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2009年5月14日 (木)

男と女

164pxchromosome_y_svg_2 元参議院議員でタレントの野中昭如は、昔クロード野中という名前で「黒の舟歌」を歌っていたそうで、後に長谷川ひろしがカバーして、この曲をさらにヒットさせたと聞いています。私自身はこの曲は加藤登紀子の歌で知っています。冒頭「男と女の間には 深くて暗い川がある・・・」という歌詞がありますが、さてその深くて暗い川とは何でしょうか?

もちろん男と女の違いはXX、XYという染色体構成の違いに基づくものということがわかっています。ヒトは23対46本の染色体を持っていますが、オスのXYというペアは、他の染色体ペアとは異なり、本当のペア(相同染色体)ではなく、ただ一緒に行動すると言うだけの見せかけのペアなのです。その証拠にX染色体には1098もの遺伝子があるのに、Y染色体(図)にはたった78しか遺伝子がありません。つまりほとんどのX染色体上の遺伝子は、オスの場合ペアとなる相手の遺伝子がいないということになります。それだけオスの方が遺伝情報のスペアがなく、脆弱な生物だということです。

さてそれではY染色体上の78の遺伝子には、X染色体上にペアとなる遺伝子があるのかというと、あるものとないものがあります。ペアがある遺伝子は図の染色体の上端と下端に限局して存在し、その他の中央部分にある、おそらく50個弱の遺伝子が相手がいない、男だけが持つ遺伝子だそうです。このなかには精巣をつくるSRY遺伝子、精子を作るDAZ遺伝子、背を高くする遺伝子などがあります。だいたいは男の肉体的特徴に関係したもののようです。男と女の間の深い川をつくるのはこれらの遺伝子だけなのでしょうか?

メスはXXという染色体構成ですが、これまでの研究で片方のXは不活化されて、通常はすべての遺伝子が発現を抑制されているとされていました。しかしカレル博士等の最近の研究(1)により、実は本来の15%位は発現していて、場合によっては75%以上発現しているものもあるらしいです。とすれば男のX染色体は~100%の発現ですが、女では175%くらいまであり得るということになります。しかもやはり最近のネルソン博士らの研究(2)により、X染色体に含まれる遺伝子の少なくとも10%が「知恵遅れ」に関与していることがわかりました。すなわちX染色体はこころの問題に大きく関わっているようです。

そうすると「深い川」の要因としてY染色体ばかりでなく、X染色体もかかわっている可能性があるのでしょう。女性の場合、脳のある部分の細胞におけるX染色体の発現の程度により、女度 1 の人から、2 に近い人までのバラエティーがあるのかも知れません。1 に近い人は、体の性的特徴は完全に女性でもメンタルにはほとんど男で、逆に 2 に近い人は究極の女性ということになります。そういえば、男との間の深い川なんて全く感じさせない女性もまわりにいますよね。

1) L Carrel and HF Willard: Nature 434, 400-404 (2005)
2) DL Nelson and RA Gibbs: Nature Genetics 41,510-512 (2009)

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