ダイエットと寿命
マウスやラットでは食餌制限を行うと、寿命がのびる事が知られています。今年になって京都大学で線虫でもダイエットすると寿命が延びることが明らかになって、新聞で報道されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3958810
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8409187?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_Discovery_RA&linkpos=5&log$=relatedreviews&logdbfrom=pubmed
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/life/health/CO2008121501000391.html
しかしここで注意しないといけないのは、実験動物のマウスやラットを飼育するときは、彼らに必要な栄養成分がバランスよく配合されている飼料が使われているということです。
人がダイエットすると、必要な栄養素が極端に足りなくなるおそれがあります。例えば各種ビタミン、ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、クロム、マンガン、セレン、モリブデン etc.)などは食べ物によって偏って含まれている可能性が高く、必要量を確保するだけ食物を食べてしまうと、他の栄養素(炭水化物など)を過剰に摂取することになってしまう(当然肥満におちいる)かもしれません。
平安時代には平均寿命が20歳代だったと言われています。この短寿命の要因の第一は疫病だと思われますが、栄養の問題もあったのでしょう。
http://www.taishitsu.or.jp/aging/aging6.html
源氏物語の中で、光源氏は40才になって「老人になってしまった・・・」と言っていますが、現在と比べると自然な老化もかなり早かったのでしょう。当時の貴族階級でも、食事は粗末なもので、ご飯・干物・豆・野菜くらいと考えられています。現代に比べて早い老化の進行は、栄養不足も大きな要因だったのでしょう。
したがって、マウスやラットでダイエットが寿命をのばすからといって、人でも同様だろうというのは怪しい推測です。特に偏った食事をしている人が、そのまま食事の量を減らすと、栄養失調に陥る可能性は高いです。もちろん肥満がいろいろな疾病につながることも事実なので、どの辺で妥協するかというのは微妙な問題です。少なくともその人の食生活や体質によって、どのくらいの体重が適切であるかは異なるでしょう。胴回りが何センチ以上がメタボリックシンドロームだなどと一律に規定するのは暴論です。
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