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2016年6月28日 (火)

英国のEU離脱からみえてきたこと

A0790_000093_2報道ステーションで取材していた日本の製薬会社の話は興味深いものがありました。

工場を英国につくって、従業員はすべて外国人の出稼ぎ労働者や移民を雇い、製品をEU諸国に輸出するというビジネスモデルでした。これだと賃金は安くて済むし、輸出に関税はかからないというわけで、日本でやるより5倍の収益があるそうです。本当に頭の良い商売です。

しかしこれだと外国人労働者が流入して、文化・治安・就業機会が破壊されるというリスクを日本が回避し、英国にすべて押しつけているという意味では、英国人からみるとずるいやり方だとみられるのは致し方在りません。

日本人から見ても、この会社のやり方だと、会社経営者と株主だけボロ儲けですが、税金は英国に支払い、給料はルーマニアなどの外国人労働者に支払うということで、さらに上手な経営者だと利益はケイマン諸島に移転しておくなどやっているでしょうから、日本とはほとんど関係のない商売ということになります。

ですからまあ「好きにやって、好きに困れば」というしかありませんが、TPPが批准されるとどうなるかも見えてきますね。

英国と違って、日本は外国人嫌いに支持されている右翼政権なので、外国人労働者を入れにくいという事情があり、おそらくまずベトナムに、すぐにフィリピンやタイもひきいれて、当地に工場を作り、安い賃金で製品をつくって関税のない米国・日本など加入各国に輸出するという形になるでしょう。これで儲かるのは、やはりグローバル企業の経営者と株主だけです。そのうえ英国の場合とはことなり、日本から工場が海外に移転するので、景気や雇用については英国よりひどい状況になることは目に見えています。

私は上記の理由だけでもグローバル化には反対する意見ですが、その中で平和を維持するためには国連の強化が必須の条件だと思います。国家エゴイズムによる戦争は阻止しなければいけません。

(写真はフリーフォトサイト足なりより)

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2016年6月27日 (月)

スペイン出直し総選挙2016

A1300_000011スペインの出直し総選挙の結果が出ました。→の左が旧議席で右が新議席です。

右翼系:
国民党123→137、
シウダダノス40→32、
合計169議席

左翼系:
社会労働党90→85、
ポデモス69→71、
合計156議席

カタルーニャ シ ERC (左派):9
・・・カタルーニャ独立をめざす

民主主義と自由 DL (右派):8
・・・カタルーニャ独立をめざす

バスク民族主義党 PNV :6
・・・バスク独立をめざす

他左翼系諸派政党:4、
カナリア諸島民族主義政党:1

過半数176議席

国民党は躍進しましたが、シウダダノスが議席をかなり失ったため、またもや右派で安定政権をつくることは困難になりました。「民主主義と自由」は右派で8議席持っているので、ここを足すと合計177議席で、過半数176議席を1議席上回りますが、さてカタルーニャ独立をめざす政党と国民党が連立政権をつくることができるのか? キャスティングヴォートはDLが握っているようです。

左翼はバスク民族主義者を加えてもERC+PNV+4=19、156+19=175議席で1議席足らず、カナリア諸島の民族主義者が持っている1議席を足せば、ちょうど176議席で過半数に達しますが、これで政権を担うのは危うすぎます。ただ政権がカタルーニャ独立の住民投票を支持するという約束をすれば、DLが労働党政権の一翼を担う可能性はゼロではないと思いますが、さあどうでしょう? 

国民党、社会労働党いずれが政権をとるにしても、諸派と連立しても過半数+1,2議席で政権を維持するのは非常に困難です。スペインはこれほどまでに左右真っ二つに世論が割れています。

今話題となっているEU離脱問題ですが、スペインの場合どの組み合わせになっても直ちにEU離脱ということにはならないようです、

(写真はフリーフォトサイト足なりさんから借用しました)

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2016年6月26日 (日)

ガリー・ベルティーニが残してくれたCD

Imgマエストロ・ベルティーニは1998年から2005年まで東京都交響楽団の音楽監督を務めました。彼のマーラー・チクルスは私たちに大きな感銘を与えてくれました。その後都響は、やはりマーラーのスペシャリストであるマエストロ・インバルを迎え、さらにマエストロ・大野を音楽監督として迎えて現在至っています。

ベルティーニ氏を解雇したのは石原都知事です。東京都が貧乏でやむなく解雇したのではありません。

東京都にはうなるくらいお金があったにもかかわらず、石原知事は科学や芸術をゴミ同然に扱い、やったことと言えばオリンピックのために多額のお金をストックして結局落選するとか、新銀行東京に湯水のようにつぎ込んで、ブラックホールの中に吸い込まれてしまうとか、ろくな事をやりませんでした。

マエストロ・ベルティーニが留任してもう少し生きていてくれれば、都響とマーラー交響曲全集のCDを出版してくれていたと思いますが、それはかないませんでした。インバル-都響のマーラー全集も素晴らしく、第3番や第10番の交響曲は歴史的名演だと思いますが、第5番は納得がいかないところがあります。若干あざとさやわざとらしさを感じるところがあるのです。

このベルティーニ-ウィーン交響楽団の演奏はそのような部分が微塵もなく、むせ返るような、耽美的で豊穣な音楽を聴かせてくれます。「ベニスに死す」のイメージから言えば、クライツベルク-モンテカルロ管弦楽団の演奏も捨てがたいですが、本来アルマへの愛情に溢れた音楽であるはずなので、ベルティーニ流が正統でしょう。なぜか彼の手兵であるケルンや都響の演奏よりも、このCDが私は好きです。

YOUTUBE にベルティーニ-ケルンWDR交響楽団のマーラー交響曲第5番アダージェットの演奏がアップされていました。彼の人柄やマーラーの音楽への愛情が偲ばれるような指揮ぶりです。

https://www.youtube.com/watch?v=HPbrQetfG8o

若くして亡くなったヤコフ・クライツベルクの第9(ちょっぴり)

https://www.youtube.com/watch?v=-ks9yDlAuSY

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2016年6月24日 (金)

やぶにらみ生物論23: 三畳紀の生物2

ペルム紀に出現したとされるサイノドンはP-T境界を乗り越えて、三畳紀に命をつなぎました。三畳紀が始まった頃は砂漠のような場所が多く、酸素濃度も15%以下に低下するなど、非常に厳しい環境で生きなければいけませんでした。彼らはリストロサウルスのようにもっぱら省エネ(穴居と長期睡眠)で生きるという徹底的に消極的な作戦ではなく、やや積極的な進化戦略を実行しました。それは、1)横隔膜を使う呼吸法の獲得・・・これによって積極的に空気を出し入れして呼吸が楽になりましたが、腹部の肋骨という内臓を防御する道具を捨てなければなりませんでした。

次に、2)トカゲやワニのように足を横に張り出して体をクネクネとひねりながら歩く方法だと、ひねるたびに肺が圧迫されて呼吸が妨害されます。腕立て伏せをしながら歩いている感じなので、体重を支えるのが大変でもあります。これを避けるために、サイノドン達は足をなるべく体の下にまっすぐつけて、前後に動かすだけて移動するという方法を採用しました。このことは歩行のスピードを上げるにも有効です。体をくねらせて移動するというのは、カンブリア紀以来魚類が獲得してきた遊泳技術に基づくものであり、地上の歩行には適さない方法です。

3)あごの骨の一部を進化させて、聴力を強化しました(図1)。これは危険を察知する上で、特に夜行性の動物には重要です。サイノドンはあごの奥の方ある様々な骨を徐々に、角骨→鼓室骨、関節骨→槌骨、方形骨→砧骨という耳の骨に変成させて、耳の構造を確立させていきました。爬虫類から鳥類のラインも聴覚を発達させましたが、サイノドンから哺乳類のラインとは全く別の進化過程であったことが判っています(1)。

Photo4)内温性を確立すると共に体毛と感覚毛を発達させ、温度が下がる夜の活動に備えました。感覚毛は暗闇でも目鼻を傷つけないために重要な役割を果たしました。サイノドンが生きていた時代のオルニソディラはおそらく外温性であり、クルロタルシも当然外温性(ワニはいまでも外温性)だったと考えられるので、夜間・冬期・寒冷地帯ではサイノドン達が優位に立てたのでしょう。

5)卵ではなく、子供を産んで親が授乳して育てるという繁殖方式を確立しました。食糧不足だった三畳紀初期には、成獣は夏眠・冬眠すればいいのですが、それができない新生仔に与えるためのエサを確保するのが困難だったため、授乳というのは非常に有用だったと思われます。サイノドンは三畳紀の環境圧力に耐えて生き抜くため、この5つの方向に進化していったわけです。

サイノドン達は三畳紀中期に出現した新興勢力である恐竜類や、それより前からの仇敵であるクルロタルシ達と弱肉強食の戦いを行う中で次第に劣勢になりますが、上記の5つの戦略をすすめて、ついに三畳紀後期には哺乳類を誕生させました。つまりサイノドン達は爬虫類から哺乳類へ進化するさまざまな中間点と言えます。ですから最初の哺乳類が何かというのは、学術用語の定義上は大事ですが、それ以上の問題ではありません。

サイノドンについてはすでに「三畳紀1」で、トリナクソドンとエクサエレトドンについて紹介しましたが、彼らのなかの1グループであるプロバイノグナシアが後に哺乳類を誕生させることになります。プロバイノグナシアに属する生物を一種紹介します。プロベレソドンです(図2)。これは中型犬くらいのサイズの生物です。三畳紀後期に、このグループから最初の哺乳類(不完全な哺乳類という意味で哺乳型類とよぶべきだと主張する人もいます)が誕生したとされています。

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最初期の哺乳類として、2億2500万年前の地層から発掘されたアデロバシレウス(図3)が知られています。モルガヌコドン(図4)やメガゾストロドン(図5)もよく知られています。いずれもネズミくらいのサイズの動物です。特にアデロバシレウスは、今生きているトガリネズミ(2)と外見がよく似ています。トガリネズミも白亜紀から生きている動物なので、関係があるのかもしれません。いずれにしても、哺乳類はネズミのような生物から出発したことは確かなようです。

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クルロタルシ(目と綱の中間の分類群)はサイノドンやオルニソディラをしのいで、三畳紀に繁栄したグループです。現在でもこのグループの直系子孫であるワニ類が生きています。クルロタルシの祖先はペルム紀からプロテロスクス(図6、体長1.5m)などが棲息していました。このグループはP-T境界を生き延びることができました。その理由は彼らが水中で多くの時間を過ごしていて、火砕サージをまぬがれ、また「噴火の冬」時代にエサを水中に求めることができたからだと思われます。

https://en.wikipedia.org/wiki/Proterosuchus

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もう一例ペルム紀のクルロタルシであるプロテロチャムサを図7に示しますが、見た目が現在のクロコダイルとほとんど同じです。三畳紀にはこれと近縁の種から生まれたクルロタルシ類が適応放散していろんなタイプが生まれましたが、結局現在まで生き残ったのは原型に近いもので、進化の過程ではよくある現象です。

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では三畳紀のクルロタルシをいくつかみていきましょう。ポストスクス(図8)は体長4~5mの肉食獣で、当時食物連鎖のトップにいたとされています。ワニよりも足が長く直立していて、以前には恐竜の祖先とされていたこともあったそうです。ワニのように待機していて一瞬のアクションでエサを仕留める感じではなく、エサを求めて歩き回り、追いかけて仕留めることができるような体型です。これと類似した種は世界各地に分布していて、三畳紀の百獣の王はまさしくこれらのクルロタルシでした。

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同じクルロタルシの仲間で草食獣も繁栄していて、例えばデスマトスクス(図9)などは強力なアーマーを装備して、そのスパイクで敵を倒せそうです。

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三畳紀の初期(2億5000万年前)には恐竜の祖先動物も登場しました。プロロトダクティルスという祖先動物の足跡は有名です。土屋健著「三畳紀の生物」(3)には復元図も掲載されています。猫くらいの大きさの足の長いトカゲという感じです。しかしその後2億2800万年前のエオラプトル(図10)まで情報がありません。同時代の地層からパンファギアやエオドロマエウスも発見されていて、後者はティラノサウルスにもつながる肉食恐竜(獣脚類)の始祖と考えられています。

恐竜は大きく分けて鳥盤目と竜盤目がありますが、上記の生物は竜盤目の根元に相当すると思われます。しかし2億2300万年前の地層からは、鳥盤目に分類されるピサノサウルスが発掘されています。三畳紀の半ばには、恐竜を構成するふたつの目が出そろったことになります。そして三畳紀の終わり頃には、レッセムサウルスという体長18mにも及ぶ巨大な草食恐竜が出現しました。三畳紀の後期には恐竜やクルロタルシとは別系統の爬虫類である首長竜も出現しました。これについてはジュラ紀で言及します。

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P-T境界の大絶滅の被害も癒えて、再び地球が活気を取り戻した三畳紀でしたが、2億100万年前にまたもや大絶滅が起こります。これはP-T境界のような破滅的なものではありませんでしたが、単弓類では哺乳類以外は絶滅し、クルロタルシ類ではワニ以外は絶滅しました。この三畳紀末の絶滅の原因は、まだ特定されていないそうです。そしてどうしてここで恐竜が優位を確立したかもよくわかっていません。

1) http://www.riken.jp/pr/press/2015/20150422_2/

2) こちら

3) 「三畳紀の生物」 土屋健著 技術評論社 2015年

(図はウィキペディアからお借りしました)








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2016年6月22日 (水)

報道ステーションの党首討論

Jp100私が一番驚いたのは最後です。

皆さん最後の挨拶をしているのに、晋三だけさっさと立ち去りました。

こちら

どんな事情があるにせよ、最低限の挨拶もできないような人物が国家のトップに居座っているのは日本国の恥です。

中身については全く期待していなかったのですが、金融緩和・財政出動・消費税、みんなその場しのぎで限界に近いですね。もっと将来の日本の国家としてののビジョンについて語って欲しかったと思います。

私は食糧の自給については最低語って欲しかったと思います。軍隊より前に語るべきことでしょう。あとは、日本は中国に抱きついて生きるしかありません(今でもすでにそうですが)。なのに、政治的・経済的・軍事的すべてについて米国と連携して中国を封じ込めようというわけですから、矛盾しています。これが晋三政権の一番ダメなところです。

「日本の企業が不安無く中国で活動できるように、政治が環境を整えることが将来の日本のために最も重要だ」、ということを言う政党がひとつもなかったのは残念。

一例をあげれば、私がファンである熊木杏里は日本ではさして人気があるタレントでは無く、数百人収容のホールでの公演がせいぜいなのに、中国では3000人クラスのホールでツァーができるというすごさです。中国のマーケットは日本とは桁が違います。

中国の反日は中国共産党が統治のために利用しているだけで、強力な反日教育をやっても結構親日家は少なくありません。総理が南京と重慶に行って陳謝し、一方でTPPとは別の枠組みで貿易を行うことにすれば、いずれ日米安保条約も廃棄できるでしょう。

中国が最近領土問題で強硬になっているのは、習近平の権力基盤が危うくなっているからだと思います。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48959

後日判ったこと: 晋三があいさつもせずに急いでいたのは、大分県由布市の温泉「ゆふいんホテル秀峰館」 に行くために、羽田に急行したかったからだと判明したようです。やれやれ。報道ステーションも報道ステーションで、後藤謙次が自民党に買収されていたという報道がありました↓。テレ朝は人選を誤りましたね。

http://健康法.jp/archives/18438

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2016年6月20日 (月)

宇野功芳氏 逝去

Imgクラシック音楽のファンや関係者なら誰でも知っている音楽評論家・宇野功芳氏が10日になくなられたそうで、ご冥福をお祈りします。

こちら1

こちら2

彼は辛口評論家として知られていましたが、「そんなにクソミソに言って、じゃあお前が指揮したらどうなるんだ」という疑問に答えて、自ら指揮棒をとることもいといませんでした。音楽を自然な流れで演奏すると言うことを絶対に拒否し、すみずみまで自分の思想と感性通りに調教して提供するのが理想というやり方でした。

頻繁にテンポをいじるので、演奏者は大変です(普段指揮者なんて見てないので)! ティンパニ重視(たとえば「英雄」17分40秒あたりから)で、いくらぶったたいても壊れない楽器を特注して使っていたらしいです。

ハウエバー: 聴いてみると、はじめは体がよじれますが、我慢して聴いているうちに、それなりにはめられてしまうという危険な音楽です。

写真のCDはベートーヴェン交響曲第3番「英雄(エロイカ)」
宇野功芳指揮 新星日本交響楽団
Firebird KICC238 (1990)

ベートーヴェン:「英雄」交響曲
https://www.youtube.com/watch?v=3v94hhvYnAk

ベートーヴェン:「コリオラン」序曲
https://www.youtube.com/watch?v=xHpix4zGqzg

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
https://www.youtube.com/watch?v=YXrdQN10c1M

ベートーヴェン:交響曲第9番
https://www.youtube.com/watch?v=ehXRaCZfR6c
https://www.youtube.com/watch?v=XWHC-B5fu58

ベートーヴェン:交響曲第7番
https://www.youtube.com/watch?v=9DSyi6mVDlw

対談:
https://www.youtube.com/watch?v=55gjMd9A8ss

リハーサル風景
https://www.youtube.com/watch?v=vFeAiJytjCQ

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2016年6月17日 (金)

やぶにらみ生物論22: 三畳紀の生物1

カンブリア紀から現在に至るまでで最大の絶滅が発生したP-T境界(ペルム紀-三畳紀境界、1)から、恐竜の時代であるジュラ紀までの期間、2億5千100万年前から2億年前までの約5000万年の期間を三畳紀とよびます。種のレベルで90~95%の生物が絶滅したと言われるペルム紀末の大絶滅により、個体のレベルではほぼ100%生物は死滅し、ごくわずかの生き残りから再出発することになりました。

Photo

ではどんな生物が生き残ったのでしょう? 図1に三畳紀前期の状況を示します。ペルム紀に繁栄していた単弓類はほとんどが死に絶え、リストロサウルス・バウリア・サイノドンなどわずかなグループが生き残りました。リストロサウルス(図2 以下の図はウィキペディアより拝借)は見た目武器も防具も持たない平凡な草食動物のようですが、穴を掘って夏眠(冬眠)することができる動物だったとされています(2)。体長も数十センチの小型動物です。まず地下に住んでいたため火砕サージなどの直撃を免れたこともあるかもしれませんが、その後火山灰が降って植物も消え去り、砂漠のようになった大地で、彼らはわずかな食糧で生き延びることができたはずです。

Lystrosaurus_bw

リストロサウルスはエネルギーをごくわずかしか使わずに生きるという術を持っていたことが幸いしたのでしょう。バウリア(図3)はリストロサウルスと同様、平和的な外見の草食動物ですが、二次口蓋(のどまで続く鼻の穴)が発達するなどかなり哺乳類に近い生物だったようです。二次口蓋があるということは、食事しているときの呼吸が格段に楽になるというメリットがあります。草食動物にとってこのことは特に重要です。ウィキペディアのバウリアの項目にはヒゲまで描いてあります。おそらくリストロサウルスと同様省エネ生活が得意だったのでしょう。噴火後2~3ヶ月生き延びられれば、草原がある程度復活して、最低限の食糧は確保できたのではないでしょうか。

Bauria_bw_2
これらの生き残った草食動物は、さらにわずかに生き残った肉食動物にとって貴重な食糧となり、生態系の維持に大きな役割を果たしたと思われます。私たちのご先祖様であるサイノドンもいくつかのグループが生き残ったようで、サイノドンが全滅していればもちろん人類を含めた哺乳類は出現していないはずです。そうなると現在の地球の状況も随分違ったものになっていたでしょう。

サイノドンはおそらく内温動物で、三畳紀前期は酸素が15%くらいあるいはそれ以下しかなかったので、さすがにウォードが言っているように低酸素環境が圧力となって内温性が進化したのでしょう。内温性の進化はミトコンドリアの質的・量的発達を意味しているので、同時に呼吸の効率化が進み、低酸素に適応できたと思われます。

サイノドンでは門歯と臼歯がはっきり分かれて分業し(異歯性の確立)、二次口蓋が完成し、脳が発達してきました。また腹部の肋骨が退化してきました。これは横隔膜による呼吸をはじめたことによります。横隔膜で呼吸するためには、腹部はでたりひっこんだりしなければならないので、肋骨は邪魔になります。おそらくリストロサウルスなどのディキノドングループは横隔膜による呼吸法を獲得できなかったと思われます。彼らは腹部の肋骨を維持しています(4)。

トリナクソドン(図4)は代表的な三畳紀前期のサイノドンで、昆虫などを食べていた猫くらいの大きさの生物です。リストロサウルスなどと同様に多くの時間を穴の中ですごしていたと考えられています。顎骨に多くの穴が開いており、ヒゲの毛根を収納していたと思われます。私はヒゲがある生物はすべて体毛も持っていたと考えています。このほかプロガレサウルス(5)などもよく発掘されるようです。

Thrinaxodon_bw

2010年に六本木ヒルズで「地球最古の恐竜展」というのをやっていて、私も見てきたのですが、そこにサイノドンの1種として知られているエクサエレトドンの全身骨格があったのには感動しました(6)。三畳紀前期の地層から発掘されたもので、復元図はかなり凶暴な雰囲気ですが、実は草食動物だったそうです。

ここまで単弓類について述べてきましたが、双弓類もP-T境界で大打撃を受け、大変数が減ってしまいました。三畳紀後期には恐竜が登場するので、その祖先動物は生き残ったはずですが、明らかにはなっていません。恐竜や翼竜も含めて、これらのグループをオルニソディラとよびます。オルニソディラの基部に近い位置にある動物で、三畳紀の中期に生きていた動物はいくつかしられています。アシリサウルス(図5)は体長1~2mの大型で、マラスクスは猫くらいのサイズです。これらの生物は恐竜ではなく、共通の祖先から派生した動物だとされています。それにしても素晴らしくスマートな生物で、クルロタルシなどに狙われたときの逃げ足も速かったのでしょう。彼らより古い三畳紀前期に生きていた類似動物としてプロロダクティルスが知られていますが、残念ながら足跡しか化石が見つかっていないようです。オルニソディラの系統樹基部・恐竜の起源などについては、まだまだ謎が多いのです。

1024pxasilisaurus


湖沼や河川で生活していた生物は、完全に陸上に上がった生物に比べると、P-T境界を生き延びるチャンスが大きかったようです。この代表はクルロタルシ類で、上記のオルニソディラとは別系統の双弓類です(図1)。オルニソディラでは鳥類だけが現存し、クルロタルシではワニ類だけが現存しています。これにカメおよびその祖先動物を加えて主竜類とよぶこともあります。クルロタルシ類については次回で述べることにします。

主竜類以外の双弓類では、魚竜が三畳紀前期から出現していました。このグループの起源はよくわかりません。化石はみつかっていないようですが、おそらくペルム紀の頃から存在して、P-T境界を生き延びたと思われます。首長竜はオルニソディラやクルロタルシではなく、魚竜とも別のルーツを持つ双弓類のグループで、ペルム紀・三畳紀前期にもその祖先が存在していたことは想像されますが、証拠がみつかっていません。

せっかく肺を獲得して地上で生活していた動物が再び海をめざすということは複雑な話ですが、我々哺乳類においてもクジラやイルカはそういう運命をたどりました。三畳紀前期の魚竜の中で、ウタツサウルス(図6)は宮城県の歌津というところ(現在は南三陸町)で発掘されました。ウタツサウルスは初期の魚竜ですが、足はすでにヒレに変化しています。魚竜は白亜紀で絶滅しており、現在では生きている生物をみつけることができません。

Utatsusaurus_bw

両生類もP-T境界で大きなダメージを受け、ほとんどの種が絶滅してしまいました。リネスクスというトカゲっぽいグループ、クロニオスクスというワニっぽいグループ(もちろんワニではない)などが生き残りました。ペルム紀の生物とどうつながっているかはわかりませんが、三畳紀初期にトリアドバトラクス(図7)という、カエルの始祖と思われるような生物が新たに登場しました。まだ短い尾がついています。現在のカエルには尾はありません。


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ペルム紀末の大絶滅によって、海洋の生物も大きなダメージを受けました。三葉虫・棘魚類・フズリナは絶滅してしまいました。絶滅はしないまでも、その後ずっとマイナーな生物として生き延びたグループとしては腕足類やウミユリなどがあげられます。棘魚類以外の魚類はなんとか生き延びることができました。

アンモナイトは大打撃をうけながらも、ごく一部がしぶとく生き延びて、2億3000万年前くらいまでにはペルム紀をしのぐほどの大復活をとげました。彼らは白亜紀大絶滅まで生き残ります。彼らの祖先生物と思われるオウムガイは、これらの大絶滅を乗り切って現在も生き続けています。また三畳紀には2枚貝が繁栄しました。アサリ・シジミなどの2枚貝は現在も繁栄を続けています。昆虫は非常に絶滅しにくいしぶといグループですが、それでもペルム紀に22目あったのが、P-T境界で14目に減りました。生き残った目に属する生物は、その後復活して現在に至っています。

1) http://morph.way-nifty.com/grey/2016/06/post-dd7b.html

2)「三畳紀の生物」 土屋健著 技術評論社 2015年

3)C. A. Sidor and R. M. H. Smith. 2004. A new galesaurid (Therapsida: Cyndontia) from the Lower Triassic of South Africa. Palaeontology vol.47, pp535-556

4) http://biggame.iza-yoi.net/Therapsida/Dinocephalians.html

5) http://viergacht.deviantart.com/art/Progalesaurus-lootsbergensis-438381312

6)http://morph.way-nifty.com/grey/2010/08/post-beb8.html






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2016年6月15日 (水)

大野-都響「シェヘラザード」他@東京芸術劇場2016年6月15日

Imgc平日のマチネで、老人と暇人のための音楽会です。とはいえ、シェヘラザードは矢部ちゃん=都響の18番。これを聴かずしてどうして都響ファンという曲目です。やっぱりチケットは完売で、芸劇は大盛況。指揮:大野、コンマス:矢部、サイド:ゆずき。

矢部ちゃんの赤ネクタイはどうしても違和感があります。一方広田さんはセンスが感じられるおしゃれなネクタイで、その差が際立っています。

本日のソリスト、小山さんは観光地でイカを焼いているおばちゃんという感じの人ですが、日本のピアノ界では重鎮。

サン=サーンスのピアノ協奏曲は第1楽章が少し退屈な曲なので、まわりに眠る人が多く、あちこちからいびきが聞こえて大迷惑です。曲を楽しむ雰囲気ではありませんでした。

不思議なのは曲がそろそろ終わる頃に目覚める人が多い・・・なぜだろう? 小山さんはさすがに貫禄十分の名演。

休憩後はお目当てのシェヘラザード。さすがに文句をつけようのない名演奏で、特に第3楽章冒頭の弦楽アンサンブルなど鳥肌が立ちました。大野さんときっちり納得がいくまでリハーサルをやっていることがうかがえます。それにしても矢部ちゃんのソロははまっています。彼のVnの音色もこの曲にぴったりなんですね。

サン・サーンス ピアノ協奏曲第5番ヘ長調「エジプト風」 
https://www.youtube.com/watch?v=a8FQD8qs7O4

シェヘラザード(オーケストラ)
https://www.youtube.com/watch?v=SQNymNaTr-Y

シェヘラザード(バレエ)
https://www.youtube.com/watch?v=s1aFrAV3d1o

ところで、舛添は第九を聴きに行くのに公用車を使っていたそうですが、それが都響だったら結構なことなのにと思ったのですが、なんとN響だそうであきれました。

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2016年6月13日 (月)

リニア新幹線は本当に必要なのか?

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私はよく新幹線を使って関西方面に行き来するのですが、その料金の高さには参ります。そのJR東海が金食い虫のリニアをやろうというのが大問題です。JR東海も将来経営が圧迫される可能性が大で、そんなにやる気はないはずなのに、政府がゼネコンの圧力でやらせようとしているのは納得いきませんね。大阪国際空港を成田なみに使いたいという政府の方針だそうですが、それはJR東海が私企業だとすると関係ありません。口実でしょう。

1.途方もない(一応9兆円とされている)費用がかかる。
2.その割に東京・大阪間が1時間短縮されるだけである。
3.人口が減少する日本ですから、経済がそんなに拡大するわけがない。
4.南アルプスの自然破壊がおこなわれる。
5.観光のためなら,地方空港を国際空港として整備する方がベター。
6.エアロトレインという代替案がある。

一般国民にとってリニアはほとんど意味はありません。それどころか現在より交通費が高額になるのは必然と思われます。こんな列車を走らせる意味があるのでしょうか?

かさこブログによるレジメ
http://kasakoblog.exblog.jp/20980559/

リニアの問題点
http://opinioline.com/post-6583-6583

これならエアロトレインに力を入れた方が、料金が下がる可能性が大きいので。圧倒的にベターなのではないかと思われます。JR東海は方針を切り替えるべきだと思いますね。

こちら

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2016年6月12日 (日)

バーニー・サンダースの支持層

1米国の大統領選挙もいよいよ2大政党の候補者が決まって、大詰めを迎えようとしています。

私が最も関心を抱いたのは、米国ではじめて社会民主主義を標榜する候補者、すなわちバーニー・サンダースが予想外の健闘をしてヒラリー・クリントンを追い詰めたと言うことです。

サンダースは労働組合にかつがれた、古いタイプの社会主義者ではなく、まさに21世紀的なグローバリズムによって支配されようとしている世界を救う、「救世主」として登場しました。

サンダースは若者の支持でここまできたということがよく言われますが、それは一面的な見方ではないでしょうか? サンダースはカリフォルニア州で敗北しましたが、各地区での勝敗(青がクリントン勝利、緑がサンダース勝利)をみると、くっきりと北部農村地帯がサンダース、南部都市部がクリントンという色分けができました(ニューヨーク・タイムズより)。

ハンボルトにはUCLAのハンボルト校がありますが、マイナーな分校です。ほかにめぼしい大学はありません。南部には多くの大学が密集していて、米国でも屈指の教育王国と言えます。

ハンボルトはどんなところか少し調べてみました。歴史的に見ると、米国でも有名なインディアン大量虐殺事件とか、中国人の居住を禁止したりという、かなり白人中心主義的な土地柄のようです。政党支持は意外にも伝統的に民主党が強い地域だそうです。産業は林業・農業・酪農・マリファナ栽培などが中心の、典型的な田園地帯です。ここでサンダースが70%近い支持を得て、圧勝しているのです。

このことは、この地域の居住者がTPPによってオーストラリアの乳製品、東南アジアの木材などが流入し、自分たちの生業が脅かされるのではないかと懸念した結果でしょう。サンダースは明確にTPPを拒否し、そのためなら何でもすると表明しているので、彼らの支持を集めたと思われます。クリントンは信用されていません。このあたりはウィキペディアに詳しい解説が出ています。

こちら

つまり学費や最低賃金をとりあげてはいますが、彼の主張の中心はアンチ・グローバリズムと租税回避の撲滅であり、私はこの点を高く評価したいと思います。日本人の多くはグローバリズムこそが日本の産業の生きる道だと考えていますが、サンダースの言葉を借りればそれは「底辺への競争」であり、人々に幸福をもたらすことはできません。

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2016年6月10日 (金)

大野-都響 with イアン・ボストリッジ@サントリーホール2016年6月10日

Imga今回の演奏会に行くに当たって、少し予習しました。まず角川文庫の「イリュミナシオン」(アルチュール・ランボー著、金子光晴訳)を購入して読んでみました。

イリュミナシオンは過激ではあるけれども、そんなに難解な詩ではないと思いましたが、なんとブリテンがとりあげて音楽を付けているのは、ほとんどがかなり難解なパートで、金子光晴がはしょっていることがわかりました。正確な日本語に訳す自信がなかったものと思われます。

ブリテンが取り上げているのは、同性愛が関わっている部分が多く、それが許容され難かった時代ゆえに婉曲で難解な表現になっています。もともと彼の性的パートナーである歌手(ピーター・ピアーズ)のために作曲したので、やむを得ません。

仕方が無いのでウェブで検索したら、門司邦雄氏のサイトに詳しい解説があることがわかりました。おかげさまで、良く理解できました。感謝します。
http://rimbaud.kuniomonji.com/jp/home_jp.html

入梅したものの雨は降らず、蒸し暑い曇天です。名歌手イアン・ボストリッジの登場とあって、平日のコンサートにしては賑わっていました。私はそれほどでもないのですが、はまる人はドツボのようです。彼の表現力は卓越していて、下の魔王でもわかりますが、物語の世界にすぐに引き込まれてしまいます。ただ同性愛の世界はどうでしょうかね?

本日の指揮は大野さん、コンマス(コンミス)は四方さん、サイドは矢部ちゃんの都響最強のシフトです。「イリュミナシオン」はなんと言っても終曲の「Depart」が素晴らしかったです。イアンと都響が一体となって、素晴らしい時空を創造した瞬間でした。

スクリャービンは2011年にアラン・ブリバエフの指揮で「交響曲第2番」を聴きましたが、この時は都響にしてはめずらしい凡演だったので良くおぼえています。都響がダメというより、このシンフォニーの(第3楽章以外の)できが悪いという印象でした。それに比べると「法悦の詩」はずっとできが良くて、かなり楽しめました。四方さんのVnが意外に官能的ではまっていました(まだまだいける)。トランペットやトロンボーンも素晴らしいと思いました。

唯一残念だったのは最後の中途半端なフラブラで、やるんだったらもっと思い切り元気よくやれよと言いたくなります。

今日も岩城先生の不気味な笑顔に見送られて帰途につこうとしたら、ゲェー、なんとその笑顔が超巨大化しているではありませんか!!!(のけぞる)。

イアン・ボストリッジ
https://www.youtube.com/watch?v=zCNDBNQj868

「法悦の詩」 サローネン-フィルハーモニア管弦楽団の演奏ですが、エロティックな表現の素晴らしさでは都響の上をいっています。
https://www.youtube.com/watch?v=HAnVrdQ3qFk

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2016年6月 8日 (水)

サラとミーナ174 : 窓辺のサラ

Img_1253サラも腹がプヨプヨしてきて、すっかり中年猫の風情になりましたが、相変わらず調査・観察は怠りません。しっかり窓から外の様子をうかがっています。

家の中に進入する生き物はほとんど退治してくれます。直近ではガガンボとクモを退治しました。ゴキブリなどはもちろん許しません。

しかしさすがに最近ではアリは無視するようになりつつあります。あと一番困る蚊は気になってもどうしようもないようです。蚊取り線香の臭いはそう嫌いでもないので、毎日お世話になっています。

Img_1262ベランダでラベンダーセージを飼育していると、アリがやってきて困ります。レタスやゴーヤには全く寄りつきませんが、ラベンダーセージには本当にどんどんやってきます。こいつらが網戸のスキマから部屋に侵入してくるのです。

ラベンダーセージはラベンダーとは関係なく、単に色が青いだけです。セージはサルビアの英語名だそうです。赤いサルビアの花の蜜には毒があるそうですが、このサルビアはどうなのでしょうか?

もとまろ:サルビアの花
https://www.youtube.com/watch?v=A63ELtj4iH0


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2016年6月 5日 (日)

JPOP名曲徒然草170: 「流れ星」 by 里花

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4月11日にJPOP名曲徒然草169の「The fin」(*)の記事を書いてから2ヶ月近く経過しました。特に忙しかったわけでもないのに、これといったシンガーに出会うことなく時が過ぎてしまい、がっかりだったのですが、ようやく里花さんという美声のシンガーに出会えて嬉しい気持ちです。
http://morph.way-nifty.com/grey/2016/04/without-excuse-.html

昨年「Grain」という1stアルバムをリリースされたそうで、まだ購入していませんが、近いうちに入手しようと思っています。MISIA に曲を提供しているそうですが、これだけの美声なので、裏方さんとしてはもったいなく、SSWをめざしたのは正解でしょう。キャリアを積むと、白鳥英美子に匹敵しそうです。

ライヴの様子が YouTube にアップされています。

「流れ星」、「花」、「Hallelujah」 作詞・作曲・演奏 里花
https://www.youtube.com/watch?v=QyyOOdiQC8o

「流れ星」
https://www.youtube.com/watch?v=JDdhT5hVRLE

「花」
https://www.youtube.com/watch?v=C0h6wxvoILA
https://www.youtube.com/watch?v=cCbHorOqrNM
https://www.youtube.com/watch?v=PqeK56R-w-Y

「ほんとうのこと」
https://www.youtube.com/watch?v=L0kkz5y5O04

MISIA version 「流れ星」
https://www.youtube.com/watch?v=8MgQI0reJns

カラオケ
https://www.youtube.com/watch?v=NKKY6AlRI1k

HP: http://www.rica-wacca.com/

フェイスブック:
https://www.facebook.com/%E9%87%8C%E8%8A%B1-1607408852862350/

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2016年6月 2日 (木)

やぶにらみ生物論21: ペルム紀の生物2

ペルム紀の中期から後期にかけて、おそらく2億7000万年前前後に地上の主な四肢動物は盤竜類から獣弓類に入れ替わった、というより様々な系統の四肢動物のなかから獣弓類が主役に躍り出たということがわかっています。ペルム紀前期を代表する単弓類であるエダフォサウルスやディメトロドンは背中に帆を持っていて、これを日光で暖めて活動していたと思われますが、獣弓類にはそのような生物はいないこと、またその他のいくつかの理由から、獣弓類は内温性だったのではないか、それによって他の系統の生物との生存競争に勝利したのではないかと考えられています。

それでは内温性とはいったいどういうものなのでしょうか? 実はその科学的解明や説明がとても難しいのです。そもそもエサを食べる(従属栄養の)生き物は、エサに含まれる分子を分解して、そのエネルギーを使ってATPという高エネルギー化合物を生成し、ATPを利用して筋肉を動かすなどの活動を行っています。そしてその際にすべてのエネルギーを化学エネルギーとして利用できるわけではなく、一部は熱となって放出されます。この意味で、従属栄養の生物はすべからく内温性であるとも言えます。独立栄養の生物だって、光エネルギーを利用するにしても、生命活動を行うには必ず発熱反応を伴います。

食物を分解して得るエネルギーは、真核生物がATP生産工場としてミトコンドリアを飼い慣らすことによって、圧倒的に増加しました。したがって熱の発生量も増加しました。それでも足りないので、エダフォサウルスやディメトロドンは帆を発達させたのですが、そのほかの解決策もあります。ミツバチやマグロは運動の活発さを調節することによって、体温を一定に保っています。またミトコンドリアの活動を高めたり、数を増やすことで熱の発生量を増やすこともできます。ミシガン大学のベネットは、ラットと何種かの爬虫類のミトコンドリア呼吸関連酵素の活性を比較すると、ラットの方が5倍くらい活性が高いということを発見しました。そして顕微鏡で両者の肝臓などの組織をみると、何とラットの方が明らかに多数のミトコンドリアをもっていることがわかりました(1)

その後アクメロフ(2)やハルバート&エルス研究室(3)らが、内温性の哺乳類と外温性の爬虫類のミトコンドリアをさらに比較研究し、内温性の哺乳類においては、量的のみならず質的にも高い活性をもつミトコンドリアを持っていることがわかり、この点で獣弓類は旧来の四肢動物を凌駕することができたと示唆されました。このほかミトコンドリアには脱共役タンパク質という、ATPの産生が過剰なときに合成を低下させて、熱としてエネルギーを逃がす作用がある物質が存在し、これも進化の過程で発展してきた代謝システムだとされています(4,5)。ただ哺乳類と爬虫類でどう違うかという文献はみつかりませんでした(あるかもしれません)。

1) A. F. Bennett. Comparison of activities of metabolic enzymes in lizards and rats.  Comp. Biochem. Physiol., 1972, vol. 42B, pp. 637-647

2) R.N. Akhmerov. Qualitative difference in mitochondria of endothermic and ectothermic animals., FEBS lett., 1986, vol.198, pp. 251-255

3) M. D. Brand et al., Evolution of energy metabolism. Proton permeability of the inner membrane of liver mitochondria is greater in amammal than in a reptile. Biochem. J. 1991 vol. 275, pp. 81-86

4) 稲葉(伊東)靖子・斉藤茂.熱産生における脱共役タンパク質の役割と適応進化. 化学と生物 2008, vol. 46, pp. 841-849

5) http://d.hatena.ne.jp/kuiiji_harris/20081129/1227941781

私はピーター・ウォードのように、ペルム紀後期に酸素が低下してきた(それでも18%くらいはあった)ことに適応して、内温性が発達してきたとは思いません。パンゲア大陸は極地方から赤道地方まであったので、闘争に敗れた獣弓類などのグループが極地方に敗走し、そこで内温性という代謝システムを育てて、ついには大繁栄していた盤竜類を打倒して取って代わったという説を支持したいと思います。ただ三畳紀については別途考えたいですね。

ペルム紀後期には陸上ではディキノドン類、ディノケファルス類、ゴルゴノプス類、テロケファルス類などの単弓綱・獣弓目の生物が大繁栄しましたが、双弓綱の生物も劣勢とはいえちゃんと生き延びていました。例えばヨンギナという体長40cmくらいのトカゲに似た生物(https://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11079022977&GroupCD=0&no=)がいました。類縁のタデオサウルスの復元図がウィキペディアに出ていたので、お借りして貼っておきます(図1)。

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ペルム紀の代表的な化石としてフズリナというのがあります。これは海洋単細胞生物なのですが、1cmくらいのサイズがあり、石灰の殻を持っていいるので死後も形を残すことができます(図2)。高知の海岸などでみられる星砂も近縁の生物が残した死骸です。アンモナイトもペルム紀の代表的な海の生物です。

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魚類は軟骨魚類・硬骨魚類共に繁栄し、棘魚類もまだ生き残っていました。三葉虫も Proetida 目がまだ生き残っていました。ウミユリ・ウニ・ヒトデなどの棘皮動物は繁栄していたようです。

このように百花繚乱の生物でにぎやかだったペルム紀後期の地球だったのですが、ペルム紀末にそれらのほとんどが死滅してしまいます。カンブリア紀から現在に至るまでの地球の歴史の中で、空前絶後の絶滅を引き起こした原因は何だったのでしょうか? 現在一番有力視されているのが、シベリアでの火山噴火です。この噴火は通常のものではなく、地殻の下にあるマントルが上昇して噴き出したとされていて、その溶岩の分厚さは3000~6000mに及び、広さは西欧を飲み込むくらいというとてつもないスケールでした。この累積した溶岩層をシベリアトラップといいます(図3)。

この異常な噴火によって大量の火山ガスと粉じんが噴き出して空を被い、「噴火の冬」が訪れました。日照不足・酸性雨・硫化水素・オゾン層の破壊などの影響で、地上植物・海洋プランクトンが死滅し、酸素も失われるという悲劇の連鎖が発生したのです。このペルム紀末期の大絶滅は古生物学におけるP-T境界という境目をつくり、ここで生物相が大幅に入れ替わり、ペルム紀を最後とする古生代は終了し、三畳紀からはじまる中生代に移行します。

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シベリアトラップについて
http://siberia.mit.edu/research

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2016年6月 1日 (水)

漂流するスペイン・カタルーニャ・バルサ

400pxautonomous_communities_of_spaiリーガ・エスパニョーラのバルサをみられるのも今年が最後かと思っていましたが、カタルーニャの独立問題が吹き飛んでしまうくらいスペインの政治は混乱していて、大変な状態になっています。

スペイン下院(350議席)の議席数です。

国民党          123
社会労働党        90
ポデモス          42
シウダダノス           40
アン・クムー・プデム   9
コンプロミス           9
カタルーニャ・シ        9
民主主義と自由        8
諸派                       17

これらのうち右派政党は国民党とシウダダノスとみられますが、合計163議席で過半数に達しません。左派政党は社会労働党とポデモスなど5政党とみられますが、こちらも167議席で過半数に達しません。国民党と社会労働党が連立しないと政権ができませんが、まあ自民党と民進党のようなもので連立できるわけもなく、結局無政府状態となって、6月26日に再選挙となりました。

ポデモスは米国で言えばサンダースに近い感じで、グローバル企業の租税回避に反対し、EUに反対、貧困の撲滅を目指した政党です。カタルーニャに本拠地があります。シウダダノスもカタルーニャに本拠地がある政党ですが、独立には反対しており、スペイン語の普及に熱心で、独立派にとってはいわゆる裏切り者の政党です。カタルーニャにも、独立すると仕事などに支障がでる人は当然多数いると思われるので、そこそこ人気があるのは理解できます。「EUはスペインの未来」と言っているように、欧州統合派です。

一方ポデモスも独立の是非を問う住民投票には賛成しているものの、カタルーニャの独立には反対しています。これらの点で、両政党ともカタルーニャの地方政党にとどまらず、スペイン全国で人気を得ることができています。

昨年の選挙の結果、バルセロナ市議会でポデモス系勢力が第1党となり、ポデモスやシウダダノスが全国でも有力な政党になったことで、カタルーニャの独立は遠のいたと思われますが、いざ住民投票で独立派が勝った場合、カタルーニャでの政治対立は非常に厳しいものになると思われます。スペイン政府については、再選挙の結果がどうなるかわかりませんが、今度こそは妥協的な連立政権ができると思います。しかしおそらく非常に不安定な政権で、スペイン・カタルーニャ・バルサともども漂流する2016年になりそうです。

スペインは大変と言いたいところですが、日本はもっと大変で、1000兆円の借金(だから絶対に金利は上げられない)、農業の壊滅、原発の始末、がどれも解決のめどがたたないという悲惨な現実があります。

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