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2017年3月24日 (金)

学術研究のレベル低下

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情報速報ドットコムに下のような記事が出ました
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-16044.html

引用開始:日本の科学力の低下が顕著化しています。報道記事によると、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」が日本の研究論文の割合がこの五年間で低下しており、世界における日本の伸び率がダウンしていると指摘したとの事です。

ネイチャーは全世界にある68の科学雑誌に掲載された論文の数を計算し、その中で日本の研究論文が激減していることを発見しました。

2012年の時点で掲載された日本の研究論文が5212本だったのに対して、2016年には4779本に激減。5年間で1割近い433本もの論文が減っている状態で、これは世界的に見ても異常な減少幅となっていました。世界に占める日本の研究論文の割合も、2012年の9.2%から2016年には8.6%に低下しています。

このような日本の低下にネイチャーは、「日本の科学研究がこの10年で失速し、科学界のエリートとしての地位が脅かされている」と警鐘を鳴らしていました。
原因として安倍政権になってから大幅に減らされた大学交付金の影響があると見られ、5年間で大学の研究員も派遣社員のような短期労働者ばかりとなっています。改善するためには交付金の増額や支援が必要不可欠だと言えるでしょう。:引用終了。

このような事態は小泉政権のときから予測されていました。小泉政権は大学などの研究機関のスタッフを期限付きにすることにしたのです。しかも文部省の役人を大学の職員や教員に天下りさせて、支配を強める方向に動きました。安倍政権もこのやり方を踏襲しています。その結果が上のような事態を招いたわけです。

大学が官僚的な運営になり、総定員法によりパーキンソンの法則は成立しないので、どうなるかと言うと、個人の事務仕事が毎年増えるということになります。くだらない形式的な仕事ばかりが増えるのです。小泉以前には大学での研究は大学院生と、パーマネントスタッフである助手・補佐職員達でささえられていました。彼らをパートタイム化あるいは削減することによって成果が細切れになり、次の職を確保するために短期にまとまる仕事をせざるを得なくなって、研究のレベルが低下しました。

私が大学にいたときの経験から言えば、当時(小泉政権以前)は大学のすべての建物に守衛さんがいて、3交代制で常駐していたので、仮眠用宿泊所も整備されていました。また複数の管理人がいて、建物の営繕・電気設備・清掃などを担当してくれるので、古くても清潔な場所で仕事ができました。教授には秘書がいて、各教室の事務室には複数の事務職員、図書室には司書がいました。研究室には技官や教務職員がいましたし、実験所には動物採集人やまかない婦、事務職員など多数が常駐していました。だからこそきちんとした教育研究ができたと思います。

大学は最大限自由で、教育と研究にすべてのエネルギーを注入できるような場所でなければ、優れた研究は生まれません。私は大学・研究の制度に関わる官僚が1年でいいから大学で研究をやってみろと言いたいですね。そうすればあふれる事務仕事がいかに研究意欲を低下させるか、細かく決まった成果が求められる研究がいかに研究の独創性を消滅させるか、などが体験できると思います。

どんな会社でも最初は現場からです。公務員だって警察は交番勤務からです。官僚はあまりに現場を知らなさすぎます。現場感覚を体にしみこませないと、こういう制度を作ったら、こういう結果になるということが予想できません。一方で研究者も1年くらい事務職をやってみることも良い経験になると思います。事務職員に要求すべきことと、すべきでないことがはっきりわかるでしょう。また組織全体の仕事の流れがわかるのも悪くありません。

小泉政権は米国流の研究制度に習おうとしたわけですが、米国の研究の裾野は圧倒的に広大で、ポストドク制度も充実していますし、何かまともな論文をひとつでもまとめれば次の就職口はみつかる可能性が高いのです。国研の期限付き職しかない、しかもそれも簡単ではないような日本とは全然違います。

ただ米国の研究業界でも問題はあって、今中国の留学生が30万人以上流入していて(日本の留学生は台湾より少なく2万人以下)、多くの米国の研究は中国人に依存しています。いまや米国でも、優秀な白人学生が飛び込むには、研究業界での収入がプアすぎるのです。この傾向はトランプ政権でさらに激しくなると思われ、万一人種差別で中国人を追い出すなどという事態になれば、米国での科学研究はぐちゃぐちゃにしぼんでしまうでしょう。もしこれから中国が科学に力を入れなければ、世界の学術研究が崩壊してしまうことになりそうです。

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