藤田嗣治画文集「猫の本」
藤田嗣治画文集「猫の本」講談社2003年刊
日本を代表する画家のひとり藤田嗣治(ふじたつぐはる)は、太平洋戦争の間、戦場の絵ばかり描いていました。戦意高揚のために軍に依頼されたからですが、彼は戦場の悲惨ををありのままに描いたために、戦意高揚にならないと批判され、戦後は軍の協力者として批判されました。彼は失意のうちにフランスに移住し、レオナール・フジタとしてたくさん猫の絵を描きました。特に自画像とか裸婦の絵に猫がいるというパターンが好きだったようです。
彼が戦時中に描いた大作に「アッツ島玉砕」というのがあります。精魂込めて描いたすさまじい作品ですが、その屍となった兵士の傍らに、とても小さな菫(すみれ)の花が描かれています。無罪で死刑になった人々や戦争で死んだ召集兵達ほど気の毒な人々はいません。フジタの思いやりに感動します。
9月5日まで箱根のポーラ美術館で「フジタ-色彩への旅」という展覧会をやっていますが、コロナがもう少し下火になれば出かけてみようと思っています。
https://www.polamuseum.or.jp/sp/foujita/
ポーラ美術館が新たに収蔵したフジタの猫の絵
https://www.polamuseum.or.jp/sp/foujita/o_202104_12/
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