« 2014~2015 リーガ・エスパニョーラ第22節 ツキにのってマニータ | トップページ | 透過型電子顕微鏡 その2 包埋 »

2015年2月10日 (火)

透過型電子顕微鏡 その1 試料の固定と包埋準備

Img_0018電子顕微鏡の世界から離れて10年以上経過してしまいました。この間にアナログフィルムが衰退し、写真はデジタル化されてハードディスクなどに保存されるようになりました。

フィルムの現像からはじまって印画紙の乾燥までの長いプロセスがなくなったので、非常に楽になったわけですが、フォトショップで情報の多い写真を編集するのはそれなりに大変ですし、データの信頼性も損なわれるので、良いことばかりではありません。現在でも銀塩写真なみの 4000dpi クラスの画像ファイルをPCで取り扱うのは重すぎます。

写真以外の部分では、普及型の電子顕微鏡ではそれほど大きな進歩はないので、私流のやり方も記録しておきたいと思います。

Sd2550文章の中で洗うという言葉がよく出てきますが、特に断らない限り、液体の入ったバイアルびんのなかに試料をいれて、写真のようなローテータを回転させて洗います。これでも良いと思いますが、電子顕微鏡の研究室にはたいてい鉛でバイアルびんを囲うタイプの高級品が設置されています。びんが1秒に2回くらいまわる低速で十分です。高速で回すと試料が損傷する恐れがありますし、粘度の高い状態だと酸素をとりこんで泡が出やすい状態になります。時間は10分くらい。

PBS=50mMリン酸バッファ(pH 7.2)in 生理食塩水

生体試料を切り出し(私の場合皮膚ですが)、PBSで洗って、4%パラホルムアルデヒドー1%グルタルアルデヒドー50mMリン酸バッファ(pH 7.2)で固定します。試料のサイズは1mmx1mmx2mmくらいが適当ですが、厚みが1mmであれば、タテヨコは2mmx2mmくらいでもかまいません。ただ正方形にすると試料の方向性がわからなくなるという欠点があります。

試料片4~5個を20mlバイアルに注いだ10mlの上記固定液に投入し、冷蔵庫で一晩固定します。翌日固定液を捨てて、PBSを注ぎ試料を洗います。PBSを捨てて、2%4酸化オスミウムー50mMリン酸バッファ(pH 7.2)で固定します。試料片4~5個に固定液3mlを注ぎます。4酸化オスミウムは揮発性の危険な物質なので、密閉したバイアルを、さらに密閉したビンのなかに入れ、そのビンをポリ袋にいれてシールし、冷蔵庫の中で1時間の固定を行います。

固定が終了したらポリ袋をドラフトチェンバーに持ってきて、以下の洗浄操作はドラフトチェンバーの中で行います。この操作に使うドラフトの壁はオスミウムの蒸気で黒くなっているはずです。固定液を廃液びんに捨てて、試料にPBSを加え、またそのPBSを廃液びんに捨てます。さらにPBSを加え、ローテータで10分くらい洗います。さらにもう一度PBSを入れ替えて同様に洗います。

次に試料内部の水をエタノールに置き換える操作を行います。この操作は光学顕微鏡用の試料よりもゆっくり時間をかけてステップワイズに行います。各濃度のエタノール(4ml)に浸した試料は20分づつローテータで回します。30%・50%・70%・80%・90%・95%・99%各1回、100%3回の順で脱水を行います。非常に退屈で時間のかかる作業ですが、この間にやっておく作業があります(*)。

100%エタノール処理の4回目に100%エタノールを1ml加え、これにプロピレンオキサイドを1ml加え、10分間ローテータで回します。終わったらさらにプロピレンオキサイドを1ml加え、10分間ローテータで回します。そしてまた時間が来たらさらにプロピレンオキサイドを1ml加え10分間ローテータで回します。上清を捨て、試料にプロピレンオキサイドを2ml加え、10分間ローテータで回します。この操作を3回繰り返します(サンプルA)。

*上記脱水操作の合間に包埋剤を作成します。私はポリサイエンス社 Poly/Bed 812を使っておりました。マニュアル通りの割合で混合したら、5分くらいハンドシェイクします。泡を立てないように混ぜますが、どうしても泡が発生するので、2000rpmー5分の遠心操作を遠心機で行った後、真空脱気を行って泡を強制的に排出します。処理を終了した包埋剤を50mlシリンジに入れて、出口をパラフィルムで固く閉じてフリーザーに保存します。

サンプルAにプロピレンオキサイド1mlと*で作った包埋剤=樹脂1mlを加え、泡をたてないように手でシェイクします。さらにローテータで30分混ぜます。混ぜ終わったらフタを外した状態で、デシケータに入れて一晩プロピレンオキサイドを揮発させます。液面の位置を細めのマジックインクでマークしておきます。プロピレンオキサイドは揮発しやすく、毒性もあるのでデシケータはこの目的だけに使う専用にすべきです。加熱したり、吸引したり、真空にしたりする必要はありません。

(つづく)

|

« 2014~2015 リーガ・エスパニョーラ第22節 ツキにのってマニータ | トップページ | 透過型電子顕微鏡 その2 包埋 »

生物学・科学(biology/science)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/133582/61115703

この記事へのトラックバック一覧です: 透過型電子顕微鏡 その1 試料の固定と包埋準備:

« 2014~2015 リーガ・エスパニョーラ第22節 ツキにのってマニータ | トップページ | 透過型電子顕微鏡 その2 包埋 »