大野-都響 with イアン・ボストリッジ@サントリーホール2016年6月10日
今回の演奏会に行くに当たって、少し予習しました。まず角川文庫の「イリュミナシオン」(アルチュール・ランボー著、金子光晴訳)を購入して読んでみました。
イリュミナシオンは過激ではあるけれども、そんなに難解な詩ではないと思いましたが、なんとブリテンがとりあげて音楽を付けているのは、ほとんどがかなり難解なパートで、金子光晴がはしょっていることがわかりました。正確な日本語に訳す自信がなかったものと思われます。
ブリテンが取り上げているのは、同性愛が関わっている部分が多く、それが許容され難かった時代ゆえに婉曲で難解な表現になっています。もともと彼の性的パートナーである歌手(ピーター・ピアーズ)のために作曲したので、やむを得ません。
仕方が無いのでウェブで検索したら、門司邦雄氏のサイトに詳しい解説があることがわかりました。おかげさまで、良く理解できました。感謝します。
http://rimbaud.kuniomonji.com/jp/home_jp.html
入梅したものの雨は降らず、蒸し暑い曇天です。名歌手イアン・ボストリッジの登場とあって、平日のコンサートにしては賑わっていました。私はそれほどでもないのですが、はまる人はドツボのようです。彼の表現力は卓越していて、下の魔王でもわかりますが、物語の世界にすぐに引き込まれてしまいます。ただ同性愛の世界はどうでしょうかね?
本日の指揮は大野さん、コンマス(コンミス)は四方さん、サイドは矢部ちゃんの都響最強のシフトです。「イリュミナシオン」はなんと言っても終曲の「Depart」が素晴らしかったです。イアンと都響が一体となって、素晴らしい時空を創造した瞬間でした。
スクリャービンは2011年にアラン・ブリバエフの指揮で「交響曲第2番」を聴きましたが、この時は都響にしてはめずらしい凡演だったので良くおぼえています。都響がダメというより、このシンフォニーの(第3楽章以外の)できが悪いという印象でした。それに比べると「法悦の詩」はずっとできが良くて、かなり楽しめました。四方さんのVnが意外に官能的ではまっていました(まだまだいける)。トランペットやトロンボーンも素晴らしいと思いました。
唯一残念だったのは最後の中途半端なフラブラで、やるんだったらもっと思い切り元気よくやれよと言いたくなります。
今日も岩城先生の不気味な笑顔に見送られて帰途につこうとしたら、ゲェー、なんとその笑顔が超巨大化しているではありませんか!!!(のけぞる)。
イアン・ボストリッジ
https://www.youtube.com/watch?v=zCNDBNQj868
「法悦の詩」 サローネン-フィルハーモニア管弦楽団の演奏ですが、エロティックな表現の素晴らしさでは都響の上をいっています。
https://www.youtube.com/watch?v=HAnVrdQ3qFk
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