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2016年1月30日 (土)

やぶにらみ生物論9: ミトコンドリアの役割

生物は体を構成する物質すなわち有機物を合成するために、エネルギーを必要とします。そのエネルギーとは通常ATP(アデノシン3リン酸)を分解することによって獲得することになっているわけです。

ATP → ADP + リン酸 + 化学エネルギー

ではそのATPをどうやってつくるかというのが課題になりますが、α-プロテオ細菌は酸素を利用した素晴らしい化学反応を進行させるシステムを獲得していました。やぶにらみ生物論8でも示しましたが、その反応をまとめた化学式は下記のようなものです。

C6H12O6 + 6O2 + 38ADP + 38phospate → 6CO2 + 6H2O + 38ATP

α-プロテオ細菌は上記のように1分子のブドウ糖から38分子のATPを生み出すことができました。この細菌と共生することによって、真核生物は様々な有機物を製造することができるようになって、圧倒的なアドバンテージを獲得し、現在生きている真核生物の(控えめに見ても)ほとんどは共生に成功して、ミトコンドリアを作り出した個体の子孫ということになりました。

そして真核生物はミトコンドリアが勝手に増殖するのを制限するため、その遺伝子の多くをゲノムに移転しました。生物はDNAを切り貼りする機構を本来もっているため、外来のDNAをゲノムに取り込む危険とチャンスは常に存在します。ミトコンドリアに残されたDNAより、真核生物に移転したDNAの方が、細胞核に守られていたので良好に保存されたため、いかにもDNAを奪ったようにみえる結果になったのかもしれません。

結果的にミトコンドリアの自主性を奪うことになりましたが、一方で真核生物はミトコンドリアに細胞の生死を制御するシステムを持たせることにしました。なぜだかはわかりません。想像をめぐらしてみると、ゲノムに「死の司令室」を置いておくと、なにかの場合に間違って発現してしまうというリスクがあるからかもしれません。

Photo

細胞にストレスがかかったり、死んだ方が都合が良かったりする場合、それらのシグナルをミトコンドリアにある「死の司令室」が斟酌して、本来ミトコンドリアの内部にあるべきチトクロム c (cytochrome c) というタンパク質を外部に排出し、Apaf-1 を介してカスパーゼ9 (caspase-9) を活性化し、活性カスパーゼ9がカスパーゼ3 (caspase-3) を活性化するという一連のリアクションを起こします。その活性化されたカスパーゼ3はタンパク質を分解する機能を持つ酵素で、細胞を死に導きます。この種のプログラムされた細胞死をアポトーシスと呼びます。

α-プロテオ細菌が効率的なエネルギー反応を発明する前提として、シアノバクテリアが地球上に酸素を多量に蓄積していなければなりません。そして酸素が蓄積することによって紫外線が遮蔽されて、陸上生物が現れることになります。一方で酸素を利用する生物は酸素の毒性を緩和するシステムも発展させていかなければなりません。

ミトコンドリアにある「死の司令室」のメンバーの全容については下記のサイトに記載してあります。

http://www.cstj.co.jp/reference/pathway/Apoptosis_Mitochondrial.php

 

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