都響のシベリウス@サントリーホール2011年4月24日
行くはずだった演奏会が震災で中止になり、私的に今年初めての都響演奏会。開演に先立ってマエストロ・リントゥがマイクを持ち、通訳の女性を伴って登場。津波の犠牲者のために、予定演目に先立ってバッハのアリア(管弦楽組曲第3番のアリア)を演奏しますと告げ、演奏後全員起立して30秒の黙祷を行いました。
ハンヌ・リントゥは若手のフィンランドの指揮者ですが、2008年にも来日して都響と演奏会を開いています。そのときはあまり高い評価は得られなかったと聞いていますが、私はなかなか気持ちの良い演奏会だったと記憶しています(↓)。
http://morph.way-nifty.com/grey/2008/11/post-5314.html
今回はシベリウスがメインの演奏会で、最初の演目は交響詩「タピオラ」。本日のコンマスは四方恭子氏。弦の演奏がはじまると、たちまち北欧の暗い森に導かれます。この曲はかなりホラー的な味わいの曲で、魔物が暴れたり、神聖な力で沈静化したりという展開です。リントゥにとっては手慣れた曲なのでしょうが、都響の表現力もさすがです。
2曲目はコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲。コルンゴルトはチェコのブルノ出身の作曲家で、神童といわれグスタフ・マーラーの目にもとまったということですが、主にハリウッドの映画音楽に携わり、オスカーを2度も獲得しているそうです。ソリストはゾフィア・ヤッフェという人が勤める予定でしたが、急病で豊嶋泰嗣氏に交代。豊島氏は素晴らしい演奏で立派に代役を果たしましたが、この曲自体は私的にはさっぱり関心がわかない駄作でした。シベリウスの名曲の間にはいるには、あまりに格調が低すぎます。ここで20分の休憩。
後半はシベリウスの交響曲第5番。いつもはカラヤン・ベルリンフィルのCDを聴いているのですが、リントゥ-都響の演奏はより彫りが深く熱い演奏で、第1楽章の後半などでは落涙してしまいました。リントゥのタクトは非常に明快で、アクションはスタイリッシュで大きめ、見た目にも美しく感じられるようによく考えられていると思いました。
そして最後はフィンランディア。リントゥにとっては君が代を演奏するようなものなのでしょうが、大変丁寧かつ情熱的な演奏で、都響も彼のタクトに敏感に反応して文句なしに盛り上げてくれました。音楽によって聴衆に元気を与えるというのはこういうことなのでしょう。リントゥの演奏は若手らしく溌剌として、直截で気分爽快です。また聴いてみたいと思いました。さしあたってベートーヴェンの第9など聴いてみたい。
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