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2019年5月 4日 (土)

なぜ消費税を上げなければいけないか?

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テレ朝 「池上彰のニュース解説」で、なぜ消費税を上げなければいけないかの回答として「社会保障費がふえるため」と言っていましたが、これはある種の世論操作でしょう。

この回答にはなぜ法人税や所得税を上げないで、消費税を上げるかという観点が欠落しています。消費税は累進制がないため、貧しい人にとっては厳しい税制であり、貧富の差が大きい社会では避けるべき税制です。

法人は大量に内部留保を行っているので、法人税を上げればいいじゃないかというわけですが、それがそうもいかないというのは、他国での法人税が日本より安いと、外国の方が物価が安くなり貿易が不利になりますし、企業が海外で生産をおこなうようになるかもしれません。

ですから、消費税を上げないで法人税を上げるためには、管理貿易を行って法人税の差による貿易不均衡を修正するしかありません。トランプはまさしく暴力的に自由貿易を廃止しようとしていますし、EUも域外とは自由貿易ではありません。自由貿易にすれば、発展途上国の方がはるかに安価な物品を供給できるので、貿易は発展途上国の圧勝です。実際米国は長い間中国に完敗してきました。日本もパナソニックの社長があと10年も持たないと言うくらいものづくり産業が壊滅しつつあります。

結局水野和夫の言う「閉じた帝国」(1)のなかで、管理貿易を行い域内自給自足を行えば、必要なだけ法人税を上げることができるのです。日本で言えば、可能ならばTPPに米国が加わらなかったのを奇貨として、独自の「閉じた帝国」=地域連合体を形成しなければなりません。

そうしてみると、なぜ消費税を上げなければいけないかという設問そのものが間違っていることに気がつきます。消費税を上げる必要などなく、法人税と所得税を上げれば良いことになります。もし昔の日本のように1億総中流の時代なら、いっそのこと他の税金を廃止して30%の消費税だけにしてもよかった(税務署の仕事が激減する)のですが、もうその時代には戻れません。

1)水野和夫著「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」 (集英社新書) 2014年

 

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