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2020年2月 7日 (金)

ガース・ニコルソンという研究者

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ガース・ニコルソンはセイモア・シンガーと共に、流動体モザイクモデルといわれる細胞膜の構造に関する正しいモデルを1972年に発表したことで有名な人物です(1)。

ニコルソンは Ph.D でしたが、次第に医学にのめり込み、特に政府が製造する生物兵器の秘密を暴くことに関心を移しました。彼の大きな業績は湾岸戦争症候群と慢性疲労症候群が同じ種類のマイコプラズマの感染によることを解明したことです(2-5)。これが生物兵器かどうかはわかりません。兵士達がイラクの生物兵器に対抗するため接種されたワクチンが、マイコプラズマで汚染されていた可能性もあります。

湾岸戦争症候群発生に何らかの形で米国政府が関わっていることは、ニコルソンが盗聴・尾行などさまざまな嫌がらせや研究妨害を受けたことからも明らかでしょう(6)。湾岸戦争から帰還した兵士達が家族に感染させ、それが広がって慢性疲労症候群という病気を発生させたと思われます(7)。ニコルソンは結局ポストを解任されて、自力でカリフォルニアに分子医学研究所を設立し、そこで研究を続けざるを得ませんでした。

マイコプラズマは細菌なのに通常の抗生物質が効きにくく、真核生物の細胞膜にくっついて生きていくやっかいな病原体です。マイコプラズマだけを培養しようとしても、寄生生物なのでできません。ニコルソンらは特殊な抗生物質を開発して、湾岸戦争症候群の治療にあたりました(8)。

私は細胞培養の実験をやっていたことがありますが、マイコプラズマはとてもやっかいな生物で、培養への混入をなかなか排除できないのです。通常の細菌、カビ、酵母などは、混入すれば見た目などですぐにわかるのですが、マイコプラズマは潜んでいるかどうかを判定するのも容易ではありませんでした。最近になってやっと判定がやりやすくなったようです。

昔読売ジャイアンツの桑田投手がマイコプラズマ肺炎にかかって、1年間完全に棒に振ったことを思い出しました。おそらく当時のワクチンにはマイコプラズマが混入していたロットが結構あったのではないかと推測できます。


1)S. J. Singer, and Garth L. Nicolson, The Fluid Mosaic Model of the Structure of Cell Membranes., Science. vol.175 (no.4023): pp.720-723 (1972)

2)Garth L. Nicolson, Ph.D. and Nancy L. Nicolson, Ph.D. Chronic Fatigue Illnesses Associatedwith Service in Operation Desert Storm. Were Biological Weapons Used Against our Forcesin the Gulf War?  TOWNSEND LETTER FOR DOCTORS 1996; 156:42-48.
http://www.immed.org/GWI%20Research%20docs/06.26.12.updates.pdfs.gwi/TownsendLettGWI1996.pdf

3)湾岸戦争症候群に罹患した復員軍人の「家族」の血液から生物兵器?を続々検出
http://www.asyura2.com/0311/war41/msg/282.html

4)白血球から検出のマイコプラズマにエイズウイルスの被膜遺伝子配列:生物兵器の証拠文献
http://www.asyura2.com/0311/war41/msg/582.html

5)米軍病理学研究所へようこそ!:これが米国のばら撒いた「免疫不全」マイコ生物兵器:全訳付き
http://www.asyura2.com/0311/war41/msg/707.html
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/141.html

6)ニコルソン博士夫妻に驚くべき妨害
http://satehate.exblog.jp/11649060/

7)Endresen, G.K., Mycoplasma blood infection in chronic fatigue and fibromyalgia syndromes., Rheumatol Int. vo. 23(5), pp. 211-215. Epub 2003 Jul 16.
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00296-003-0355-7

8)Nicolson, G (2001). Continuing research into Gulf War illness. Science. 292 (5518): 853b–853. doi:10.1126/science.292.5518.853b. PMID 11341275

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