インバル都響 マーラー「交響曲第4番」 脳の清掃@東京芸術劇場
「交響曲第4番」ト長調はマーラ-が20世紀になってから出版した最初の交響曲です。第2番(~1894)・第3番(~1896)と超巨大な交響曲を連続して完成したマーラーとしては、おそらくかなり煮詰まっていて、すでに第4楽章が第3番の第7楽章(結局ボツになった)として1892年に作曲されていたにもかかわらず、第4番が完成されたのは20世紀になってからでした。
できあがったのは、マーラーの交響曲としてはこじんまりとした大変チャーミングな作品でした。第2楽章などは彼の作品のうちで最もダンサブルな感じです。全体的に天国的な平安に満ちていて、たびたび登場する死神すらコケティッシュに扱われている感じです。
かなり寒くなってきたのでコートを着てきたのですが、ちょっと昼間は暑くてじゃまになりました。写真上は東京芸術劇場の1Fでみかけた「でぶねこ」のぬいぐるみ君。
本日のコンマスは矢部ちゃん、サブは四方さん。矢部ちゃんは赤メガネに赤ネクタイで気合いが入っている感じ。四方さんのドレスも気合いがはいっていました。2列目にマキロンとゆずきが並ぶとビシッとオケがしまる感じです。第3番のときのマキロンは髪を面白い編み方で、垂れないようにきっちりかためていましたが、今日(もう昨日)はポニーテール風で少しリラックスした感じでした。曲によって髪型をフィットさせてくるとはさすがです。ゆずきは自然なウェーブの髪型で、相変わらず周りの空間を沈静化するような雰囲気があります。
前半はメインの交響曲第4番と非常に関係が深い歌曲「少年の不思議な角笛」です。この歌曲集はメルヘンチックな民謡だけでなく、戦争や幽閉などの重い内容も含んでいます。ある意味反戦や反政府のメッセージが込められたものなのかもしれません。バリトンの河野克典氏は思い切った歌唱で、この歌集に秘められたやるせない思いを表現していました。
私はマーラー交響曲第4番については、ずっとオットー・クレンペラーの指揮するオーケストラのレコードで親しんでいたので、エリアフ・インバルの演奏はかなりあれこれといじくっているように感じます。普通はそれで違和感を感じるはずですが、都響があまりにもインバルの意図通りきっちり演奏してくれるので、それはそれという感じでのっていけます。第3楽章の弦の美しさは都響ならでは。いつものことながら圧倒的な演奏です。
例えば第4楽章でソプラノが歌い始める前の異様な雰囲気には鳥肌が立ちました。メロディが点描のポルタメントでゆっくり消えていくようなところが素晴らしい。
ソリストの森麻季さんはおそらく今日本で一番人気のソプラノ歌手でしょう。大変表現力がある方なので、非常に生き生きとした第4楽章を聴かせていただきました。脳を初期化して清掃したような気分になった1日でした。
帰りに久しぶりで江川紹子さんを見かけました。彼女も都響ファンです。ならば上杉いじめなんかやってないで、都知事に立候補して欲しい。変な輩が当選して補助金カットしたら、あなたも大好きな都響が終了してしまいますよ!世界でもトップクラスのオーケストラを、補助金なしで維持することなど不可能です。
森麻季さんのHP:
http://www.makimori.com/
森麻季さんのブログ:
http://www.makimori.com/blog/
マーラー交響曲第4番 こんな曲です
http://www.youtube.com/watch?v=rrfYlcjhX1g
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