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2021年6月29日 (火)

脳死政権

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BS-TBSの報道1930によると、故立花隆(敬称略)は「今の日本は太平洋戦争と同じ敗戦への道を歩んでおり、もうミッドウェー海戦は終わって、山本五十六が死亡した頃だ」と10年前に言っていたそうです。あとはもういかに被害を少なくするかということしかないというのは全く同感です。もう時間はありません。また沖縄戦や原爆投下まで撤収なき戦争をやってしまってはいけません。

今の日本は人口減少や財政赤字もあるけれど、一番の問題は科学技術の衰退だということを立花隆が喝破していたことには少し感動しました。私はもともと日本には学術を重視するという精神が根付いていないとは思っていました。それに輪をかけて、今ではほとんど野党の質問に答えず論争というものができない、まるで呪文だけ唱えているような脳死状態の男が私たちの頭領という末期的な症状となっています。これでは国会なんてあってもなくても同じです。しかも彼らは学術は単なる金食い虫で無用の長物としか考えていません。

イノベーションは政府の思惑などとは無関係な、とんでもないところから発生するものです。今はやりのPCR検査だって、離婚した奥さんが経営していたドラッグストアの店番をやっていたはぐれ研究者と、温泉の生物を研究していた変わり者の研究成果が合体して発明されたものです。

立花隆が言う被害を最小限にするためには、最低でも記録をきちんとおこない、科学的に議論する政権、野党の質問にちゃんと答える政権、願わくば学術を尊重する政権を成立させなければなりません。それができないようなら結局沖縄戦から原爆投下、無条件降伏まで行ってしまいますよ。現に今の政権は御用学者のアドバイスすら聞かず、ひたすら米国の指示にしたがうこと、金の計算をすること、政権を持続させること この3つだけを念頭に動いているという脳死政権です。

1942年 
#3月13日 アメリカ軍フィリピン司令官マッカーサー、フィリピンから逃亡。
#4月18日 米空母から発進したB-25爆撃機による東京初空襲。
#6月5日-7日 ミッドウェー海戦。日本軍は4空母と艦載機390機を失う大敗。

1943年
#2月1日-7日 日本軍、ガダルカナル島撤退。
#4月18日 山本五十六連合艦隊司令長官、ブーゲンビル島上空で戦死。
#5月29日 アッツ島玉砕

1944年
#6月19日 マリアナ沖海戦敗退。日本軍は西太平洋の制海権と制空権を喪失。
#7月18日 東條英機内閣総辞職。
#10月24日 戦艦武蔵沈没。
#10月25日 海軍機動部隊が全滅。神風特別攻撃隊がレイテ沖海戦で初出撃。

1945年
#2月 クリミア半島ヤルタで英米ソ首脳会談(ヤルタ会談)
#3月10日 東京大空襲
#4月1日 米軍 沖縄本島に上陸開始
#4月7日 戦艦大和沈没
#5月27日 日本軍首里撤退
#6月25日 沖縄日本軍全滅
#8月6日 米軍、広島に原子爆弾を投下。
#8月9日 米軍、長崎に原子爆弾を投下。
#8月15日 天皇陛下玉音放送(終戦の詔)。
#9月2日 降伏文書調印。太平洋戦争が法的に終結。

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2021年6月28日 (月)

ペッテションの交響曲第7番

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来る7月1日(火)夜に、サントリーホールで都響がアラン・ペッテションの交響曲第7番を演奏します。1984年に日フィルが演奏して以来の快挙だそうです。しかも指揮者はアラン・ギルバートです。アラン・ギルバートは日系アメリカ人ですが、奥様がスウェーデン人らしく、ストックホルムに住んでいるそうです。そんな縁で大変珍しいペッテションの交響曲を取り上げることになったのかもしれません。

私も2年くらい前に交響曲全集を買って時々聴いているのですが、2~6番は途中で挫折しました。延々と続くホラー音楽という感じで、集中力が続きません。7番ははじめて最後まで聴けました。これだけ既存の音楽とは異なる音楽を長時間楽しめたのですから、これは名曲だと思います。この曲は主題らしきメロディーがちゃんといくつかあって、かつ実質5つくらいのパートにわかれていることもあって、わかりやすい構成になっています。彼のシンフォニーの中では例外的に穏やかな楽想が長く続きます。私は最後のあたり、ひとりで口笛を吹きながら荒野を歩いて去って行くような感じがいいですね。

どんなに激しい嵐や凶悪なモンスターが迫り来ても、スネアドラムだけは味方のような気がします。

Allan

まだ全部を聴いたわけではないですが、交響曲第12番が一番既存のクラシック音楽に近いと思います。これは間違いなく傑作です。9つのパートに分かれていて、わかりやすい構成になっています。オラトリオのような作品ですが、もちろん彼はキリスト者ではなく、歌詞はパブロ・ネルーダ(ノーベル文学賞受賞者)が書いたものなので、誰か翻訳して欲しいと思います。日本で出版されているネルーダの本にはないようです。全集にも日本語訳はおろか英訳もありませんでした。

フェイスブックに Allan Pettersson Enthusiasts というサイトがあります。
https://www.facebook.com/groups/2344964171/

多分日本人で好きな方が居て、いろいろ解題してくれています。
http://kukikei.sakura.ne.jp/sym-eastnoth-pettersson.htm

ダニエル・ハーディングが Swedish Radio Symphony Orchestra を指揮した演奏が
YouTubeにあがっています。
https://www.youtube.com/watch?v=mNSQTgZq87A


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2021年6月26日 (土)

続・生物学茶話148: GABA その2 GABAA受容体

GABAの受容体には大きく分けてA型とB型があり、A型はイオンチャネル、B型はGPCRとなっています。書式としてはGABAの後に下付けのAまたはBをつけて、GABAあるいはGABAと書きます。まずGABAからみていきましょう。

GABA受容体は大まかには、ニコチン性アセチルコリン受容体、5HTセロトニン受容体、グリシン受容体などと共に、シスループリガンド作動性イオンチャネル=Cys-loop ligand-gated ion channels (LGIC)というスーパーファミリーに所属します。なかでもグリシン受容体とは近縁で グリシン受容体とGABA受容体は anionic inhibitory Cys-loop LGIC、略してILGIC(イルジック)というグループを形成しています(1)。

GABA受容体を構成するサブユニットの分子はいずれも膜4回貫通型で、N末・C末共に細胞外にあり細胞膜に局在します。N末の細胞外部位にはSS結合があっていわゆるシスループが形成されています。5つの分子が集合して塩素イオンの出入りを制御するイオンチャネルを形成します(2、3、図148-1)。GABAは基本的に抑制性の神経伝達因子であり、その情報によってイオンチャネルが開いて通常細胞外の方が高濃度である塩素イオンが流入すると、外界(+)/細胞内(-)となっている電位差がますます大きくなるので、細胞は過分極状態となり脱分極は阻止されます。

オレンジ色で示されている2番の細胞膜貫通部位は、5量体が構成されたときにそれぞれのサブユニットの内側に配置され、この部分が中央部のポア形成や塩素イオンの透過にかかわっていることが示唆されます(図148-1)。

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図148-1 GABA受容体およびサブユニットの構造

GABA受容体あるいは同様なはたらきを持つグリシン受容体の精製は1980年初頭に英国のバーナード(図148-2)のグループと、ドイツのベッツ(図148-2)のグループで激しい先陣争いが繰り広げられました。前者は牛の脳、後者はラットの脊髄を材料としました。両者が成功したのは、GABAやグリシンというリガンドそのものではなく、より強力で特異的に受容体に結合するベンゾジアゼピンやストリキニーネという代役の化合物を放射能でラベルし、精製の際のマーカーとして用いたからと言えます(4)。両陣営がそれぞれレビューを出版しているので、興味のある方はご覧ください(5、6)。

現在ではバーナードが精製したのはGABA受容体で、ベッツが精製したのはグリシン受容体であったことがわかっています。これらとは別グループの受容体であるGABA受容体はバウリーらによって精製され、構造も判明しています(7、8)。後者については次項で取り扱います。

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図148-2 GABA受容体の精製と構造解明に関わったパイオニア達

GABA受容体タンパク質はサブタイプが多くて、ヒトの場合 α1-6、β1-3、γ1-3、δ、ε、θ、π と ρ1-3 の少なくとも19種類の分子種が知られており、イオンチャネルはこれらから5分子が集合して形成されます(3、9、図148-3)。脳内にはα型1個-β型2個-γ型2個の5量体が多いとされています(9)。GABA受容体は実質無限のバラエティを持っているわけですが、なぜそうなっているのか理由は不明です。しかし例えば網膜にはρだけの5量体タイプが多いなどの組織特異性があるので、意味もなくこのようなバラエティーがあるわけでもないようです(3)。

GABA受容体は2ヵ所のGABA結合部位を持っていますが、その他図148-3に示したようなさまざまな薬剤の結合部位があります。たとえばベンゾジアゼピンは受容体に結合することによってGABAの作用を増強し、睡眠・鎮静・抗不安などの効果をもたらすことができます(10)。

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図148-3 GABA受容体の立体構造とGABAなどの結合部位

各サブユニットが図148-1のような構造で、ペンタマーによってイオンチャネルを形成するタイプの受容体群は、前述の通りシスループ受容体スーパーファミリーを構成していますが、これと近縁なのがイオンチャネル型のグルタミン酸受容体で、膜3回貫通型のサブユニットが4量体となってイオンチャネル型の受容体を形成しています(図148-4)。またATPをリガンドとするP2X受容体は、膜2回貫通型のサブユニットが3量体を構成してやはりイオンチャネル型受容体を形成しています(図148-4)。グルタミン酸やATPの受容体はカチオンチャネルを形成しますが、進化的にはそれぞれシスループ受容体スーパーファミリーと関係がある分子群とされています(11)。

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図148-4 Cysループ受容体スーパーファミリーと関連する分子群

バンバーらはC.エレガンスのUNC-49領域のGABA受容体などの研究をもとに、抑制性GABA受容体や抑制性グリシン受容体の進化的関連をまとめています(12、13)。これを簡略化して示したのが図184-5です。この図には前口動物のC.エレガンスやショウジョウバエと後口動物のラットやヒトの抑制性GABAA受容体が混在しています。このことは前口動物と後口動物が分岐する前の時代からすでに生理活性を持ったこれらの受容体の原型が存在し、それを受け継いださまざまな系統の生物が独自に進化させてきたことを示唆しています。

もしC.エレガンス、ショウジョウバエ、ラットなどがそれぞれ独自に抑制性GABA受容体を一から進化させたとすると、分子進化は生物の進化とパラレルであり、分子構造の関連性は生物ごとに固まって存在するはずです。この図からはそのような形跡はうかがえません。この後ヒト、ニワトリ、フグなどについても詳細な解析が行われています(14)。また刺胞動物であるヒドラにもGABA受容体が存在することが証明されています(15)。すなわち非常に始原的な神経系においても神経伝達物質としてGABAが利用されているようです(15、16)。このことはさらにウルバイラテリア(始原的左右相称動物、17)出現以前から、神経伝達物質としてのGABAが存在していたことを意味します。たとえば触手を動かすというような動作でも、筋肉の弛緩と緊張のバランスをうまくとる必要があるので、抑制性の神経伝達因子が必要だったのでしょう。

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図184-5 GABAA受容体サブユニットおよび関連分子の進化

C.エレガンスのGABA受容体のゲノムが存在するのはUNC-49領域なのですが、ここにひとつの遺伝子があって、ひとつのタンパク質が合成されるというわけではなく、このゲノム領域は4つに分かれていてアミノ基側に対応する配列がひとつと、カルボキシル基側に対応する配列が3つ存在することがわかっています。そして選択的スプライシングによってアミノ基側は同じで、カルボキシル側が異なる3種類のタンパク質が合成されます(12)。したがってC.エレガンスはヒトの脳の場合と同様、3種類のタンパク質でペンタマーを構成してGABA受容体を造ることができます。C.エレガンスはヒトの生活とはほとんど関係のない生き物ですが、近縁の生物には寄生虫が多く、駆除のためにGABAを無効化する駆虫薬なども研究されているようです。

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図148-6 C.エレガンスのUNC-49領域における選択的スプライシング

GABA受容体を構成する各サブユニットの2番目の膜貫通部位(M2)がイオンの通路を形成することはすでに述べましたが、そのM2のアミノ酸配列をC.エレガンス、ラット、昆虫で比較して並べてみたのが図184-7です(13、18,19)。これらの非常に離れた生物群においても、20個のアミノ酸のうち、やや特殊なUNC-49Cを除くとすべての分子で10個もアミノ酸の位置が一致していることは驚きです。特にTTVLTMという配列が一致しているので、ここが塩素イオンチャネルの核心部分であることが示唆されます。

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図148-7 M2領域のアミノ酸配列


参照

1)Shui-Ying Tsang, Siu-Kin Ng, Zhiwen Xu, and Hong Xue, The Evolution of GABAA Receptor-Like Genes., Mol. Biol. Evol. vol.24(2): pp.599-610. (2007)
doi:10.1093/molbev/msl188

2)ウィキペディア GABA受容体
https://ja.wikipedia.org/wiki/GABAA%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93

3)脳科学辞典 GABA受容体
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/GABA%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93

4)Stephenson FA, Mukhopadhyay R.,Classics How the glycine and GABA receptors were purified., J Biol Chem. vol.287(48), pp.40835-40837.(2012) doi: 10.1074/jbc.O112.000006.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23180805

5)Barnard EA, Darlison MG,Seeburg P., Molecular biology of GABAA receptor:The receptor/channel superfamily. Trends Neurosci vol.10: pp.502-509.(1987)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0166223687901305

6)Grenningloh G, Gundelfinger ED, Schmitt B,Betz H, Darlison MG, Barnard EA, Schonfield PR, Seeburg PH., Glycine vs GABA receptors. Nature vol.330: pp.25-26.(1987)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2823147

7)Bowery N.G., GABAB receptors and their significance in mammalian pharmacology. Trends Pharmacol. Sci., vol.10: pp.401-407 (1989)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0165614789901880

8)Bowery, N.G. and Brown, D.A., The cloning of GABAB receptors. Nature vol.386, pp.223-224. (1997)
https://www.nature.com/articles/386223a0

9)Macdonald R.L. Olsen R.W., GABAA receptor channels. Annu. Rev. Neurosci. vol.17: pp.569-602 (1994)

10)処方薬事典 ベンゾジアゼピン系睡眠薬の解説
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf8272.html

11)Kenneth R. Tovar, Gary L. Westbrook, Ligand-Gated Ion Channels in Cell Physiology Source Book (Fourth Edition), V. Molecular Structure (2012)
https://www.sciencedirect.com/topics/neuroscience/cys-loop-receptors

12)Bamber BA, Beg AA, Twyman RE, Jorgensen EM., The Caenorhabditis elegans unc-49 locus encodes multiple subunits of a heteromultimeric GABA receptor. J Neurosci. 19:5348–5359.(1999)

13)Bamber BA, Twyman RE, Jorgensen EM., Pharmacological characterization of the homomeric and heteromeric UNC-49 GABA receptors in C. elegans. Br J Pharmacol. 138:883–893. (2003)

14)Shui-Ying Tsang, Siu-Kin Ng, Zhiwen Xu, and Hong Xue, The Evolution of GABAA Receptor–Like Genes., Mol. Biol. Evol. vol.24(2): pp.599–610. (2007)
doi:10.1093/molbev/msl188

15)A Concas, R Imperatore, F Santoru, A Locci, P Porcu, L Cristino, P Pierobon, Immunochemical Localization of GABAA Receptor Subunits in the Freshwater Polyp Hydra vulgaris (Cnidaria, Hydrozoa) .,
Neurochem Res, vol.41(11): pp.2914-2922. (2016) doi: 10.1007/s11064-016-2010-1.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27450241/

16)Paola Pierobon, An Interesting Molecule: γ-Aminobutyric Acid. What Can We Learn from Hydra Polyps? Brain Sci, vol.29;11(4): 437.(2021) doi: 10.3390/brainsci11040437.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8067216/

17)渋めのダージリンはいかが ウルバイラテリアをめぐって
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/01/post-4f9530.html

18)中尾俊史 昆虫RDL GABA受容体の構造と薬剤感受性に関する研究
日本農薬学会誌 40(2), 163‒170 (2015)

19)Uniplot Protein Database: D.melanogaster GABAA receptor

 

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2021年6月24日 (木)

シモフリスズメ

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珍しい夜の訪問者。シモフリスズメ (Psilogramma increta ) というスズメガの一種のようです。10cmクラスの大型の蛾です。個人的には非常にかっこいい蛾だと思いました。特に珍しい種類ではないようですが、私は初めて見ました。どうしてうちの玄関前で休んでいたのでしょう? 手でつかめそうなくらいゆったりと休んでいました。

ウィキペディア:こちら



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2021年6月21日 (月)

お茶の水

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昨日所用があって久しぶりにお茶の水に出かけました。昔からやっている店は大丈夫かと見てみると、ミロも穂高も閉めていました。やはりコロナのせいなのでしょうか? 仕方が無いのでお昼は新御茶ノ水駅前のスープストックで。あれれ、スープストックってカレー屋に変身したのか と思えるようなメニューでしたが、味はOK

街は大変賑わっていました。丸善やレモンは営業していてやれやれです。パワポが無かった頃には、スライドはレモンで字を買って貼り付けて作成していたのです。ロトリング用ペンや定規もここで買いました。示説発表の時にはここの地下で大判印刷をやってもらいました。ディスクユニオンも健在でした。アマゾンやアリアCDの通販が一般的になる前は、ここか石丸電気でCDを購入していました。

東京医科歯科大学や順天堂大学はリニューアルして美しい校舎が並んでいました(中身が問題ですが)。そうそう三楽病院で研修生に胃カメラを操作されてひどい目に遭ったことを思い出しました。フォローしておきますが、この病院は割と信頼できる病院です。鼻からの胃カメラもあります(最初からそれでやってくれよ)。

帰りにポイント切れ寸前だった秋葉原ヨドバシカメラにポイント消費のために寄りましたが、すごい人出でした。一時期中国人であふれていましたが、日本人だけでもこんなに人が居るんだと驚きました。ここに来るといつもは丸福でパンケーキをいただくのですが

http://www.yodobashi-akiba.com/cafe/yy_maru.html

きょうはスキップして大正解。ゆっくりしていたら首都圏電車停止に巻き込まれるところでした。

 

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2021年6月18日 (金)

続・生物学茶話147: GABA その1

脳科学へのエントランスとしてここしばらく神経伝達物質を取り上げていますが、これまでにアセチルコリンとモノアミン類を概観してきました。今回からアミノ酸関連因子に進みます。図147-1に出てくるグルタミン酸とγ-アミノ酪酸はどちらもアミノ酸系神経伝達因子を代表するものです。γ-アミノ酪酸=γ-amino butyric acid はその頭文字をとってGABAという略称がよく使われます。

グルタミン酸はタンパク質を構成するアミノ酸のひとつであり、GABAはタンパク質の構成要素ではありませんがグルタミン酸からワンステップの酵素反応(図147-1)で生合成される分子で、両者とも細菌・古細菌・真核生物の3つの生物界(ドメイン)で共有されている化合物です(1)。したがって神経伝達物質として多細胞生物が発明した分子ではなく、当初は細菌などがモノアミンなどと同様に細胞内のpH調節を行うなどの役割を果たしていたと思われます(2)。なかには枯草菌やアカパンカビのように胞子形成に利用している生物もいます(3、4)。真核生物は他の神経伝達物質と同様、従来から存在した分子を神経伝達に流用したことになります。

GABAはグルタミン酸からグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD=L-glutamic acid decarboxylase)によって産生されます(図147-1)。材料のグルタミン酸は細胞外からグルタミン酸トランスポーターを用いて取り込む場合と、細胞内でTCAサイクルの α-ケトグルタル酸から合成する場合があります。GADにはふたつのアイソフォーム(GAD65,GAD67)があり、GAD67が細胞質全体に存在するのに対してGAD65は神経終末部に豊富に存在することから、GAD65が抑制性シナプス伝達を担うGABA合成に主として関与すると考えられています(5)。

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図147-1 GABAの生合成

タンパク質の構成要素となるアミノ酸はαの位置にアミノ基がありますが、GABAの場合図147-1のようにγの位置にアミノ基があります。したがってGABAはタンパク質の構成要素としてのアミノ酸ではありません。

GABAの発見者はアッカーマンという人で、細菌による腐敗の結果生ずるものと報告されているそうです(6)。GABAがマウスの脳に存在することを示したのはユージン・ロバーツです(図147-2、7、8)。

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図147-2 ユージン・ロバーツ

ロバーツは自伝を書いていますので(7)、少し彼の人生をたどってみましょう。ユージン・ロバーツは1920年に黒海沿岸で生まれましたが、1917年にロシア革命が勃発し、いわゆるブルジョアジーだった彼の一家は1922年にラトヴィア経由で、親戚を頼って米国のデトロイトに移住しました。彼は高校時代にアンドレという女性教師に実験室を自由に使わせてもらってゾウリムシの研究を行い、それが生物学へ傾倒するきっかけとなったそうです。高校教師も科学の進歩に関係がないわけではありません。

彼はウェイン州立大学を卒業後、ミシガン大学で学位をとりましたが、太平洋戦争中ということもあって、学位取得前からニューヨークのロチェスター大学でマンハッタンプロジェクトに参加し、ウラニウムのダストをどのくらい吸い込むと危険かという研究に携わりました。

戦後の1949年になって、彼は2次元ペーパークロマトグラフィーの技術を使って、脳に大量のGABAが存在することを発見しました。これは「正常細胞とがん細胞で、フリーのアミノ酸の含量に差があるかどうか調べる」という目的の研究の副産物として発見されました。「目的指向的研究をやれ」とよく役人やその尻馬に乗る人々が言うわけですが、実際には所期の目的とは「はずれた」副産物の方が重要だったということはよくあることです。テクノロジーの進化には目的指向をはっきりさせることが大事かもしれませんが、サイエンスにとって多くの場合、当初の研究目的はきっかけに過ぎません。

脳にGABAが存在するという研究結果は、1950年に共同研究者のサム・フランケルと共に発表し、論文にもまとめました。同じ年に Udenfriend(9)と、Awaparaのグループ(10)も同様な結果を発表していますが、前者はロバーツからサンプルの提供を受けて、ラジオアイソトープを使った別法で成分を確認したものです。後者はプライオリティーの点でやや遅れをとったとみなされています(11)。ただアワパラ側がどう考えていたのかについては情報が得られなかったので、本当のところはわかりません。

発表後ロバーツはアッカーマンから祝福の手紙を受け取ったそうです(7)。アッカーマンがGABAを発見してから40年が経過しているので、もうリタイアしていたと思いますが、心温まるエピソードだと思います。その後ロバーツのグループは精力的に研究をおこない、GABAがほ乳類の脳における主要な抑制性神経伝達因子であることを示すうえで大きな貢献をしました。現在では脳のニューロンのうち約30%がGABAタイプ(ギャバージック)の抑制性ニューロンであることが知られていますが(12)、そもそも抑制性ニューロンなどというものがあることは誰が発見したのでしょうか? 

最初に抑制性神経伝達の存在に気づいたのは、ロシアの「生理学および科学的心理学の父」といわれるセチェノフでした。彼はカエルの脊髄反射は脳を除去することによって促進され、脳を刺激することによって抑制されることを報告しました(13、14、図147-3)。まだ19世紀なかばの頃です。脳を科学的に考えるにはあまりに時期が早かったため、唯物論を広めキリスト者としてのモラルを低下させたかどで、迫害されたこともあったようです(15)。条件反射などの研究で1904年にノーベル生理学医学賞を受賞したパヴロフも、もともとの定義に反することであっても、後に反射に脳がかかわっていることを認めて報告しています(16)。

英国の生理学者シェリントン(図147-3)は膝蓋反射のように感覚神経と運動神経が単純に反応するような反射もあるが、ひっかき反射(17)などでは、感覚神経・運動神経以外の神経、すなわち複数のシナプスがかかわっていることを示しました。すなわち犬の肩をこすると、こすった側の後ろ足の屈筋が刺激されますが、同時に伸筋は抑制されるのです(18)。このことは抑制性の神経系の存在を強く示唆するものです。これらの業績によって、シェリントンは1932年にノーベル生理学医学賞を受賞しました。

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図147-3 抑制性神経系の発見

その後グルタミン脱炭酸酵素(GAD=L-glutamic acid decarboxylase)の抗体を用いて、GABAを産生する細胞を同定する試みは、ロバーツを含む多くの研究者によって、徹底的に行われました(19、20)。文献20によると、GADが局在する場所は、cerebellum(小脳), spinal cord(脊髄), retina(網膜), habenula(手綱), olfactory bulb(嗅球), substantia nigra(黒質), corpus striatum(線状体), red nucleus(赤核), arcuate nucleus(視床下部弓状神経核),lateral cervical nucleus, tuberomammillary nucleus(結節乳頭体神経核), cochlear nucleus(蝸牛神経核), vestibular nuclei(前庭神経核), dorsal column nuclei(後索神経核), nucleus reticularis thalami(視床網様体神経核), globus pallidus(淡蒼球) and nucleus entopeduncularis(脚内神経核), visual cortex(視覚野), dentate gyrus(歯状回), superior colliculus(上丘), sensory-motor cortex(感覚運動皮質), septal area(中隔野), hypothalamus(視床下部), hippocampus(海馬), geniculate complex(膝状複合体), and nucleus tractus solitarii(孤束神経核)と広汎にわたっています。

これらの多くは後に学んでいくことになると思いますが、とりあえず大脳基底核周辺における GABAergic な伝達系を図147-4に示します(21)。GABA系細胞が集積する線状体から淡蒼球や黒質に情報が投射していることが示されています(赤矢印)。ここから視床を介して大脳皮質に連絡します。抑制性の神経細胞は、自身が抑制性の神経細胞とシナプスをつくると、シナプス後細胞による抑制作用を抑制することになり、結果的に促進細胞に変身することもあり得ます。

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図147-4 GABA系神経細胞が集積するヒト脳線条体からの神経伝達

GABA作動性シナプス周辺の模式図を図147-5に示しました(22)。シナプス前後細胞の他にアストログリア細胞が描いてありますが、これはシナプス周辺のアストログリア細胞がグルタミンをシナプス前細胞に供給するという役目を担っているからです。この細胞はさらにシナプス間隙から過剰なGABAを回収してグルタミンに変換することもできます。アストログリア細胞からグルタミンを受け取ったシナプス前細胞は、リン酸活性化グルタミナーゼ=PAG(phosphate-activated glutaminase)という酵素を使ってグルタミンからグルタミン酸を合成し(グルタミン+水 → グルタミン酸+アンモニア)、その後は図147-1のようにGABAを合成します。GABAの受容体やトランスポーターについては後のセクションで取り扱います。

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図147-5 GABA系神経細胞シナプス周辺

 

参照

1)Radhika Dhakal, Vivek K. Bajpai, Kwang-Hyun Baek, Production of GABA (γ - aminobutyric acid) by microorgamisms: A review, Brazilian Journal of Microbiology: vol.43(4), pp.1230-1241 (2012) doi: 10.1590/S1517-83822012000400001.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24031948/

2)Castanie-Cornet, M. P.; Smith, T. A. D.; Elliott, J. F.; Foster, J. W., Control of acid resistance in Escherichia coli. J. Bacteriol. vol.181, pp.3525-3535, (1999)
https://journals.asm.org/doi/full/10.1128/JB.181.11.3525-3535.1999

3) Foester, C. W.; Foester, H. F., Glutamic acid decarboxylase in spores of Bacillus megaterium and its possible involvement in sporegermination. J. Bacteriol. vol.114, pp.1090-1098.(1973) DOI: 10.1128/jb.114.3.1090-1098.1973
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4197264/

4)Foester, H.F., G-aminobutyric acid as a required germinant for mutant spores of Bacillus megaterium. J. Bacteriol. vol.108 pp.817-823. (1971) DOI: 10.1128/jb.108.2.817-823.1971
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/5001872/

5)脳科学辞典 GABA
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/GABA

6)Ackermann, D. Uber ein neues, auf bakteriellem Wege gewinnbares Aporrhegma. Z. Physiol. Chem. vol.69, pp.273-281. (1910)
https://www.degruyter.com/document/doi/10.1515/bchm2.1910.69.3-4.273/html

7)Eugene Roberts (autobiography), in "The History of Neuroscience in Autobiography" vol.2, Ed.Larry R. Squire, Academic Press (1998)
file:///C:/Users/User/Desktop/GABA/Eugene%20Roberts.pdf

8)Roberts, E. and Frankel, S. γ-Aminobutyric acid in brain: Its formation from glutamic acid. Journal of Biological Chemistry vol.187: pp.55-63,(1950)
http://www.scholarpedia.org/w/images/2/29/GABA_abstract.jpg

9)Udenfriend, S. Identification of gamma-aminobutyric acid in brain by the isotope derivative method. Journal of Biological Chemistry vol.187: pp.65-69 (1950)

10)Awapara, J., Landua, A.J., Fuerst, R., and Seale, B. Free gamma-aminobutyric acid in brain. Journal of Biological Chemistry vol.187:pp.35-39,(1950)

11)Eugene Roberts, Gamma-aminobutyric acid., Scholarpedia, vol.2(10), p.3356.(2007)
http://www.scholarpedia.org/article/Gamma-aminobutyric_acid

12)小幡邦彦 GABAのはたらき、Riken BSI news vol.37, 10月号 (2007)
http://bsi.riken.jp/bsi-news/bsinews37/no37/special.html

13)"Refleksy golovnogo mozga." Meditsinsky vestnik 47-48 ("Reflexes of the brain", in Russian) (1863)

14)K.Obata, Synaptic inhibition and γ-aminobutyric acid in mammalian central nervous system. Proc.JPN.Acad., Ser.B89, No.4, pp.139-156 (2013)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjab/89/4/89_PJA8904B-03/_article/-char/ja

15)Wikipedia: Ivan Sechenov
https://en.wikipedia.org/wiki/Ivan_Sechenov

16)Pavlov,I.P., Conditioned Reflexes (translated by Anrep,G.V.). Dover Publications, Mineola, NY, pp.1-430 (1927)

17)Scratch reflex of dog
https://www.youtube.com/watch?v=VzCwXaU_tJ0

18)Sherrington, C.S., The Integrative Action of the Nervous System. Yale Univ. Press, New Haven, CT, pp.1-413 (1906)

19)E. Roberts amd Kinya Kuriyama, Biochemical-physiological correlations in studies of the γ-aminobutyric acid system. Brain Res., vol.8, pp.1-35 (1968)
file:///C:/Users/User/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/C8FQEO1U/first-page-pdf.pdf

20)Elling Kvamme, Glutamine and Glutamate Mammals. Vol.1, CRC Press (1988)
VI Identification and localization of L-glutamate decarboxylase.
https://books.google.co.jp/books?id=rrtHDwAAQBAJ&pg=PT235&lpg=PT235&dq=BIOCHEMICAL-PHYSIOLOGICAL+CORRELATIONS+IN+STUDIES+OF+THE+v-AMINOBUTYRIC+ACID+SYSTEM&source=bl&ots=9qCEpnoL_v&sig=ACfU3U0ary3-wr0RNkPZ5O6wWhMqqiIlPg&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjV26yDr8fiAhVPObwKHRPQD1IQ6AEwB3oECAQQAQ#v=onepage&q=BIOCHEMICAL-PHYSIOLOGICAL%20CORRELATIONS%20IN%20STUDIES%20OF%20THE%20v-AMINOBUTYRIC%20ACID%20SYSTEM&f=false

21)Wikipedia: Striatum
https://en.wikipedia.org/wiki/Striatum

22)from wikipedia, original source is Nissen-Meyer LSH and Chaudhry FA., Corrigendum: Protein Kinase C Phosphorylates the System N Glutamine Transporter SN1 (Slc38a3) and Regulates Its Membrane Trafficking and Degradation. Front. Endocrinol. vol.8: p.190.(2017) doi: 10.3389/fendo.2017.00190
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fendo.2017.00190/full

 

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2021年6月17日 (木)

サラとミーナ248: 呼んだ?

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サラは決して布団・毛布・シーツにもぐって眠ることはしません。私は閉所恐怖症のせいだと思っていますが、本当のところはわかりません。ミーナは暑い季節でも、さすがに夏掛けに潜り込むことはしませんが、こんな風にベッドシートの下で眠るのが好きです。たいして差は無いと思うのは人間の感覚であって、ミーナにとってはそこが大事なのかもしれません。姿が見えないので呼ぶと、シートの下から顔を出すミーナ。もう一度呼ぶと、みゃーん(何か用?)と返事をしました。

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2021年6月16日 (水)

ワクチンは切り札なのか?

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英国ではワクチン接種者数が60%を超えているにもかかわらず、新型コロナ感染者数が昨今激増しています。これはワクチンがウィルスの突然変異に弱いことを示すものでしょう。

続報:https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2021/06/r7.php

これにはわけがあると思います。下の新型コロナウィルスの写真は国立感染症研究所のサイトにあったものです。

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これを見るとウィルスはその周囲をびっしりとスパイクの森に覆われていて、地面すなわちスパイクが生えているウィルスの表層にある他のタンパク質に抗体がアクセスすることはほぼ不可能です。さらにスパイクタンパク質のなかでも一番外側先端の限られた部分を認識する抗体だけが有効だと思われます。したがってこの部分のアミノ酸配列が変化するともはや抗体は機能を果たせなくなってしまうことは容易に理解できます。

ウィルスにとって増殖や内部のアレンジメントに必要なタンパク質は変異すると無効化する可能性が圧倒的に高いわけですが、スパイクタンパク質はともかくホスト細胞表層の何かにくっつけばいいわけですから、変異の許容度は大きくなります。ですからワクチンはいたちごっことなって、製造する会社は莫大な利益を得るが、ボヤはずっと続くという危惧はあります。やはり切り札は増殖などのウィルスにとって基本的な機能を阻害する薬剤でしょう。

アビガンが残念なのは、細胞に入ってからリン酸化されないと有効でないと言うことで(リン酸化されたアビガンは細胞にはいらない)、感染した細胞ではリン酸化が間に合わないのでしょう。ですから予防には使えるかもしれません。ウィルスの酵素の阻害剤で細胞膜を通過できるものがみつかれば、これはまさしく切り札になるかもしれません。

 

 

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2021年6月15日 (火)

秋山-都響 金川真弓のシベリウスコンチェルト@東京文化会館2021/06/14

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曇天でしたが今日のコンマスは四方さんなので信じて傘を持たずに上野へ。やっぱり傘は帰りも必要ありませんでした。

本日の指揮者はレジェンド秋山さん、コンマスは四方さん、サイドはマキロンです。ソリストはヴァイオリニストの金川さん。今日はシベリウスのコンチェルトです。このコンチェルトはひんやりとした北欧の静けさの中で、しだいに炎が燃え上がるという雰囲気の曲のはずなのですが、金川さんは冒頭からやわらかく温かい音で、曲に関係なくこのスタイルで演奏するんだという主張を感じました。しかもフォルテになると強靱な音だけれど、バタバタしない安定感抜群の心地よさがあります。

それにしても彼女は玄人受けするんですね。こんなに四方さんが「悪乗り」ともいえるくらい嬉々として演奏しているのを見たことがありません。オーケストラとの一体感が素晴らしく、指揮者も制御できないくらい乗り乗りの演奏でした。金川さんのシベリウスのコンチェルトはヘルシンキフィルとの演奏がYouTubeに出ています↓
https://www.youtube.com/watch?v=6kjsSiaGxoI

しかし今日の演奏はそれとは比べものにならないくらい生々しく盛り上がりました。演奏後オケメンがみんなで足を踏みならして金川さんを賞賛していました。ただどんな曲を演奏してもこんな感じの演奏で、金太郎飴的なんじゃないかという危惧は若干感じました。

後半のプロコフィエフのシンフォニーは、なんだか遊園地で遊んでいる感じの曲で、いまひとつ刺さるところがありませんでしたね。

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2021年6月13日 (日)

世界大学ランキング

Times Higher Education が毎年やっている世界大学ランキングが発表されました。Teaching(教育)、Research(研究)、Citations(論文引用)、Industry Income(産業収入)、International Outlook(国際性)などを考慮して総合的に評価された結果です。

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これによると上位20位までに日本の大学は1校もはいってなくて、200位以内にも東京大学と京都大学のみがはいっているだけです。いかに日本の大学の荒廃が進んでいるかがわかります。

100位以内の大学数はアジアだけみてみると、中国9(うち香港3)、オーストラリア6、日本・韓国・シンガポール各2ですから、中国とオーストラリアにはかなり水をあけられました。

これは小泉政権以来の大学政策によるものです。政権交代しても改善されるかどうかはわかりませんが、交替しなければさらにズルズル順位がさがっていくのは避けられないでしょう。なさけない話です。

 

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2021年6月12日 (土)

デルタ株(インド株)とは

変異株の書式では変異したアミノ酸を1文字で表記します。

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たとえばL452Rというのは、Lがもとのアミノ酸、Rが変異の結果変わったアミノ酸ということになります。

デルタ株(インド株)では下記のような変異があることがわかっています。

国立感染症研究所のHPより

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このB.1.617という系統がいわゆるデルタ株(インド株)で上記のようにさらに3つの系統にわかれています。

B.1.617 系統は、スパイクタンパク質にL452R、D614G、P681R変異を共通に有している。さらに、同系統はB.1.617.1~3に分類される (表1)。

B.1.617系統(L452R, E484Q, P681Rを有するタイプ)のスパイクタンパク質の受容体結合部位の構造分析では、これらの変異により、受容体となるACE2への結合力が高まり、感染・伝播性の増加や、モノクローナル抗体の結合や中和の回避につながる可能性が示唆されている

B.1.617.1で認めるL452RおよびE484Q等のスパイクタンパク質の変異を有するシュードタイプウイルスでは、従来株に比べ回復者血漿での中和抗体価が1/2に低下し、ファイザー社製のワクチン接種者血漿での中和抗体価が1/3に低下することが示されている


日本での感染状況

NHK 変異ウイルス「デルタ株」感染力1.78倍か 関東で1週間に21人感染
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20210610b.html

厚労省 新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者等の発生について(空港検疫)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19082.html

MSN インド変異株、拡大ペース加速
こちら

海外の情報

Bloomberg【新型コロナ】「デルタ」、シンガポールで優勢に-毒性強いとWHO
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-08/QUEDPZDWLU6H01

Bloomberg 壊疽や難聴も、インドで最初に確認の変異株「デルタ」の深刻さ示唆
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-08/QUD9X8DWRGG701

まだメジャーにはなっていませんが、日本でも市中感染がおこっているようです。

ザル検疫でこのような危険な変異株の侵入を許した厚労省は万死に値します。

 




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2021年6月11日 (金)

J-POP名曲徒然草212:「友達」 by 古内東子

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この曲「友達」が収録されているアルバム「Distance」は古内東子のセカンドアルバムで、発売は1993年ということで、YouTube ができるより10年以上も前のことです。そりゃなかなかアップされないですよね。でもアップされていました✨✨✨。

https://www.youtube.com/watch?v=EZG3GEp7Hbs

 

「Distance」は名曲満載のすごいアルバムです。古内さんは単純じゃないリズムに、アクティブだけどフェミニンな日本語歌詞をうまくのせて盛り上げるのが得意な人だと思うのですが、この「友達」はもう純然たるスローバラードで、天才メロディーメーカーじゃないとできない曲ですね。曲と心中したくなるほどディープな世界に放り込まれます。

アルバムが出版された当時毎週仕事で上智大学を訪問していて、その辺のキャンパスを歩いてないかなとキョロキョロしてみましたが一度も見かけませんでした。まあ売れてたので、大学に来る暇もなかったのでしょう。

Slow down
https://www.youtube.com/watch?v=wcMGgSS9g3Y

Peach Melba
https://www.youtube.com/watch?v=6l3uAwpqpzQ
https://www.youtube.com/watch?v=r22X5yIv_fE

Distance
https://www.youtube.com/watch?v=eFLkb3N4LO8
https://www.youtube.com/watch?v=sd15HHxHuYA

公式サイト
https://www.tokofuruuchi.com/




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2021年6月10日 (木)

続・生物学茶話146: 神経伝達物質としてのヒスタミン

ヒスタミンはイミダゾール骨格にエチルアミンの側鎖がついている構造の化学物質で、哺乳動物のほとんどすべての組織に含まれています。アミノ酸のひとつであるL-ヒスチジンから、L-ヒスチジン脱炭酸酵素による脱炭酸反応により生合成されます(1、図146-1)。ヒスタミンはおそらく太古の時代から生物がつくっていた物質で、図146-1の反応は細菌でも行うことができるものがいることが知られています。細菌がなぜこのような反応をおこなうかについては、一般的には酸性になった細胞内環境を中性にもどす役割が想定されていますが、そのほかの役割もあるようです(2)。

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図146-1 ヒスタミンの生合成

1907年にウィンダウス(図146-2)とフォークトによってヒスタミンが化学的に合成されたことが、ヒスタミン研究の実質的な出発点となりました(3)。ウィンダウスは1927年にノーベル化学賞を受賞していますが、それはコレステロールやビタミンの研究が評価されたものです。しかしノーベル財団のバイオグラフィーをみると、彼がヒスタミンを発見したことにも少しだけ触れてあります(4)。

合成ヒスタミンが使えるようになったので、デイルとレイドロー (図146-2)はまず10mgのヒスタミンをカエルの背中のリンパ嚢に注入したところ、カエルは大口を開けて、手足は伸びきり、明らかに中枢神経系の活動が抑制されたことが示されました。次に2mgのヒスタミンをウサギの静脈に注射すると、ウサギは平伏し、心臓の鼓動が不整で弱くなり、さらに2mg追加すると死亡するという結果を得ました。またヒスタミンがアナフィラキシーショックを引き起こすことがあるとも指摘しています(5)。デイルはレーヴィとともに神経伝達物質(アセチルコリン)を発見したことで有名で、その業績で1936年のノーベル生理学医学賞を受賞しています(6)。

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図146-2 ヒスタミン研究の先駆者達

ヒスタミンが100年以上も前から神経に関係した物質であることが知られていたとはちょっとした驚きです。ヒスタミンと聞いてすぐピンとくるのは抗ヒスタミン剤でしょう。日経メディカルのサイトを見ると多くの種類が掲載されています(7)。ヒスタミンが過剰に作用すると、じんましん・皮膚炎・鼻炎・ぜんそくなどのアレルギー反応や、ひどい場合にはアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるので、それらを抑制するための抗ヒスタミン薬はほとんどの人がお世話になっているはずです。クロルフェニラミンは多くの風邪薬に含まれていますし、市販薬のメンソレータムやレスタミンコーワもおなじみです。

ヒスタミンは特定の内分泌器官から放出されるものではないので、ホルモンの定義からは逸脱していますが、主にマスト細胞(肥満細胞)、好塩基球、マクロファージ、神経細胞などが放出し、血圧降下、血管透過性亢進、平滑筋収縮、血管拡張、腺分泌促進、アレルギー反応・炎症の促進などの生理作用を持っています。図146-3に示したマスト細胞や好塩基球ではヒスタミンを含む顆粒が染色されて、はっきり見えます。マクロファージの場合だけ、ヒスタミンは細胞質にある顆粒内にストックされずフリーのまま放出されます(1)。

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図146-3 ヒスタミン顆粒

図146-4に皮下組織にみられるマスト細胞の電子顕微鏡写真を示します(3番の細胞、8)。cの矢印がヒスタミン顆粒を指しています。2番の細胞は線維芽細胞、左端に筋細胞が見えます。

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図146-4 電子顕微鏡で見るマスト細胞とヒスタミン顆粒

ヒスタミンの機能から考えると、それが作用しそうな免疫細胞・血管細胞・平滑筋細胞のほか神経細胞などもヒスタミンの受容体を持つと考えられます。現在発見されているすべてのヒスタミン受容体は膜7回貫通GPCR(G protein-coupled receptor、Gタンパク質共役受容体)であることがわかっています。図146-5ではGタンパク質のαサブユニットがGsである例を示しています。この場合ヒスタミンを受け取ったGPCRはGタンパク質と結合し、Gタンパク質はそれとともに結合していたGDPを解離してGTPと結合します。GTPと結合したαサブユニットはGPCRから解離してアデニル酸シクラーゼを活性化します。用が済むとαサブユニットはGTPを解離し、GDPと結合してβγサブユニットと結合して待機します(9)。

図146-5はウィキペディアの図(9)を改変したものですが、ここまではどの教科書でも似たような記述です。しかしGタンパク質がどのようなメカニズムでイオンチャネルに影響を及ぼすかについてはまちまちで歯切れが悪くなります。私も驚いたのですが、どうも詳細はわかっていないようです。なかにはβγサブユニットがイオンチャネルと結合しているような図が出ているものもありますが、どうなんでしょうか?

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図146-5 ヒスタミンとGPCR(Gタンパク質のαサブユニットがGsの場合)

ヒスタミンの受容体は現在4種類が知られており、それぞれの特徴をとりあえずウィキペディアからコピペしておきます(9、図146-6)。

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図146-6 4種類のヒスタミン受容体

ヒスタミンが脳神経系に存在することを最初に示したのはクフィアトコフスキで1943年のことです。古い論文ですがフリーでアクセスできます(10)。その後 Garbarg(発音不明)らはヒスタミンが脳の灰白部、特に神経末端に局在していることをつきとめました(11)。ヒトの脳ではヒスタミン系の神経伝達経路は、視床下部外側結節乳頭核 (Tuberomamillary nucleus) から脳全体に投射していることがわかっています(12、図146-8)。この総説を書いたハースはヒスタミン系神経伝達経路研究の中心人物のひとりで図146-7に写真を貼っておきました。

ヒスタミン神経系の実在を証明する上で、大阪大学の和田博と門下の渡邉建彦(図146-7)、遠山正彌らは大きな貢献をしました。彼らはヒスチジン脱炭酸酵素の抗体を作成して、脳におけるヒスタミン神経系の可視化に成功しました(13)。ただヒスタミンを大量に産生するマスト細胞が脳にも存在するのでまぎらわしい点があり、最終的にはマスト細胞を持たないミュータントマウスを使って証明することができたとのことです(13)。

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図146-7 ヒスタミンが神経伝達物質であることを明らかにした人々

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図146-8 ヒト脳におけるヒスタミン系神経伝達経路

ヒスタミンの作用は図146-6からも広汎であることがわかりますが、ひとつ注意すべきは免疫反応を促進するため、ぜんそく、じんましん、発熱などのアレルギー反応などを引き起こす悪者として扱われることもよくあります。しかしそれらはあくまでも生体防御反応の結果ですし、ヒスタミンは上記のように神経伝達物質として脳の機能に深く関わっているほか、平滑筋収縮、血小板凝集、胃酸分泌を促進するなどの重要な機能も持ち合わせています。

脳でのヒスタミンのはたらきのなかで、特に注目すべきはその覚醒維持作用です。ヒスタミン神経系は、眠らせようとするアデノシン-GABA系の神経系と拮抗しており、覚醒を維持するために重要なはたらきがあります(14、15)。三島先生の記事を引用すると「脳を最も強力に覚醒させる神経伝達物質の一つであるヒスタミンは結節乳頭核から大脳に投射されている。腹側外側視索前野はその結節乳頭核の活動を抑え込むことで眠気(睡眠)を誘発する。アデノシンは自身が産生されたクモ膜下腔のすぐ近くにある腹側外側視索前野を活性化し、結果的に眠気をもたらす(14)。」ということになります。ですから抗ヒスタミン剤(ドリエルなど)を投与されると、当然眠くなります(16)。この薬を服用した場合は、翌日も眠くなる可能性があるので、車の運転をしないなど行動には十分注意する必要があります(17、18)。

ヒスタミンが記憶を増進するという報告を最初に行ったのは de Almeida と Izquierdo (19)ですが、彼らの実験系には信頼性に乏しいところがあり、きちんと証明したのは亀井らのグループです(20)。文献20は彼らの過去の研究を振り返ってまとめて解説したレビューです。ラットは明るい部屋と暗い部屋を用意すると暗い部屋に集まります。そこで暗い部屋に入るとドアが閉じて5秒間電気刺激を与えます。これを1日1回行ない、10日間繰り返すとラットは暗い部屋に入っても2秒以内に明るい部屋に移動するように学習します。その後訓練を中止し6ヶ月たつと、ラットたちは暗い部屋を出るのに5~10秒くらいかかるようになります。記憶がおぼろになったわけですね。このようなラットたちにヒスタミンを投与すると有意に暗い部屋を出るまでの時間が短縮されました。そして受容体H1拮抗薬を同時投与すると記憶を蘇らせるヒスタミンの効果は消滅しました。H1作用薬(アゴニスト)を投与するとヒスタミンと同様の効果が見られましたが、H2作用薬を投与してもヒスタミンのような効果はみられませんでした。そのほかにも彼らは多くの実験を行ない、ヒスタミンが記憶に関与することを証明しました。

その後ヒスタミンH1、H2受容体のノックアウトマウスを使った実験などで、脳のヒスタミン系神経伝達システムが何らかの形で記憶に関与していることが示唆されています(21、22)。またパッサーニらはH2およびH3受容体を介して、ヒスタミンによる記憶の定着強化が行われていることを示しました(23)。

参照

1)ウィキペディア:ヒスタミン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3

2)小栁喬 細菌たちよ,アミノ酸をなぜ脱炭酸する? 生物工学 第 95巻 第9号(2017)
file:///C:/Users/User/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/CFQW7HJS/9509_biomedia_3.pdf

3)Windaus A, Vogt W. Synthese des Imidazolyl-athylamins. Ber. Dtsch. Chem. Ges. vol.40, pp.3691-3695 (1907)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/cber.190704003164

4)Adolf Windaus Biographical  MLA style: Adolf Windaus Biographical. Nobe lPrize.org. Nobel Media AB 2019. Mon. 13 May 2019.
https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1928/windaus/biographical/

5)Dale HH, Laidlaw PP. The physiological action of beta-iminazolylethylamine. J Physiol., vol.41(5):pp.318-344 (1910)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1512903/

6)http://morph.way-nifty.com/grey/2019/02/post-e2ed.html

7)日経メディカル 処方薬事典 抗ヒスタミン薬(内服薬・注射剤・貼付剤)の解説
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf82ab.html

8)K.Morioka 「Hair follicle Differentiation under the electron microscopy. An Atlas」
Springer-Verlag Tokyo (2005)

9)ウィキペディア:ヒスタミン受容体
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93

10)Kwiatkowski H. Histamine in nervous tissue. J Physiol vol.102: pp. 32-41, (1943).
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1393435/

11)Monique Garbarg, Gilles Barbin, Jean Feger, Jean-Charles Schwartz., Histaminergic Pathway in Rat Brain Evidenced by Lesions of the Medial Forebrain Bundle.
Science Vol. 186, Issue 4166, pp. 833-835 (1974) DOI: 10.1126/science.186.4166.83307
https://science.sciencemag.org/content/186/4166/833?ijkey=7306dedf001ced6e0be14ccae7aea614ae2907&keytype2=tf_ipsecsha

12)Helmut L. Haas, Olga A. Sergeeva, AND Oliver Selbach., Histamine in the Nervous System., Physiol Rev vol.88: pp.1183-1241 (2008); doi:10.1152/physrev.00043.2007.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18626069

13)T.Watanabe and H.Wada (eds), Histaminergic neurons: Morphology and Fundtion. CRC Press (1991) Boca Raton, Florida

14)三島和夫 睡眠の都市伝説を斬る ナショナルジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/15/403964/082900048/?P=3

15)筑波大学 報道資料 睡眠と覚醒を制御する神経回路を解明 ~視床下部睡眠中枢と覚醒中枢の神経接続の解明~ (2018)
file:///C:/Users/User/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/PVA09UPG/180717sakurai-3.pdf

16)エスエス製薬 睡眠改善薬のメカニズム
https://www.ssp.co.jp/condition/insomnia/mechanism/

17)https://kotobank.jp/word/%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E6%94%B9%E5%96%84%E8%96%AC-187116

18)https://www.min-iren.gr.jp/?p=5526

19)M A de Almeida, I Izquierdo, Memory facilitation by histamine., Arch Int Pharmacodyn Ther,
vol.283(2): pp.193-198. (1986)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3789882/

20)亀井千晃 ヒスタミン並びに関連化合物の中枢神経機能に対する効果 薬学雑誌 141巻1号 pp.93-110 (2021)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/141/1/141_20-00197/_article/-char/ja

21)Hongmei Dai et al., Selective cognitive dysfunction in mice lacking histamine H1 and H2 receptors., Neurosci Res, vol.57(2): pp.306-313.(2007)
doi: 10.1016/j.neures.2006.10.020.

22)Gustavo Provensi, Maria Beatrice Passani, Alessia Costa, Ivan Izquierdo and Patrizio Blandina., Neuronal histamine and the memory of emotionally salient events., British Journal of Pharmacology vol.177 pp.557–569 (2020) DOI:10.1111/bph.14476

23)Maria Beatrice Passani, Fernand Benetti, Patrizio Blandina, Cristiane R.G.Furini, Jocianede Carvalho Myskiw, Ivan Izquierdo, Histamine regulates memory consolidation., Neurobiology of Learning and Memory, vol.145, pp. 1-6 (2017)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1074742717301296?via%3Dihub
https://daneshyari.com/article/preview/5043078.pdf

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2021年6月 7日 (月)

JOC経理部長が自殺

Yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/6cfa1ff11e773fc40eff3c3609eed7d8079f692c

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私は国内にガダルカナル状態(入院拒否され自宅でコロナ死)がなくなれば、オリンピックはやってもいいとは思いますが、経理部長が自殺というのはやるやらないの問題じゃなくて、経理にヤバい問題があるんじゃないかと想像されます。もし遺書がなかったら消された可能性もありますね。お悔やみ申し上げます。

https://johosokuhou.com/2021/06/07/47729/

報道特集での告発は見ていました。よくやったと思いましたがこんな結果になるとは。

(夜)NHKの午後7時のニュースではこれを報道しませんでした。サプレッションかかっているようです。

これはなんだろね↓
https://twitter.com/i/status/1402040252450017286

https://johosokuhou.com/2021/06/08/47760/

Literax: https://lite-ra.com/2021/06/post-5913.html

 

 

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2021年6月 5日 (土)

続・生物学茶話145:小胞神経伝達物質トランスポーター

シドニー・ブレナー(図145-1)はC.エレガンスの大規模な遺伝子解析をベースとして、その哺乳類ホモログをみつけて遺伝子機能の解析を行なうというストラテジーのもとに、C.エレガンスの突然変異体を約300体ほど分離してそれらの性質を調べ、その結果を1974年に発表しました(1)。そのなかにぐるぐる回転したりブルブル震えたりして正常な運動ができない突然変異体 unc-17というのがありました。

アルフォンソとランド(図145-1)らのグループがこの遺伝子をクローニングし塩基配列を調べてみると、哺乳類の副腎髄質にみられるクロム親和性顆粒にカテコールアミンをとりこむトランスポーター、あるいは神経細胞にみられるトランスポーターと30%台ですが相同性が認められました(2)。その後の研究によって、この遺伝子がコードするタンパク質はC.エレガンスの小胞アセチルコリントランスポータ(VAChT=vesicular acethylcholine transporter)であることが明らかになりました。

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図145-1 小胞神経伝達物質トランスポーター研究のパイオニア達

ランドらはその後VAChTの遺伝子を完全に欠く変異体は致死であり、この遺伝子に変異を導入して機能を低下させると、体が小さくなったり運動機能が低下したりするという欠陥が発生するということを確認しました(3)。VAChTのノックアウトマウスは神経筋接合部位に異常があり、生後数分でチアノーゼを起こして死亡するという報告があります(4)。VAChTは細胞膜のモノアミントランスポーターと同じく12回膜貫通タンパク質ですが、SLC6ではなくSLC18という Solute carrier family のサブファミリーに所属しており、脊椎動物の場合この他に小胞モノアミントランスポーター(VMAT1、VMAT2)の2種類のタンパク質が所属しています(5、図145-2にレンガ色で記載)。

無脊椎動物の多くはVAChTとVMATの2種類だけを持つと考えられていましたが、ショウジョウバエは両者と関連がある portabella という遺伝子がつくるタンパク質を持っており、キノコ体に発現して性行動を決定するなどの機能があるそうです(6)。

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図145-2 脊椎動物の小胞神経伝達物質トランスポーターのリスト

脳科学辞典によると「VMAT1は、主に副腎髄質のクロム親和性細胞や腸管の腸クロム親和性細胞など、さまざまな神経内分泌細胞の有芯小胞の膜上に存在する。一方で、VMAT2は、主に中枢神経系や交感神経系のモノアミン作動性神経終末にあるシナプス小胞の膜上に存在するが、VMAT1と同様に副腎髄質のクロム親和性細胞の有芯小胞にも存在する」と記載されています(7)。 VMAT2はシナプス前細胞に存在して、とりあえず図145-3のように細胞膜のモノアミントランスポーターによってとりこまれたモノアミンを、さらにシナプス小胞にとりこんでストックするという作業を行います。

シナプス小胞はプロトンポンプによって水素イオンをとりこんでおり、その濃度勾配を利用してアセチルコリン、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどを小胞内に取り込むのが小胞神経伝達物質トランスポーターの仕事です。

シナプス小胞は神経伝達因子をとりこみストックしますが、それを脱分極を契機として、電位依存性カルシウムチャネル(Voltage-gated Ca2+ channel)などの働きでシナプス間隙に放出し、それをシナプス後細胞の受容体が受け止めて神経伝達が行われます(図145-3)。放出の方法は2種類あり、シナプス小胞の膜が細胞膜と完全に融合して、中身がすべて細胞外に解放されるというやり方(Full-collapse fusion)と、kiss-and-run というシナプス小胞と細胞膜の融合部に窓ができて、そこから中身の一部が放出され、その後窓は閉じられてシナプス小胞が修復再生されるというやり方があります(8)。

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図145-3 小胞神経伝達物質トランスポーターはシナプス前細胞でシナプス小胞に神経伝達物質を蓄積する

VMAT2の模式図を図145-4に示します。VMAT2は12回膜貫通タンパク質であり、3本の貫通部位(αヘリックス)が一組となって、4組の支柱の中央にモノアミンを通過させる通路が形成されています(9)。VMAT1もよく似た構造ですが、VMAT2とのホモロジーは60%くらいしかありません(10)。VAChTも構造はよく似ているようです。

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図145-4 VMAT2の模式図

シナプス小胞はエンドソームから形成されますが、エンドソームはしだいに酸性化するという特徴を持っています。したがってシナプス小胞ができる頃。その内部には水素イオンが蓄積されています。水素イオンがモノアミントランスポーターと結合すると、トランスポーターは構造を変え、細胞質からモノアミンをとりこみます。さらにもうひとす水素イオンが結合すると、もう一度構造が変わってモノアミン1分子を小胞内に放出します。それと同時に2つの水素イオンを細胞質に放出します(11、図145-5)。このメカニズムは仮説であって、正しいかどうかはわかりません。別のモデルもあるようです(9)。ただこのトランスポーターが2個の水素イオンvs1分子のモノアミンのアンチポート(対向輸送)を行うことは確かなようです。

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図145-5 小胞神経伝達物質トランスポーターの動作についての仮説

SLC18はSLCファミリーのなかでもメジャーなMSF(Major facilitator superfamily)というグループに属してす。MSFグループの分子は膜を12回または24回貫通するという特徴を持ち、原核生物にその起源が求められるという古い歴史を持つタンパク質群です(12、13)。SLC18も真核生物には広く分布していて、図145-6に示すような分子系統樹が発表されています(14)。

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図145-6 小胞神経伝達物質トランスポーターの分子系統樹

図145-2のカタログのように脊椎動物は一般にVMAT1、VMAT2、VAchTの3種類の小胞トランスポーターを持つとされてきましたが、最近SLC18B1というもう一種のトランスポーターが加わりました(図145-6)。無脊椎動物はVMATとVAChTという2種類の小胞トランスポーターを持つとされてきましたが、こちらにもSLC18A4、SLC18B1という新しい系統が加わりました。

SLC18B1というのはポリアミントランスポーター(VPAT)で、記憶に関与するなどの報告が蓄積中です(15)。脊椎動物および無脊椎動物に存在が認められていますが、ショウジョウバエではVPATはまだみつかっていません。SLC18A4は前述の portabella 遺伝子の産物で、ショウジョウバエ以外の昆虫にも存在するモノアミントランスポーターであり、記憶などに関与していると考えられています(6)。こちらは脊椎動物ではオルソログがみつかっていません。

参照

1)S. Brenner, The genetics of Caenorhabditis elegans., Genetics vol.77 pp.71-94 (1974)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1213120/pdf/71.pdf

2)Alfonso, A., Grundahl, K., Duerr, J.S., Han, H.P., & Rand, J.B. (1993).
The Caenorhabditis elegans unc-17 gene: a putative vesicular acetylcholine transporter. Science (New York, N.Y.), 261(5121), 617-9. [PubMed:8342028] [WorldCat] [DOI]
https://www.jstor.org/stable/2882028?seq=1

3)Eleanor A Mathews, Gregory P Mullen, Jonathan Hodgkin, Janet S Duerr, James B Rand., Genetic interactions between UNC-17/VAChT and a novel transmembrane protein in Caenorhabditis elegans., Genetics., vol.192(4): pp.1315-1325.(2012) doi: 10.1534/genetics.112.145771.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23051648/

4)de Castro, B.M. et al., The vesicular acetylcholine transporter is required for neuromuscular development and function., Molec. Cell. Biol., vol.29, pp.5238-5250 (2009) doi: 10.1128/MCB.00245-09.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19635813/

5)脳科学辞典:小胞アセチルコリントランスポーター
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%B0%8F%E8%83%9E%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%83%81%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

6)Brooks ES et al., A putative vesicular transporter expressed in Drosophila mushroom bodies that mediates sexual behavior may define a neurotransmitter system., Neuron, vol.72(2):pp.316-329 (2011) DOI: 10.1016/j.neuron.2011.08.032
https://europepmc.org/article/pmc/3201771

7)脳科学辞典:小胞モノアミントランスポーター
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%B0%8F%E8%83%9E%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

8)Wikipedia: シナプス小胞
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%B9%E5%B0%8F%E8%83%9E

9)Dana Yaffe, Lucy R. Forrest, and Shimon Schuldiner., The ins and outs of vesicular monoamine transporters., J. Gen. Physiol., Vol. 150 No. 5, pp.671–682 (2018)
https://doi.org/10.1085/jgp.201711980

10)Wikipedia: Vesicular monoamine transporter 1
https://en.wikipedia.org/wiki/Vesicular_monoamine_transporter_1

11)Wikipedia: Vesicular monoamine transporter
https://en.wikipedia.org/wiki/Vesicular_monoamine_transporter

12)Wikipedia: Major facilitator superfamily
https://en.wikipedia.org/wiki/Major_facilitator_superfamily

13)Pär J. Höglund, Karl J.V. Nordström, Helgi B. Schiöth, and Robert Fredriksson, The Solute Carrier Families Have a Remarkably Long Evolutionary History with the Majority of the Human Families Present before Divergence of Bilaterian Species., Mol Biol Evol. vol.28(4): pp.1531–1541. (2011) doi: 10.1093/molbev/msq350
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3058773/

14)Hakeem O. Lawal and David E. Krantz, SLC18: Vesicular neurotransmitter transporters for monoamines and acetylcholine., Mol Aspects Med., vol.34, pp.360–372 (2013) doi:10.1016/j.mam.2012.07.005

15)Robert Fredriksson et al., The polyamine transporter Slc18b1(VPAT) is important for both short and long time memory and for regulation of polyamine content in the brain., PLOS Genetics (2019) https://doi.org/10.1371/journal.pgen.1008455
https://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1008455

 

 

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2021年6月 2日 (水)

小泉-都響 フォーレ レクイエム @サントリーホール2021/06/01

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そう まるでポルトガルの海辺の古い教会で聴いているような、そして気絶しそうに美しいレクイエムでした。指揮/小泉和裕  ソプラノ/中村恵理 バリトン/加耒徹 合唱/新国立劇場合唱団  コンマス/ボス矢部 なんとサイドは双紙氏 1Vnと2Vnが同じパートになっていてまざっていました。とてもめずらしいことです。

加耒さんはとても清潔感にあふれた歌唱、中村さんは宗教音楽であることを忘れさせるようなエモーショナルな歌唱でそれぞれ持ち味を出していました。都響の弦のよさが非常に良く出た演奏で、新国の合唱も完璧でした。サントリーホールの残響が宗教音楽にはぴったりはまります。そういうわけで、これは歴史的名演と言えるのではないでしょうか。

前半のオネゲル交響曲第3番も素晴らしい演奏で、特に第3楽章は聴き所満載の名演でした。最後の中川さんのピッコロとボス矢部のソロには参りました。ただホルンは端正すぎて物足りなく感じました。もっと破壊的で凶暴な感じがあってもよかったのでは?

フォーレ:レクイエムより Pie Jesu (森麻季)
https://www.youtube.com/watch?v=lLzu4WAACBc

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