« 2013/2014 リーガ・エスパニョーラ第36節 ロスタイムに痛恨の被弾  | トップページ | サラとミーナ140: シュウメイギクを食べるサラ »

2014年5月 7日 (水)

ドラキュラをビジネスに

28032414_451x63619世紀から医学の研究に用いられてきた方法の一つにパラビオーシスというのがあります。これは非常にやりたくないおぞましい実験なのですが、動物2匹を手術で縫い合わせ、さらに両者の血管を結合して循環系を共有にする方法です。

若いマウスと老齢マウスをパラビオーシスでつなぐと、老齢マウスが若返るという報告はいままで多数ありますが、そのメカニズムは未解明でした。最近それが少なくとも一部はGDF11というタンパク質で説明できるという論文が出版されつつあります。GDF11は幹細胞の活性を制御するホルモンで、若いマウスには多く、老齢マウスには少ないことが知られています。

http://hplusmagazine.com/2014/05/05/gdf11-a-hormonal-candidate-for-rejuvenation/

GDF11の注射によって、老齢マウスによくみられる心臓肥大が治癒する
http://news.sciencemag.org/2013/05/nineteenth-century-technique-turns-old-mouse-hearts-young

GDF11の注射によって、老齢マウスの筋力低下が回復する
http://www.sciencemag.org/content/early/2014/05/02/science.1251152.abstract

GDF11の注射によって、老齢マウス脳における血管や神経の形成が促進される
http://www.sciencemag.org/content/early/2014/05/02/science.1251141.abstract

--------------
引用開始:
http://news.sciencemag.org/biology/2014/05/young-blood-renews-old-mice

Plasma is given routinely to patients, so trials of this approach, unlike those testing a new protein, would not require U.S. Food and Drug Administration approval, Wyss-Coray says. His group has started a company that is planning a small clinical trial that would give Alzheimer’s patients a series of injections of plasma from young donors. In mouse models of Alzheimer’s, they have already seen positive effects, he says.
:引用終了
--------------

スタンフォード大学の Wyss-Coray博士らは、アルツハイマー症の老齢患者に若い人の血清を注射して治療するというプロジェクトを、会社を作ってスタートしたようです。これって単なる輸血ですから、新薬の承認のような多額の投資と長いテストプロセスはいらないわけですね。

GDF11はヒトにも存在していることが知られていますが(データベース:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/10220)、その作用機構はまだまだ未解明の部分が多いようです。したがってGDF11を薬品として使うまでの道のりはまだ長そうですが、大変興味深い因子であることは間違いありません。

| |

« 2013/2014 リーガ・エスパニョーラ第36節 ロスタイムに痛恨の被弾  | トップページ | サラとミーナ140: シュウメイギクを食べるサラ »

生物学・科学(biology/science)」カテゴリの記事

健康(health)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ドラキュラをビジネスに:

« 2013/2014 リーガ・エスパニョーラ第36節 ロスタイムに痛恨の被弾  | トップページ | サラとミーナ140: シュウメイギクを食べるサラ »