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2015年12月 5日 (土)

やぶにらみ生物論3: 真核生物

地球が出来てから、カンブリア紀(いろいろな生物種が一気に出現したといわれている)に至るまでの歴史を整理しておきましょう。といってもいろいろな出来事が起きた時期の確固たる証拠があるわけでもないので、数年後には数字が書き換えられている可能性もあります。一応真核生物が出現したのは21億年前ということになっています。

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真核生物(ユーカリア)は細菌(バクテリア)や古細菌(アーキア)と違って、ゲノム(全遺伝子)が核というボール状の構造に収納されています。ゲノムの情報が核の中で読み取られてRNAが合成され(転写)、合成されたRNAは核内でメッセンジャーRNAに加工されます。加工されることによってメッセンジャーRNAは核から、核膜に開いている穴(特定の物質だけが通行できる)をくぐって細胞質に出て、細胞質でその情報を元にタンパク質が合成されます(翻訳)。つまり真核生物では、それまでワンルームだった細胞が、1DKに進化したということになります。キッチンとリビングを分けるように、転写する部屋と翻訳する部屋を分けたというわけです。

ワンルームの細胞では、遺伝子発現ONの情報が来ると、すぐに転写→翻訳と進んでタンパク質ができますが、1DKでは、とりあえずDKで転写して、それを別の部屋に持っていって翻訳することになります。したがって、しばらくDKに品物を置いておき、時期をみて他の部屋に移動するというような融通はききます。細胞内にとりこまれたウィルスなど外界のDNAと、ゲノムのDNAが簡単には接触しないようにするというメリットもあります。細菌では外界のDNAが簡単に細胞内のDNAにもぐりこんで住み着くことができます。

DNAのサイズが大きくなると、細胞内にDNAがランダムに分散してしまうことになり、糸が絡まり合うような混乱がおこる可能性があります。そうなると細胞分裂の時などに収拾がつかなくなるおそれがあります。核膜には放射線を遮蔽して、ゲノムDNAを保護する役割もあります。

DNAは長いひものような分子なので、何かにまきつけておくとからまりにくくて便利なのですが、DNAの糸巻きのような構造を形成する能力があるヒストンというタンパク質を、ある種の古細菌と真核生物は持っています。このことも古細菌と真核生物の近縁性を示す証拠のひとつです。

真核生物の細胞のサイズは普通直径10μmくらいですが、細菌は1μm以下です。そうなると体積でいえば1000倍以上になります。この中に含まれている各種分子の立場からみれば、犬小屋の中をうろうろしていたのが、いきなり東京ドームに放り出されたような感じですから、他の分子と遭遇する機会が激減し、化学反応がうまくいきません。そのためどこにいけば反応すべき分子と出会えるか道案内が必要であったり、化学反応を行わせるためのツールを整列させたりすることが必要で、そのために細胞内膜系や細胞骨格が必要になります。細胞内膜系や細胞骨格がないと、細胞は中に核やミトコンドリアというパチンコ球を含むパチンコ台のようになり、これも好ましくはないでしょう。

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