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2009年5月10日 (日)

ブダペスト・ストリングスのアルビノーニ協奏曲集

Albi トマゾ・アルビノーニはベニスの作曲家で1671年に生まれ、1751に死んだとされています。しかし1694年に作品1を献呈したということはCDの作品解説などに書いてありましたが、ウィキペディアなどを見ても、彼の生涯についてはほんとんどわかっていないようです。バッハが彼のファンだったことはよく知られています。彼が生きていた当時も、アルビノーニ自身を知る人は少なかったらしく、1740年にパリで作品10が出版されたときには「遺作」として販売されたそうです。実際には1751年まで、ベニスで健在だったそうです。

親が金持ちだったらしく、特にパトロンがいなくても作曲の仕事ができるという恵まれた環境だったようです。当時は修道院が孤児の女の子を集めて弦楽合奏団を組織し、演奏させて喜捨を募るという活動をおこなっていたため、アルビノーニはこの合奏団を指揮して、自作の曲を発表することができたようです。しかし後にオペラが売れて有名になり、忙しくなったようです。

生涯に52曲もオペラを作曲したそうですが、現在わずか1作品すら残されていないとは無念の極みです。彼の作品はドレスデンの図書館が収集保管していたそうですが、第二次世界大戦における連合軍の大空襲で全滅したそうです。「アルビノーニのアダージョ」は、ウィキペディアによればジャゾットの創作だということですが、下記のCDの解説には廃墟の図書館からメロディーの断片と低声部のみが発見され、ジャゾットが作・編曲したとありました。どちらが本当なのかわかりませんが、完全にジャゾットの作品だとすれば、どうしてジャゾットがこの1曲だけしか優れた曲を作曲できなかったのかがビッグクエスチョンです。

オペラに比べて、器楽曲は作品1から作品10まで多数の作品が残っています。器楽曲は出版社にとってペイしますが、さすがにオペラの楽譜は売れなかったのでしょう。まず聴くべきは作品9。特に9-2のオーボエ協奏曲(下記CDではトラック7-9)が素晴らしい作品です。ピエール・ピエルロ&イ・ソリスティー・ベネティーやホリガー&イ・ムジチの演奏などもいいのですが、私が推薦したいのはブダペスト・ストリングス。その優美なたたずまいは得難いものです。ただし昔出版したものは、もっと即興的で生気にあふれたものだった記憶がありますが、この2005年のCDもまたそれなりの良さがあります。だいたいこのような作品集を出版しようという心意気が素晴らしく、作品に対する熱心さが伝わってきます。

ビバルディーほど派手ではありませんが、彼の音楽には現実とは全く異なる別世界(天国とは少し異なる)に誘ってくれるような、現代のポップスで言えばタマス・ウェルズのような魅力があります。

Albinoni Concerti Op.5・7・9 Budapest Strings
Delta Music GmbH, Frechen 2005, 67 126/29 (CAPRICCIO)
(ブダペストストリングスのアルビノーニはアリアCDで各種販売。他多分
http://www.cadenza-cd.com/label/capriccio.html あたりでも売っていると思われます)

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コメント

monchanさま

バルサ、優勝おめでとうございます。
(とっても気になったこちらの記事の方でお祝い申し上げます)
さて、アルビノーニのご登場とは流石ですね。
ありがとうございます。
私も大変嬉しいです。
というのも、私がバロック音楽に傾倒していくきっかけとなったのが、実は、たまたまスイッチを入れたNHK-FMから流れてきた、このアルビノーニのオーボエ協奏曲だったのです。勿論、初めて購入したバロック音楽のレコードもこのアルビノーニ。ホリガー&イムジチ合奏団です。
これだけの名作を残しながら、自らがDilettanteであることを誇りにしていたなんてかっこいいですよね。
こんな風に生きてみたいものです。
ブタペスト・ストリングススも今度、チェックしてみます。

投稿: Nacky | 2009年5月20日 (水) 21:48

>Nacky 様

クラシックもポップスも、意外に趣味が一致しているんですね! Nacky さんのバッハ好きは有名ですが、アルビノーニもお好きと言うことで、びっくりしました。

バルサへの賛辞ありがとうございます。元プロの方からこういうお言葉をいただくと感動です。バルサが強さをしめすようになってから、日本のサッカーもかなり影響を受けたのではないでしょうか。昔はバックパスをすると怒られたりしたのでは?

投稿: monchan | 2009年5月20日 (水) 22:31

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