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2009年10月11日 (日)

ミトコンドリアの解体機構

1 細胞は有用な物質だけつくっているのではなく、時には解体廃棄しなければならないものも作り出します。そのいわば「ゴミ」は堆積すると、細胞の正常な機能を損なうことがあります。

この解体作業を行うのがオートファジーというシステムで、不要物を膜で取り囲み、内部を酸性にして、酸性ではたらく分解酵素の作用で不要物を分解します。このシステムには Atg5/7 などの一群のタンパク質がかかわっています。

ところで赤血球という細胞は特殊で、ミトコンドリアなどの細胞内器官が失われ、呼吸をしないで、解糖系によって生きています。哺乳類の成体の赤血球には核すらありません。できたばかりの赤血球にはミトコンドリアがあって呼吸をしているのですが、しばらくするとミトコンドリアは消滅します。私たちはこのミトコンドリア消滅作戦を遂行しているのもオートファジーであると指摘しました(1)。図1の妊娠11日目ラット胎仔の赤血球にはミトコンドリア(赤い↓)が多数みられますが、図2の妊娠13日目ラット胎仔の赤血球にはミトコンドリアがほとんど見られません(黒矢尻はミトコンドリア解体あと)。

しかし Atg5/7 遺伝子を無力化したミュータントマウスでも、ちゃんとミトコンドリアは消滅することから、オートファジーの関与は疑問視されてきました。しかし最近驚くべきことに Atg5/7 が関与しないオートファジーシステムが存在することが報告され(2)、私たちの学説が復活したのは喜ばしいことです。ただもはや当時の関係者が、私も含めてこの分野から撤退してしまったのは残念至極です。

1) Takano-Ohmuro et al: Autophagy in embryonic erythroid cells: its role in maturation. Eur.J.Cell Biol. 79, 759-764 (2000)
2) Nishida et al: Discovery of Atg5/Atg7-independent alternative macroautophagy. Nature 461, 654-658 (2009)

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