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2016年9月12日 (月)

「最悪の核施設 六ヶ所再処理工場」 集英社新書

Imga「最悪の核施設 六ヶ所再処理工場」 小出裕章・渡辺満久・明石昇二郎著 (2012) 集英社新書

世界中に放射性物質を垂れ流している悪名高いセラフィールド(英)とラ・アーグ(仏)の核燃料再処理工場。そして日本政府は六ヶ所再処理工場をこれに加えようとしています。

少し古い本になってしまいましたが、この本が指摘している問題は現在でも全く解決していません。

ウィキペディアによると、「(六ヶ所再処理工場の)試運転の終了は当初2009年2月を予定していたが、様々なトラブルが相次ぎ時期未定としたケースを含めて23回の延期をしている。2015年11月16日には竣工時期を、2018年度(平成30年度)上期に変更することが発表された。これら延期のため、当初発表されていた建設費用は7600億円だったものが、2011年2月現在で2兆1,930億円と約2.8倍以上にも膨らんでいる。」としています。現在ではさらに費用がふくらんでいることでしょう。

有害物質をまきちらす工場の建設に、目の玉が飛び出るような巨額の支出をする政府を支持するのかどうか、国民は真剣に考える時がきています。まだ手遅れではありません。そのきっかけになるのがこの本だと思います。

こと原発や再処理施設に関して、原子力村や政府が言っていることはほとんどウソと言って良いことは、福島第一原発の事故や後始末を見ていれば明らかですが、六ヶ所の施設についても、この本に良い例が示されています。

六ヶ所の施設は上記のラ・アーグの施設をお手本に作られたものです。様々な放射性同位元素をまき散らす施設ですが、たとえばラ・アーグで排出されているルテニウム106の量を六ヶ所の規模に換算すると1x10の13乗ベクレル/年となるはずです。ところが政府は2.4x10の10乗ベクレルと発表しています(本書37ページ)。同じフランスの技術を使っているのに、3桁も違うのではあまりにも見積もりが甘すぎるだろうと思います。政府・原燃がウソをついているとしか思えません。

これで思い出すのは晋三の国会答弁です。

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吉井英勝議員「海外では二重のバックアップ電源を喪失した事故もあるが日本は大丈夫なのか」
安倍首相「海外とは原発の構造が違う。日本の原発で同様の事態が発生するとは考えられない」

吉井議員「冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか」
安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

吉井議員「冷却に失敗し各燃料棒が焼損した場合の想定をしているのか」
安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

吉井議員「原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測を教えて欲しい」
安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」
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六ヶ所の施設は海外の施設とは構造が違うなどとは言ってもらっては困ります。この本の言葉を借りれば「まるでフランスよりも高性能の技術が突如として開発されたかのようだ」ということです。そんなことあるわけないのです。

ともあれ六ヶ所施設は排出する放射性物質をフィルターにかけるでもなく、そのまま空気中と海に垂れ流すのであって、たとえばクリプトン85は33京ベクレル/年、トリチウムは1900兆ベクレル/年という目もくらむような大量の放射能を放出するのです。その空気を世界中の人が吸うわけです。

この本を読んでさらに驚いたのは、六ヶ所再処理工場近傍の地下には六ヶ所断層という活断層があるということです(1)。この断層を分岐する(親分にあたる)大陸棚外縁断層が活断層であると主張する池田安隆准教授(東大院)などの意見は、原子力安全委員会で無視されて議論が打ち切られたそうです。著者の明石氏がファックスで責任者に質問状を出したら、さっぱり返事がなく、後日「見たけど捨てた」と言われたそうです。

要するにどんなに巨額の税金を投入しても、どんなに大量の放射能を放出しても、何が何でもプルトニウムを濃縮して核武装したいというのが政府の方針であり(米国に禁止されているのであからさまには言えない)、そんな政府を支持しているのが日本国民だということです。このままで良いとは私は思いません。

1)渡辺満久他 「下北半島北西端周辺の地震性隆起海岸地形と海底活断層」 活断層研究 36 (2012)
http://danso.env.nagoya-u.ac.jp/jsafr/documents/AFR036_001_010.pdf

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