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2021年11月30日 (火)

オミクロン株の流入

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日本の検疫は基本抗原検査でやっているそうです。抗原検査というのは、その抗原と特異的に結合する抗体を使って抗原を検出するという方法ですが、この方法の特異性とか検出感度は使用する抗体に依存します。ですから一概に精度が高いとか低いとかは言えません。

私たちにウィルスが感染すると、そのウィルスが持っている様々なタンパク質に対する抗体ができて中和しようとします。このときできた多種類の抗体のことをポリクローナル抗体といいます。ウィルスをウサギに投与して、ウサギの血液を採取するとポリクローナル抗体を集めることができますが、このような抗体は投与したウサギによって質・量ともさまざまなものができるため品質がバラバラとなりますし、もちろん精製しないと使えません。大量生産にも向いていません。実は単一のタンパク質を動物に投与しても、抗体は複数の種類ができてしまいます。

これに対してモノクローナル抗体は試験管内で作ることができる均一な抗体で、抗原検査は通常このモノクローナル抗体を使って行われます。新型コロナウィルスの場合、何を抗原とするモノクローナル抗体を作成するかというと、ヌクレオキャプシドという遺伝物質の保護構造を形成するタンパク質(コアタンパク質)を抗原とする場合が多いようです。このタンパク質はひとつのウィルスに含まれる量が多いからなのでしょう。

ですから抗原検査の精度については、ある株のウィルスのコアタンパク質に対して作られた抗体を使うと、その株の検出には高い精度で対応できるわけです。しかしたとえばデルタ株のコアタンパク質に対する抗体を使って、他の株を検出しようとすると、その精度はその株のコアタンパク質がどのくらいデルタ株と異なるか(変異しているか)によります。

したがって貧乏でせっかちなためPCR検査がままならないわが国の空港や港湾では、オミクロン株の検出がままならず流入を阻止できない可能性が高いのです。ですから岸田総理が外国人の全面入国禁止措置を行ったのはやむを得ないといえます。もう一つ重要なことは邦人の帰国の際に抗原検査ではなく必ずPCR検査と隔離を行うことです。これによってオミクロン株の流入を理論上は完全に防げますが、多分PCR検査用のプローブ(オミクロン株のRNAに相補的な配列を持つDNA)が間に合わなかった可能性が強いので、すでに国内に流入しているかもしれません。それがないように祈りたいです。

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2021年11月27日 (土)

南アフリカの新型コロナウィルス(オミクロン)

新型コロナウィルスの正式名称は SARS-CoV-2 で、2002年に流行したSARSのウィルスは SARS-CoV なので親戚に当たります。2013年に流行した MERS-CoV も親戚筋です。これらのウィルスが持つ酵素や構造タンパク質はゲノムDNAの配列が90%以上一致していて(1)、タンパク質レベルではほぼ同じだと思われます。その主要なものは増殖のための酵素、タンパク質分解酵素、ホストの正常な蛋白合成を妨げる因子、スパイクタンパク質、外殻構造タンパク質、遺伝物質を覆って保護するタンパク質などです。

SARS と MARS の違いはスパイクタンパク質が結合するホストのタンパク質が異なることで、前者は angiotensin-converting enzyme 2 受容体、後者は dipeptidyl peptidase 4 受容体にとりついて細胞内に侵入します。このあたりのメカニズムがそれぞれ異なることは予想されます。

最近南アフリカで発生し蔓延している新型コロナウィルスの B.1.1.529 という変異株(オミクロンと命名されたようです)が話題になっています。Christina Pagel 博士が発表した下図(2)のピンクの部分がスパイクタンパク質をコードするゲノム領域です。今回発生した変異体は、この図で数えると33ヵ所の変異が認められます。スパイクタンパク質にも多数の変異が見られます。これだけ変異が見られるにもかかわらず感染する能力が失われていないのが驚異的です。これだけ変異していると、ワクチンや抗体治療薬も全く役に立たない可能性が大です。まあmRNAワクチンはシーケンスを変えればよいだけなので、変異ウィルスに対応した新しいものがそのうち出てくるでしょうが。

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私はワクチンを接種した翌々日から左胸に違和感が発生し、数ヶ月経った今でもその押されるような嫌な気分の違和感はなくなりません。ファイザーやモデルナの分解困難なように改造されたmRNAは、不活化はされても完全に体内からなくなりはしないと思います。数ヶ月経っても違和感がなくならないのはmRNAが造ったスパイクタンパク質のせいではなく、処理できないmRNAの部分分解産物が抗原となって免疫反応を引き起こしているのではないかと疑っています。

それはさておき、このオミクロンの日本侵入だけは勘弁して欲しい。

1)Ahmad Abu Turab Naqvi et al., Insights into SARS-CoV-2 genome, structure, evolution, pathogenesis and therapies: Structural genomics approach., Biochim Biophys Acta Mol Basis Dis. 2020 Oct 1; 1866(10): 165878.Published online 2020 Jun 13. doi: 10.1016/j.bbadis.2020.165878
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7293463/

2)Threader: Prof.Christina Pagel
https://threader.app/thread/1463885539619311616



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2021年11月25日 (木)

続・生物学茶話165:脊索の起源をめぐって

ノトコード(脊索)の存在をはじめて記載したのはエストニア生まれの生物学者フォン・ベーアだとされています(1、2、図165-1)。これは1828年のことで、彼の記載はニワトリについてのものですが、すぐに他の脊椎動物についても同様な組織がみつかって、1836年にはナメクジウオについても報告されているそうです(2、3)。私は入手していませんが、このYarellの本は復刻されて販売されています(3)。フォン・ベーアの本も(図165-1)ドイツ語の大著なので、私はとりついておりません。ドイツ語がわかる方はウェブでフリーで読めます(1)。

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図165-1 フォン・ベーアによる脊索の発見

その後ノトコードの研究に深く関わったのはアレクサンダー・コヴァレフスキーというロシアの発生生物学者で、彼はナメクジウオのノトコードの発生や性質について詳しく研究し、ノトコード研究の父とも言える人です(4)。彼の名が知れ渡ったのは、ホヤの幼生がノトコードを持っていることを報告したからです(5、6、図165-2)。フォン・ベーアはホヤは軟体動物だとしていましたし、一般的にもそう認識されていたので、脊椎動物と近縁であることがわかったときには、すべての研究者が驚いたことでしょう(2)。ホヤは成体になるとノトコードを消失させます(図165-2)。これは脊椎動物と同じです。

図165-2の赤丸1がノトコード、紺丸2が神経索です。しかし成体ホヤではどちらも記載されていません。ホヤの場合成体ではノトコードは消失しますが、なんと中枢神経系の細胞も成体になるときにいったんほとんど死滅してしまいます。その後グリア細胞によってニューロンが新生し中枢神経系が再構築されるようです(7)。再生された成体の中枢神経系は幼生の中枢神経系のような目立つ構造ではないので、このウィキペディアの図では描かれていないのでしょう。

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図165-2 コヴァレフスキーの研究

ノトコードの起源については大きく分けて2つの仮説があります。ひとつは脊索動物が独自に獲得した固有の構造であるという考え方、もうひとつは環形動物などのアクソコードと相同であり、ウルバイラテリアン(最初に左右相称性を獲得した動物)の時代から存在しているという考え方です(8)。どちらが正しいかというのはなかなか難しい問題です。というのはカンブリア紀(5億4100万年前~4億8500万年前)にすでに脊索動物が存在し、ミロクンミンギアのようにすでに脊椎をもっていたと思われるような動物までが存在していたことが化石から示唆されているからです(9、10、図165-3)。

カンブリア紀に生きていた Vetulicolia という生物については前口動物(Protostomia)か後口動物(Deuterostomia)かという論争がありましたが、García-Bellido らによってノトコードをもつと思われる個体の化石が報告され、後口動物であることが強く示唆されました(11、図165-3)。これによってカンブリア紀前期にはすでに立派なノトコードを持つ生物が存在していて、ノトコードの起源はおそらくエディアカラ紀以前ということになりました。このことは化石から解決を求めることが極めて困難であることを意味します。

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図165-3 カンブリア紀の脊索動物 ヴェトゥリコリアは脊索をもっていた
ウィキペディアと参照文献(11)より

Sui らの総説に後口動物のノトコードと前口動物のエクソコードを比較した断面図があったので、図165-4として示しました(8、165-5と共に非商用利用が引用を条件に許可されています)。アクソコードは環形動物におけるノトコードのホモログとしてラウリらが名付けた構造です(12)。アレントらはこの正中線に沿って、まだ内胚葉とはっきり区別できない中胚葉から形成される構造アクソコードは、ほとんどの環形動物に存在し、また他の前口動物にも認められるノトコードのホモログであり、始原的左右相称動物であるウルバイラテリアの時代から存在する基本構造であると主張しています(12,13)。

脊椎動物(ゼブラフィッシュ)と尾索動物(ホヤ)では、成体になるとノトコードは失われるので、幼生の図です。頭索動物(ナメクジウオ)と、ここでは唯一の前口動物(環形動物)ではそれぞれノトコード・アクソコードは成体にもみられます。ただし脊索動物では背腹軸が逆転している(ジョフロワ説)とされているので、背腹(上下)の位置関係は異なります。A-Cでは上(背)から予定表皮・神経管・ノトコードとなりますが、Dではアクソコード・神経管・予定表皮の順になっています。あとノトコードはシングルなのに、アクソコードはダブルという違いもあります(図165-4)。

環形動物のアクソコードは基本的に筋肉です。頭索動物ナメクジウオのノトコードはやはり筋肉ですが、尾索動物ホヤや脊索動物ゼブラフィッシュではかなり液体の部分が増えて、構造が著しく変化しています(8)。これはおそらくこれらの動物では成体ではこの組織そのものは消失するので、後継の組織にバトンタッチすれば良いからでしょう。神経または神経+骨髄を誘導すればノトコードの組織としての役割は終わり、パワーユニットとしてのノトコードは不要なのです。

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図165-4 ノトコード・アクソコードと中枢神経の位置

ノトコードとアクソコードで発現している主要な転写因子を並べたのが図165-5です(8)。発生初期の中胚葉で発現している因子とはガラッと変わっていることがわかります。特筆すべきはノトコードとアクソコードで発現している因子がほとんど同じだということで、これは両者がホモローガスであることを強く示唆しています。特に Brachyury (ブラキウリ、ブラチュリーなど発音が定まっていないようです)というノトコードの形成に最も重要な因子がアクソコードでも発現していることは重要です。唯一 Not という因子がノトコード特異的に発現していますが、これを命名した人は頭がおかしいのではないかと疑います。こんな名前をつけたら検索すらできないじゃありませんか? というわけでこれはパスします。

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図165-5 ノトコードとアクソコードに発現する転写因子の比較

 

参照

1)von Baer KE. Uber Entwickelungsgeschichte der Thiere, Beobachtung und Reflexion. Part 1. Konigsberg: Borntrager; (1828)
https://www.biodiversitylibrary.org/item/28306#page/16/mode/1up

2)Giovanni Annona, Nicholas D. Holland and Salvatore D’Aniello, Evolution of the notochord., EvoDevo vol.6: no.30 (2015)
DOI 10.1186/s13227-015-0025-3

3)Yarrell W. A history of British fishes, vol. 2. 1st ed. London: Van Voorst;
1836.
https://www.amazon.co.jp/History-British-Fishes-2/dp/1179686616

4)Kowalevsky A. Weitere Studien uber die Entwickelungsgeschichte
des Amphioxus lanceolatus, nebst einem Beitrage zur Homologie
des Nervensystems der Wurmer und Wierbelthiere. Arch Mik Anat.
1877;13:181-204.

5)Kowalevsky A. Entwickelungsgeschichte der einfachen Ascidien. Mem
Acad Imp Sci St-Petersbourg (Ser VII). 1866;10(number 15):1-19.

6)Wikipedia: Alexander Kowalewsky
https://en.wikipedia.org/wiki/Alexander_Kovalevsky

7)Takeo Horie, Ryoko Shinki, Yosuke Ogura, Takehiro G. Kusakabe, Nori Satoh, Yasunori Sasakura, Ependymal cells of chordate larvae are stem-like cells that form the adult nervous system., Nature, vol.469, pp.525-528 (2011) DOI: 10.1038/nature09631
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21196932/
https://www.shimoda.tsukuba.ac.jp/~sasakura/research_CNS_reconstruction.html

8)Zihao Sui, Zhihan Zhao and Bo Dong, Origin of the Chordate Notochord., Diversity, vol.13, 462. (2021) https://doi.org/10.3390/d13100462

9)ウィキペディア:ミロクンミンギア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%82%A2

10)Wikipedia: Vetulicolia
https://en.wikipedia.org/wiki/Vetulicolia

11)Diego C García-Bellido, Michael S Y Lee, Gregory D Edgecombe, James B Jago, James G Gehling and John R Paterson, A new vetulicolian from Australia and its bearing on the chordate affinities of an enigmatic Cambrian group., BMC Evolutionary Biology vol.14:214 (2014) DOI:10.1186/s12862-014-0214-z
https://www.researchgate.net/publication/266566755_A_new_vetulicolian_from_Australia_and_its_bearing_on_the_chordate_affinities_of_an_enigmatic_Cambrian_group

12)Lauri A, Brunet T, Handberg-Thorsager M, Fischer AHL, Simakov O, Steinmetz
PRH, Tomer J, Keller PJ, Arendt D. Development of the annelid axochord: insights into notochord evolution. Science. vol.345: pp.1365–1368.(2014) DOI:10.1126/science.1253396
https://www.researchgate.net/publication/265606919_Development_of_the_Annelid_Axochord_Insights_into_notochord_evolution

13)Thibaut Brunet, Antonella Lauri and Detlev Arendt, Did the notochord evolve from an
ancient axial muscle? The axochord hypothesis., Bioessays vol.37: pp.836–850 (2015) DOI:10.1002/bies.201500027
https://www.researchgate.net/publication/280124751_Did_the_notochord_evolve_from_an_ancient_axial_muscle_The_axochord_hypothesis

 

 

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2021年11月23日 (火)

サラとミーナ258:納まるべきところに

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とても珍しく、サラとミーナがこちらが用意してここで寝て欲しいという場所で寝ています。

最近は値上がりしたり量が減ったりする商品が多いですが、猫砂も結構値上がりしています。トフカスサンドもなかなか安いものは手に入りにくくなっています。アマゾンよりペットショップが安いので、重い砂をかかえてかえることが多くなりました。

休日の100円ショップのこみ方もひどいです。レジの列が数十メートルにもなります。日本は国債を大量に発行しているので、金利を上げられません。上げると国家が借金返済で破滅します。でどうなるかというと円安です。これで生活が苦しくなります。

日本の企業の国家支配が進んでいますが、ついに新生銀行の買収防衛に対して国家が反対するという事態になりました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211123/k10013358231000.html

台湾の半導体工場を政府が日本に誘致するというのも、日本が国家社会主義に踏み出したという証拠です。
私はそれに反対しているわけではなく、むしろ遅きに失していると思っています。

ただそうやって国家ぐるみで産業をささえようとしても、結局中国や米国にかなうわけはなく、水野和夫流に世界資本支配と世界自由貿易戦争を拒否した「閉ざされた国家連合」で生存を計るのがベターだと思います。国家連合内で自給自足すれば、過度な競争による賃金の抑制や負け組の破滅が避けられます。

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2021年11月21日 (日)

チャビ・エルナンデスの帰還

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チャビ・エルナンデスがバルサの監督として帰還しました。スペインサッカー協会のルールでメッシをかかえられなくなったバルサ。故障者が続出する上に補強もままならなくなり、衰退の一途をたどりそうでしたが、チャビが奇跡の再建をなしとげられるかどうか?

今日の試合はエスパニョールが前半ドン引きだったので変化はよくわかりませんが、サイドを突破してからマイナスのパスを中央にもどすという場面が多かったように思いました。PKはご祝儀みたいなものでした。後半はピンチの連続で、よくまあ勝てたものだと思います。ちょっと目を引いたのが、後半右エストレーモで登場したアブデ(アブデサマド・エザルゾウリ)という選手で、ドリブル突破もできるし、クロスも割と正確という・・・なかなかいいじゃないの! 使うべし。
https://www.fcbarcelona.jp/ja/news/2317861/

土曜日にチャンピオンズリーグのライプツィッヒ vs パリの試合を覗いてみましたが、ライプツィッヒのスタジアムは人数制限なしでほとんどマスクしている人はいません。おまけに大騒ぎでチームを応援。これじゃあいくらワクチンパスポートがあっても、感染爆発が起きるのは当たり前です。いいかげんでワクチン至上主義はダメだということを理解して欲しい。私はドイツという国はかなりリスペクトしていたのですが、こんなにバカな人が多くてはどうしようもありませんね。

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From Worldometer

これにくらべるとカンプノウは7万人入場したそうですが、かなりの人がマスクをしていました。でもしていない人もそこそこいたので、ドイツほどではないにしても、感染再拡大しそうな悪い予感がしました。

(チャビの写真はウィキペディアより)

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2021年11月19日 (金)

続・生物学茶話164:脊索(ノトコード)

クラゲなどの一部を除き多くの動物には口と肛門があり、それをつなぐパイプ(消化管)を持っています。ともかく捕食して排泄しないと動物は生きていけません。卵はひとつの細胞ですが、それがランダムに分裂を繰り返すと大きな球ができるだけなので、なんらかの方法で形態形成を行う必要があります。すなわち、あるタイミングで胚という細胞塊に「消化管というひとつのパイプを貫通させる」というトンネルを作成する作業が必要です。

カエルの卵がよくモデルとして利用されます。穴掘りのきっかけを作るのがボトル細胞という細胞群で、この細胞は外界と接する外側にアクチンとミオシンによる筋肉と同様な収縮システムを持っており、この作用によって細胞の外側だけ収縮させて原口というくぼみをつくります(1、図164-1)。このようなくぼみができない状態で、左右から力が加われば図164-1Aのように、胚に土手のような構造ができるはずです。紙のシートで試してみればわかります。ですから少しでもくぼみができることは生物が形態を形成する上で非常に重要です。

原口は外から見るとくぼみ(割れ目)ですが、内から見るとこれは土手です。最外層の内側で増殖する細胞はこの土手によって行く手を防がれ方向転換して内部へとなだれ込みます(図164-1)。この細胞の動きにともなって割れ目は深く進展し、外側の細胞も巻き込んで原腸が形成されていきます。この割れ目から内部に落ち込んだ細胞が中胚葉を形成し、消化作業を行う本物の腸は内胚葉細胞によって完成されます。最初にくぼみを作るボトル細胞は、それが形態形成を主役として実行するわけではなくて、ひとつのきっかけをつくるという意義を持つものです。原腸形成前後のプロセスは昔からどんな発生学の教科書にも書いてあることですが、そのメカニズムは非常に複雑でいまだに不明な点が多く解明が待たれます(2、3)。

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図164-1 原腸陥入 Findings by Lee and Harland

カエルの卵の原口は大きく湾曲していますが、脊椎動物の原口はストレートな形状になっていて、原始線条または原条とよばれ、カエルの場合と同様に細胞がここから内部に落ち込んで中胚葉が形成されます(4、図164-2)。もともとはカエルの原口に相当すると思われる部位は鳥類ではヘンゼン結節、哺乳類ではノードとよばれています。内部に落ち込んだ細胞によって中胚葉が形成されます。

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図164-2 脊椎動物の原条形成

脊索動物門の生物は他の門の生物と異なり、落ち込んだ中胚葉細胞によって脊索(ノトコード)を形成します(5、6、図164-3)。脊索はコラーゲン線維に包まれた棒状の構造物で、中の細胞は糖タンパク質を豊富に含みます(7)。始原的左右相称動物では、この左右に筋肉を付着させて迅速な移動を行うために有用だったと思われますが、現生の脊索動物では中枢神経系を誘導したり、脊椎を構築してその一部となるなど新たな機能が追加されることになりました。脊索は図164-3のように外胚葉の一部をくびれさせて神経索を誘導したり、その際に第4の胚葉といわれる神経堤(neural crest)が出現させたりします。神経堤は将来各種末梢神経系の神経細胞や、シュワン細胞・メラニン細胞(メラノサイト・皮膚の色素細胞)・副腎髄質などのクロム親和性細胞、心臓の平滑筋・顔面の骨や軟骨・角膜や虹彩の実質・歯髄など、後に多様な細胞種に分化することになります(8)。

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図164-3 脊索と神経索

ノトコードによる神経誘導にはソニックヘッジホッグタンパク質(Shh) が重要な役割を果たしていると思われますが、チェンバレンらはこれを証明するために、Shh の遺伝子にGFP(緑色蛍光タンパク質)の遺伝子を組み込みました(9、図164-4)。プロセッシングによってC側が切り取られたときに、C側に代わってコレステロール化される位置に組み込んだので受容体は Shh と認識してくれるようです。組み込まれたGFPによって Shh を緑色に光らせると、図164-4DとEのように、ノトコードからフロアプレートあたりに、胎生8.5日目から9.5日目にかけて光る部分が広がっていることがわかります。

しかし実際は一筋縄ではいきません。Shh-GFP 遺伝子のmRNAを調べたところ、ノトコードだけではなく、神経管のフロアプレートにも検出されたのです(図164-4AB)。このような現象は Gli2をホモで欠損しているミュータントではおこりません(図164C)。したがっておそらくノトコードからの Shh の情報を受けて、Gli2 などの作用でフロアプレートの一部の細胞が Shh を合成し始めたと思われます。このことは単純にノトコードがリガンドを使って神経を誘導するというニュアンスとは少し違って、予定神経領域が自ら神経への誘導を行っていることを示唆しています。

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図164-4 ソニックヘッジホッグの発現

外胚葉にはBMPの分子群がもともとあって神経への変化を妨げているのですが、ノトコードはここから落ち込んだ細胞のBMPの作用を妨げて神経への分化を誘導します。脳科学辞典の神経誘導の項目を見ると Noggin/Chordin/Follistatin はBMPリガンドに結合して無効化することによって神経誘導を行うと記載しています(10、図164-5)。マイヤーズとケスラーによると、 Shh の他 Noggin、Chordal、そしてBMPと同じTGF-βスーパーファミリ-に属する Nodal がノトコード側の因子としてアンチBMPとして機能しているようです(11)。これらによってそのままだと表皮になってしまうはずの外胚葉が神経組織に誘導されます。

脊椎動物の場合、神経管が誘導されるとそれで終わりではなく、神経管および周囲の組織を巻き込んでさらに複雑な脊椎や運動神経・感覚神経などを制作することになるので、その準備を始めなければいけません。ルーフプレート由来のGDFやWNTはその準備作業を行うようです。マイヤーズとケスラーは神経管内におけるさまざまな領域分化について言及しています(11)。

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図164-5 BMPの作用を抑制する

神経管や周辺組織が脊椎などを造るステージに入ったときに、円口類を除く脊椎動物ではノトコード(脊索)が消失します。ハーフェやリスバッドはノトコードという構造は解体されても、その細胞は髄核の中で生き延びると主張しています(12、13、図164-6)。確かに Shh は椎間板の内部にある髄核に発現しています(図164-6)。詳細なエヴィデンスを知りたい方は原著をご覧ください。ハーフェの論文の筆頭著者であるチョイさんのよい画像はみつからなかったので掲載できませんでした。

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図164-6 脊索の運命について

椎間板は内部の髄核とそれを取り囲む線維輪からなり、脊椎のクッションとなって体重をささえている重要な組織です(14)。

参照

1)Lee, J.; Harland, R. M., Actomyosin contractility and microtubules drive apical constriction in Xenopus bottle cells". Devel. Biol. vol.311, pp.40-52. (2007)  doi:10.1016/j.ydbio.2007.08.010. PMC 2744900 Freely accessible. PMID
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012160607012559?via%3Dihub

2)Huang Y, Winklbauer R., Cell migration in the Xenopus gastrula. Wiley Interdiscip Rev Dev Biol., vol.7(6): e325. doi: 10.1002/wdev.325. (2018)
https://www.researchgate.net/publication/326017419_Cell_migration_in_the_Xenopus_gastrula

3)福井彰雅 原腸陥入運動とケモカインシグナル 生物物理 vol.48(1),pp.23-29(2008)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/48/1/48_1_023/_pdf

4)S. Chernoivanenkoa, An. A. Minina, and A. A. Mininb, Role of Vimentin in Cell Migration., Russian J. Develop. Biol., Vol.44, No.3, pp.144–157 (2013)
https://www.researchgate.net/publication/257852243_Role_of_vimentin_in_cell_migration

5)Wikipedia: Neural plate
https://en.wikipedia.org/wiki/Neural_plate

6)Derek L. Stemple, Structure and function of the notochord: an essential organ for chordate development., Development vol.132, pp.2503-2512 (2005) doi:10.1242/dev.01812
file:///C:/Users/morph/AppData/Local/Temp/structure-and-function-of-the-notochord-an-essential-organ-for-chordate-development.pdf

7)Wikipedia: Notochord
https://en.wikipedia.org/wiki/Notochord

8)脳科学辞典:神経堤
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A0%A4

9)Chester E. Chamberlain, Juhee Jeong, Chaoshe Guo, Benjamin L. Allen, Andrew P. McMahon, Notochord-derived Shh concentrates in close association with the apically positioned basal body in neural target cells and forms a dynamic gradient during neural patterning.,
Development vol.135 (6): pp.1097–1106. (2008) https://doi.org/10.1242/dev.013086
https://journals.biologists.com/dev/article/135/6/1097/65055/Notochord-derived-Shh-concentrates-in-close

10)脳科学辞典:神経誘導
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E8%AA%98%E5%B0%8E

11)Emily A. Meyers and John A. Kessler, TGF-b Family Signaling in Neural and
Neuronal Differentiation, Development, and Function., Cold Spring Harb Perspect Biol ; vol.9, no.8 a022244 (2017) doi: 10.1101/cshperspect.a022244.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28130363/

12)Choi KS, Cohn MJ, Harfe BD,Identification of nucleus pulposus precursor cells and notochordal remnants in the mouse: implications for disk degeneration and chordoma formation. Dev Dyn., vol.237(12): pp.3953–3958. (2008) doi:10.1002/dvdy.21805
https://anatomypubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/dvdy.21805

13)Makarand V. Risbud, Thomas P. Schaer, and Irving M. Shapiro, Towards an understanding of the role of notochodal cells in the adult intervertebral disc: from discord to accord. Dev Dyn., vol.239(8): pp.2141–2148.(2010) doi:10.1002/dvdy.22350
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3634351/

14)腰痛|症状や原因: 椎間板の役割
https://www.lumbago-guide.com/intervertebral-disc.html

 

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2021年11月16日 (火)

J-POP名曲徒然草217:愛が消えないように by まきちゃんぐ

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新型コロナ感染症の蔓延は、特に零細な飲食業界や音楽業界に大きな影響を及ぼしました。まきちゃんぐは苦しい生活を余儀なくされたすべての人々のために渾身の1曲を制作し、歌いました。

マスクはまだはずせませんが、蔓延はようやく収束してきました。この異常な苦難の日々を乗り越え、再び思い切り空気が吸える日を迎えたいものです。

愛が消えないように (作詞・作曲・歌唱 まきちゃんぐ)
https://www.youtube.com/watch?v=-PJlrmWwOiw

 

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2021年11月14日 (日)

ノロジャーニー2022

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来年用のダイアリーを購入しました。毎年今年で最後かなと思いつつ購入していた「Norojourney」ですが、ノロ20才にしてまだ健在で、きちんとお仕事をこなしていました。

今年は新型コロナ蔓延で、さすがに海外旅行は無理だったそうで、過去写真や自宅(八ヶ岳)近傍の写真で作成したようです。困難な作業だったことが忍ばれます。

NOROJOURNEY 2022 主役:黒猫ノロ 制作:平松謙三 発行:グリーティングライフ

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2021年11月11日 (木)

ALBA SQ@J:COM浦安音楽ホール 2021/11/11

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今日は月と土星と木星が接近して二等辺三角形をつくるという天文ファンにとっては楽しい日だそうです。たしかに面白い光景でした。

11月いっぱい都響は新国立劇場に張り付いて「マイスタージンガー」をやるそうで、演奏会はありません。私はまあそういうところに出入りする身分ではないので、浦安のJ:COM浦安音楽ホールにでかけました。駅から近くて便利な場所にあります。SQの演奏にはベストのサイズだと思いました。音響も素晴らしいです。中2階のような席があって、ここはなかなか得がたい心地よさです。

弦楽四重奏の演奏会に行く機会は数年に一度くらいしかないので、聴いたことがない曲が多いのですが、今日はメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第6番が素晴らしい名曲であることを発見できました。アルバSQのおかげです。

都響の小関さんしか私は存じ上げないメンバーでしたが、皆さん素晴らしいプレイヤーで感動しました。このSQはじめての演奏会のようで、ある方がオーケストラの癖(皆さんオケメン)で楽譜を持たずに出てきたのには爆笑しました。

小関さんはピューマみたいに躍動し縦横無尽に演奏していました。このメンデルスゾーンのようなハイエナジーの曲は合っているようです。

 

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サラとミーナ257:介護食

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ミーナはすっかり高齢猫になってしまって、脚の筋肉やアゴの筋肉が弱ってきました。うちに来てから14年くらいはロイヤルカナンのカリカリ1本でやってきたのですが、ここ2年くらいはやわらかい介護食になっています。介護食になってから、いつも同じエサでいいかというとそうではなくて、すぐ飽きてしまうのでとっかえひっかえになっています。それでも一応お気に入りなのがこれ。

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北里大学に感謝です。

よぼよぼになったといっても、それは体だけでメンタルは全くガキのままなのがミーナの特徴です。足がよれよれなのにおもちゃのネズミをはじきながら廊下を全力疾走します。今は体重3キロですが、7キロあったころの若かりしミーナ。サラはずっと体重4キロ弱でよいレファレンスになっています。サラはメンタル的にはすっかり怠惰になりましたが、体の衰弱はみられません。

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2021年11月 9日 (火)

続・生物学茶話163:ヘッジホッグ

ひとつの細胞=卵から、ありとあらゆる体の細胞が正しいタイミング、正しい位置に形成されるというのは生物学における最大の謎でしたが、初期発生におけるそのメカニズムの基本的な部分はエドワード・ルイス、エリック・ヴィーシャウス、クリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルトが中心となって、20世紀のうちに解明されました(1)。

彼らはショウジョウバエにランダムに変異を誘導し、形態が異常になった個体の遺伝子を調べることによって初期発生に関与する遺伝子を同定し、それらに機能や動作のヒエラルキーがあることを解明しました。もちろん彼ら以外にも多くの研究者達が貢献していますが、その結果を図163-1に示しました。先鞭をつけたルイスはトーマス・ハント・モーガンの弟子であるスターティヴァントの弟子であり、モーガンの孫弟子ということになります。ルイスは発生遺伝学以外にも、広島・長崎における原爆被害を調査するという仕事もやっており、放射線の影響に閾値はなくリニアであるという放射線生物学の基本的なセオリーを提唱しました(2)。

エリック・ヴィーシャウスとクリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルトはハイデルベルクで共同で研究室を立ち上げ、約2万のショウジョウバエ変異種を分離して、そのなかから初期発生に関与する遺伝子のミュータント120をみつけ、さらにその中から分節形成に関与する15の遺伝子を同定しました(3、図163-1)。彼らはルイスと共に、1995年度のノーベル生理学医学賞を受賞しました。

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図163-1 形態形成遺伝子とその発見者達

ルイスが使った実験動物はショウジョウバエでした。発生学の研究はウニ・カエル・ニワトリ・マウスなどが中心だったので、当初ルイスの仕事は軽視されていたようなのですが(2)、生物にとって基本的な遺伝子であればあるほど共通性は高く、ひとつの種で同定されればその相補性配列を使って遺伝子の海から類似遺伝子を釣り上げることができますし、全ゲノム配列が解明されれば、コンピュータでこの操作を行うこともできます。ルイスの仕事は彼が高齢になった頃には非常に注目されることになりました。

ニュスライン=フォルハルトとヴィーシャウスはショウジョウバエ幼虫の表面の剛毛が正しい位置に配置されず、体表全体にはえてきてハリネズミのようになってしまう変異体をみつけ、それにヘッジホッグ(ハリネズミ)という名前をつけました(3)。これと相同な遺伝子は脊椎動物でもみつかりました(4)。類似した遺伝子を哺乳類で探すと、ショウジョウバエではこの種の遺伝子がひとつしかないのに3つみつかりました。哺乳類ではデザート・ヘッジホッグ(dhh)、インディアン・ヘッジホッグ(ihh)、ソニック・ヘッジホッグ(shh)の3種類のヘッジホッグがそれぞれ別の遺伝子にコードされています(5)。インガムとマクマホンは様々な生物で、hhがどのように変化してきたかを調査しました(6)。その結果が図163-2です。脊椎動物以前では1系統、以降では3系統となっていることがわかります。ゼブラフィッシュはdhhの系統を失った代わりに、他の2系統のバラエティーを増やしました(図163-2)。

哺乳類ではshhを中枢神経系誘導や四肢の発生など非常に重要なプロセスで利用していますが、ショウジョウバエのヘッジホッグと最も類似しているのはdhhだそうです(5)。ヘッジホッグと類縁のタンパク質は扁形動物(7)や刺胞動物(8)にも報告されていますが、襟鞭毛虫にもその萌芽が見られる(9)ということで、メタゾアを越えたユニバーサリティーと悠久の歴史を持つファミリーだとされています。なんと細菌まで遡れるという報告もあります(10、11)。

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図163-2 ヘッジホッグ遺伝子進化の系譜

ヘッジホッグシグナルの伝達経路はロハジやジョンらの研究によって大筋が明らかになりました(12-14、図163-3)。ヘッジホッグ分泌細胞によって合成されたヘッジホッグはペプチダーゼドメインを持っていて、自己切断によってシグナルドメインが切り離されます(14)。シグナルドメインのN末をパルミトイル化、C末をコレステロール化してリガンドとしての形をととのえ、膜タンパク質の Dispatched によって細胞外に放出されます。

ヘッジホッグリガンドは標的細胞の膜12回貫通タンパク質である Patched 受容体に結合し、この受容体による Smoothened (SMO、膜7回貫通タンパク質) の抑制がはずれてSMOが活性化し、その結果転写因子 Ci/Gli が分解を免れ、完全な形で機能して標的細胞の転写を活性化するというメカニズムが報告されています(5、12-15)。Patched による抑制が外れるとSMOはダイマー化するようです(15)。SMOはGタンパク質共役受容体(GPCR)なので、これだけではなく、より複雑なかかわりをしていることが予想されます(16)。ソニックヘッジホッグ(shh)は中枢神経の誘導のみならず、脳神経系においてさまざまな働きをしています(17)。

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図163-3 ヘッジホッグシグナルのメカニズム

ヘッジホッグリガンドが形成されるまでのプロセスはほぼ解明されています。図163-4にソニックヘッジホッグの前駆体がリガンドになるまでの概要とパルミトイル化の反応、図163-5に自己切断とコレステロール化の反応について示しました。

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図163-4 ヘッジホッグタンパク質のプロセッシング、N末の修飾

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図163-5 ヘッジホッグタンパク質のプロセッシング、C末の修飾

ヘッジホッグ前駆体はまずシグナルペプチダーゼによってN末側の一部が削られ、さらに前駆体自身のC末ドメインによってセルフプロセッシングが図163-4のように行われ、C末側が切り離されると共に、新しいC末にコレステロールが付加されます。N末側はヘッジホッグアセチルトランスフェラーゼによってパルミトイル化されます(図163-5)。このようなプロセスを経てリガンドとして成熟します(14、18)。

ソニックヘッジホッグとは奇妙な名前です。セガメガドライブのゲームに Sonic the hedgehog というのがあるらしいですが、この因子の研究者である Robert Riddle が好きだったようで、そう名付けたようです(19、20)。デザートヘッジホッグとインディアンヘッジホッグは、そのような名前のハリネズミが実際に存在していて、そこから命名されました。 ソニックヘッジホッグの場合KOマウスは胎生9.5日で死亡しますが、デザートヘッジホッグのKOマウスは生き残ります。ただし生殖器や精子の形成がうまくいかないようです。またインディアンヘッジホッグのKOマウスは約半数が出産時まで生き残りますが、その後呼吸器官の欠陥のためにすべて死亡します(21)。

ウィキペディアのヘッジホッグの写真がとても可愛いので、図163-6にコピペしました。

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図163-6 3種のヘッジホッグ 名前の由来

ハリネズミはセンザンコウなどと違って、毛がすべて別物に置き換わったのではなく、針以外の普通の毛も持っています。体毛以外に感覚毛(ひげ)も見えます。この写真ではデザートヘッジホッグは白ひげで、インディアンヘッジホッグは黒ひげです。余談ですが、ニシナサチコ著「ハリネズミ・トントが教えてくれたこと」(KKベストセラーズ)を読むと、ハリネズミがどんな動物かよくわかります。

 

参照

1)The Nobel Prize in Physiology or Medicine 1995 NobelPrize.org.
9 October 1995 Press Release
https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/1995/summary/

2)Wikipedia:Edward B. Lewis
https://simple.wikipedia.org/wiki/Edward_B._Lewis
https://en.wikipedia.org/wiki/Edward_B._Lewis

3)Christiane Niisslein-Volhard & Eric Wieschaus, Mutations affecting segment number and polarity in Drosophila., Nature vol.287 pp.795-801, (1980)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6776413/
http://dosequis.colorado.edu/Courses/MethodsLogic/papers/NussleinVolhardWieschaus1980.pdf
http://dosequis.colorado.edu/Courses/MethodsLogic/Docs/VolhardWieschaus.pdf

4)Krauss, S., Concordet, J.P., & Ingham, P.W. (1993).
A functionally conserved homolog of the Drosophila segment polarity gene hh is expressed in tissues with polarizing activity in zebrafish embryos. Cell, 75(7), 1431-44.

5)ウィキペディア:ヘッジホッグシグナル伝達経路
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%9B%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B7%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%AB%E4%BC%9D%E9%81%94%E7%B5%8C%E8%B7%AF

6)Philip W. Ingham, and Andrew P. McMahon, Hedgehog signaling in animal development: paradigms and principles., Genes & Dev., vol.15: pp.3059-3087 (2001) doi: 10.1101/gad.938601
http://genesdev.cshlp.org/content/15/23/3059.long

7)Shigenobu Yazawa, Yoshihiko Umesono, Tetsutaro Hayashi, Hiroshi Tarui, and Kiyokazu Agata, Planarian Hedgehog/Patched establishes anterior–posterior polarity by regulating Wnt signaling., Proc Natl Acad Sci USA, vol.106 no.52 pp.22329 –22334 (2009)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2799762/

8)David Q. Matus, Craig Magie, Kevin Pang, Mark Q Martindale, and Gerald H. Thomsen, The Hedgehog gene family of the cnidarian, Nematostella vectensis, and implications for understanding metazoan Hedgehog pathway evolution., Dev Biol, vol.313(2): pp.501–518 (2008)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2288667/

9) Philip W. Ingham, Yoshiro Nakano, and Claudia Seger, Mechanisms and functions of Hedgehog signalling across the metazoa., Nature Reviews, Genetics, vol.12, pp.393-406 (2011)
https://www.academia.edu/13366145/Mechanisms_and_functions_of_Hedgehog_signalling_across_the_metazoa

10)Hausmann G, von Mering C, Basler K., The Hedgehog Signaling Pathway: Where Did It Come From? PLoS Biol 7(6): e1000146.
https://doi.org/10.1371/journal.pbio.1000146

11)Henk Roelink, Sonic Hedgehog Is a Member of the Hh/DD-Peptidase Family That Spans the Eukaryotic and Bacterial Domains of Life., J. Dev. Biol. vol.6, pp.12-23. (2018) doi:10.3390/jdb6020012

12)Rajat Rohatgi and Matthew P Scott., Patching the gaps in Hedgehog signalling.,
Nat Cell Biol vol.9(9): pp.1005-1009. (2007) doi: 10.1038/ncb435.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17762891/

13)Rajat Rohatgi, Ljiljana Milenkovic, Ryan B Corcoran, Matthew P Scott., Hedgehog signal transduction by Smoothened: pharmacologic evidence for a 2-step activation process.,
Proc Natl Acad Sci USA vol.106(9): pp.3196-3201.(2009) doi: 10.1073/pnas.0813373106.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19218434/

14)Juhee Jeong, Andrew P. McMahon, Cholesterol modification of Hedgehog family proteins., J Clin Invest. 2002;110(5):591-596. https://doi.org/10.1172/JCI16506.
https://www.jci.org/articles/view/16506/figure/1

15)Jie Zhang, Zulong Liu and Jianhang Jia., Mechanisms of Smoothened Regulation in Hedgehog Signaling., Cells, vol.10, 2138. (2021)
https://doi.org/10.3390/cells10082138

16)A. H. Polizio, P. Chinchilla, X. Chen, D. R. Manning, N. A. Riobo, Sonic Hedgehog Activates the GTPases Rac1 and RhoA in a Gli-Independent Manner Through Coupling of Smoothened to Gi Proteins. Sci. Signal., vol.4, pt7 (2011) DOI: 10.1126/scisignal.2002396
https://europepmc.org/article/PMC/5811764

17)脳科学辞典:ソニック・ヘッジホッグ
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%9B%E3%83%83%E3%82%B0

18)John A. Buglino and Marilyn D. Resh, Palmitoylation of Hedgehog Proteins., Vitam Horm. vol.88: pp.229–252. (2012) doi: 10.1016/B978-0-12-394622-5.00010-9
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4214369/

19)Wikipedia: Sonic hedgehog
https://en.wikipedia.org/wiki/Sonic_hedgehog

20)Sonic games
https://www.allsonicgames.net/
https://www.allsonicgames.net/sonic-the-hedgehog.php

21)Noriaki Sasai, Michinori Toriyama and Toru Kondo, Hedgehog Signal and Genetic
Disorders., frontiers in Genetics., Volume 10, Article 1103 (2019)
doi: 10.3389/fgene.2019.01103

 

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2021年11月 6日 (土)

西島三重子@ラドンナ原宿 2021/11/05

二年ぶりのライブです。今コロナ感染の谷間なのでチャンスです。原宿は人混みでしたが、最盛期に比べると7割くらいかなとは感じました。いつも満席のエグズンシングズにも空席がありました。さすがにコロナの後遺症はまだあって、ラドンナもいつもに比べると少なめの人数で、配信もやっていました。

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ラドンナのエントランス(地下へ降りていく階段)は実に素晴らしい雰囲気です。

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西島さん本人撮影のはがきを頂きました。猫フェチのみーちゃんだけあって、めずらしい構図です。

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本人もほとんど全曲ギターを弾いていましたが、サポートは平野融さん(G)。「青春のシュプレヒコール」からはじまってかなりたくさん歌いました。セトリはアップ不能ですが、配信ではリストが出ているそうです。

https://www.facebook.com/mieko.nishijima

個人的には「陽ざかりの午後」、「Imagination Canvas」(「筆を」の歌詞が脱落 びっくり)、「泣かないわ」などがフェイバリット。昭和の至宝と呼ぶにふさわしい楽曲です。

 

 

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2021年11月 3日 (水)

新型コロナ感染症への対応 ワースト10

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(厚生労働省資料の一部をグラフ化したもの)

新型コロナ感染症に対する対応は、維新治世の大阪府がダントツワーストです。

しかし大阪は総選挙で維新が完全制覇しました。

 

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2021年11月 2日 (火)

マスコミ各社はなぜこんなおかしなことが起こったか調査すべきです

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マスコミ各社 出口調査の結果

日テレ(NNN) 自民 238 立民 114
テレ朝(ANN) 自民 243 立民 113
TBS(JNN)  自民 239 立民 115
テレ東(TXN) 自民 240 立民 110
フジ(FNN)  自民 230 立民 130
NHK  自民 212~253 立民 99~141

集計結果  自民 261 立民 96

もしこの調査の精度が一般に悪くてはずしても当たり前なら、どれもが自民を少なめに、立民を多めにみつもるはずはなく、ランダムにはずれるはずです。みんな同じ方向にはずれるというのはあり得ないおかしな話です。

右翼系のフジテレビが一番外しているので、自民支持者がマスコミを忌避して非協力だったという解釈はあてはまりません。彼らはフジテレビには協力的なはずなので、フジ系が自民を低くみつもってしまうということはあり得ません。

NHKは批判を恐れて非常に広い変動幅をとっていますが、そんなだだ広の範囲にも結果はひっかかっていません。これをどう説明するのでしょうか?

答えはひとつ、集計が不正に行われたと考えるしかありません。

 

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FCバルセロナは生き残れるのか?

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バルサは今最大の危機に瀕しています。なんとレギュラーメンバーのうち9人が病気やケガで試合に出られません。

欠場者リスト

FW:セルヒオ・アグエロ、アンス・ファティ、マルティン・ブライトバイテ、ウスマン・デンベレ

MF:フレンキー・デ・ヨング、セルジ・ロベルト、ペドリ

DF:ロナルド・アラウホ、ジェラール・ピケ

水曜日のディナモ・キエフ戦は、あり得ないメンバーで戦わなければなりません。
フォルサ・バルサ⚽

ニーチェはツァラトゥストラに次のような言葉を語らせています

「深い黄、熱い赤、わが趣味はそれを欲する-すべての色に血をまぜることを。自分の家を白く上塗りにするものは、その魂も白く上塗りしているに違いない」
(「ツァラトゥストラはかく語りき」 ニーチェ著 佐々木中訳 河出文庫より)

Senyera

カタルーニャの旗

 

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