デスモソーム
多細胞生物では細胞と細胞がバラバラに存在していては困るので、いろいろな方法で細胞は隣の細胞とのコミュニケーションを図っています。デスモソームはそのひとつの方法で、細胞と細胞との接点に特殊な接着構造(接着班)をつくり、ピンバッジのように細胞をつなぎ止めます。
接着構造の細胞内側には多数のケラチン繊維が馬のしっぽのようにくっついています。すなわちデスモソームは単に細胞をくっつけるだけでなく、細胞内にケラチンによる丈夫な骨格を作る上で重要な働きをしています。デスモソームが破壊されると天疱瘡(てんぽうそう)という皮膚がただれる病気になってしまいます。
毛根にある内毛根鞘という組織にはデスモソームが豊富にあり、これだけの高密度でデスモソームが存在する部位は他にないと思われます。なぜかといえば、おそらくこの細胞層の内側でどんどん細胞分裂が起こるので、外側に圧力がかかり、それに耐えるために細胞接着を強化したと考えられます。電子顕微鏡写真は私が撮影したものです。その下に模式図(ウィキペディアより)も示しておきました。
学術的な詳細については、下記の文献に詳しい記述があります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2742091/?tool=pubmed
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