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2014年7月15日 (火)

組織標本の作製 よもやま話 その3 パラフィンケーキの作成2

パラフィンケーキの作成2

使っているパラフィンは60℃で液体、55℃で固体ですから、結構微妙な操作が必要です。だったらもっと高温で操作すればいいじゃないかと思いますが、そうするとススが出て部屋に黒煙がたなびくことになります。65℃くらいまでは大丈夫です。気をつけないといけないのは操作に使うピンセットなどが冷えていると、たちまちピンセットのまわりのパラフィンが固まって使用できなくなります。ですからピンセットはヒーターで70℃くらいにあらかじめ熱しておき、使い終わったらまたすぐ熱しなければなりません。試料カップ・シャーレ・ピンセットはみんな熱いので、操作は軍手をして行います。

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写真が操作をするデスク(実験台)です。一番右にパラフィンオーブンがあり、中に3つの試料カップとシャーレが入っています。さらに包埋皿やシャーレ用の未使用パラフィンを入れたカップを入れておくのが普通です。中央はホットプレートで、60℃にセットしておきます。パラフィンが垂れて固まると面倒なことになるので(パラフィンが垂れた場合は、ヘヤードライヤーで溶かしながらキムワイプなどで拭き取らなければいけません)、大きめのアルミフォイルでホットプレート全体を被っておきます。パラフィンを固める前に、まず試料を入れたシャーレとホットパラフィンを満たした包埋皿をホットプレートに置いて、シャーレの中でカセットを開けて中の試料を取り出し、包埋皿に移します。

Photo

包埋皿がホットプレートの上に置いてある限り固化しないので、複数の包埋皿と試料を並べておきます。デスク(上の写真の太い中空矢印)の表面は冷たいのでパラフィンは下から冷えて固まるわけですが、表面も空気で冷やされて薄皮状に固まってきます。ですからエアコンの冷気が直撃するのは避けなければなりません。早く固まりすぎてピンセットを抜くタイミングが難しいときは、包埋皿の下にティッシュペーパー・キムワイプなどを敷くと少し固まる速度が遅くなります。なれると二刀流ピンセットで、ひとつの包埋皿に2個の試料を投入することもできます。ピンセットを抜いて試料が倒れないことを確認したら、上にメッシュ状の板(実は試料を入れるカセットを二つに割って、片方を使う)を乗せて、少し押し込みます。メッシュ穴からまだ固まっていないパラフィンがはみ出してきますが、これによって板がパラフィンとくっついた状態で固化します。全体が固化したら冷蔵庫に入れて冷やします。

翌日冷蔵庫から出すと、パラフィンケーキが少し収縮して包埋皿から離れやすくなっています。カッターではがして余分なパラフィンを落とすとパラフィンケーキのできあがりです(パラフィンケーキ作成1の写真参照)。パラフィンケーキの底にはプラスチックの板がついているはずです。板がはがれてしまったのもは、よほど貴重な試料でないかぎり廃棄です。板に試料の種類や実験年月日を書き込みます。板があることによって、薄切するときに機器に容易に固定することができます。パラフィンケーキは室温で保管することもできますが、私はタッパーウェアに乾燥剤を入れて冷蔵庫で保管しています。

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