透過型電子顕微鏡 その2 包埋
翌日朝に、まずマジックインクのマークを見て、プロピレンオキサイドがきちんと揮発したかどうか確認します。確認したらフリーザーで保管しておいた包埋剤を部屋に出してとかします。20℃くらいの部屋だとすぐにとけます。プロピレンオキサイドを揮発させたサンプルに、液化させた包埋剤を3ml加えてローテータで2時間まわします。
竹串(やきとり用など)数本をオーブンなどで乾燥させておきます。ローテータで回しているうちに浮かんでくるサンプルがあるので、ときどき竹串で下に落とします。パスツールピペットをやすりで切断して、穴の直径が3mmくらいのピペットをつくります。包埋剤は非常にに粘度が高いので、穴が大きいピペットでないと吸えませんし、駒込ピペットを使ったりすると洗浄出来ないので使用後捨てることになります。これはちょっともったいないでしょう。
2時間ローテータで回した後、上記ピペットで包埋剤を捨て、新しい包埋剤3~4mlを加えてまた2時間回します。さらにもう一度この過程を繰り返して、合計6時間ローテータでの処理を行います。この間暇なので、ガラスナイフ製造器を使ってガラスナイフを少なくとも1ダースくらいは作っておきます。
ガラスナイフの作成(↓の図4など参照)
http://etech.engg.nagoya-u.ac.jp/gihou/v10/021.pdf
市販の包埋板を用意します。シリコンゴム板にサンプルを入れるへこみがあるものです。このへこみひとつに1個の標本を入れ、竹串を使って方向を決めます。包埋剤をすりきりより少し多めに加えます。小さなたこ焼きのような感じです。全部入れたらシリコン板を真空脱気します。真空脱気すると液が減ってしまうので、別途真空脱気した包埋剤を少しづつ加えて、すりきりよし少し多いくらいの感じに戻します。サンプルの位置がずれた場合は竹串でよい位置に移動させます。
包埋板ごとサンプルを熱処理して包埋剤=樹脂を以下の手順で固めます。
37℃で12時間 → 24hrかけて37℃から60℃に温度を上げる(オーブンにプログラムが組み込まれているはず)→60℃で24時間。最後の60℃処理は時間がのびてもかまいません。終了したらサンプルを取り出し、小箱にいれてデシケータに保存します。
ここまでで作業を始めてから1週間が経過します。
(つづく)
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