都響 インバル マーラー交響曲第10番 (クック補筆版全曲)@サントリーホール2014年7月20日
最近は雷と稲光のなかで暮らしている感じですが、日曜日はなんとか天気が保って無事溜池山王までたどりつきました。開演前にドトールで一息いれていて、はっと気がつくと、隣のテーブルに陣取っているのが西川さん(都響の打楽器奏者)でした。演奏には参加されてなかったので、聴衆としてこられていたようです。ちょっと緊張してしまいました。
マーラーチクルスの番外編、最終のプログラムで交響曲第10番(クック補筆版)のコンサートです。終楽章までほぼ切れ目なく草稿が残っていた曲なので、ジュスマイヤー版のモツレクなどとは全く意味が違う、文字通りの補筆版だそうです。とはいえマーラーが破棄するように遺言したという作品ですから、クックも相当勇気が必要だったと思います。ショスタコーヴィチやシェーンベルクは断ったそうですから。私は全曲を生で聴くのは初めてでした。都響も17年ぶりの演奏だそうです。生録音してCD出版は決まっているので、楽団員も緊張したのではないでしょうか。
マエストロ・インバルによるクック補筆版の解説
https://www.youtube.com/watch?v=P5Ln897MBnQ
https://www.youtube.com/watch?v=3RY4U9AAXqg
https://www.youtube.com/watch?v=waFGqauLMUo
コンマスは四方さん。サブは矢部ちゃんです。都響としてはめずらしく、Vn1, Vn2, Vla, Vc の弦の並びでした。第1楽章はよく単独で演奏されるアダージョ。第一主題がはじまるところが好きで、ハンヌ・リントゥがマレーシアフィルを振ったのが夢のように美しい演奏でした。
https://www.youtube.com/watch?v=pd2OA_t4AEA
しかしインバルー都響は意外にもあっさりと進んでしまい、少しがっかりしましたが、今日の白眉は第5楽章でした。まさにゾーンにはいったような神がかり的演奏で、マーラーが最後に残してくれたこの名曲を聴衆に堪能させてくれました。 最後の曲でマーラーはオーケストラのすべてのパートに見せ場をつくるという作曲家の芸をみせてくれました。普段はあまり目立たないチューバやバスクラリネットなども非常に印象的でした。都響のメンバーはそれに答えてしっかり演奏し、インバルも豪快にうなりながら思い切り指揮して、まるでマーラーの亡霊が乗り移ったかの様な名演になったのではないでしょうか。明日も同じ場所で同じ曲を演奏することになっていますが、よりリラックスした感じになるのかな? いずれを使うにしてもCDの発売が楽しみです。
演奏が終わってもマエストロはタクトを下ろさず、静かな時が何秒過ぎたでしょうか? まさしく時が止まった瞬間でした。マエストロの故国は戦乱のさなかで、この曲を演奏するために来日してくれたことを心から感謝したいと思います。
| 固定リンク | 0
「音楽(music)」カテゴリの記事
- タビター都響:展覧会の絵@サントリーホール2024/11/03(2024.11.03)
- World music collection 21: Old songs by Mitsu (=honey)(2024.11.01)
- 布団の季節になりました(2024.10.17)
- 「エロイカ」 by ライアン・ウィグルスワース&都響@サントリーホール2024/10/13(2024.10.13)
- 東京のコンサートホール改修と都響ラインナップ発表(2024.10.10)
コメント