「チェルノブイリの祈り」 by スベトラーナ・アレクシエービッチ
チェルノブイリの原発が爆発したとき、とても美しく光り輝いたそうです。みんなまさか原発が爆発したなんて思っていなかったので、ビルやマンションの高層階のベランダなどからみとれていたそうです。中には何十キロもの遠方から車や自転車で見物に来た人も多かったそうです。
近くの川で数時間釣りをしていた人は、夏でもないのに真っ黒に日焼けしてしまったそうです。
あまりにもみんな放射能の危険性について無知だったのです。
それは消防士も同様でした。まず最初に死者を出した外部の人間は消防士で、これは急性被曝のためです。中には水蒸気爆発を防ぐため原子炉の下にあるハッチをあけて水を放出するという作業をした人もいたそうです。しかも多大な報償をエサに志願したというのですから驚きです。もちろん急性被曝で死亡です。
ソ連政府は34万人の兵士を集めて(延べではない)事後処理を行わせました。なかには直近までアフガニスタンで人を撃っていた部隊が、近隣住人のペットを射殺するために動員されたこともあったそうです。全国の炭鉱夫を招集して原発の地下に穴を掘り、大量の液体窒素を注入するという作業を行いました。
この本は、実際に被曝した人々のインタビューで構成されています。誰にも話さなかったことを著者(スベトラーナ・アレクシエービッチ)に打ち明けて、出版を許可した人々もいます。生々しく、胸がつぶれそうな記載もあります。
福島第一原発事故は、このチェルノブイリの事故よりも大規模なものでしたが、被曝はチェルノブイリほどではなかったと思われます。これは大部分の放射性物質が太平洋方面に放出されたためで、風向きなどの運が良かっただけなのです。今年になってから、アラスカの紅鮭から65ベクレル/kgのストロンチウム90が検出されていますが、これは太平洋全体が汚染されたことを意味しています。本書は著者の主観や主張が排除されていることから、特に原発支持派の人々に読んで欲しい本ですね。
http://tanakaryusaku.jp/2011/08/0002744
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