック大作映画「天火(Sky Fire)」邦題ボルケーノ・パークを見ました。スケールの大きいハリウッドも顔負けの映画っていうより、ハリウッド映画の伝統をきっちり受け継いだ映画のように思いました。内容は火山島にあるリゾートが噴火でパニックになるというお話です。

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グラフィックがすごいですし、この画像の主演女優ハンナ・クインリヴァン 昆凌 Kun Ling = 本名:武誼蓁 (ウー・イージェン)の存在感も素晴らしいものがあります。ただアクションとグラフィックに力点を置いたために、人間関係にいまいち深みを与えられなかったという点で超B級映画との批判もあり得ます。もともとハリウッド映画がそうだといえばそうなのですけどね。U-Next などで見られます。
https://video.unext.jp/title/SID0054443

参照

https://eiga.com/movie/93793/

https://movies.yahoo.co.jp/movie/374054/

(画像はウィキペディアより)

 

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2021年12月 1日 (水)

新型コロナワクチンの毒性 新知見

ファイザーやモデルナの改造mRNAワクチンは、そのままでは細胞に入らないので、脂質ナノ粒子の膜に包んで投与します。そうするとmRNAがうまく細胞内にとりこまれます。

フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学のグループが驚愕の発表をしました。その内容はmRNAワクチンの毒性は、mRNAよりむしろそれを包んでいる脂質ナノ粒子によるものだというものです。これは盲点をつかれました。しかしおそらくメーカーはこのことには最初から気づいていたのではないでしょうか?

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参照

Sonia Ndeupen, Zhen Qin, Sonya Jacobsen, Aurelie Bouteau, Henri Estanbouli, and Botond Z. Igyarto
The mRNA-LNP platform’s lipid nanoparticle component used in preclinical vaccine studies is highly inflammatory
iScience. 2021 Nov 20 : 103479.
doi: 10.1016/j.isci.2021.103479

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8604799/

 

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