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2021年8月30日 (月)

やはり mRNAのワクチンはやばいようです

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情報速報ドットコムが「ワクチン接種後に容態急変 30代男性が死亡・・・・・」と報じています。
https://johosokuhou.com/2021/08/30/50791/

やはりmRNAのワクチンはやばいようです。接種後しばらく経ってから急に具合が悪くなって死亡する例が増えています。

普通のアレルギー反応なら数十分のうちに兆候が現れるので、会場でそれを抑制する薬を投与すれば大丈夫なはずですが、翌日だとそれは不可能です。この人も中日ドラゴンズの木下選手もすぐに兆候があらわれたわけではないので、伝統的な対処では対応できなかったのでしょう。メーカーが「何が起こるかわからないし、重篤な症状の危険性もある」と明言しているので、何が起こっても驚きはしませんが。

薬は用法用量があるのですが、mRNAの場合用量という概念がありません。どのくらい抗原ができるかは打たれた細胞次第というわけで、いわば博打です。抗原を投与するなら、量は決まっていますし、アレルギー反応はすぐ起きるはずなので一定のルールに従って対応できるはずですが、mRNAだと場合によって時間が経ってから抗原が合成されてきたりするかもしれないので、抗原を打つときと同じ対応で良いはずがありません。

近々ノババックス社などのタンパク質性ワクチンが出回ると思うので、まだの人はそちらの方が無難だと思います。

 

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2021年8月28日 (土)

続・生物学茶話156:ニューロフィラメント その1

真核生物の細胞にはさまざまなオルガネラが含まれていますが、それ以外にも多様な線維や構造体で満たされています。ですから細胞は袋のようなものとはいっても、中はジャングルのように込み入っています。線維にもいろいろありますが、それらはアクチン線維(直径6~7nm)、中間径線維(直径10nm)、ミオシン線維(直径16nm)、微小管(直径25nm)などに大別されます。線維は繊維と書いてもかまいませんが、細胞生物学のジャンルでは線維の方が好まれるようです。

ニューロフィラメントは中間径線維のグループに属します。中間径線維はわが国の細胞生物学者石川春律(いしかわはるのり)が発見した構造で(1)、これを構成するタンパク質としてケラチン、ビメンチン、ラミン、ニューロフィラメント構成タンパク質などがよく知られています。ニューロフィラメントは神経細胞に特異的に存在する線維性の構造体です(2)。ニューロフィラメントを構成するタンパク質は、20世紀の終盤になって、ホフマン(3)、リーム(4)、シュレーパー(5)らの各グループによって精力的に研究が行われ、大きな進展がありました(図156-1)。

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図156-1 ニューロフィラメント研究のパイオニア達

その後も多くの研究者の貢献によって現在では図156-2に示される5種類のタンパク質によって線維が構築されていることが明らかになっています(6)。図156-2に示されるように、すべてのタンパク質は短いN末のヘッド領域に続いて、保存性が高いαヘリックスを主体としたロッド領域があり、C末のテイル領域はそれぞれ大きく異なっています。ただペリフェリン以外は、ロッドに続いてグルタミン酸リッチな領域があります。NF-MとNF-HはKSP領域を含み、ここはリン酸化のホットスポットとなっています。後にも述べますがこれらのタンパク質のC末はニューロフィラメントの線維からはみ出して、他のコンポネントと相互作用を行うことが可能になっています。

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図156-2 ニューロフィラメントを構成するサブユニット分子群の構造

ペリフェリンはこの中では一番分子量が小さい分子ですが、この分子だけで集合してフィラメントを作ることもできますし、他の分子とヘテロ集合してフィラメントを作ることもできます。この分子の異常によってALSが発生することもあるようです(7)。α-インターネキシンはNF-Lと同様ニューロフィラメントの基本構成要素であり、α-インターネキシン単独でもニューロフィラメントの構造を形成することができます。ところがα-インターネキシンの遺伝子をノックアウトしたマウスは一見正常に生育するという報告があります。これはこの遺伝子がヒト、マウス、ラットで高度に保存されていることを考えると不思議なことです(8)。ノックアウトマウスに頼るだけでは遺伝子の機能を解明できないことの好例かもしれません。

ニューロフィラメントの基本構成要素となる分子はまずパラレルに集合してダイマーを形成し、次にふたつのダイマーがアンチパラレルに集合してテトラマーを形成します。テトラマーが8個集合してリングを作った構造がニューロフィラメントの単位構造(unit length fragment)となります(図156-3)。それらがタンデムに繋がってニューロフィラメントが形成されます。ここで特徴的なのは、NF-MやNF-Hのテイルは非常に長いため、フィラメントに納まりきらず、ひげのような形ではみだしてしまうことです(図156-3)。これが他の線維構造とは大きく異なる点で、ニューロフィラメントの線維は、このはみだした部分がリン酸化などの修飾を受けて、他のニューロフィラメントあるいは別種の線維と接続した構造を形成できます。

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図156-3 ニューロフィラメント構成分子の集合様式

実際にニューロフィラメントが細胞内でジャングルジムのような構造を形成していることは、電子顕微鏡によって確認されています。NF-MやNF-Hのテイルはそこでクロスリンカーとしての役割を果たしています。クロスリンカーは教科書に書いてあるように、フィラメントから直角に出ているわけではなく、さまざまな角度でクロスリンクを形成できるようなフレキシビリティーがあります(6、9、図156-4)。またはしご状だけでなく3叉または4叉の構造も形成できるようです。図156-4には微小管とクロスリンクを形成しているとみられる部分もあります。

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図156-4 ニューロフィラメントの電子顕微鏡写真

どうして神経細胞の線維としてニューロフィラメントが必要かと言えば、それは普通の細胞を犬小屋だとすると、神経細胞は超高層マンションというくらいのサイズの違いがあるというのがひとつの理由でしょう。木造の超高層マンションは存在しません。鶏卵は巨大ですが、殻がなければほぼアモルファスな液体です。このような細胞で脊髄と筋肉をつなぐことはできません。やはり細胞内にジャングルジムを構築し、巨大な細胞にしては細い管である軸索を切れたり潰れたりすることがないよう、維持するためには細胞の外側の殻に相当するミエリン鞘とともに、細胞の内側にも頑丈なニューロフィラメントが必要なのでしょう。

ゲリー・ショーがウィキペディアにニューロフィラメントの染色図を提供してくれています(2、10、図156-5、156-6)。図156-5はラットの脳細胞を培養し、ニューロフィラメント(赤)と微小管(緑、MAP2は微小管のマーカータンパク質)を染色したものです。比較的短い突起(樹状突起)は緑色、長い突起(軸索)は赤色にきれいの染め分けられています。ニューロフィラメントが軸索を維持するために必要であることが示唆されています。

図156-6はラット胎仔脳の神経細胞とグリア細胞を培養して、α-インターネキシンとコロニン1a(グリア細胞のマーカータンパク質)を免疫染色したものです。α-インターネキシンが神経細胞に特異的に発現していることがわかります。この時期のα-インターネキシンは軸索だけに存在しているわけではなく、神経細胞全体に分布しています。

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図156-5 ラット脳細胞の培養系でのニューロフィラメント(赤)と微小管(緑)の免疫染色


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図156-6 ラット胎仔脳細胞の培養系におけるα-インターネキシン(赤)とコロニン1a (緑)の免疫染色

図156-7は軸索を輪切りにして電子顕微鏡で観察した図ですが、微小管もニューロフィラメントもそれぞれ満遍なく、ほぼ一定の間隔で配置されていることがわかります。軸索の外側はミエリン鞘によって何重にも保護されているので、細胞骨格は細胞膜周辺の強化には配置されず、細胞全体をジャングルジム化して構造を維持するという役割を与えられているようです。ニューロフィラメントタンパク質はテイルがリン酸化されることによってタンパク質分解酵素の攻撃を回避することができるため、非常に安定な線維構造を維持できるようです(6、11)。

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図156-7 電子顕微鏡で観察する軸索横断面

ニューロフィラメント各遺伝子の欠損によって神経が萎縮し、運動失調、情報伝達速度の低下などが起こることがウズラ(12、13)やマウス知られています(14-16)。ヒトでもシャルコー・マリー・トゥース病などが発生することがあるようですが、病気との関連については後に言及する予定です。

参照

1)Ishikawa H, Bischoff R, Holtzer H. 1968. Mitosis and intermediate-sized
filaments in developing skeletal muscle. J Cell Biol vol.38: pp.538-555 (1968)
https://rupress.org/jcb/article/38/3/538/1541/MITOSIS-AND-INTERMEDIATE-SIZED-FILAMENTS-IN

2)Wikipedia: neurofilament
https://en.wikipedia.org/wiki/Neurofilament

3)Paul N. Hoffman and Raymond j. Rasek, The slow component of axonal transport. Identification of major structural polypeptides of the axon and their generality among mammalian neurons. J Cell Biol, vol.66, pp.351-366 (1975)
https://rupress.org/jcb/article/66/2/351/77483/The-slow-component-of-axonal-transport

4)Liem RK, Yen SH, Salomon GD, Shelanski ML., Intermediate filaments in nervous tissues. J Cell Biol vol.79: pp.637-645 (1978)
https://rupress.org/jcb/article/79/3/637/56382/Intermediate-filaments-in-nervous-tissues

5)Schlaepfer WW, Freeman LA., Neurofilament proteins of rat peripheral nerve and spinal cord. J Cell Biol vol.78: pp.653-662 (1978)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/701353/

6)Aidong Yuan, Mala V. Rao, Veeranna, and Ralph A. Nixon., Neurofilaments and Neurofilament Proteins in Health and Disease., Cold Spring Harb Perspect Biol 2017;9:a018309 (2017)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5378049/

7)Wikipedia: peripherin
https://en.wikipedia.org/wiki/Peripherin

8)Levavasseur F,Zhu Q, Julien JP., No requirement of alpha-internexin for nervous system development and for radial growth of axons., Brain research. Molecular Brain Research, vol.69(1): pp.104-112 (1999) DOI: 10.1016/s0169-328x(99)00104-7
https://europepmc.org/article/med/10350642

9)N Hirokawa, Marcie A Glicksman, M B Willard., Organization of mammalian neurofilament polypeptides within the neuronal cytoskeleton., The Journal of Cell Biol. vol.98(4): pp.1523-1536 (1984)
Uploaded by Marcie A Glicksman to the website of Research Gate
https://www.researchgate.net/figure/Axonal-neurofilaments-from-Triton-extracted-spinal-cord-incubated-with-nonimmune-IgG-and_fig2_16771607

10)Wikipedia: internexin
https://en.wikipedia.org/wiki/Internexin

11)Pant HC., Dephosphorylation of neurofilament proteins enhances
their susceptibility to degradation by calpain. Biochem J vol.256: pp.665–668.(1988)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1135461/

12)Yamasaki H, Itakura C, Mizutani M., Hereditary hypotrophic axonopathy with neurofilament deficiency in a mutant strain of theJapanese quail. Acta Neuropathol vol.82: pp.427–434. (1991)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1785256/

13)Ohara O, Gahara Y, Miyake T, Teraoka H, Kitamura T., Neurofilament deficiency in quail caused by nonsense mutation in neurofilament-L gene. J Cell Biol vol.121: pp.387–395. (1993)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8468353/

14)Elder GA, Friedrich VL Jr, Bosco P, Kang C, Gourov A, Tu PH, Lee VM, Lazzarini RA., Absence of the mid-sized neurofilament subunit decreases axonal calibers, levels of light neurofilament (NF-L), and neurofilament content. J Cell Biol vol.141: pp.727–739.(1998)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9566972/

15)Elder GA, Friedrich VL Jr, Kang C, Bosco P, Gourov A, Tu PH, Zhang B,Lee VM, Lazzarini RA., Requirement of heavy neurofilament subunit in the development of axons with large calibers. J Cell Biol vol.143: pp.195–205. (1998)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2132822/

16)Elder GA, Friedrich VL Jr, Margita A, Lazzarini RA., Age-related atrophy of motor axons in mice deficient in the mid-sized neurofilament subunit. J Cell Biol 146: 181–192. (1999)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2199745/

 

 

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2021年8月27日 (金)

ワクチンへの疑問

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これはロイター通信の Covid-19 トラッカー からの情報です。
https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/countries-and-territories/israel/

イスラエルは最もワクチン接種が進んでいる国ですが、感染者数も死者数も急増しています。

このことはワクチンが切り札となってコロナを壊滅できるという考えが間違っていることを示しています。
コロナとの戦いはやはり検査、スプレッダーの発見、隔離が勝負であって、ワクチンは現時点では補助的手段と考えた方がよさそうです。

保健所が手一杯でできないのなら、法律を変えて作業をやる人を増やせば良いだけの話。抗原検査なんて検査自体は係員はなにもやらなくてよくて、陽性になった人の相談に乗る、逃げないように見張るなどをすればいいだけです。感染を防ぐためには多少の研修が必要でしょうが、やれば誰でもできるはずです。

コロナワクチン 副反応データベース(すごいことを無報酬でやってくれる人がまだ日本にもいることに感動)
https://covid-vaccine.jp/

 

 

 

 

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2021年8月25日 (水)

ファイザーのワクチンをFDAが正式に承認したという報道は嘘だったのか?

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昨日報道ステーションをみていると、唐突にファイザーの新型コロナ感染症ワクチンがFDAに正式承認されたというニュースが流れてきて、ええーっと驚いたのですが、これはどうも誤報だったようです。FDAは正式承認はまだ出したわけではなく、このワクチンを緊急使用として継続することを認めたというだけのことだったようです。

ならばテレ朝はきちんと訂正すべきです。

http://blog.livedoor.jp/wisdomkeeper/archives/52067737.html

Fact Check: Pfizer Vaccine Not Approved - It's All a Lie, FDA letter to Pfizer

https://beforeitsnews.com/alternative/2021/08/fact-check-pfizer-vaccine-not-approved-its-all-a-lie-fda-letter-to-pfizer-3756922.html

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2021年8月23日 (月)

サラとミーナ253:猫と音楽

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私の膝でうとうとするサラ

猫はいつも捕食される危険がある小動物であり、かつ単独行動の生き物です。ですからその聴覚は捕食者やエサの接近を感知することに最適化されているはずです。

この観点から言えば、猫にとって風の音とか葉擦れの音とか自然の音はノイズであり、そのなかから捕食者やエサの接近を知らせる音を抽出することが重要です。

私は永年サラとミーナに接してきて、ミーナはほとんど人間の音楽には関心を持たないことがわかりました。でもサラはちょっと違います。サラはメロディーには全く興味を示しませんが、リズムには興味を示します。

サラの背中を一定の間隔で叩いてあげると、気持ちよさそうにしています。これは背中をもんであげたりしたときの快感とはレスポンスが違っていて、静かに楽しんでいる感じがします。もんであげたときは、転がったり鳴いたりして快感を表現するので、それとはちょっと違った雰囲気です。

まあ単に指圧に似た効果で気持ちいいのかもしれませんが、バラバラよりもきちんとしたリズムで叩いた方が気持ちよさそうなことは、はっきりわかります。そういう意味では、サラのようにリズムを理解して楽しむ猫がいると私は信じます。

猫がリラックスする音楽は YouTube などにもアップされています。これは私はあまり信じてはいません。サイレントとの違いを証明することが必要です。それにリラックスするということは、猫にとって捕食者やエサの接近というような聴かなくてはいけない音がきこえない、ノイズだけの世界であるという風にも解釈できます。
https://www.youtube.com/watch?v=7IPDBSSGo1o

とはいえサイレントと比較して実験し、論文を書いている人もいます。これがどんな音楽なのか、興味があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30744475/

 

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2021年8月22日 (日)

政府に告ぐ ワクチンに頼るな

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エクモ満杯
人工呼吸器満杯
ICU満室
酸素濃縮装置枯渇
ステロイド枯渇
麻酔剤枯渇
PCR検査抑制
医師看護師不足
病床不足
酸素ボンベは買えない

なんちゅう国やねん 日本は💢

だけどできることがないわけじゃありません。
デルタ株は1000倍もウィルスを放出するそうなので、これは抗原検査の精度も1000倍に上がると言うことです。抗原検査はPCR検査のように機器をつかわず簡単にできるので、これを使わない手はありません。

スペインでのテストでは、抗原検査をやってN95マスクを装着すれば、ライブであれ集会であれなんでもできるようです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210529-00240334

それはそれでいいとして、ウィズコロナ政策は基本的にダメです。ワクチンは有用とはいえ国民を半年に一度のワクチン漬けにしても、ますます強力なワクチン耐性の株が発生するなど、いろいろ障害がでてきてうまくいかないでしょう。米国だってトランプがメチャクチャやったので、仕方なくウィズコロナでいくしかなくなっているんですよ。

中国のように全市民PCR検査ができなくても、全市民抗原検査はできます。これで発生地域をスイープしていけば、ゼロコロナとはいかなくても、社会生活に支障が無い程度には抑えられるのではないでしょうか。どうしてもできないなら陽性者を完全に隔離する必要はないと思います。抗原検査陽性であることがわかれば、ほとんどの人は自粛します。あとは自粛している人が発病したときのサポートをきちんとやる体制を整えることです。

(写真は培養細胞から発生しているSARS-Cov2ウィルス ウィキペディアより)

 

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2021年8月20日 (金)

J-POP名曲徒然草214:「ひまわり」by 洸美

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ようやく空に日差しがもどってきました。夏はやっぱりこうじゃなきゃいけません。
夏と言えばひまわり、ひまわりといえばソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの映画「ひまわり」を思い出すわけですが、

https://www.youtube.com/watch?v=jk-C5ZBvsEo

「ひまわり」という福山雅治作詞・作曲の名曲もあります。ジェットストリームの福山雅治は全くいただけないのですが、彼は曲作りに関して天才であることは間違いありません。私はこの曲は洸美の声がはまっていると思います。皆さんそうだと思いますが、彼女もこのコロナ禍でライヴ活動がままならないようです。またいつか生で聴けたらいいな。

https://www.youtube.com/watch?v=2K0JtSlBM7M

もう一曲大ヒットした「桜坂」
歌は熊木杏里、ピアノはコロナワクチンの副反応で失神した大江千里

https://www.youtube.com/watch?v=3A24G0ffclQ

 

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2021年8月18日 (水)

続・生物学茶話155:遺伝子・アミノ酸配列から見た神経伝達物質の進化

ここまで神経伝達物質受容体についていろいろと学んできました。ここではそれらの故事来歴すなわち進化について遺伝子やアミノ酸の配列から推測した論文に触れたいと思います。これまで述べてきたように、神経伝達物質受容体はシスループ型リガンド開口イオンチャネル受容体(Cys-loop ligand-gated ion channel receptors)とGタンパク質共役型受容体に大別されます。まず前者のイオンチャネル受容体ですが、このグループにはニコチン性アセチルコリン受容体、GABA受容体、5-HTセロトニン受容体、グリシン受容体、そしてあまりよく知られていませんが、亜鉛受容体なども含まれます(1)。

復習しておくと、これらの受容体の基本ユニットは4回膜貫通型のタンパク質で、それらが5個リング状に集合して、中央にイオン通過用のチャネルを形成するというのがこのグループの受容体の基本形です(2、図155-1)。イオンを選択的に通過させるというシステムは、メタゾアにとっては神経などを介したシグナリングのために重要な役割を果たしますが、単細胞の生物にとっても細胞内のイオン環境を適切に保つために必須なシステムだと考えられます。

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図155-1 シスループファミリー受容体の基本構造

タスニームらはさまざまなメタゾア(動物)だけでなく、細菌や古細菌にもシスループ受容体スーパーファミリーに所属するタンパク質が存在することを証明しました(3)。このファミリーのユニバーサリティーについてはコッククロフトらが前から指摘していたようですが(4)、この論文はウェブサイトではアブストラクトも読めないので、私は見ておりません。タスニームらはそれを広範な調査研究によって明らかにしました。細胞膜の外側に突き出した部分のごく一部のアラインメントを図155-2に示します。詳細は原著(3)をご覧ください。特に古細菌とメタゾアの配列で、紺丸のR(アルギニン)、赤丸のT(スレオニン)、緑のP(プロリン)、緑枠に白のD(アスパラギン酸)が一致していることは目を見張ります(図155-2)。PとDはシアノバクテリアとも一致、Pだけはメタン酸化菌とも一致しています。

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図155-2 シスループファミリータンパク質細胞外領域のアラインメント(一部のみ)

彼らはさまざまな生物の詳細なアミノ酸配列の解析結果データベースから、図155-3のような分子系統樹を作成しました(3)。この図は管理人が簡略化したものなので、詳細は原著(3)をご覧ください。膜4回貫通部位が4つある根元からLBD(ligand-binding domain)という幹が伸びているという構造は共通です。ここに示してあるアーケア(古細菌)の例はかなり特殊に分化しています。真核生物は陽イオンチャネルと陰イオンチャネルが分岐して進化したようです。細菌では基本的に陽イオンチャネルですが、塩化物イオンチャネルというようなものもあるようです。

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図155-3 シスループタンパク質ファミリーの分子系統樹

タスニームらの発表以降、刺胞動物や軟体動物でもシスループファミリーの受容体も報告され、このグループのユニバーサリティーは確固たるものになりました(5、6)。ジャイテらはさらに広範なデーターベースの調査を行って、このファミリーは細菌においても巨大なファミリーを形成していて、その中には名前の根拠となったCysループにCysがないグループが存在し、それが単細胞や多細胞のユーカリヤ(真核生物)にも引き継がれていることを示しました(図155-4)。Cysがなくてもプロリン(Pro)は共通して存在することから、彼らはシスループファミリーという言葉を廃棄して、プロループファミリーという言葉を使用しています。

ジャイテらの調査によると、プロループファミリーのタンパク質はバクテリア、一部のアーケア、単細胞ユーカリア、メタゾアに分布しており、多細胞の植物、ほとんどのカビには分布していないということがわかりました(7)。アーケアの中ではユーリ古細菌、タウム古細菌には存在しますが、クレン古細菌とロキ古細菌のデータベースからは発見できなかったそうです(7)。これはアーケアとユーカリアのつながりを考える上で興味深いと思われます。

またメタゾアの基部に位置する各動物門を調査したところ、刺胞動物には陽イオン型と陰イオン型の両者(ニコチン性アセチルコリン受容体とGABA受容体)が見つかりましたが、平板動物・海綿動物・有櫛動物のデータベースからは発見できなかったそうです。有櫛動物は立派な神経系を持っていますが、このことは彼らの神経系が他の動物(左右相称動物や刺胞動物)とは独立に進化したことを示唆しています(7)。

シスループスーパーファミリーのアミノ酸配列において、β6-β7ループのプロリンが最も保存されていることを発見したのはジャイテらではなく別のグループですが(3、8)、ジャイテらはシステインが保存されていない場合が多いことを考慮して、このグループをプロループファミリーとよぶことを提唱しています。彼らの研究結果の一部を簡略化して図155-4に示します。詳しくは原著(7)をご覧ください。

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図155-4 プロループファミリーの分子系統樹

神経伝達物質受容体にはさらに巨大なGPCR(G protein-coupled receptor)というスーパーファミリーがあり、こちらはどのように進化してきたのかを概観しておきたいと思います。復習のために脳科学辞典の図(9)に少し説明を追加して、図155-5に掲載しました。細胞膜を貫通する部位が7ヵ所あり(TM1~TM7)、細胞の外側にN末、EL1~EL3、内側にIL1~IL3、C末ドメインが存在するという構造は共通です。

この巨大ファミリーはロドプシン様受容体ファミリー(ロドプシン・アドレナリン受容体・ムスカリン性アセチルコチン受容体・嗅覚受容体を含む)、セクレチン受容体ファミリー、代謝型グルタミン酸受容体らミリーの3つのサブファミリーに分類されます。この中でロドプシンは化学物質ではなく光に反応するので受容体とは言えません。ただしGタンパク質とはカップルしています(10)。

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図155-5 GPCR型受容体の模式図

GPCRの進化を考える上で、常に話題になるのは高度好塩菌(古細菌・細菌)のバクテリオロドプシンです。これは膜7回貫通配列を持つ光感受性タンパク質ですが、Gタンパク質とは関係がなくGPCRとは言えません。光エネルギーによってプロトンを細胞外に排出し、細胞内のプロトン濃度を下げてアルカリ性にすることがその役割です。こうしておくと細胞内外のプロトン濃度差で駆動するATP合成酵素によって、必要な時にATPを合成できます(11、12)。

バクテリオロドプシンとGPCRとの構造上の類似性はすでに1992年に指摘されていますが(13)、ジャンらは多くの細菌・単細胞真核生物・多細胞真核生物の遺伝子を比較することによって、両者の関係を詳細に検討しました(14)。その結果を示したのが図155-6です。

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図155-6 GPCR型受容体の分子系統樹

図155-6を見てまずわかるのは、バクテリオロドプシンはそのルーツは古くても進化系統樹の頂点まで進化を続けており、代謝型グルタミン酸受容体と非常に近い関係にあるということです。ロドプシン様受容体はルーツが非常に複雑ですが、現存のバクテリオロドプシン、代謝型グルタミン酸受容体、セクレチン受容体とはやや離れた位置にあるようです。ジャンらはロドプシン様受容体に比べて代謝型グルタミン酸受容体の遺伝子にはイントロンが少ないことなどから、GPCRスーパーファミリーの祖先型は代謝型グルタミン酸受容体だったのではないかと推測しています(14)。

ジャンらはデータベースの解析をもとに、非常にスケールの大きなGPCRスーパーファミリーの進化推測図を描きました(図155-7)。これによると膜7回貫通型のバクテリオロドプシンは12億年以上前から存在しているようです。彼らが注目しているのは図155-3にも登場したPBP(periplasmic binding protein) で、このモジュールはやはり12億年以上前から存在し、それがGPS(G-protein-coupled receptor proteolytic site)モジュールと共にN末に発現するようになって、そのままPBPがVFTM(venus flytrap module)に進化してセクレチンおよび代謝型グルタミン酸受容体が形成されたとしています。ロドプシン様受容体群はこのようなN末の変化がもともとないか、いったん獲得した機能が失われたグループが進化したものとしています(図155-7)。

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図155-7 GPCR型受容体のルーツと進化

ひとつ心に留め置くべきは、GPCRファミリーのタンパク質はこれまで述べてきたものは種類から言えばマイナーなものであり、圧倒的多数は嗅覚受容体であることです。諏訪牧子によると、ヒトでは759種類、ラットでは1557種類、象では3119種類の受容体がみつかっているそうです(15)。GPCRファミリーのメジャーなグループはクラスAロドプシン様受容体とされています。ロドプシンと言えば光を連想しますが、それよりもまず化学物質を検出して、「取り込むか、逃げるか、放置するか」を判断することが生存するために重要であっただろうことは容易に想像できます。

参照

1)Wikipedia: Cys-loop receptor
https://en.wikipedia.org/wiki/Cys-loop_receptor

2)続・生物学茶話150: グリシン その1 神経伝達物質としてのグリシン
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/07/post-7d466c.html

3)Asba Tasneem, Lakshminarayan M Iyer, Eric Jakobsson and L Aravind., Identification of the prokaryotic ligand-gated ion channels and their implications for the mechanisms and origins of animal Cys-loop ion channels, Genome Biology 6:R4 (2004)
http://genomebiology.com/2004/6/1/R4

4)Cockcroft VB, Osguthorpe DJ, Barnard EA, Friday AE, Lunt GG. Ligand-gated ion channels. Homology and diversity. Mol Neurobiol. vol.4(3–4): pp.129–169. (1990) doi: 10.1007/BF02780338
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1725701/

5) Chapman JA, Kirkness EF, Simakov O, Hampson SE, Mitros T, Weinmaier T, et al. The dynamicgenome of Hydra. Nature. vol.464(7288): pp.592–596. (2010) doi: 10.1038/nature08830 PMID: 20228792

6) Kehoe J, Buldakova S, Acher F, Dent J, Bregestovski P, Bradley J. Aplysia cys-loop glutamate-gatedchloride channels reveal convergent evolution of ligand specificity. J Mol Evol. vol.69(2): pp.125–141. (2009) doi: 10.1007/s00239-009-9256-z PMID: 19554247

7)Mariama Jaiteh, Antoine Taly, Jérôme Hénin, Evolution of Pentameric Ligand-Gated IonChannels: Pro-Loop Receptors, PLoS ONE vol.11(3): (2016) e0151934. doi:10.1371/journal.pone.0151934
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0151934

8)Rendon G, Kantorovitz MR, Tilson JL, Jakobsson E. Identifying bacterial and archaeal homologs of pentameric ligand-gated ion channel (pLGIC) family using domain-based and alignment-basedapproaches. Channels (Austin). 2011; 5(4):325–343. doi: 10.4161/chan.5.4.16822
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.4161/chan.5.4.16822

9)脳科学辞典:Gタンパク質共役型受容体
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/G%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA%E5%85%B1%E5%BD%B9%E5%9E%8B%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93

10)ウィキペディア:ロドプシン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%89%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%B3

11)Wikipedia: Bacteriorhodopsin
https://en.wikipedia.org/wiki/Bacteriorhodopsin

12)続・生物学茶話138: GPCRの進化
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/04/post-e83f2e.html

13)Trumpp-Kallmeyer, S., Hoflack, J., Bruinvels, A., Hibert, M.:‘Modeling of G-protein-coupled receptors: application to dopamine, adrenaline, serotonin, acetylcholine, and mammalian opsin receptors’, J Med Chem., 1992, 35, (19), pp. 3448–3462. Epub 1992/09/18

14)Zaichao Zhang, Zhong Jin, Yongbing Zhao, Zhewen Zhang, Rujiao Li, Jingfa Xiao, Jiayan Wu, Systematic study on G-protein couple receptor prototypes: did they really evolve from prokaryotic genes? IET Systems Biology, vol.8(4): pp.154-161 (2014) DOI: 10.1049/iet-syb.2013.0037
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25075528/

15)諏訪牧子 ゲノム情報解析から概観するGPCRプロテオーム
ファルマシア Vol.50 No.9 pp.888-892 (2014)

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2021年8月16日 (月)

ファイザー社のワクチンについて

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ファイザー社のワクチンについて、メーカー自身が説明しています。
https://www.pfizer.com/news/hot-topics/the_facts_about_pfizer_and_biontech_s_covid_19_vaccine

副反応の種類

Difficulty breathing
Swelling of your face and throat
A fast heartbeat
A bad rash all over your body
Dizziness and weakness

Chest pain
Shortness of breath
Feelings of having a fast-beating, fluttering, or pounding heart

Severe allergic reactions
Non-severe allergic reactions such as rash, itching, hives, or swelling of the face
Myocarditis (inflammation of the heart muscle)
Pericarditis (inflammation of the lining outside the heart)
Injection site pain
Tiredness
Headache
Muscle pain
Chills
Joint pain
Fever
Injection site swelling
Injection site redness
Nausea
Feeling unwell
Swollen lymph nodes (lymphadenopathy)

These may not be all the possible side effects of the Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine. Serious and unexpected side effects may occur. Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine is still being studied in clinical trials.
(管理人訳:これらがファイザーワクチンの副反応のすべてではありません。深刻かつ予想できない副反応が起こるかもしれません。このワクチンはまだ臨床試験の途上にあります)

私が経験したのは6番目の chest pain だけでした。臨床試験の途上にあるワクチンなのですから、ワクチンパスポートなどは本来あり得ないし、従業員に強制的に接種するなんて限りなく犯罪に近いと思われます。もちろんファイザー社は従業員に強制接種はしていません。

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医療崩壊

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もう皆さん気づいていると思いますが、日本の医療がすぐ崩壊するのは、いくら医師が大勢居てもみんな個人経営の医院をやっていて、ほとんどの場合患者に話を聞いて薬を出すだけの生活をしているからです。コロナの患者を診ろといわれてもパニックになるだけです。民間の病院だってコロナ患者をうけいれているのは20%台だそうです。

個人経営の医院にはCTもMRIもありませんし、患者を待たせるのが嫌なので検査も採血程度です。往診なんてとんでもありません。じゃあ公的病院はどうかというと、政府はお金を出してまで病床を削減し公的病院の規模を縮小しようと、今年度も含めてずっとやってきたわけで、それがもろに裏目にでたわけです。

以前にポルシェに乗って愛人もいる病院の医師に、「もっと医師の仕事は暇で責任も緩く給料も安くした方がいいんじゃないか」と言ったことがあるのですが、その医師は「いやとんでもない、忙しくても医者はお金持ちじゃなきゃやる意味がありません」と一刀両断で否定されました。そんな本音をすぐ語ってくれるこの男は好きです。

立憲民主党が政権をとっても、今の医療体制を改善するのは大変ですよ。まあ大学病院や国立病院のリストラを止めることくらいはすぐできるかもしれませんが、医師の生き方とか教育とかから根本的に変えていかなければならないので、必死に取り組んでも10年くらいはかかりそうです。

 

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2021年8月14日 (土)

バルサ 2021/2022シーズンの開幕

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メッシの衝撃的な離脱で、戦略の見直しを迫られたバルサですが、将来のエースと期待されたアンス・ファティが昨年大けがをして、その手術が失敗し、さらに追加の3度の手術で今シーズンもリハビリからスタートという悲惨な現実に直面しています。そしてせっかく獲得したアグエロも負傷離脱で、FWの新戦力はデパイのみという不安なスタートとなりました。

デンベレは切り返して一人抜くという一芸だけですからあてにはなりませんし、グリーズマンもストライカータイプではないので、まあそこそこはやるだろうという程度です。ブライトバイテとデパイがかなり活躍してくれないと、とても戦えません。

中盤はコウチーニョ・ペドリ・デヨングがいるので心配していません。ミンゲサは右のSBではなくCBで起用して欲しいのですが、まあ仕方ありません。今シーズンのディフェンサは十分人材豊富なので、ピケも寄る年波で出られない状況にはいずれなるでしょうが、そんなに心配はしていません。やはりFW(デランテロ)が心配の種ですね。

来る人

エリク・ガルシア(from マンチェスター・シティ)DF
セルヒオ・アグエロ(from マンチェスター・シティ)FW 負傷離脱
エメルソン・ロイヤル(from ベティス)DF
メンフィス・デパイ(from オランピク・リヨン)FW

往く人

リオネル・メッシ(to パリ・サンジェルマン)
フランシスコ・トリンコン(to ウルヴァーハンプトン)
ジュニオル・フィルポ(to リーズ・ユナイテッド)
ジャン=クレール・トディボ(to オランピク・ニース)
カルレス・アレニャ(to ヘタフェCF)

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2021年8月12日 (木)

続・生物学茶話154:グルタミン酸 その3 グルタミン酸トランスポーター

グルタミン酸やアスパラギン酸も他の神経伝達物質と同様、神経伝達物質として用いるには、まずそれらがシナプス前細胞のシナプス小胞にとりこまれストックされておく必要があります。これを実行するグルタミン酸トランスポーターは、vesicular glutamate transporter (VGluT) = 小胞体グルタミン酸輸送体と呼ばれており、solute carrier family (SLC) というタンパク質のスーパーファミリーに所属しており、さらにその中のSLC17というサブグループに所属しています(1)。

SLC17とは別グループの小胞トランスポーターファミリーにはSLC18とSLC32があり、前者はモノアミン、後者はGABAやグリシンをシナプス小胞に輸送します。シナプス小胞の膜には vacuolar (or vesicular) ATPase (V-ATPase) というATPのエネルギーを使ってプロトン(H+)を膜の内側に取り込むシステムが存在し、この働きによって小胞内部は高濃度の水素イオンでプラスチャージが維持されています。したがって膜に通路ができればグルタミン酸などマイナスチャージを持った分子は電気泳動的に小胞に流入します(2、図154-1)。ただしその通路には特異性があり、特定の分子しか通過できません。

プラスチャージのモノアミン類は、水素イオンが濃度勾配によって外部に流出するのと共役して小胞に取り込まれます。またGABAやグリシンも取り込まれますが、脳科学辞典ではモノアミン類と同様水素イオンの濃度勾配を利用するとしています(3)。しかし塩素イオンの流入を利用するとの記載もあります(2)。脳科学辞典でも「最近、VGAT/VIAATの再構成実験の結果から、VGAT/VIAATは膜電位勾配を駆動力として使い、GABAと塩素イオンを1:2で輸送する共輸送体であるとする新しい仮説が提唱された」(4)という記載があります。2009年というのはもはや最近ではありませんが、現在でもまだ詳細なメカニズムは解明されていないようです。

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図154-1 シナプス小胞への情報伝達物質のとりこみ

SLC17に所属するグルタミン酸(アスパラギン酸)輸送体には4つのアイソフォームがあり、それぞれ、VGLUT1・VGLUT2・VGLUT3・VEAT と命名されています。文献2によるとVGLUT1-3 はグルタミン酸専用、VEATはグルタミン酸とアスパラギン酸を輸送するようです。

脳科学辞典によると VGLUT1 および VGLUT2 のノックアウトマウスは致死ですが、VGLUT3 のノックアウトマウスは生存し、聴覚障害・不安傾向の増大・てんかん・痛みの感受性低下などを発症するそうです(5)。VGLUT1 および VGLUT2 が互いに補完することができないというのは驚きです。もちろん局在に違いはありますが(6)、ならば臨時に転写・翻訳を増強してもよさそうなものですが、なぜかそうはいかないようです。

VGRUT1とVGLUT2 はよく似た12回膜貫通タンパク質。VEAT は細胞質に露出するN末・C末がどちらも VGRUT1・VGLUT2 と比較して短いなどの差はありますが、やはり12回膜貫通タンパク質。VGLUT3 はこれらと異なり10回膜貫通タンパク質です(7、図145-2)。最近の研究によって、貫通部位のアミノ酸配列も明らかになっているようです(8)。またそれらをつなぐ膜外の配列についても、実際には図145-2のような2次元ではなく3次元構造をとっているので、貫通部位の番号がこの図では離れていても実際の距離は近いという場合があります。立体構造として理解することが必要です。関心のある方は林真理子氏の文献(8)をご覧ください。

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図154-2 グルタミン酸シナプス小胞トランスポーターの模式図

細胞の外からグルタミン酸(アスパラギン酸)を取り込むにはVGLUTとは異なるグループのトランスポーターが必要です。しかしこのトランスポーターを持っているのはシナプス前細胞ではなく、シナプス後細胞とアストログリア細胞です(図154-3)。なぜなのでしょうか? それはこの種のトランスポーターが神経伝達物質として使用するグルタミン酸を細胞内に取り込むためではなく、シナプス間隙に残された余剰のグルタミン酸をすばやく回収するための装置だからです。

アストログリア細胞が回収したグルタミン酸はグルタミンに変換され、アストログリア細胞からグルタミンの形でシナプス前細胞に運搬され、シナプス前細胞内でグルタミナーゼの作用でグルタミン酸に変換されて、シナプス小胞に濃縮されるという段取りになります(図154-3)。このシステムには大きなメリットがあります。すなわちグリア細胞からはグルタミン酸が排出されないので、シナプスにおけるグルタミン酸の受け渡しにノイズが発生せず、神経伝達のフィデリティーが向上することになります(9)。

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図154-3 シナプス周辺でのグルタミン酸・グルタミンの受け渡し

細胞膜のグルタミン酸トランスポーターは、そのアミノ酸配列から当初10回以上細胞膜を貫通する分子と考えられていましたが、2カ所でヘアピンループを構成していることが判明し、8回膜貫通タンパク質であることがわかりました(8)。アミノ末端とカルボキシル末端はいずれも細胞質側に露出しています。脳科学辞典の図ではふたつのヘアピンループ(HP1とHP2)は離れた位置にあるようにみえますが、2つのヘアピンループはその下の図のように細胞膜内で対面しており、グルタミン酸輸送のキーポジションを構成しているようです(8、図154-4)。

このトランスポーターはナトリウムイオンが細胞外で高濃度・細胞内で低濃度であることを利用して、電気化学ポテンシャルによってグルタミン酸を細胞内に取り込むことができます。1分子のグルタミン酸の取り込みは、3個のNa+および1個のH+の共輸送、1個のK+の対向輸送と共役しています(10、図154-4)。取り込まれたナトリウムイオンは Na+/K+-ATPアーゼを用いて排出しなければならないので、グルタミン酸の取り込みには結局のところATPのエネルギーが必要です。

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図154-4 グルタミン酸トランスポーターの模式図

グルタミン酸トランスポーターはSLC1ファミリーに所属し、さらにヒトでは5種類のサブグループが存在することが知られていて、それぞれ EAAT1-EAAT5 と命名されています。EAATは excitatory amino acid transporter の略称です(図154-5)。

これらのトランスポーターが欠損するかまたは阻害されると、シナプス間隙にグルタミン酸が刺激後も残留することになり、過剰な反復刺激が発生するなどの影響で、さまざまな疾患が発生します(10)。神経伝達物質のサルベージは重要です。

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図154-5 ヒトのグルタミン酸トランスポーター一覧表

グルタミン酸トランスポーターはあらゆる生物にユニバーサルに存在するようです。図154-6にある種の古細菌(Pyrococcus horikoshii)とヒトの分子を示していますが、非常に良く構造が似ています。いずれも3分子の集合体によって構造が形成されているところも同じです(8、11、図154-6)。もともと栄養物質を取り込むために使われていたトランスポーターが別の目的で流用されたと想像できます。UCPH101はEAAT1の特異的阻害剤です。

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図154-6 古細菌とヒトのグルタミン酸トランスポーター

 

参照

1)Solute carrier family
https://en.wikipedia.org/wiki/Solute_carrier_family

2)Hiroshi Omote and Yoshinori Moriyama, Vesicular Neurotransmitter Transporters: An Approach for Studying Transporters With Purified Proteins., PHYSIOLOGY vol.28: pp.39-50, (2013); doi:10.1152/physiol.00033.2012
https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/physiol.00033.2012

3)脳科学辞典:小胞GABAトランスポーター
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%B0%8F%E8%83%9EGABA%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

4)Juge, N., Muroyama, A., Hiasa, M., Omote, H., & Moriyama, Y. (2009).
Vesicular inhibitory amino acid transporter is a Cl-/gamma-aminobutyrate Co-transporter. The Journal of biological chemistry, 284(50), 35073-8.

5)脳科学辞典:小胞グルタミン酸トランスポーター
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%B0%8F%E8%83%9E%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%E9%85%B8%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

6)Erika Vigneault et al., Distribution of vesicular glutamate transporters in the human brain. Front. Neuroanat., 05 March (2015)
https://doi.org/10.3389/fnana.2015.00023

7)Joeri Van Liefferinge et al., Are vesicular neurotransmitter transporters potential treatment targets for temporal lobe epilepsy? Front. Cell. Neurosci., 30 August (2013)
https://doi.org/10.3389/fncel.2013.00139

8)Mariko Kato Hayashi, Structure-Function Relationship of Transporters in the Glutamate?Glutamine Cycle of the Central Nervous System. Int. J. Molec. Sci., vol.19, no.4, (2018) doi: 10.3390/ijms19041177
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5979278/

9)脳科学辞典:グリア細胞
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2%E7%B4%B0%E8%83%9E

10)脳科学辞典:グルタミン酸トランスポーター
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%E9%85%B8%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

11)Dinesh Yernool, Olga Boudker1, Yan Jin & Eric Gouaux, Structure of a glutamate transporter homologue from Pyrococcus horikoshii., NATURE vol.431, no.14, pp.811-818 (2004)
https://www.nature.com/articles/nature03018

 

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リオネル・メッシの思い出

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私がFCバルセロナ(バルサ)に関心を持ったのは、ロナウジーニョがパリ・サンジェルマンから移籍するのではないかという噂をきいて、いったいバルサとはどんなチームなんだろうと思ったことからでした。2002年のことです。それでWOWOWに加入し、バルサの試合を見始めました。当時はサビオラとクライファートという奇妙な凸凹コンビがFWをやっている、あまり強さが感じられないチームでしたが、チャビ、エンリケ、コクー、プヨールなどキャラの立った選手達が居て、見ていて楽しいチームという印象がありました。

そのうちロナウジーニョが加入し、エトオやデコもやってきて、バルサは黄金時代を迎えますが、ちょうどそんなとき(2004年)にバルサが、静岡のエコパにやってくるというので見に行きました。そのときにすでに天才少年として話題になっていた16才のメッシもやってきていて、出場し、ロナウジーニョのパスを受けて見事なシュートがジュビロのゴールに吸い込まれるのを目撃しました。

このときにびっくりしたのは、磐田の駅からエコパスタジアムまでの道端に、どこからわいてきたのか信じられないほど多くの外国人商人が怪しい商品を並べて売っていたことです。外国からこんな商品を持ち込んでペイするのだろうかと疑問でしたが、バルサというチームの凄さを再認識させられました。

それから18年間、メッシはバルサと共にありファンを楽しませてくれました。メッシはアルゼンチン人であり、カタルーニャ人じゃないのに、ずっと移籍せずバルサでプレーしてくれたことは素晴らしいことだと思います。

そんなメッシもついにバルサを離れるときが来てしまいました。最後の2年くらいは彼がチームに君臨することによって、いびつな忖度サッカーになっていたので、バルサというチームにとってこれは適切なことであり、それはメッシもよくわかっていたはずですが、やはり彼もファンも愛着というものがあって、湧き上がってくる感情があります。

パリで良い仕事をしてくれることを祈って。ボン・ボヤージュ!!

(画像はウィキペディアより)

 

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2021年8月11日 (水)

重要な情報なのでコピペしておきます

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これは管理人の推測ですが、どうしてこんな非現実的なことを書類に書いたかと言えば、正直に可能な数を書くと「もっとなんとかしろ」と言ってくるので対応が面倒になるとか、なんらかの不利益を被ることになりそうだからでしょう。市民が正直な書類を出してくれない政府に、正しい政策が打てるはずがありません。

 

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サラとミーナ252:ミーナが激やせ

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ミーナが激やせしてしまい、3.1kgになってしまったので、お医者さんに診てもらいました。車で10分くらいだったのですが、まず「この猫は熱中症になりかかっている」と指摘されてあわてました。車の中が暑かったようです。年寄り猫は高温に弱くなるそうで、危なかったです。車の中を十分に冷やしてから乗せるのが正解でした。

体重が減るのは年だから仕方がないとのことで、見たところ内臓の病気じゃないそうです。血液検査も麻酔が必要になるので年寄り猫にはお勧めできないそうで、治療はあきらめました。まあ痩せているだけで食欲はありますし、元気ではあるのでとりあえず様子をみることになりました。

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2021年8月 9日 (月)

オリンピックに思う

みんな気づかないふりをしていますが、オリンピックはナショナリズムと企業のお金によって支えられているお祭りです。

サッカーを例にとると、女子決勝はTBSが放映権を持ちながら放棄してお笑い番組を放映しましたし、男子決勝はNHKが時間をずらして放映しました。この要因はナショナリズムと視聴率、そしてお金です。どちらも死力を尽くした素晴らしい試合でした。

ナショナリズムと企業のお金で支えられる祭典は決して平和に貢献することはありません。むしろ有害でしょう。

ではどんなオリンピックなら良いのか? 例えばスケボーの好きな人が、世界一上手な人をみるために、みんなで旅費を出してあげる・・・というようなやり方ならいいと思いますよ。国旗掲揚も国歌放送もなしです。でも名前と国籍はきちんとアナウンスされて表彰されます。

(写真はウィキペディアより)

 

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2021年8月 8日 (日)

クレンペラーのマーラー交響曲第4番 平林直哉氏の復刻

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平林直哉氏は音楽評論家だそうですが、今や自らレーベル「GRAND SLAM」を立ち上げ、古い録音を最良の音で再現して制作・販売していることで有名です。

ホームページは
http://www.cadenza-cd.com/label/grandslam.html

写真のグスタフ・マーラーの交響曲第4番(オットー・クランペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団)は1961年当時録音された2トラック38cmオープンリールのテープから、彼が復刻して発売したCDです。私は2トラック38cmオープンリールテープデッキを見たことがありません。当時この種のテープデッキを製造していたスイスのルボックスはまだ健在で、オーディオ製品を販売しているようです。日本の赤井電機は台湾の家電メーカーに買われて、今では普通の家電を作っているようです。

平林氏のセールストークに『クレンペラーとシュヴァルツコップによるマーラーの交響曲第4番は、定番としてあまりにも有名です。第4番はマーラーの交響曲の中でも小さい編成のためか、この録音は非常にバランス良く、空気感豊かに収録されています。そうした原音の持つ特徴を最忠実に再現、身震いするほどの透明感溢れるサウンドを実現しました。』とありますが、実際にこのCDを聴いてみて、これは本当だと思いました。

オットー・クレンペラーはマーラーの推薦で、なんと22才からプラハの歌劇場の指揮者となり、あまりにも順調に大指揮者へのステップを上がっていきましたが、ユダヤ系だったためナチスの治世下では海外に逃れざるを得ませんでした。米国で活躍していたときに脳腫瘍を患って精神的にもおかしくなり、長い低迷期を経験することになりました。しかし69才でフィルハーモニア管弦楽団という伴侶を得て復活し、数々の名演奏を記録に残しました。それがこのような形で現在でも聴けると言うことは幸いなことです。

ライナーノートを開くと、シュワルツコップがシャム系の猫を膝に乗せて微笑んでいるめずらしい写真がありました。

YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=wHWsCmenKms



 

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2021年8月 6日 (金)

ワクチン接種による死者?

Kinoshita

若手の現役プロ野球選手で、中日ドラゴンズに所属する木下雄介氏が、モデルナの新型コロナワクチンを接種後に、突然心臓の調子が悪くなり、8月3日に亡くなったそうです。ご冥福をお祈りいたします。

こちら1

こちら2

私も接種後心臓に痛みを感じました。ワクチン接種によって血栓ができる場合があることはすでに証明されていて、一定の確率で死者が出ることは容易に理解できます。しかしメーカーは免責されていますし、政府も因果関係を認めないので、全く補償はありません。死者達は蔓延を防ぐための生け贄なのに、生け贄としての待遇も与えられません。

今回もなんだかんだ言って、政府は責任を認めないでしょう。もともとワクチンなんて効くか効かないかよくわからない位の方がいいのです。実際非常に強力な効果をめざしたワクチンでも、イスラエルや英国やマサチューセッツのようにもう効いてないことが明らかになっています。あまりに強力な効果を目指すと生け贄の数も増えます。

まるで「ワクチンさえ打てばすべてOK」というような考えを総理に吹き込んで信じさせた取り巻きの自称専門家達の罪は大きいと思いますよ。

私はワクチンの効果はもちろん信じていますし、それによって少数の死者が発生することも信じています。それに加えて今回は新型のワクチンなので 「人類初の試みである改造mRNAやベクターDNAを使ったワクチンなので何が起こるかわからないよ、でもコロナに打ち勝つにはやるしかないんだよ。それが今の科学のレベルなんだよ。タンパク質のワクチンができるまですまんが我慢して接種してくれ」と政府はそう言えば良いのです。「国民は馬鹿なので善導しなければいけない」という姿勢の国家のトップが頭が悪いときているので、どうにもなりません。彼はIOCの会長に会ったときの挨拶に原稿を読んでいました。英語ができないから読むのではなくて、日本語の挨拶原稿を読んでいたのです。これには腰が抜けました。

その政府の尻馬に乗って、ワクチンの害についてまったく取材も報道もしなかったマスコミの罪も大きいと思いますよ。それに加えて マスコミはもっと新型コロナウィルスの恐怖をあおるべきだった のです。そうすれば国民は行動を自粛するようになったはずです。国民が緊急事態宣言が発令されても自粛しないのはマスコミの責任だと思います。

(画像はウィキペディアより)

因果関係を認めているわけではない↓

こちら

 

 

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2021年8月 4日 (水)

続・生物学茶話153:グルタミン酸 その2 代謝型グルタミン酸受容体

代謝型グルタミン酸受容体は、すべて細胞膜7回貫通Gタンパク質共役型受容体(GPCR)です。GPCRは最も一般的な受容体ですが6つのグループに分類されています。最大のグループはロドプシン型グループで、地球上に微生物しかいなかった時代からこのグループの分子群は連綿と受け継がれてきており、クラスAと呼ばれています。そのほかにクラスB-Fがあり、グルタミン酸受容体はクラスCに所属します。ヒトには約800種類のGPCRが存在し、その8割以上はクラスAに所属します(1)。GPCRの詳細な分子構造が明らかになったのは21世紀になってからのことであり(2)、現在も研究が続けられています。

クラスCのGPDRは22種類みつかっており、グルタミン酸受容体以外にはGABA受容体や味覚受容体などが含まれます(3、4)。代謝型グルタミン酸受容体の遺伝子構造や機能は、20世紀末に京都大学の中西研究室を中心に研究が進められました(5、6)。その研究の中心人物のひとりだった桝(ます)氏が当時の研究室の雰囲気について「失敗を恐れず何でもチャレンジしてみる気風があり、合宿所のような雰囲気の中、皆朝から晩まで楽しく実験をしていました。」と記述しています(7)。

現在では8種類の代謝型グルタミン酸受容体が知られており、mGlu1とmGlu5がグループIで、これらが共役するGタンパク質はGq(あるいはGq/11)で、細胞内シグナル伝達経路を活性化する役割を持っています。それ以外のグループⅡ・グループⅢの受容体が共役するGタンパク質はGi/oで、細胞内シグナル伝達系を抑制するタイプになっています(8、図153-1)

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図153-1 代謝型グルタミン酸受容体の分類表

これらの受容体の細胞膜に埋め込まれている部分はありふれた膜7回貫通のαヘリックス構造ですが、細胞の外側にあるN末が長大なのが特徴です(9、図153-2左図)。このECD(extaracellular domain) は根元のCRD(cysteine-rich domain) と先端のVFTD(venus flytrap domain)からなります(図153-2右図)。Flytrap というのは辞書を引くとハエトリグサという食虫植物のことだそうです。最近 Zhang らはクライオ電子顕微鏡技術を用いて、リガンドが結合していない状態、結合した状態、遷移過程の状態などの美しいmGlu1受容体のモデルを提供することに成功しました(10)。ここではリガンドが結合していない状態のモデルだけをコピペしましたが、論文はフリーオープンなのでご覧になることをおすすめします。

リガンドがない状態でも、一応ホモダイマーを形成しているとみられるmGlu1受容体分子ですが、リガンドが結合することによって、それぞれの分子のVFTD部分が構造変化を起こして強く絡まり合い、その力でCRDや膜内部分(7TMD=7 transmembrane domain)までもが引き寄せられて近接する様子が示されています。

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図153-2 代謝型グルタミン酸受容体の構造

代謝型グルタミン酸受容体のグループIはGタンパク質αq (あるいはαq/11)と結合していて、リガンドが結合することによってGタンパク質は遊離し、PLCβを活性化し、図153-3のようにPKC活性を上昇させることになります。PKCは多くのタンパク質をリン酸化し、リン酸化されたタンパク質それぞれの機能に大きな影響を与えます。

さらに受容体がリガンド結合によって構造変化を起こし、受容体自身がGRKによってリン酸化されることが知られています。それによってアレスチンと受容体が反応して転写因子を活性化したり、受容体を細胞内に取り込むプロセスを発動したりします(11、図153-3)。後者はある種のフィードバック制御と考えられています。またリガンド結合によって、NMDA受容体の活性化も行われます(4)。この点は代謝型グルタミン酸受容体の機能について研究する上で注意すべきです。代謝型グルタミン酸受容体の活性変化によって、NMDA受容体の活性が影響を受け、直接的にはNMDA受容体の活性変化によってさまざまな結果が生まれる可能性があります。

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図153-3 グループI代謝型グルタミン酸受容体の機能

グループⅡ・Ⅲの受容体はリガンドと結合するとαi/oを遊離し、アデニル酸シクラーゼの活性を阻害する方向で作用し、PKAの活性はさがります。またカルシウムチャネルを閉じさせる作用もあって、PKCも低下し、細胞内のシグナル伝達系を抑制します(4、図153-4)。これらの受容体はカリウムチャネルを解放する作用もあるので、細胞の脱分極を阻害する方向に作用します(4、図153-4)。

代謝型グルタミン酸受容体はヘテロダイマーを形成することもあるようですが(図153-4)、その構造や機能の研究は現在進行中で、まだ詳細は明らかではないようです(12)。

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図153-4 グループⅡ・Ⅲ代謝型グルタミン酸受容体の機能

Zhang らは代謝型グルタミン酸受容体ホモダイマーのリガンド結合による構造変化についてモデルを提出しています。VFTDのコンフォーメーションチェンジによって、ダイマーが接近する様子が示されています(10、図153-5)。しかし注意すべきは、別角度から見た図も彼らの論文に掲載されていますが、それによると結合しているのはVFTDだけで、CRDも7TMDも接近はするものの、結合しているとは思えないことです(10)。サブユニット同士がCRDでSSブリッジを形成するという論文もあるので(13)、このあたりはまだまだ議論の余地があるものと思われます。

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図153-5 Zhangらによる代謝型グルタミン酸受容体の構造変換についての模式図

代謝型グルタミン酸受容体に異常のある実験動物やアゴニスト/アンタゴニストを用いた実験によれば、この受容体は統合失調症、自閉症、うつ病、不安心理、ステロイドの合成などに関与していることが示唆されています(14)。

 

参照

1) ウィキペディア:Gタンパク質共役受容体
https://ja.wikipedia.org/wiki/G%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA%E5%85%B1%E5%BD%B9%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93

2) Rasmussen SG, Choi HJ, Rosenbaum DM, Kobilka TS, Thian FS, Edwards PC, Burghammer M, Ratnala VR, Sanishvili R, Fischetti RF, Schertler GF, Weis WI, Kobilka BK (2007). “Crystal structure of the human β2-adrenergic G-protein-coupled receptor”. Nature 450 (7168): 383?7. doi:10.1038/nature06325. PMID 17952055.

3) Wikipedia: Class C GPCR
https://en.wikipedia.org/wiki/Class_C_GPCR

4) Shen Yin and Colleen M. Niswender, Progress toward advanced understanding of metabotropicglutamate receptors: structure, signaling and therapeutic indications. Cell Signal. 2014 October ; 26(10): 2284?2297. doi:10.1016/j.cellsig.2014.04.022.

5) M Masu, Y Tanabe, K Tsuchida, R Shigemoto, S Nakanishi, Sequence and expression of a metabotropic glutamate receptor., Nature, vol.349(6312): pp.760-765.(1991)
doi: 10.1038/349760a0.
https://www.nature.com/articles/349760a0

6) Takahashi K, Tsuchida K, Tanabe Y, Masu M, Nakanishi S., Role of the large extracellular domain of metabotropic glutamate receptors in agonist selectivity determination. J Biol Chem. vol.268(26): pp.19341-19345. (1993)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8103516/

7) 桝正幸 二人の偉大な研究者との出会い 
http://www.chnmsj.jp/kenkyuui_taikendan3.html

8) Shen Yin and Colleen M. Niswender, Progress toward advanced understanding of metabotropic glutamate receptors: structure, signaling and therapeutic indications
Cell Signal., vol.26(10): pp.2284–2297. (2014) doi:10.1016/j.cellsig.2014.04.022
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24793301/

9) http://www.bris.ac.uk/synaptic/receptors/mglur/

10) Jinyi Zhang et al., Structural insights into the activation initiation of full-length mGlu1, Protein Cell 2021, 12(8):662–667
https://doi.org/10.1007/s13238-020-00808-5

11) Wikipedia: G protein-coupled receptor kinase
https://en.wikipedia.org/wiki/G_protein-coupled_receptor_kinase

12)ヒポクラ × マイナビ Bibgraph 代謝型グルタミン酸受容体2/4ヘテロ二量体の機能的および薬理学的特徴
https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/22653971?click_by=p_ref

13)Siluo Huang et al., Interdomain movements in metabotropic glutamate receptor activation., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.108, pp.15480-15485 (2011)
https://doi.org/10.1073/pnas.1107775108
https://www.pnas.org/content/108/37/15480

14)Wikipedia: Metabotropic glutamate receptor
https://en.wikipedia.org/wiki/Metabotropic_glutamate_receptor

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2021年8月 3日 (火)

東京がガダルカナル化した以上、オリパラは中止するしかない。

以前から東京がガダルカナル化(歩けない者は放置→餓死)の危機に陥ったらオリパラは中止すべきだと言ってきましたが、それが現実化しそうな状況になってきました。田村大臣の「病院は重症者のみ」という宣言は、事実上東京ガダルカナル化宣言です。誠に残念ですが、もうこれはオリパラ中止しかないでしょう。

それより酸素と食料と医薬品を自宅療養者(特に一人暮らし)にとどけることが重要です。太平洋戦争は大本営がやめるといえば終わったはずですが、コロナ戦争は無条件降伏しても許してもらえません。

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ガダルカナル島の惨状(ウィキペディアより)

補:4政党が病床削減に今春賛成していた
https://www.min-iren.gr.jp/?p=42723



 

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2021年8月 1日 (日)

ワクチンを多くの人が接種した地域で感染爆発

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USAのマサチューセッツ州で新型コロナウィルスの感染爆発が起きています。CDCが調査したところ、感染者の75%がすでにワクチンを接種した人々だという結果が出ました。ワクチンを接種した人々は重症化しにくいし、無症状者も多いとということで、自分でも気づかないうちにスプレッダーとなって感染を広げていることになります。

欧州でもワクチン接種が圧倒的に進んでいる英国とオランダで感染爆発が起きています。こうなると接種した人々と接種していない人々が半々などという場合は非常に危険な状況になるということを意味します。それって日本じゃないですか。

これで学習すべきは接種方法です。ワクチンの数が十分でない場合、例えばまず北海道で接種を進めて、90%くらいになったところで東北に移るというような、地域別に時期をずらして接種するのがベストだということがわかりました。もちろん移動で地域をまたぐときにはPCR検査するのがベターです。

私は接種しましたが、まだmRNAやDNAのワクチンは信用していません。おそらく数百人の被接種者が副反応で死亡したのではないかと疑っています。ワクチンが安全ならメーカーを免責する必要なんてないわけですから。また重篤な副反応が発生した場合、メーカーに替わって責任を負うべき政府がそれをことごとく認めていないというのも、全く信用できないことの要因です。できればタンパク質のワクチンで上記のような接種方法でやっていくのがベストだと思いますが、もう手遅れなのでしょう。

参照 ワシントンポスト記事
https://www.washingtonpost.com/health/2021/07/30/provincetown-covid-outbreak-vaccinated/

ワクチン接種直後196人死亡で考える「打つべき人」と「打たないほうがいい人」
(News ポストセブン)
こちら

 

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ケープコッド湾の夕陽(ウィキペディアより)

 

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