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2016年9月16日 (金)

やぶにらみ生物論33: 私たち以外の人類

今回は人類の歴史について考えてみます。私たちはホモ・サピエンスという学名の1属1種の生物ですが、私たちがチンパンジーとの共通祖先から進化する過程で、多くの種が生まれては消えていったと考えられます。少なくとも数万年前までは私たちホモ・サピエンス=現生人類とは異なるホモ・ネアンデルターレンシス=ネアンデルタール人が生きていました。ネアンデルタール人が2~3万年前に絶滅して以来、人類は1属1種となりました。

スミソニアン研究所がアップしている人類系統図(1)を簡略化して示したのが図1です。これによると人類は4つのグループに大別され、私たちはホモ・グループに属するとされています。他の3つのグループは100万年前以前に絶滅したため、最近100万年の間に生きていた人類はすべてホモ・グループ(ホモ属)ということになります。

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ネアンデルタール人とわれわれ現生人類はおそらく共通の祖先を持つ近縁種だと考えられます。ネアンデルタール人の遺伝子はかなり詳しく調べられていて(2,3)、現生人類とは80万年前に分岐したとされています。分岐はアフリカで行われましたが、ネアンデルタール人の祖先は40~30万年前にアフリカを出てヨーロッパで繁栄しました。彼らの化石は主として南欧・南ドイツ・東欧の南部・中東から発掘されています。

ネアンデルタール人と現生人類の頭蓋骨を比較すると(図2)、まずネアンデルタール人の頭が前後に長いということがわかります。もうひとつは眉の部分が張り出し、眼窩上隆起を形成しているということです。このことで思い出すのはキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロック共演の映画「スピード」で、バス運転手を演じていたホーソーン・ジェイムスです。彼の顔が画面に登場したとき、「うぁネアンデルタール人じゃないか」とのけぞりました(4)。

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図3が復顔されたネアンデルタール人です(ウィキペディアより)。もちろん顔はひとそれぞれですから、こんな人もいたんだなということですが。

Photo_3_2現生人類=ホモ・サピエンスは25万年前に東アフリカで誕生したとされていますが、彼らはネアンデルタール人よりかなり遅れて10万年前くらいにヨーロッパや中東に進出したようです。

その後ネアンデルタール人と現生人類の祖先、そしてシベリアに住んでいたデニソワ人が小規模ながらも混血して、われわれ現在の現生人類が生まれたようです。デニソワ人はネアンデルタール人から分岐した人類であるとされています。

現在のメラネシア人はデニソワ人固有の遺伝子を4~6%保有していることがわかっています。また現生人類の遺伝子を持ったネアンデルタール人もロシアとモンゴルの国境付近で発見されています。

これはひとつの学説ですが、ネアンデルタール人が絶滅したのはイタリアの火山の噴火のためかもしれません。人口が激減して、サピエンスとの交配が可能なら、次第にネアンデルタール人の血が薄まってしまったと考えられます。

すなわち現生人類・ネアンデルタール人・デニソワ人は別種であるにしても、交配して生殖能力がある混血の子孫をつくることができたということです。あるいはこれらの人類はすべてホモ・サピエンスであり、亜種レベルでの違いとすべきであるという主張も可能です。

21世紀になってからもう1種の人類、ホモ・フローレシエンシス=フローレス人がインドネシアのフローレス島の洞窟で発見されました(図4)。当初は1万2000年前まで生きていたとされていましたが、現在では5万年くらい前まで生きていたということになっています(5、6)。考古学の世界は Nature のような雑誌に投稿された論文でも、すぐにひっくり返ってしまいます。ホモ・サピエンスがフローレス島に上陸したのが5万年前とされているので、ホモ・フローレシエンシスは現生人類=ホモ・サピエンスに滅ぼされたという可能性が高いということになりました。

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フローレス人は骨の構造が現生人類とは大きく異なるので、体が小さい(大人でも身長1mくらい)のは小人症などではなくて、ホモ・ハビリスが島嶼化によって小型化したと考えられています。島嶼化というのは、島に隔離された生物は食糧が乏しいことと、天敵がいないことで体が小さくなる傾向があるというという動物学の概念です。一方で国立科学博物館の海部陽介氏らは、ホモ・エレクトゥスの亜種であるジャワ原人がフローレス人の祖先であると主張しています(7、8)。

いずれにしてもフローレス人も洗練された石器や火を使っていたらしいので、彼らなりに独自の進化を遂げていたと思われます。フローレス人の復元像は国立科学博物館で見学できるそうです(私はまだ見ていません)。

参照:

1) http://humanorigins.si.edu/evidence/human-family-tree

2) K. Prufer et al., The complete genome sequence of a Neanderthal from the Altai Mountains. Nature  505, 43-49 (2014)

3) http://www.nytimes.com/2013/12/19/science/toe-fossil-provides-complete-neanderthal-genome.html?_r=0

4) こちら

5) http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/033100119/

6) スミソニアン研究所のサイト http://humanorigins.si.edu/evidence/human-fossils/species/homo-floresiensis

7) http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20130529/352350/

8) http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20130530/352490/




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