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2008年11月19日 (水)

都響のマーラー交響曲第1番 陶酔的な弦の響き

1 田部京子のベートーヴェン「皇帝」協奏曲(ピアノ:田部京子、オケ:リンツ・ブルックナー管弦楽団、指揮:ジークハルト、DENON COCQ83433 再発盤はDENON COCO-70961) の第2楽章がお気に入りなんですが、今回は日本ピアノ界の重鎮中村紘子の「皇帝」を、リントゥ指揮の都響で聴きました。いつもは最安の席で聴くのですが、マーラーのシンフォニーもやるというので奮発してS席を購入。シンフォニーをS席で聴くなんて何年ぶりだろうか。

東京文化会館は5階まで満杯、チケット完売だったそうです。開始前から熱気でムンムンしていました。ピアノ演奏も気迫がこもっていて大迫力でした。とはいえ、こういう堂に入りすぎた演奏は、何か中に入り込む余地のないような気がして、置き去りにされたまま外から眺める感じになってしまいます。いや違うかもしれません。基本的に相性が悪いんだと思います。仕方がありませんね、こればかりは。

さて後半はマーラーの交響曲第1番。これはマーラーが20才台で作曲したもので、私も子供の頃から良く聴いていた非常に分かりやすい音楽です。この頃のマーラーは本当に次々と楽想があふれてきて、才能爆発だったのでしょう。それまでの音楽にはない「サウンド」を発明したこともすごいことです。

ハンヌ・リントゥはフィンランドの指揮者で、チャールトン・ヘストンを思わせる非常にかっこいい男で、指揮のスタイルもスタイリッシュで若々しい感じでした。猿の惑星からやってきた知能が人間より高く、曲芸もできる、そして特に姿勢の良い猿っていう感じもありました。第二楽章などは乗りに乗ってましたが、統率力はありますね。

都響も特にいい弦の音を出していました。いつもながら、これがマーラーの響きだなと思わせるものがあります。第3楽章のコントラバスのソロもぞくぞくする響きで聴かせてくれました。さらに最高だったのは第4楽章の第2主題で、弦の響きが陶酔的な美しさでした。やっぱり都響はすごい。

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