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2016年3月21日 (月)

やぶにらみ生物論14: オルドビス紀の生物

オルドビス紀はカンブリア紀に続く4億8500万年前~4億4300万年前の時代です。以前はカンブリア紀の生物はオルドビス紀がはじまる前に多くが絶滅したと考えられていましたが、現在は多くが引き継がれていることがわかっています。カンブリア紀から現在に至るまで、生物の多様性がいかに実現されてきたのかを Raup and Sepkoski は示してくれました(1)。この論文のグラフは Sepkoski curve とよばれ、よく引用されます。ここでも図1として示します。縦軸は科の数、横軸は年代です。これをみると、カンブリア紀の後期に若干の落ち込みはみられますが、おおまかにはカンブリア紀からオルドビス紀にかけて、順調に生物は多様性を拡大しているようにみえます。

Extinction


実際カンブリア紀からオルドビス紀にかけて大きな断絶がなかったことは、モロッコのオルドビス紀の地層からアノマロカリスの化石が出土することによって象徴的に示されましたが(2)、その他にもカンブリア紀の生物であるハルキゲニア、マレラ(3)、ウミユリ、筆石、腕足類、三葉虫などがオルドビス紀にも見られるので、オルドビス紀はカンブリア紀の生物を引き継ぎ、さらに様々な多様性が獲得された時代だと思われます。三葉虫などはオルドビス紀になってさらに多様性を獲得し、この時代の主要な生物となりました。オルドビス紀には大きな地殻変動がなく、気候も後期を除いて温暖だったことがその主な理由だと思われます。

カンブリア紀から引き継いだ生物の中で、オルドビス紀に繁栄したもうひとつのグループはコノドントです。三畳紀までの非常に長い時代を生き延びた生物なのですが、完全な化石がみつからないので議論の多い生物です。現在ではミロクンミンギアと同じく無顎の魚類だと考えられています(4)。ウミユリはカンブリア紀から現在まで生き延びている数少ない生物です。

ではカンブリア紀とオルドビス紀の違いは何なのでしょうか。サンゴとコケムシ(5)はカンブリア紀にはめだたない生物だったと思われるのですが、オルドビス紀になると繁栄して海底の様子を変えました。両者は門が違う系統的に離れた生物なのですが、どちらも炭酸カルシウムの外骨格を持っているので、死んだ後も海底の構造を複雑にして、多くの生物に隠れ家を与えることになりました。サンゴとコケムシはカンブリア紀から現代まであまり生き方を変えずに生き延びている生物です。隠れ家を得て、多くの生物種が生き延びることができるようになって、生物多様性の拡大に寄与しました。

オルドビス紀には軟体動物が大繁栄しました。二枚貝や巻貝が発展したほか、特にチョッカクガイに代表される頭足類(現在のタコ・イカ類)はカンブリア紀のアノマロカリスに代わって、食物連鎖の頂点に立っていたようです。カメロケラスという生物は体長6mくらいあったようです(図2 ウィキペディアより)。カメロケラスは遊泳しながらエサをとらえていたようですが、アノマロカリスに代わって海底の王者として君臨したのはウミサソリだったようです。現代のサソリは砂漠の生物ですが、当時は海で生活していました(6)。ウミサソリ目はペルム紀に絶滅しましたが、近縁のカブトガニは現在まで生き延びています。

Photo


オルドビス紀に繁栄していた魚類は主に無顎類だと思われますが、原始的な顎口類はすでにオルドビス紀に出現していたという多少の証拠はあるようですが確定的ではなく、確実なのは今のところシルル紀からのようです(7)。顎がいつ出現したかは進化生物学において非常に重要な問題であり、これから解明すべき課題です。オルドビス紀等の生物のイラスト集のリンク(オウムガイ・ウミリンゴ・ウミサソリなどがみつかります) → こちら 

オルドビス紀の末に、カンブリア紀以降現在までに5回発生した生物の大量絶滅の最初のイベントが発生しました。図1の1の落ち込みで、科のレベルではそんなにひどい落ち込みではないとみえますが、種のレベルでは85%が絶滅したとされています。この最大の原因は気温の低下だと考えられています。気温の低下により氷河が形成されて海水面がさがり、浅瀬が陸地化してそこで生活していた生物が絶滅したわけです。ただそれだけでは説明できそうもないことも事実であり、これからも議論は続きそうです。ひとつの可能性としては、氷河が出来ることにより、海洋水の循環が活発になり、たとえば深海の硫化水素が浅瀬まで流入してくるとか、酸素の濃度が変わるなどが議論されています。

1.Mass Extinctions in the Marine Fossil Record. DAVID M. RAUP and J. JOHN SEPKOSKI JR.
Science Vol. 215, Issue 4539, pp. 1501-1503 (1982), DOI: 10.1126/science.215.4539.1501
(http://coleoguy.github.io/reading.group/Raup_Sepkoski_1982.pdf)

A recent result:
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC33403/figure/F1/

2. A giant ordovician anomalocaridid. Peter Van Roy and Derek E. G. Briggs. Nature 473, pp. 510-513 (2011).

3. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%A9

4. http://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/bikaseki/2-konodonto.html

5. http://www.u-tokyo.ac.jp/content/400009497.pdf

6. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%BD%E3%83%AA

7. The origin and early phylogenetic history of jawed vertebrates. Martin D. Brazeau1 and Matt Friedman. Nature. 2015 Apr 23; 520(7548): 490?497.  doi:  10.1038/nature14438
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4648279/

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