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2013年7月29日 (月)

大学の変遷

A0002_008710自民党は参議院選挙公約において、今後10年間で世界大学ランキングトップ100に日本の大学が10校以上入ることを目指し、大学のガバナンス改革、大学経営基盤の強化、教育・研究の高度化、外国人教師の増強を推進することを掲げています。しかし自民党政権がこれまでやってきたことはなんだったのでしょうか?

小泉政権時代に国公立大学は半民営化されましたが、その結果どうなったかは小野昌弘氏がまとめてくださっています。

「大学独立法人化後の問題について1)若手教員の契約社員化・時間雇用職員のリストラ 2)教授会による自らの定年延長(~65歳)→人事・研究の停滞 3)学長・理事への権限強化→上部に都合のよい変革 4)競争導入→カネを生む研究に資金と人が集中、地味でも重要な研究をする余地が縮小 5)教授の権限強化を背景に、研究室では教授らによるアカハラ・パワハラ・セクハラが多発。もともと大学は労基署があまり関わらず、また、今の教授クラスの意識が大変低いため、違法性の疑いがある様々な問題が生じています。」

http://ameblo.jp/wadahideki/entry-10318452377.html

http://miura.k-server.org/newpage17.htm

http://masahirono.seesaa.net/article/164714455.html

新自由主義者がお手本とする米国には確かにハーバード大学やエール大学という立派な私立大学がありますが、お金がかかる理系の業績は州立大学が中核になっています。決して公立大学を民営にしようなどというお話にはなりません。

この他にもガバナンス強化か何か知りませんが、官僚の大学への天下りが頻発しています。役人はほんとにいろいろな手を考えてくれるもんですねえ。そりゃ官僚を受け入れれば、税金=研究費の獲得に有利になるとは思いますから。

http://medical-confidential.com/confidential/2012/12/post-485.html

http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/ea9ab7873a1eb32cbf766c49c3b34708

http://hb8.seikyou.ne.jp/home/sakuragaoka/kaikaku040704.htm

もちろん昔の大学はいい加減なところも多くて、無能な教授もいましたが、そのなかで多くのノーベル賞学者を輩出したことも事実です。当時の大学にはひとつの建物ごとに数名の守衛、教室ごとに建物管理員(毎朝廊下の掃除をしていました)と教務雑用係、図書館司書を雇用していました(国家公務員)。さらに各研究室に校費・研究費雇いの秘書・研究補助員などを雇用していました。彼らは事実上終身雇用でした。さらに私の経験では、不便なところにあった研究施設では、3食を提供するためのまかないさん・研究材料を採集する人・資料を保管整理する職員などを雇用していました。彼らも公務員または事実上終身雇用でした。このようなポストは大部分がなくなってしまったようです。

また大学と共同研究をするときには、それぞれの大学にそのための宿舎があり、共同研究者やセミナーなどでの訪問者はほとんど無料で宿泊できました。つまり国家が国立大学と学問を結構大事にしていたのです。さらに当時の大学には教育・研究に必要な静かな雰囲気と時間が確保されていました。それらが現在ではほとんど失われてしまったのではないかと危惧されます。鼻面にニンジンをぶら下げて走らせるだけでは、いろいろな問題が生ずるのは当然です。加藤茂明氏の不正論文や秋山昌範氏の詐欺の問題も、このことと無縁ではないと思います。

http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012040501001889.html

http://www.j-cast.com/2013/07/25180180.html

実は私が審査した論文にも、以前に発表されていた論文のデータを流用したものがあって、とりあえずリジェクトはしたものの共同研究者のなかに知り合いがいたりして、大変後味が悪い思いをした事があります。

最後に慈恵医大とノバルティスファーマ社の捏造論文の件についていえば、やはり産学協同は厳しく規制しないと果てしない泥沼になってしまうということなのでしょう。学問と商売には一線をひかなければいけません。

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