シェールオイル掘削への疑問
グルタルアルデヒド
アメリカはシェールオイルの掘削で沸いているそうですが、掘削する際にグルタルアルデヒドを使用すると聞いてびっくりしました。グルタルアルデヒドは電子顕微鏡観察には大変重要な化学物質です。
電子顕微鏡に限らず、顕微鏡で生物の組織を観察するには、電子線や光線を透過させるために薄い切片をつくらなければなりません。そのためにはやわらかい組織では切れないので(たとえばできたてのパンを厚さ1mmに切ろうとしても無理)、組織に含まれる蛋白質に架橋を作ってがっちり固めないといけません。
光学顕微鏡観察には通常10%くらいのホルマリン液が用いられますが、電子顕微鏡観察には1~2%のグルタルアルデヒド液が用いられます。こうして固めた組織を樹脂に埋め込んでダイヤモンドナイフで切って切片をつくります。グルタルアルデヒド液は1%くらいの濃度でも非常に作用は強力で、あっという間にガチガチに組織が固まってしまうので、わずか一滴でも絶対に皮膚にかけたりしてはいけないものです。ただしその性質を利用して、イボを落とすときには使われることもあるそうです。
http://www.kcn.ne.jp/~azuma/glutaraldehyde/state.htm
こんなものを大量に使用して、さらに加えて塩酸も使用して掘削するとは、まだこの掘削技術はとても不完全なものとしか思えません。これはダメですね。反対派がさわいだり、英国など禁止している国があるというのは当然でしょう。
日本でもシェールオイルの掘削が行われたとの報道がありますが、こんな無茶な技術にとびつくより、日本の温泉を全部つぶしてでも(実際にはそんなことはあり得ませんが)地熱発電の開発をすすめるべきでしょう。温泉というのは考えてみればお湯に温泉パウダーを入れれば簡単にできます。ラクーアとかアクアシティーのような施設をつくれば、どこでも温泉です。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20120917-OYT8T00331.htm
http://blog.livedoor.jp/scien_/archives/17825244.html
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1347892439/l50
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