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2019年6月30日 (日)

やぶにらみ生物論129: 神経伝達物質としてのグリシン

グリシンは図1に示すように、生体内のアミノ酸の中では、光学異性体も存在しないという最もシンプルな構造の化合物です。このような何の変哲もないありふれた物質が、神経伝達物質として機能するということは信じ難いことですが、このことはきちんと証明されています。

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グリシンがGABAと同じく、抑制性の神経伝達物質であることはウィアマンとアプリソン(図2)が中心となった研究グループによって、1967年に報告されました(1-3)。ウィアマンの肖像写真は残念ながらみつかりませんでした。彼はこの研究を行った後、イスラエルのヘブライ大学などで研究を続けましたが、政治にも関心があり、図2のように湾岸戦争についての考察を本にして出版しています。また退職後は現代版養生訓のような "Living with an Aging Brain: A self-help guide for your senior years" という本も出版しています(4、5)。

アプリソンもユダヤ系ですが、彼は米国の研究者です。自伝を出版しているので(6)、それをたどると彼の父親はオーストリア系の移民で故国では優秀な大工だったのですが、欧州での反ユダヤを嫌って米国に移住したら、そこでも1920年代の反ユダヤ主義によって仕事を失い、雑貨屋で生計を立てて子供を育てたそうです。米国の反ユダヤ主義とは何だろうと思って少し調べてみると、ひとつはロシア革命がトロツキーらのユダヤ人による陰謀であるとの流言や、米国内での労働争議が主にユダヤ人によって主導されていたことに対する反発などがあったようです。

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アプリソンはウィスコンシン大学で修士号を取得しましたが、彼が興味を持った生物物理学のドクターコースはなかったので、仕方なく印刷物関連の研究所で新聞のカラー化などについての研究を行っていました。しかしウィスコンシン大学からヒストラジオグラフィー(生体組織を感光剤に埋めて、外部からX線を照射することによって組織の成分を分析する)の装置を作る手伝いをしてくれと要請されて転職し、彼の生化学者としてのキャリアがはじまりました。結局彼はなぜか植物の窒素固定の研究を行なうことになり、ウィスコンシン大学ではじめての生化学分野での博士号を1952年に取得しました。

ところが博士号取得後、彼がヒムウィッチ博士から誘われたのは精神病の研究をしないかという仕事で、全く畑違いのそのポジションを受けたことがその後の成功の端緒となりました。人生のターニングポイントはどこにあるかわかりません。その後 Werman という良き共同研究者を得て、前記のようなグリシンが抑制性神経伝達物質であるという驚くべき結果にたどりつきました(6)。受容体もGABAのところで述べたハインリッヒ・ベッツによって精製され(7、8)、現在ではこの事実を疑う人はいません。

まずグリシンの情報を受け取る受容体ですが、その実体はGABA受容体とよく似ていることがわかっています。すなわち図3に示したように、Cysループ受容体ファミリーの4回膜貫通型タンパク質が5分子集合して塩素イオンチャネルを形成し、グリシンが結合するとチャネルが解放されて過分極がおこるという仕組みです(9)。GABAの場合、受容体に結合して機能を阻害する化学物質としてベンゾジアゼピンが有名ですが、グリシン受容体の場合ストリキニーネが結合してアンタゴニストとして作用します。ストリキニーネはマラリアの特効薬であるキニーネとは何の構造関連性もない別化合物であり、マチンという植物が発明した強い毒薬です(横溝正史の作品「八つ墓村」では即効性の毒薬として使われています)。

以前はGABAは大脳を含む広い範囲での中枢神経系で作用し、グリシンはおもに脊髄や延髄で作用すると考えられていましたが、現在ではグリシン作動性シナプスは 1)脳幹や脊髄において呼吸や歩行などリズムを持つ運動の制御や、驚愕反射の抑制に関与する 2)大脳新皮質、扁桃体、海馬、網膜など様々な中枢神経領域にグリシン 受容体が存在し神経回路の興奮性を調節している 3)、大脳側坐核のグリシン受容体がアルコールやニコチンへの依存性形成に関与する など中枢神経系でも重要な役割を果たすことが示唆されています(10)。

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最近ではクライオ電子顕微鏡の技術を用いて超低温で資料を観察する方法が発達し、グリシン受容体の立体構造が高い解像度で報告されています(11、図4)。グリシンの結合位置などもX線結晶構造解析法などにより解析が進められています(12)。

図4をみると、細胞外の部分が巨大で頭でっかちな受容体の構造にみえます。Cysループ受容体ファミリーはそのような傾向にありますが、ニコチン性アセチルコリン受容体の場合(13)よりもさらにアンバランスに見えます。グリシンというありふれたリガンドを特異的に結合させるには、それなりの複雑な仕掛けが必要だったのでしょうか。

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他の神経伝達物質と同じく、グリシンにもトランスポーターが存在し、シナプス前細胞にグリシンを集積したり、シナプス間隙にあるグリシンを回収したりする仕事を行っています。GlyT1は主にシナプス近傍のグリア細胞に発現し、神経伝達終了後の余剰グリシンの回収にあたり、GlyT2はシナプス前細胞でグリシンの集積を行っています(14、15、図5)。図5は文献14の図を改変して表示しました。

グリシントランスポーターはGABAトランスポーターと同じく、Na+/Clー依存性トランスポーターファミリーに所属し、C末・N末ともに細胞内にある12回膜貫通型のタンパク質です。(16)。

GlyT2によって細胞に取り込んだり細胞内で生合成したりしたグリシン(図1)を神経伝達物質として使う際には、それをシナプス小胞にとりこまなければいけませんが、この仕事はGABAの小胞トランスポーターが兼業でやってくれることがわかっています(17)。ですからもとは vesicular gaba transporter (GAT)と呼ばれていたものが、vesicular inhibitory amino acid transporter(VIAAT)と改名されました。

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参照

1)Graham LT Jr, Shank RP, Werman R, Aprison MH. Distribution of some synaptic transmitter suspects in cat spinal cord: Glutamic acid, aspartic acid, gamma-aminobutyric acid, glycine, and glutamine. J Neurochem, vol.24: pp.467-472.(1967)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6022905

2)Aprison MH, Werman R. A combined neurochemical and neurophysiological approach to the identification of CNS transmitters. In Ehrenpreis S, Solnitzky OC, eds. Neuroscience research. New York: Academic Press, vol.2: pp.143-174. (1968)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/4152429

3)Aprison MH. The discovery of the neurotransmitter role of glycine. In Ottersen OP, Storm Mathisen J, eds. Glycine neurotransmission. Chichester, UK: Wiley, Chapter 1: pp.1-23.(1990)

4)Robert Werman, Notes from a Sealed Room: An Israeli View of the Gulf War.,
Southern Illinois Univ Press (1993)
https://www.amazon.co.jp/Notes-Sealed-Room-Israeli-View/dp/080931830X/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=robert+werman&qid=1561257416&s=english-books&sr=1-1

5)Robert Werman, Living with an Aging Brain: A self-help guide for your senior years., Freund Publishing House Ltd., Tel Aviv (2003)
https://books.google.co.jp/books?id=wsu3hQ_meTQC&pg=PR9&lpg=PR9&dq=robert+werman&source=bl&ots=bY8YN0lILc&sig=ACfU3U2AS5_DabYtchdllYmPTRwJo75Gvw&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjOqvPzyf7iAhWSHqYKHW38Cy04ChDoATAHegQICRAB#v=onepage&q=robert%20werman&f=false

6)L.R.Squire ed., The History of Neuroscience in Autobiography. vol.3, Morris H. Aprison pp.2-37, Academic Press (2001)
file:///C:/Users/User/Desktop/グリシン/c1.pdf

7)Grenningloh G, Gundelfinger ED, Schmitt B,Betz H, Darlison MG, Barnard EA, Schonfield PR, Seeburg PH.,  Glycine vs GABA receptors. Nature vol.330: pp.25-26.(1987)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2823147

8)やぶにらみ生物論128: GABA その2
http://morph.way-nifty.com/grey/2019/06/post-143e31.html

9)Silke Haverkamp, Glycine Receptor Diversity in the Mammalian Retina by Silke Haverkamp., Web vision, The Organization of the Retina and Visual System.
https://webvision.med.utah.edu/book/part-iv-neurotransmitters-in-the-retina-2/glycine-receptor-diversity-in-the-mammalian-retina/

10)荻野一豊 グリシン作動性シナプスを増強するシグナル経路の同定 上原記念生命科学財団研究報告集, 32 (2018)
file:///C:/Users/User/Desktop/グリシン/ogino%20121_report.pdf

11)Du J, Lu W, Wu S, Cheng Y, Gouaux E., Glycine receptor mechanism elucidated by electron cryo-microscopy.Nature., vol.526(7572): pp.224-229. doi: 10.1038/nature14853.(2015)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26344198

12)Mieke Nys et al., Allosteric binding site in a Cys-loop receptor ligand-binding domain unveiled in the crystal structure of ELIC in complex with chlorpromazine., PNAS October 25,  vol.113 (43) E6696-E6703; (2016)
https://www.pnas.org/content/113/43/E6696

13)宮澤淳夫・藤吉好則、ニコチン性アセチルコリン受容体の構造と機能、蛋白質 核酸 酵素 vol.49 no.1, pp.1-10 (2004)

14)Robert J. Harvey et al., A critical role for glycine transporters in hyperexcitability disorders., Front. Mol. Neurosci., 28 March (2008)
https://doi.org/10.3389/neuro.02.001.2008

15)茂里康、島本啓子,抑制性神経伝達物質トランスポーターの薬理学、日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)vol.127,pp.279~287(2006)
file:///C:/Users/User/Desktop/グリシン/抑制性神経伝達物質トランスポーターの薬理学.pdf

16)http://morph.way-nifty.com/grey/2019/06/post-143e31.html

17)Wojcik SM et al., A shared vesicular carrier allows synaptic corelease of GABA and glycine., Neuron., vol.50(4), pp.575-87.(2006)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16701208?dopt=Abstract

 

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2019年6月29日 (土)

井上道義-新日本フィル:ショスタコーヴィチ交響曲第5番

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空席多しのうわさが飛び交う新日フィルですが、金土のマチネを格安料金にするという新基軸を打ち出しました。井上道義の登場ということもあり、数年ぶりですみだトリフォニーホールにでかけてみました。幸いにして雨もやみ、錦糸町はにぎやかでした。S席4500円、A席2000円(墨田区在住または在勤者はS席3000円、A席1500円)という設定で、ミチヨシの登場にもかかわらずまだ空席があったということは、かなり厳しい状況だと言うことはよくわかりました。

プレトークで井上さんは、人間は誰でも2面性をもっているもので、ショスタコーヴィチも例外では無いと強調しました。ショスタコーヴィチの「ジャズ組曲第1番」は、はじめて実演に接しましたが、大変素晴らしいポップスです。ハワイアンスチールギターをうまく使っていて、日本最初のプロハワイアンバンドであるバッキー白方とアロハハワイアンズが結成されたのが1947年であることを考えると、1934年にこの曲が作曲されたことは驚異的です。井上さんによると、この時代のロシアは皇帝も殺して、全く新体制の国家を建設する途上にあり、音楽でも世界の最先進国だったそうです。

「黄金時代」組曲はバレエ音楽ですが、ストーリーと踊り無しで聴くとそれほどは楽しめませんでした。

休憩をはさんで、またもや井上さんのプレトーク。今度は他の指揮者のショスタコーヴィチ交響曲第5番の演奏はひどすぎるとかましました。テンション激あげのようです。彼の演奏は文学的に汚染されたこの交響曲を、楽譜通りに(本人の弁)演奏しようという試みで、ハーモニーや陰影に細かな配慮を浸透させた至極まっとうな音楽でした。彼の指揮者としてのアクションはオリジナリティー満載で、世界一だと思います。新日フィルの演奏も決して他のオケに劣るということはないので、これからもご健闘を祈りたいと思います。

井上道義:

ハイドン交響曲第6番
https://www.youtube.com/watch?v=vHZmwv9IESk

ショスタコーヴィチ 交響曲第12番「1917年」
https://www.youtube.com/watch?v=XFudgOzQEW8

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2019年6月26日 (水)

戦争に巻き込まれないための戦略

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オバマ政権は金融・農業・医薬品・航空機・宇宙・情報・軍事で世界支配をめざしていて、そのためなら車・家電・日用雑貨・鉄鋼・金属その他の国内産業が低迷して輸入超過になってしまっても目をつぶるという政策をとっていましたが、トランプ政権は核拡散防止の努力はするとしても、ともかく貿易赤字・予算の赤字を解消するということをめざして、中国・日本・EUからの輸入を減らすことを至上課題としています。

予算の合理化のためなら日米安保条約の破棄も辞さないというのがトランプの本音なのでしょう。彼が「偉大なアメリカ」と言えば言う程、本当は手じまいであることを隠蔽するための言葉であることは明らかでしょう。

こんななかで日本が生きる道はロシアと連携するしかないことは明らかで、そうすればホルムズ海峡経由の石油輸入を減らすことができて、戦争に巻き込まれる危険を格段に減らすことができます。いずれはロシアをTPPに引き込む戦略が重要になるでしょう。日本国憲法を維持していくならそのための外交戦略が必要で、ずるずると戦争に巻き込まれていくような外交をやっていたのでは平和は守れません。

中国を選択しないのは、中国がトランプの政策において極めて有害な因子であることと、中国には最近帝国主義的な傾向がみられるようになったこと、そして中国には石油や天然ガスが期待できないからです。日本もトランプの政策においては中国に次ぐ有害因子であることは忘れてはいけません。これを勘弁してもらうために多額の売れない国債を買ったり、意味の無いイージスアショアを建設したり、β版のような戦闘機を大量に買ったり、米国の意図で世界にお金をばらまいたりする、そしてもっともっと要求がエスカレートするというのは金欠日本にとってあまりにもひどい話です。

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2019年6月23日 (日)

藤田真央 チャイコフスキー国際コンクールでファイナルへ

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チャイコフスキー国際コンクールセミファイナルでの、藤田真央のパフォーマンスが見られます。
インターネットエクスプローラーで閲覧できなかったので、ファイアーフォックスで閲覧しました。

https://tch16.medici.tv/en/replay/semi-final-with-mao-fujita/

私的には、特にショパンなど情感を全く共有できないピアニストですが、すごいピアニストであることはわかります。自分で表現したいことをきっちり表現しているように思いました。

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2019年6月20日 (木)

ベートーヴェン第9交響曲 第1楽章の謎

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オリカイネンが指揮する第9を聴いているうちに、一つ気がついたことがあります。第9の第1楽章は謎の音楽といわれていますが、ベートーヴェンはここで、興奮性の刺激と抑制性の刺激を短かいサイクルで交互に聴衆の脳に与えて、これからはじまる音楽を聴くトレーニングを行っているのです。

脳トレは知覚や知識を得るというポジティヴな側面だけではなく、リラックス・休養を誘導するネガティヴな神経系のトレーニングも同じくらい必要です。脳は興奮性と抑制性の神経系が対峙してバランスを保っていてこそ機能するのです。つまりベートーヴェンは真の脳トレの方法を知っていたのです。

そして第1楽章で十分な準備運動を終え、脳を活性化した後、本番の第2楽章(興奮性)、第3楽章(抑制性)、第4楽章(脳全体が爆発的に駆動)に進むという仕掛けになっています。

YouTubeでの第9演奏時間の比較(解説などがはいるので、実際の演奏時間はここに記したより若干短い。バーンスタインのはベルリンの壁崩壊記念なので、長い解説などがあります。)

オリカイネン:1:00:51
https://www.youtube.com/watch?v=MACdY0cWqUg

パーヴォ・ヤルヴィ:1:03:32
https://www.youtube.com/watch?v=s5Ezdc4z1ZM

カラヤン:1:04:49
https://www.youtube.com/watch?v=HV7bgY626rU

ヤノフスキ:1:06:32
https://www.youtube.com/watch?v=RkeM9N0l2Jc

トスカニーニ:1:07:32
https://www.youtube.com/watch?v=DuK133dK6eQ

ドゥダメル:1:12:51
https://www.youtube.com/watch?v=reR6josvHP8

フルトヴェングラー:1:14:40
https://www.youtube.com/watch?v=dHDXdbSWu0E

ムーティ:1:21:22
https://www.youtube.com/watch?v=rOjHhS5MtvA

バーンスタイン:1:33:51
(実際の演奏時間はムーティより若干長い程度)
https://www.youtube.com/watch?v=IInG5nY_wrU

朝比奈隆(実質最長か?)1:27:14
https://www.youtube.com/watch?v=nYZkZXOHh-c

 

 

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2019年6月19日 (水)

エヴァ・オリカイネン アイスランド交響楽団のチーフコンダクター兼アーティスティックディレクターに就任

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6年前に都響に来演して深い感動を与えた指揮者エヴァ・オリカイネンが、2020/2021シーズンから4年契約でアイスランド交響楽団の主席指揮者兼音楽監督に就任することになりました。生き馬の目を抜くような激しい競争の欧州の指揮者業界で、このようなポジションを得たことは素晴らしい快挙です。誠におめでとうございます。

都響との演奏は堂々としたスケールの大きい、聴衆を没入させる力に満ちた快演でした。シベリウスではコントラバスをしぼったみたいですが、どうぞご遠慮なく。是非また都響に来演してくださることを期待すると共に、レコーディングなども楽しみにしております。

アイスランド交響楽団は2008年に来日してシベリウスチクルスをやる予定が没になってしまったという残念な経緯がありますが、捲土重来を目指してほしいと思います。オリカイネンが率いて来日するなら、ブラームスを演奏してほしいというのが個人的希望。図は都響に来演時のポスターです。

就任発表:
https://en.sinfonia.is/news/eva-ollikainen-appointed-as-chief-conductor-and-artistic-director

私の過去記事:
http://morph.way-nifty.com/grey/2013/07/post-b9e3.html

演奏:

ベートーヴェン第9交響曲
https://www.youtube.com/watch?v=MACdY0cWqUg

シベリウス第2交響曲
https://www.youtube.com/watch?v=dKUbuVxd4Bk

ニルソン第4交響曲
https://www.youtube.com/watch?v=DtbYG4ZM2Xg

動画:

学生オーケストラ
https://www.youtube.com/watch?v=Jv6RjFBtGCs

ウィーン交響楽団 ラヴェル「ラ・ヴァルス」など
monchan 推薦
https://en.karstenwitt.com/eva-ollikainen

 

 

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高齢者の運転について

昨今高齢者が運転する車の暴走が話題になっていますが、まず警察が発表している交通事故死者の推移をみてみましょう。

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ここにみられるように、1970年には年間1万6765人の死者がでていますが、2018年には3532人と激減しています。したがって統計的に見れば目くじらをたてるような問題ではありません。

しかし日本は高齢者がどんどん増えているので、判断スピードや運動能力が低下している高齢者による事故が増えるのも事実。日本や欧州は車に安全装置をつけるのを義務化する方向で動いています。
https://www.goo-net.com/magazine/108635.html

それはいいのですが、車の運転そのものをコンピュータまかせにするのは考えものです。以前にも述べたように、コンピュータも暴走することがあります。基本的にはアクセル、ブレーキ、ハンドルは人が操作する、少なくともコンピュータより優位に操作できるようにするべきだと思います。
http://morph.way-nifty.com/grey/2019/06/post-fa1ffe.html

免許の問題については、もともとドイツ・フランス・米国の一部の州などでは更新がない(英国は10年)ので日本のように3~5年ごとの更新は異常です。人手不足の日本で、こんな仕事に大勢が従事しているというのは無駄です。更新は高齢者だけで良いのではないかと思います。東京などの大都会では、判断スピード・運動能力・アルツハイマーのテストをして、一定の点数以下だと再検定→更新不可ということにしてはどうでしょうか。病院の通院バス運行に補助金を出すくらいは、都会ではできるのではないかと思います。

ACジャパンが免許返上を促すCMを流しているようですが、このような世論の圧力によって問題を解決しようとする姿勢は陰湿です。日本的テンペラメントの陰の部分でしょう。うがった見方をすれば、非難の矛先が自動車会社に向かないように世論誘導しているとも考えられます。

脳溢血・脳梗塞・心筋梗塞・テロは制度によっては防ぎようがないので、これらの場合は車載コンピュータの判断で車が止まるようにするしかないのでしょう。一人はねた時点で車をコンピュータが強制停止するというシステムは、すぐにでもできるのではないでしょうか?

私が乗っているパッソは急な上り坂になると、前に障害物があると勘違いしてアラームが鳴ります。急な上り坂って立体駐車場だとかならずあるのです。可愛い間違いです。

 

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2019年6月15日 (土)

まきちゃんぐライヴ@下北沢ラグーナ

私は学生時代は目黒区に住んでいて、下北沢駅も乗り換えでときどき利用していたのですが、考えてみると一度も降りた記憶がありません。

立派な地下駅から外に出ると、そこはもうちょっとした外国です。ゆるさの中にもセンスがいい街です。「どうして私は千葉ニュータウンなどというところに住んでいるんだろう? 賃貸でいいからこの街に住みたい」と思わせるものがあります。

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とりあえず今日のライヴハウス「ラグーナ」をみつけないと・・・。団体の外国人観光客に何度か遭遇したりして(観光地なんだ)、あちこち迷い込みながらもようやくみつかりました。

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ひと安心して近所のサンドウィッチバー「パネーズハウス」で夕食。

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サンドウィッチとバーとは妙なとりあわせですが、お酒の種類は豊富です。私はサンドウィッチとコーヒーを注文しましたが、コーヒーがこんなカップで出てきても、この街では違和感がないのが不思議。

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本日のライヴはツーメンで、トップバッターは中村千尋さん。
オフィシャルHP:https://nakamurachihiro.com/

HPのスチル写真を見る限りモデルさんのようなかっこいい人だと思いましたが、実像は? 吾輩は猫であるから始まる歌とか、ノーブラサンデーとか、ニューアルバムのタイトルが「スカートの中」とか、かなりコケティッシュで楽しい人物のようです。と思っていたら、なんとステージでお客に食べさせるラーメンをつくっているではありませんか?

まきちゃんぐは相変わらず、全力投球のハードな歌唱。この会場の下(B1F)もライヴハウスで、結構ボディーソニックがすごいのですが、それに負けないくらいにがんばりました。すばらしい美形シンガーソングライターなのですが、歌っているときの顔はなぜか奴凧に似ています。

セットリストはツイッターにアップされていたのでコピペしておきます。

1 不器用
2 ハニー
3 あの丘へ行こう
4 雨と傘と繋いだ手
5 風の強い日の旗は美しい
6 ジンジャエールで乾杯
7 シャドウ
8 はなのたねまき

en1 糸(cover)
en2 あの丘へ行こう(+中村千尋タンバリン)

どの曲が一番好きかと問われると「雨と傘と繋いだ手」なんですが、
https://www.youtube.com/watch?v=rQQqs4lQF0c

アンコール1の中島みゆきの「糸」は、亡くなったおばあちゃんに聴いてもらいたいということで、ノーマイクで歌ってくれました。生声は最高ですね。電気機器が情感を阻害しているということが明らかにわかります。今夜のハイライトでした。

まきちゃんぐのライヴは精神のボキバキカイロプラスティックのようです。
楽しいライヴをありがとう。

まきちゃんぐHP:http://makichang.info/

 

 

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2019年6月13日 (木)

やぶにらみ生物論128: GABA その2

GABA作動性シナプス周辺の模式図を図1に示しました(1)。シナプス前後細胞の他にアストログリア細胞が描いてありますが、これはシナプス周辺のアストログリア細胞がグルタミンをシナプス前細胞に供給するという役目を担っているからです。この細胞はさらにシナプス間隙から過剰なGABAを回収してグルタミンに変換することもできます。

アストログリア細胞からグルタミンを受け取ったシナプス前細胞は、リン酸活性化グルタミナーゼ=PAG(phosphate-activated glutaminase)という酵素を使ってグルタミンを加水分解してグルタミン酸を合成し、パート1に記したようにGABAを合成します。

その1:http://morph.way-nifty.com/grey/2019/06/post-f82bd2.html

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抑制性神経伝達物質の場合、シナプス後細胞の興奮を阻止するのが役割ですから、シナプス後細胞のGABA受容体がナトリウムイオンチャネルではなく塩素イオンのチャネルであれば話は簡単です。塩素イオンが細胞内に流入すると、通常外界(+)/細胞内(-)となっている電位差がますます大きくなるので、細胞は過分極状態となり脱分極は阻止されます(図1)。

GABA受容体あるいは同様なはたらきを持つグリシン受容体の精製は1980年初頭に英国のバーナード(図2)のグループと、ドイツのベッツ(図2)のグループで激しい先陣争いが繰り広げられました。前者は牛の脳、後者はラットの脊髄を材料としました。両者が成功したのは、GABAやグリシンというリガンドそのものではなく、より強力で特異的に結合するベンゾジアゼピンやストリキニーネという代役の化合物を放射能でラベルし、精製の際のマーカーとして用いたからと言えます(2)。両陣営がそれぞれレビューを出版しているので、興味のある方はご覧ください(3、4)。

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バーナードが精製したのは現在ではGABAと呼ばれるGABA受容体で、これは実際に塩素イオンのチャネルです。GABAが結合することによってアロステリックな構造変化を行い、塩素イオンを細胞内に取り込みます(5)。

GABA受容体タンパク質は4回膜貫通型で細胞膜に局在します。N末、C末共に細胞外に出ており、C末側露出部にSS結合が存在します(5、図3)。このようなSS結合を持つ受容体タンパク質群はCysループ受容体ファミリーと呼ばれ、ベッツが精製したグリシン受容体もこのファミリーに所属しています。

GABA受容体タンパク質はサブタイプが多くて、α1-6、β1-3、γ1-3、δ、ε、θ、π と ρ1-3 の少なくとも19種類の分子種が知られており、イオンチャネルはこれらから5分子が集合して形成されます(6、7、図3)。脳内にはα型1個-β型2個-γ型2個の5量体が多いとされています(7)。GABA受容体は実質無限のバラエティを持っているわけですが、なぜそうなっているのか、理由は不明です。

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GABAの受容体にはもうひとつのタイプ、GABAが存在します。GABAはバウリーが発見し(8、図2)、彼らによって遺伝子構造も解明されました(9)。GABAの構造についての模式図は図4に示しました(脳科学辞典10から改変)。

GABAは7回膜貫通GPCR(G protein-coupled receptor=Gタンパク質共役受容体)なのですが、R1、R2という二つの分子が協働してその役割を果たすという一風変わった構造になっています(図4)。すなわち図4のように、R1がGABAと結合する役割、R2がGタンパク質と結合するという役割を持っています。

R1とR2は細胞膜に隣接して埋め込まれていますが、細胞質内の長い両者のC末部分で複雑に絡まり合っており(図4)、ここでR2はR1の構造変化を検知して活動を開始すると思われます。またこの絡まり合った部分で、Gタンパク質だけでなくさまざまな制御因子や情報伝達因子と相互作用を行うことができます(11、12)。このことがわざわざ2分子でGPCRの仕事をやっている理由なのでしょう。

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R2に結合しているGαタンパク質はi型で、GABAのシグナルによって遊離し、アデニル酸シクラーゼを阻害してcAMP合成を妨げる働きがあります。これによってタンパク質のリン酸化が低下します。また同じく遊離したGβγタンパク質によって、カリウムチャネルが開き、カルシウムチャネルが閉じられます。K+は細胞内濃度が高いので細胞外に流出し、過分極の方向にコントロールされます。またカルシウムの流入が妨げられるのも同じ効果があります(12,図5)。

GABA受容体はGABAシグナルに対する即時(ミリ秒単位)の反応を受け持ち、GABA受容体はやや遅い反応または継続的な反応を受け持つと思われます。GABAB受容体にもさまざまなアイソタイプがあるようですが(12)、ここではパスします。

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さて図1にもどると、GABAによる情報伝達に関しては、まだいくつかの重要な因子があることがわかります。まず🌕で示されているGABAトランスポーター(GAT)です。これにはいくつかのタイプがあり、シナプス前細胞にはGAT1型、シナプス周辺アストログリア細胞にはGAT3型、脳以外の臓器の細胞にはGAT2型が概ね局在しています。

GATは膜12回貫通型の細胞膜に埋め込まれたタンパク質で、C末・N末共に細胞内に露出します(図6)。

GATがGABAを細胞内に取り込む際にGABA1分子につきナトリウムイオン2個と塩素イオン1個が移動しますが(13、図6)、ATPは使用しません。といってもナトリウムを取り込むと、ATPを使って排出することになるので、間接的にはATPのエネルギーを利用していることになります。

GABAが通過する部分はシーソーのような構造になっており、図6のように立体構造を変えることによってGABAを移動させます(13)。GABAを放出後、シナプス間隙の不要なGABA濃度が高まると、シナプス前細胞のGAT1がGABAをすみやかに回収します。アストログリア細胞のGAT3もGABAの回収に使われるようです。この両者によって約75%のGABAを回収できるとされています(13)。

アストログリア細胞が回収したGABAはグルタミン酸からグルタミンに変換され、トランスポーターを通してシナプス前細胞に受け渡されて再利用されます。シナプス前細胞は自ら回収したGABAと、アストログリア細胞から受け取ったグルタミンから合成したGABAを使用することができます。GABAが長時間シナプス間隙に残留するとまずい場合が多いので、このような回収システムがすみやかに稼働すると思われます。

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図1にもうひとつの役者VGATが●で登場しています。VGATとは小胞GABAトランスポーター(vesicular gaba transporter) の略称で、GATとは全く異なるトランスポーターです。VGATはアミノ酸配列から9回膜貫通型のトランスポーターと考えられていて、細胞質のGABAとグリシンをシナプス小胞内に取り込むことができます(14)。小胞内にため込まれた神経伝達物質は、必要時にエキソサイトーシスによってシナプス間隙に排出されます(15)。

 

参照

1) from wikipedia, original source is Nissen-Meyer LSH and Chaudhry FA., Corrigendum: Protein Kinase C Phosphorylates the System N Glutamine Transporter SN1 (Slc38a3) and Regulates Its Membrane Trafficking and Degradation. Front. Endocrinol. vol.8: p.190.(2017) doi: 10.3389/fendo.2017.00190
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fendo.2017.00190/full

2)Stephenson FA, Mukhopadhyay R.,Classics How the glycine and GABA receptors were purified., J Biol Chem. vol.287(48), pp.40835-40837.(2012) doi: 10.1074/jbc.O112.000006.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23180805

3)Barnard EA, Darlison MG,Seeburg P., Molecular biology of GABAA receptor:The receptor/channel superfamily. Trends Neurosci vol.10: pp.502-509.(1987)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0166223687901305

4)Grenningloh G, Gundelfinger ED, Schmitt B,Betz H, Darlison MG, Barnard EA, Schonfield PR, Seeburg PH.,  Glycine vs GABA receptors. Nature vol.330: pp.25-26.(1987)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2823147

5)GABAA受容体
https://ja.wikipedia.org/wiki/GABAA%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93

6)脳科学辞典 GABA受容体
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/GABA%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93

7)Macdonald R.L. Olsen R.W., GABAA receptor channels. Annu. Rev. Neurosci. vol.17: pp.569-602 (1994)

8)Bowery N.G., GABAB receptors and their significance in mammalian pharmacology. Trends Pharmacol. Sci., vol.10: pp.401-407 (1989)

9)Bowery, N.G. and Brown, D.A., The cloning of GABA(B) receptors. Nature vol.386, pp.223-224. (1997)

10)https://bsd.neuroinf.jp/wiki/GABA%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93

11)Burmakina, S., Geng, Y., Chen, Y. and Fan, Q.R.,  Heterodimeric coiled-coil interactions of human GABAB receptor. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. vol.111, pp.6958-6963.(2014)

12)Miho Terunuma, Diversity of structure and function of GABAB receptors: a complexity of GABAB-mediated signaling., Proc. Jpn. Acad., Ser. B 94, pp.390-411 (2018)
file:///C:/Users/User/Desktop/GABAb%20terunuma%20pjab-94-390.pdf

13)Sadia Zafar and Ishrat Jabeen, Structure, Function, and Modulation of γ-Aminobutyric Acid Transporter 1 (GAT1) in Neurological Disorders: A Pharmacoinformatic Prospective. Front Chem. vol.6: article 397. pp.1-19 (2018)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6141625/

14)脳科学辞典 小胞GABAトランスポーター
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%B0%8F%E8%83%9EGABA%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

15)脳科学辞典 シナプス小胞
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%B9%E5%B0%8F%E8%83%9E

 

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2019年6月10日 (月)

車載コンピュータだって故障が無いとは限らない

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私は以前10年ほどプリウスに乗ったことがあり、そのときディーラーに言われていたのは、エンジンルームに水が入るとコンピュータが誤作動する可能性があるので気をつけるようにということです。特に深い水たまりを突破するのは危険です。

現在はパッソに乗っていますが、この車は停車するとコンピュータによってエンジンが停止します。しかし必ず停止するわけではなく、アイドリングになることもあります。この判断は人間とは関係なく、勝手にコンピュータが停止した状況から判断するのです。

航空機でも最近はコンピュータ制御になっていて、その暴走によって墜落しそうになったり、あるいは墜落したりする場合があると考えられています。

こちら1

こちら2

こちら3

最近高齢者による自動車事故が話題になっていますが、その中にはどうも車のコンピュータが暴走したのではないかと疑われる事例があるように思います。高齢ドラ-バーの免許返上を促すためのキャンペーンに事故が利用されている傾向があるので、気をつけた方がいいです。

PCを毎日使っている人は、おそらく暴走の経験があるのではないでしょうか。私の将棋ソフトは非常に強くてほとんど勝てないのですが、ある日突然奇妙な手を打ち始め、まったくわけのわからない自殺手を連発して私があっという間に勝ったことがあります。再現性はありません。ですから故障とは言えません。こんな極端な例で無くても、なんらかの不具合はよくあることです。10年も揺られていると、接触の不具合や断線などで車載コンピュータが変調を来しても不思議ではありません。

最近の私の経験では、自宅のパソコンがよく落ちるので、メモリーとソケットの接触部分をエアダスターで念入りに清掃したら、全く落ちなくなったということもあります。

「プリウス暴走事故」はなぜ多い

こちら4

こちら5

このような可能性もあるようです

こちら6

こちら7

 

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2019年6月 5日 (水)

JPOP名曲徒然草196: 「いつも何度でも」 by いのり・はなみ

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千と千尋の神隠し「いつも何度でも」(作詞 覚和歌子、作曲 木村弓)

いのり・はなみ

https://www.youtube.com/watch?v=KCyk5j8cDyM&list=PLK6YOMX14eKsNAUQG1CXWrlTToftHj0Dk

私はアニメとコミックとゲーム(Wiz8以外)には関心を持たないようにしていますが(他にさまざま趣味・関心があるので)、この曲といのり・はなみの美声と精妙なデュエットには心底驚かされました。CDは所有しておりません。アマゾン・HMVの検索で発見できなかったので、いのり・はなみ の名義ではCDは出版されていないのかもしれません。

この曲は作詞者と作曲者もそれぞれ別々に歌って、CDを出版しています。とてもめずらしいのではないでしょうか。さすがにジプリの曲で世界中からYouTubeにアップされています。

木村弓
https://www.youtube.com/watch?v=9O4SMw_8Om0
https://www.youtube.com/watch?v=gGi8wjv8I78

覚和歌子
https://www.youtube.com/watch?v=ICbBvRObmQQ
https://www.youtube.com/watch?v=D2hQhsOALLQ

Philippe Labutin & Stefan Rickli
https://www.youtube.com/watch?v=cxcyr5Az1uU

Nataliya Gudziy
https://www.youtube.com/watch?v=xQJog0rs7Eg

慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・女声合唱団
https://www.youtube.com/watch?v=uzgU3I4wNpY

マリンバ&オーケストラ
https://www.youtube.com/watch?v=7zFu1t3uXyc

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2019年6月 4日 (火)

やぶにらみ生物論127: GABA その1

  神経伝達物質をざっと概観しようとしてきましたが、これまでにアセチルコリン、各種モノアミン類を取り上げてきました。今回からアミノ酸関連因子に進みます。図1にそのなかでも重要な2つの要素が出てきますが、まず右側の γ-アミノ酪酸(GABA=γ-amino butyric acid)から見ていきましょう。

GABAはグルタミン酸からグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD=L-glutamic acid decarboxylase)によって産生されます。材料のグルタミン酸は細胞外からグルタミン酸トランスポーターを用いて取り込む場合と、細胞内でTCAサイクルの α-ケトグルタル酸から合成する場合があります(1)。

GADにはふたつのアイソフォーム(GAD65,GAD67)があり、GAD67が細胞質全体に存在するのに対してGAD65は神経終末部に豊富に存在することから、GAD65が抑制性シナプス伝達を担うGABA合成に主として関与すると考えられています(1)。

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タンパク質の構成要素となるアミノ酸はαの位置にアミノ基がありますが、GABAの場合図1のようにγの位置にアミノ基があります。したがってGABAはタンパク質の構成要素としてのアミノ酸ではありません。

GABAの発見者はアッカーマンという人で、細菌による腐敗の結果生ずるものと報告されているそうです(2、3)。現在も発行されている Zeitshrift fur Physikalische Chemie のホームページを見てみましたが、アッカーマンの論文の紙面は提供されていませんでした。

その後GABAはカビや植物からも抽出されましたが、ロバーツ(図2)はマウスの脳にGABAが存在することを発見しました(4、5)。ロバーツは自伝を書いていますので(3)、少し彼の人生をたどってみましょう。

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ユージン・ロバーツは1920年に黒海沿岸で生まれましたが、1917年にロシア革命が勃発し、いわゆるブルジョアジーだった彼の一家は1922年にラトヴィア経由で、親戚を頼って米国のデトロイトに移住しました。彼は高校時代にアンドレという女性教師に実験室を自由に使わせてもらってゾウリムシの研究を行い、それが生物学へ傾倒するきっかけとなったそうです。高校教師も科学の進歩に関係がないわけではありません。

彼はウェイン州立大学を卒業後、ミシガン大学で学位をとりましたが、太平洋戦争中ということもあって、学位取得前からニューヨークのロチェスター大学でマンハッタンプロジェクトに参加し、ウラニウムのダストをどのくらい吸い込むと危険かという研究に携わりました。

戦後の1949年になって、彼は2次元ペーパークロマトグラフィーの技術を使って、脳に大量のGABAが存在することを発見しました。これは「正常細胞とがん細胞で、フリーのアミノ酸の含量に差があるかどうか調べる」という目的の研究の副産物として発見されました。「目的指向的研究をやれ」とよく役人やその尻馬に乗る人々が言うわけですが、実際には所期の目的とは「はずれた」副産物の方が重要だったということはよくあることです。テクノロジーの進化には目的指向をはっきりさせることが大事かもしれませんが、サイエンスにとって多くの場合、当初の研究目的はきっかけに過ぎません。

脳にGABAが存在するという研究結果は、1950年に共同研究者のサム・フランケルと共に発表し論文にもまとめました。同じ年に Udenfriend(6)と、Awaparaのグループ(7)も同様な結果を発表していますが、前者はロバーツからサンプルの提供を受けて、ラジオアイソトープを使った別法で成分を確認したもの(ロバーツは Fed. Proc.の中でこのことに言及しています 参照5)。後者はプライオリティーの点でやや遅れをとったとみなされています(8)。ただアワパラ側がどう考えていたのかについては情報が得られなかったので、本当のところ真実は藪の中です。

発表後ロバーツはアッカーマンから祝福の手紙を受け取ったそうです(3)。アッカーマンがGABAを発見してから40年が経過しているので、もうリタイアしていたと思いますが、心温まるエピソードだと思います。その後ロバーツのグループは、GABAがほ乳類の脳における主要な抑制性神経伝達因子であることを示すうえで大きな貢献をしました。

現在では脳のニューロンのうち約30%がGABA性(ギャバージック)の抑制性ニューロンであることが知られていますが(9)、そもそも抑制性ニューロンなどというものがあることは誰が発見したのでしょうか?

最初にこのことに気づいたのは、ロシアの「生理学および科学的心理学の父」といわれるセチェノフでした。彼はカエルの脊髄反射は脳を除去することによって促進され、脳を刺激することによって抑制されることを報告しました(10、11、図3)。まだ19世紀のなかばの頃です。脳を科学的に考えるにはあまりに時期が早かったため、唯物論を広めキリスト者としてのモラルを低下させたかどで、迫害されたこともあったようです(12)。条件反射などの研究で1904年にノーベル生理学医学賞を受賞したパヴロフも、もともとの定義に反することであっても、後に反射に脳がかかわっていることを認めて報告しています(13)。

英国の生理学者シェリントン(図3)は膝蓋反射のように感覚神経と運動神経が単純に反応するような反射もあるが、ひっかき反射(14)などでは、感覚神経・運動神経以外の神経、すなわち複数のシナプスがかかわっていることを示しました。すなわち犬の肩をこすると、こすった側の後ろ足の屈筋が刺激されますが、同時に伸筋は抑制されるのです(15)。このことは抑制性の神経系の存在を強く示唆するものです。これらの業績によって、シェリントンは1932年にノーベル生理学医学賞を受賞しました。

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その後グルタミン脱炭酸酵素(GAD=L-glutamic acid decarboxylase)の抗体を用いて、GABAを産生する細胞を同定する試みは、ロバーツを含む多くの研究者によって、徹底的に行われました(16、17)。

文献(17)によると、GADが局在する部域は、cerebellum(小脳), spinal cord(脊髄), retina(網膜), habenula(手綱), olfactory bulb(嗅球), substantia nigra(黒質), corpus striatum(線状体), red nucleus(赤核), arcuate nucleus(視床下部弓状神経核),lateral cervical nucleus, tuberomammillary nucleus(結節乳頭体神経核), cochlear nucleus(蝸牛神経核), vestibular nuclei(前庭神経核), dorsal column nuclei(後索神経核), nucleus reticularis thalami(視床網様体神経核), globus pallidus(淡蒼球) and nucleus entopeduncularis(脚内神経核), visual cortex(視覚野), dentate gyrus(歯状回), superior colliculus(上丘), sensory-motor cortex(感覚運動皮質), septal area(中隔野), hypothalamus(視床下部), hippocampus(海馬), geniculate complex(膝状複合体), and nucleus tractus solitarii(孤束神経核)と広汎にわたっています。

それぞれの部域については、図4、図5に赤で示しました。

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これらの多くは後に学んでいくことになると思いますが、とりあえず大脳基底核周辺における GABAergic な伝達系がウィキペディアに出ていたので、図6にコピペしました(18)。GABAergic なシナプス前細胞は、シナプス後細胞を過分極させて脱分極を抑制する方向に作用します。線状体から淡蒼球や黒質に情報が投射していることが示されています。抑制性の神経細胞は、自身が抑制性の神経細胞とシナプスをつくると、シナプス後細胞による抑制作用を抑制することになり、結果的に促進細胞に変身することもあり得ます。

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参照

1)脳科学辞典 GABA
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/GABA

2)Ackermann, D. Uber ein neues, auf bakteriellem Wege gewinnbares Aporrhegma. Z. Physiol. Chem. vol.69, pp.273-281. (1910)

3)Eugene Roberts (autobiography), in "The History of Neuroscience in Autobiography" VOLUME 2, Ed.Larry R. Squire, Academic Press (1998)
file:///C:/Users/User/Desktop/GABA/Eugene%20Roberts.pdf

4)Roberts, E. and Frankel, S. γ-Aminobutyric acid in brain: Its formation from glutamic acid. Journal of Biological Chemistry vol.187: pp.55-63,(1950)
http://www.scholarpedia.org/w/images/2/29/GABA_abstract.jpg

6)Udenfriend, S. Identification of gamma-aminobutyric acid in brain by the isotope derivative method. Journal of Biological Chemistry vol.187: pp.65-69 (1950)

7)Awapara, J., Landua, A.J., Fuerst, R., and Seale, B. Free gamma-aminobutyric acid in brain. Journal of Biological Chemistry vol.187:pp.35-39,(1950)

8)Eugene Roberts, Gamma-aminobutyric acid., Scholarpedia, vol.2(10), p.3356.(2007)
http://www.scholarpedia.org/article/Gamma-aminobutyric_acid

9)小幡邦彦 GABAのはたらき、Riken BSI news vol.37, 10月号 (2007)
http://bsi.riken.jp/bsi-news/bsinews37/no37/special.html

10)"Refleksy golovnogo mozga." Meditsinsky vestnik 47-48 ("Reflexes of the brain", in Russian) (1863)

11)K.Obata, Synaptic inhibition and γ-aminobutyric acid in mammalian central nervous system. Proc.JPN.Acad., Ser.B89, No.4, pp.139-156 (2013)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjab/89/4/89_PJA8904B-03/_article/-char/ja

12)https://en.wikipedia.org/wiki/Ivan_Sechenov

13)Pavlov,I.P., Conditioned Reflexes (translated by Anrep,G.V.). Dover Publications, Mineola, NY, pp.1-430 (1927)

14)Scratch reflex of dog
https://www.youtube.com/watch?v=VzCwXaU_tJ0

15)Sherrington, C.S., The Integrative Action of the Nervous System. Yale Univ. Press, New Haven, CT, pp.1-413 (1906)

16)E. Roberts amd Kinya Kuriyama, Biochemical-physiological correlations in studies of the γ-aminobutyric acid system. Brain Res., vol.8, pp.1-35 (1968)
file:///C:/Users/User/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/C8FQEO1U/first-page-pdf.pdf

17)17)Elling Kvamme, Glutamine and Glutamate Mammals. Vol.1, CRC Press (1988)
VI Identification and localization of L-glutamate decarboxylase.
こちら

18)https://en.wikipedia.org/wiki/Striatum

 

 

 

 

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2019年6月 2日 (日)

リットン-都響@サントリーホール2019/06/02

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久しぶりの都響プロムナードコンサート。ここ2,3日にくらべて涼しい朝でした。でも湿度の高い休日の午後は少し眠い。ともかくサントリーホールにたどりつきました。きょうも前回に引き続きリットンの指揮で、四方さんとボス矢部が入れ替わって本日のコンマスはボス矢部。

「マイ・フェア・レディ」序曲はドイツ移民のロウという人が作曲したそうでびっくりしました。お馴染みのメロディーです。次はコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲。これはあまり面白い作品とは思っていなかったのですが、今日は三浦文彰君がソリストということで、この人のヴァイオリンの音は特別です。五大元素で言えば「水」系ですね。第2楽章などは美音に陶酔しました。アンコールは超絶技巧の 「Nel cor piuによる変奏曲(パガニーニ)」。村下孝蔵のひとりベンチャーズを思い出しました。

三浦文彰
https://www.youtube.com/watch?v=DaCXALmKj5g

村下孝蔵
https://www.youtube.com/watch?v=sw6TtxnyF3Q

休憩後の「新世界より」はリットンの面目躍如で、どんな部分もサラッとはやらない、徹底的にダイナミックなアーティキュレーションでハイカロリーなシンフォニーを聴かせてくれました。南方のイングリッシュホルンは聴くたびに進化していて、暖かいフレージングに感動させられます。いつものことながら都響の木管陣(エキストラの白尾さんを含めて)は素晴らしい安定感です。第4楽章は大いに盛り上がりました。まあひとことで言えば元気の出る演奏と言えます。

 

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