ザラフィアンツのムーンライトソナタ
エフゲニー・ザラフィアンツはロシアのピアニストで(クロアチア在住)、毎年来日していて日本のクラシックファンの間では有名な方だそうですが、私は不明にして知りませんでした。ウィキペディアによると学生時代にトイレにブレジネフの落書きをしたために、ロシアでは若い頃大変不遇だったそうです。現在でも主にドイツや日本で演奏会を開いていています。今年はスペインやフランスでも公演するそうですが。
この「ムーンライトソナタ」というCDではじめて聴いたのですが、冒頭からテンポが遅いのと音が小さいのでびっくりします。「ときどき立ち止まって瞑想しましょう」と言いたいのかなと思うくらいの演奏です。しかしずっと聴いていると、ベートーヴェンがムーンライトソナタを演奏したとすると、きっとこのような演奏をしたんじゃないかと思わせるものがありました。200年前のウィーンの風が吹いてくるような演奏です。イングリッド・フリッターのベートーヴェン作品演奏が、ベートーヴェンの臭いがまったくしない独自の飛翔だとすれば、これはベートーヴェンにのめりこんだ演奏でしょう。宇野功芳氏はホロヴィッツやバックハウスよりも上と書いています。
ただこのソナタは女性が弾くために書かれた曲ということで、ベートーヴェンは自分で弾くよりも、美形の女性に清楚な感じで弾いてもらいたかった曲なのではないでしょうか? そういう意味では、このCDが果たしてムーンライトソナタのベスト盤かというと、ちょっと首をかしげたくはなります。
You Tube: http://www.youtube.com/user/zarafiantsMSUparty
公式サイト(試聴可): http://www.zarafiants.com/
CD: 「Moonlight Sonata」 ALM Records ALCD-7094 ムーンライトソナタの他、バッハ:フランス組曲第1番、グラズノフ:ピアノソナタ第1番を収録
イングリッド・フリッターのベートーヴェン:
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コメント
ザラフィアンツさんの田園 テンペスト 告別 31番も説得力のある名演奏です。彼のレッスンでは音の出し方
響かせ方、いくらでも引き出しから出してくれます。
自分の音色が深くなればなるほどもっと良くしたいという欲望に駆られレッスンしていただくともっと良くなり
ある日突然ぼそっと「コンサートで弾いてもよい」と、
言われた時は本当?と、自信がないのですが、何カ月か経って弾いてみると幸福な気分になるのです。
投稿: 1202号室の住人 | 2010年7月18日 (日) 21:40
>1202号室の住人様
コメント有難うございます。
ザラフィアンツ氏は先生としても素晴らしい方なんですね。
1202号室の住人様の演奏も聴いてみたくなりました。
投稿: monchan | 2010年7月18日 (日) 21:56