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2021年11月27日 (土)

南アフリカの新型コロナウィルス(オミクロン)

新型コロナウィルスの正式名称は SARS-CoV-2 で、2002年に流行したSARSのウィルスは SARS-CoV なので親戚に当たります。2013年に流行した MERS-CoV も親戚筋です。これらのウィルスが持つ酵素や構造タンパク質はゲノムDNAの配列が90%以上一致していて(1)、タンパク質レベルではほぼ同じだと思われます。その主要なものは増殖のための酵素、タンパク質分解酵素、ホストの正常な蛋白合成を妨げる因子、スパイクタンパク質、外殻構造タンパク質、遺伝物質を覆って保護するタンパク質などです。

SARS と MARS の違いはスパイクタンパク質が結合するホストのタンパク質が異なることで、前者は angiotensin-converting enzyme 2 受容体、後者は dipeptidyl peptidase 4 受容体にとりついて細胞内に侵入します。このあたりのメカニズムがそれぞれ異なることは予想されます。

最近南アフリカで発生し蔓延している新型コロナウィルスの B.1.1.529 という変異株(オミクロンと命名されたようです)が話題になっています。Christina Pagel 博士が発表した下図(2)のピンクの部分がスパイクタンパク質をコードするゲノム領域です。今回発生した変異体は、この図で数えると33ヵ所の変異が認められます。スパイクタンパク質にも多数の変異が見られます。これだけ変異が見られるにもかかわらず感染する能力が失われていないのが驚異的です。これだけ変異していると、ワクチンや抗体治療薬も全く役に立たない可能性が大です。まあmRNAワクチンはシーケンスを変えればよいだけなので、変異ウィルスに対応した新しいものがそのうち出てくるでしょうが。

Dr-christina-pagel

私はワクチンを接種した翌々日から左胸に違和感が発生し、数ヶ月経った今でもその押されるような嫌な気分の違和感はなくなりません。ファイザーやモデルナの分解困難なように改造されたmRNAは、不活化はされても完全に体内からなくなりはしないと思います。数ヶ月経っても違和感がなくならないのはmRNAが造ったスパイクタンパク質のせいではなく、処理できないmRNAの部分分解産物が抗原となって免疫反応を引き起こしているのではないかと疑っています。

それはさておき、このオミクロンの日本侵入だけは勘弁して欲しい。

1)Ahmad Abu Turab Naqvi et al., Insights into SARS-CoV-2 genome, structure, evolution, pathogenesis and therapies: Structural genomics approach., Biochim Biophys Acta Mol Basis Dis. 2020 Oct 1; 1866(10): 165878.Published online 2020 Jun 13. doi: 10.1016/j.bbadis.2020.165878
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7293463/

2)Threader: Prof.Christina Pagel
https://threader.app/thread/1463885539619311616



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