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2020年7月31日 (金)

続・生物学茶話103: 動物分類表

神経系の進化を見ていく前に、動物の分類と進化を復習しておきましょう。動物門と進化について図103-1を示します。この表のオリジナルは(1)で、私が日本語化し一部改変しました。右端に並んでいる〇〇動物というのが門の名前で、( )内はその代表的な種の名前になります。もちろん現在でもあいまいな部分もあるので、これからの科学の進歩に応じてこの表も進化するべきものです。字が細かいですが、クリックすると拡大できます。

Photo_20200731225101

図103-1 動物分類表

あまり系統樹的でない表現なので違和感がある方もおられるかもしれませんが、実はここに記した多くの門が成立したのは昔考えられていたようなカンブリア紀ではなく、さらに昔のエディアカラ紀以前だったことが近年わかってきました。そうすると化石がなかなかみつからないので形態学的分析が難しく、現存する生物のDNAから関係を類推するしかありません。それはなかなか困難な作業で、とりあえずずらずらと並べたというのが現在の科学のレベルだというわけで、これは致し方ありません。

一番上に記した海綿動物だけは胚葉がありません。したがって臓器や組織らしきものもありませんが、細胞による分業は行っています。平板動物には背と腹が存在し、2胚葉(外胚葉と内胚葉)を持つようです(2)。有櫛動物(ゆうしつ)動物や刺胞動物は明らかに組織が存在し2胚葉動物と言えます。一般的に2胚葉の生物は体の内側(内胚葉)と外側(外胚葉)に別の細胞群を配置し、内側は主に消化管で栄養をとるために存在し、外側は皮膚と感覚器官、そして神経を形成します。3胚葉になるとこれに中胚葉が加わり、骨・筋肉・血管などを形成します。

直泳動物と二胚動物は胚葉についてはよくわかりません。というのは両者とも寄生生物であり、もともとは複数の胚葉をもつ生物だったようですが、寄生を続けるうちに組織が退化してしまい、よくわからなくなってしまいました。扁形動物以下の生物は3胚葉(外胚葉・中胚葉・内胚葉)性と考えられます。

無腸動物と珍渦虫動物は、動物進化の初期段階に位置すると思われるめずらしい動物で(3、4)、表では前口動物と後口動物の間の位置に配置しました。これは仮の位置であり、研究が進めば別の位置となる可能性が高いと思われます。とはいえ左右相称動物なので海綿やクラゲよりは私たちに近い生物ではあります。ふたつあわせて珍無腸動物門とすべきだという説もあります(3)。

この表にあるどの門もカンブリア紀あるいはそれ以前から地球に存在し、ほとんどの生物が消滅してしまうような絶滅時代を乗り越えて現代でも棲息している種をかかえています。もちろんその間に環境に適応するべく遺伝子も変化させてきたことでしょう。ですからどの生物が高等でどの生物が下等であるなどとは言えません。人間の感覚から強いて言えば、神経系が発達しているものほど高等ということになりますが、それはそのように特殊化してきたに過ぎないとも言えます。

参照

1)Shared information of genetic resources (2019)
http://shigen.nig.ac.jp/algae_tree/MetazoaE.html

2)ウィキペディア: センモウヒラムシ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%82%A6%E3%83%92%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%82%B7

3)ウィキペディア: 無腸動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E8%85%B8%E5%8B%95%E7%89%A9

4)ウィキペディア: 珍渦虫
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%8D%E6%B8%A6%E8%99%AB










 

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