シーラカンスの危機
シーラカンスは古生代デボン紀(約3億6000万年前)に出現した硬骨魚綱、シーラカンス目の古代魚で、魚類と四肢動物との中間に位置する生物学的に重要な位置にある生物です。恐竜とともに白亜紀末(約6500万年前)に絶滅したと考えられていましたが、1938年、南アフリカ沖で化石と同じ姿の個体が発見され、世界中から脚光を浴びました。コモロ諸島やスラウェシ島周辺にわずかに生存していることが知られていますが、絶滅危惧種です。ところが2003年以降タンザニアで多数の個体が捕獲され、2007年には福島県いわき市アクアマリン福島の調査隊が、遊泳するシーラカンスの水中撮影に成功しています。
参考
http://sankei.jp.msn.com/region/tohoku/fukushima/071114/fks0711140301000-n1.htm
このタンザニアのシーラカンスも絶滅の危機にさらされることになりそうだという記事をみつけました。シーラカンスが生息するタンガ地域に巨大な港を建設し、大型コンテナ船が接岸できるようにして、この地域の経済発展をめざそうという計画がすすめられています。この計画は中国の援助によって実現可能になったそうです。どうやら環境アセスメントなどもきちんとやらずに、急いで事を運ぼうとしているようです。
この計画に反対する人々によると、タンガ地域の港はいまでも稼働率が50%以下で、巨大な港湾施設の建設など地元の人間には全く不要だそうです。どうやらシーラカンスは中国政府とタンザニア政府の思惑の犠牲になりそうです。3億6千万年も生き延びてきた、第一級の進化的に重要な生物を、このような政治的思惑で葬っていいものでしょうか?
参考
http://wildlife-conservation.suite101.com/article.cfm/coelacanth_or_port_a_tanzanian_dilemma
画像は wikipedia より
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