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2010年5月13日 (木)

ネアンデルタール人のゲノム

ついにネアンデルタール人DNA塩基配列の概要が発表されました。内容は毎日新聞の斉藤広子氏によってわかりやすくまとめられています↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100507-00000004-maip-soci

3体のネアンデルタール人の骨から400mgずつの粉をつくり、DNAを抽出して最新の解析機器で塩基配列を調べたとのことですが、骨とはいえ死後バクテリアが繁殖して大量のDNAが混在しているとか、発掘から解析までの間に介在した現代人による汚染(例えば唾液・フケ・手垢など)などがあり、これらを結果から排除していくのが大変困難な研究だったと思います。

データの一部を詳しく他の種と比較すると、当然ながらマウス・マーモセット・アカゲザル・オランウータン・チンパンジー・現代人(ホモ・サピエンス)で同じ配列なのにネアンデルタール人だけ異なっている部分、同様に現代人だけ異なっている部分、マウスだけ異なっている部分などがあります。50万年くらいまえに現代人の系統とネアンデルタール人の系統が分岐し、ネアンデルタール人の系統は3万年位前に絶滅したとのことです。DNA配列の詳細な比較解析はまだまだこれから進んでいくのでしょう。

興味深いのは、調査したネアンデルタール人のゲノムにヒトと混血したと思われる配列があるとのことです。現代人が8万年くらい前からアフリカを出てヨーロッパやアジアに広がっていったときに、そこにはまだネアンデルタール人が住んでいたので、交配や抗争もあったのではないでしょうか。現代人がアフリカだけに住んでいたときにはネアンデルタール人との接触は少なかったようで、結果としてネアンデルタール人のゲノム配列はアフリカ系の現代人よりも、非アフリカ系の現代人に近いそうです。 見方を変えると、現代人ゲノムの中にもネアンデルタール人由来の配列を持つ人が当然存在するのでしょう。

240pxneanderthal_child_2

James_80

ウィキペディアの復顔図をみると、ネアンデルタール人の風貌(左)はそんなに現代人と違わないように思われます。ハリウッド映画「スピード(キアヌ・リーブス&サンドラ・ブロック)」でバスの運転手を演じていたホーソン・ジェームス (右)などは結構眉のあたりの骨が飛び出しているようにみえます。彼のDNAを調べれば、きっとネアンデルタール人の痕跡があるのではないでしょうか。むしろ現代人のオリジナル型といわれるコイコイ(ホッテントット)人などは特異な風貌に見えます。

文献:RE Green et al. A draft sequence of the Neandertal genome. Science 328, 710-722 (2010)

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