面皰(めんぽう)経験談
「New皮膚科学」 飯塚・大塚・宮地編 南江堂 より
毛がなくなるという事以外の毛の病気はめずらしいのですが、私はそのめずらしい面皰(めんぽう)という病気(毛根に原因がある吹き出物の一種)にかかったことがあります。図1にあるように毛髪は必ず脂腺という脂質を分泌する組織を伴っており(毛には必ず油が必要ということでしょう)、面皰というのは-その脂腺から出てくる油の通路が角質化する-という皮膚の研究者にとっては興味深い病気です。
それにしてもほとんどまともな毛がない背中で毛の病気になるとは不思議です。
脂腺からの通路が閉塞するので、油と角質が皮膚の中に充満してぐちゃぐちゃになります。進行して図3のような状態になっていたので町医者にかかったのですが、2時間待って背中の患部を数回押しつぶすだけ(有力な治療法ではあるようです)という繰り返しで、数回通っても外見上は治癒した印象はなく、大病院にかかることにしました。
診察したのは若い肥満気味の女性皮膚科医で、「これなら切れますね。今日の午後は空いてますけど・・・」と言うので、「じゃあ今日の午後でお願いします」と答えると、しばらく困った顔をして逡巡しながら「じゃあやりましょう」と言ってくれました(私:どうして逡巡するのだろう? 半休とってデートでもする予定だったのだろうか?)。
午後に再度訪れると、まずカメラで数枚写真を撮影され、裸でうつぶせに寝かされて、その上に騎手のようにくだんの女医がまたがって乗り、手術がはじまりました。すごい景色です。看護師はいません。
女医がメスをふるうわけですが、「痛い?」-「まだまだ」-「じゃもう少し切るね」-「痛い?」-「少し」-「もう少しやろうか」-「痛っ」-「じゃ麻酔刺すね」-「うっ・・・」-「およ~ これは思ったより深い・・・・・で痛い?」-「まだまだ」--- などとSMプレイのような手術を経験しました。最後に女医はホルマリンを満たした瓶を持ってきて、切り取った患部をそっくりいれて見せてくれました。直径1.5cmくらいあったようです。あれは学会発表などに使われたのでしょうか? 現在まで連絡はありません。
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