クリスチャン・ヤルヴィ-都響@サントリーホール2016年5月22日
雲ひとつない五月晴れでした。サントリーホール前のカラヤン広場もすごい人出です。奇妙なアンティークを売っていました。鳥の剥製が10万円とか、すごいものがあります。ただサミットの参加者が宿泊しているのか、機動隊の車が2台ホテル前に停まっていました。
今日のコンマスは山本さん、サイドはマキロン。指揮者のクリスチャン・ヤルヴィは言わずと知れた指揮者一家のご子息で、兄のパーヴォはNHK交響楽団の常任です。
クリスチャンはダンサー系指揮者で、ジャンプなどは当たり前、まるでジョン・トラヴォルタが指揮しているようです。これじゃN響はダメでしょうね。形はともかく、丁寧なインストラクションをする指揮者だとは思いました。前回はヘソ出しもありましたが、今回は長めのシャツにベルトきっちりで大丈夫でした。誰かに注意されたのでしょうか。客席は盛況でした。
シベリウスのカレリア組曲は素晴らしい作品で、しかも素晴らしい演奏でした。フィンランドは第二次世界大戦で枢軸国とされていますが、ロシアに侵攻を受けて戦ったのでそうされてしまったという事情があります。そのときにカレリア(ロシア語の発音)地方の大部分をロシアに奪われ、そのままになってしまいました。この曲はもちろんそれよりずっと前につくられましたが、その頃から領土問題は存在して、民族を意識した曲だそうです。しかし一方で、全体的に繊細な作風でメロディーも美しく、私はイングリッシュホルンの音が好きなので、なかなかの名曲だと思います。
メンデルスゾーンのVn協奏曲は1月の定期で、イザベル・ファウストの演奏を聴いたばかりです。本日のソリスト、ヴィルデ・フラングは今売り出し中のヴァイオリニスト。くすんだグリーンのシックなドレスで登場です。ファウストの軽々と爽やかな演奏とは全く違って、まるで深い森の中にひっそりと佇む湖の妖精のような、湿潤でミステリアスな雰囲気で、独特の深い情緒を湛えた演奏で、カデンツァなどまるでホラー映画の音楽のようにすら聞こえました。プロフィールをみるとノルウェー人だそうで、やはりそうかと納得させられました。今までいろんな人の演奏でこの曲を聴きましたが、最も衝撃を受けた演奏でした。嫌いじゃないですね。
管理人の過去記事:
http://morph.way-nifty.com/grey/2016/01/post-be8c.html
休憩後のラフマニノフ交響的舞曲は第二次世界大戦中に作られた曲で、ラフマニノフらしい甘く切ない旋律でいろどられた曲ではなく、全体的に暗い雰囲気と不安感、やり場のない怒りなどがただよう曲想です。第二楽章のワルツも不気味な雰囲気です。暗い高揚感のあるフィナーレも含めて、当時のきびしい状況の中に生きていた人でないと、ラヴェルのラ・ヴァルスやクープランの墓などと同様、本当に理解することは難しいのではないでしょうか。
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