バーニー・サンダースの支持層
米国の大統領選挙もいよいよ2大政党の候補者が決まって、大詰めを迎えようとしています。
私が最も関心を抱いたのは、米国ではじめて社会民主主義を標榜する候補者、すなわちバーニー・サンダースが予想外の健闘をしてヒラリー・クリントンを追い詰めたと言うことです。
サンダースは労働組合にかつがれた、古いタイプの社会主義者ではなく、まさに21世紀的なグローバリズムによって支配されようとしている世界を救う、「救世主」として登場しました。
サンダースは若者の支持でここまできたということがよく言われますが、それは一面的な見方ではないでしょうか? サンダースはカリフォルニア州で敗北しましたが、各地区での勝敗(青がクリントン勝利、緑がサンダース勝利)をみると、くっきりと北部農村地帯がサンダース、南部都市部がクリントンという色分けができました(ニューヨーク・タイムズより)。
ハンボルトにはUCLAのハンボルト校がありますが、マイナーな分校です。ほかにめぼしい大学はありません。南部には多くの大学が密集していて、米国でも屈指の教育王国と言えます。
ハンボルトはどんなところか少し調べてみました。歴史的に見ると、米国でも有名なインディアン大量虐殺事件とか、中国人の居住を禁止したりという、かなり白人中心主義的な土地柄のようです。政党支持は意外にも伝統的に民主党が強い地域だそうです。産業は林業・農業・酪農・マリファナ栽培などが中心の、典型的な田園地帯です。ここでサンダースが70%近い支持を得て、圧勝しているのです。
このことは、この地域の居住者がTPPによってオーストラリアの乳製品、東南アジアの木材などが流入し、自分たちの生業が脅かされるのではないかと懸念した結果でしょう。サンダースは明確にTPPを拒否し、そのためなら何でもすると表明しているので、彼らの支持を集めたと思われます。クリントンは信用されていません。このあたりはウィキペディアに詳しい解説が出ています。
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つまり学費や最低賃金をとりあげてはいますが、彼の主張の中心はアンチ・グローバリズムと租税回避の撲滅であり、私はこの点を高く評価したいと思います。日本人の多くはグローバリズムこそが日本の産業の生きる道だと考えていますが、サンダースの言葉を借りればそれは「底辺への競争」であり、人々に幸福をもたらすことはできません。
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