アラン・ギルバート-都響のマーラー交響曲第5番@サントリーホール2016年7月25日
アラン・ギルバートのマーラーははじめてなので、期待に胸が膨らみます。とりあえず森ビルの水内庵(みのちあん)にはいると、やはり都響メンバーが数人食事していました。開演前にここにくると、メンバーが誰もいないということはまずありません。
チケットは完売で、平日にもかかわらず満席で、C席裏の予備席もすべて埋まっていました。始まる前から熱気が感じられました。プログラムにニューヨーク時代のマーラーの写真がでていて、これははじめてみました。やせこけていて、かなり体調が悪そうな感じでした。これではトスカニーニに職を奪われたのもやむをえないのかな?
本日のコンマスは矢部ちゃん。サイドは四方さん。シノトモが復活していました。村田さんがビオラのトップサイドでしたが、これははじめてかな?
最初のモーツァルトから、アランはその肉食系の指揮で都響に襲いかからんばかりの勢いです。この徹底的にアグレッシヴな演奏は、それなりにモーツァルトの意図を正しく表現しているのかなとは思いました。これで5番をやって、オケの体力が持つのか、ちょっと心配になりました。
休憩後の5番は予想したとおり、メンバーに芸術家としてだけでなく、一流のアスリートとしての仕事も要求する苛烈な演奏でした。第2楽章冒頭の管楽器のアンサンブルには、ちょっと首をかしげるところがありましたが、あとはもうアラン-都響のなすがままに心をゆすぶられました。第4楽章も吉野さんの素晴らしいハープの先導で、深くえぐられるような弦楽の響きに圧倒されました。ただこのような演奏がこの楽章のベストかというと、疑問は残ります。
それにしても、前回「指輪」を演奏したときとの印象がかなり異なっていました。アラン時によって肉食系・草食系を使い分けるマヌーバーな人なのかもしれません。
終了後、アランはすぐにコントラバスのところにいって主任と握手していましたが、これはリハで何か要求して、それを都響がなんとかこなしたことに対する敬意なのでしょう。最後はトランペットの高橋さんと、ホルンの西條さんをともなってのカーテンコールでした。観客席もスタンディングオベーションで大いに盛り上がりました。
ところで、その高橋さんとコントラバスの池松さんの対談で、池松さんが素晴らしいコメントをしていたので紹介します。楽譜を見ながらどうぞ。
第4楽章の Vn 4音目
確かに、あの冒頭の「ボン!」というコントラバスの音は聴いていても快感です。
池松宏「僕はあそこにすごく強烈なイメージを抱いていて、おねしょをする夢を想像するんです。夢の中でトイレを探して探してもう耐えられない!というのがヴァイオリンが「ミ」を伸ばしてるところで、トイレが見つかって、これ以上我慢できない限界で用を足せて安心したところがコントラバスのピッツィカート。夢だと気がつく前におねしょした布団が「ほわ~」と暖かくなる感じもぴったりですね。我慢して我慢して先にちびったりしちゃダメなんです(笑)」
管理人:マーラーは最初に Sehr langsam (非常に遅く) というテンポの指示を出しておいて、さらに第1Vnの最初の3音に molte rit. (強くリタルダンド)って、音楽停止するでしょう?
マエストロ・ベルティーニはここで両手を上げて目一杯伸び上がります。
https://www.youtube.com/watch?v=HPbrQetfG8o
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