マニアの薦め
京都大学のサイラはサイエンスの世界ではかなり特殊な立ち位置にあります。非常に臨床に近い研究が多いので多額の研究費がつきますし、一般市民からも多額の寄付をもらっています。こういう立ち位置の研究所なら、反知性主義の政府でもサポートできるというわけです。
ただそれでも正規雇用が1割というのはひどすぎです。ポストドク以外はすべて正規雇用にすべきでしょう。などといっても政府がそういう姿勢にならなければ研究所は決断できないこともまた事実。ではなぜそうした方が良いと政府に交渉しないのでしょうか?
そもそも非正規雇用の方が能率が上がるという固定観念が世の中に蔓延しすぎているのも問題ですが、特に私が思うのはサイエンスの基本はマニアだということです。この研究が何の役に立つかというのは絶対的に正当な発想だと思われがちですが、ではそれを実現するために必要な知識や技術はどこから持ってくるのかということになります。
マニアの知識は、例えばウィキペディアでもアニメとかゲームとかアイドルとかの項目をみれば、そこに記載されてあるのがいかに組織的かつ網羅的で徹底的な知識かということがよくわかります。それにくらべて科学の項目をみれば、あきれるほど通り一片です。いまやマニアックにサイエンスをやっていると、すぐ解雇されるという危機に直面するでしょう。目の前の論文を如何に仕上げるかということばかりに血道を上げざるを得ない研究者ばかりになると、どこもかしこも浅瀬ばかりの海になってしまいます。最もサイエンスに適した人種である「マニア」を排除するような研究体制は排除されるべきでしょう。
私は純実用主義的な観点からも、サイラの行き方は長い目で見ると正しくないと思います。再生医学より人体の各部品をサイボーグ化する方向を目指した方がよいと思いますね。
京都大学iPS研究所(サイラ)
https://www.buzzfeed.com/jp/seiichirokuchiki/ips-hiseiki-shinjitsu?utm_term=.isVVmgj33#.lqP8pVELL
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