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2008年10月24日 (金)

タバコと感染症

250pxzwei_zigaretten現在世界には11億人の喫煙者がいて、これは15才以上の三分の一の人がタバコを吸っていることを意味します。

タバコを吸う人は好中球増多症になりやすく、これが引き金になって肺や血管の病気にかかることがあります。好中球というのは白血球の半分くらいを占める細胞で、主に血液中に侵入してきた細菌を取り込んで殺す機能を持っています。血液に出てきてからたった1-2日で死んでしまうという、哀れな消耗戦士です。

好中球が増えるのは結構なことじゃないかと思われるかもしれませんが、あまり増えすぎると、細菌だけじゃなく生体にも悪影響を与えるのが困ったところです。殺虫剤をまきすぎると、人にも被害が出るのと同じ理屈です。

Xu 博士らは薬剤により好中球に分化する細胞株を使って、ニコチンの影響を調べました。この結果ニコチンはこの細胞の増殖・分化・細胞形態の何れにも無関係で、ニコチン摂取が直接的に好中球を増加させることはないらしいとの結果を得ました。ただ好中球の殺菌機能は低下させるとのことです。すなわち喫煙者は感染症にかかりやすくなる理由が明らかになりました。これを防ぐために、好中球が増える人がいるのでしょう。

さらに興味深いのは、ニコチンがこの細胞の MMP-9 (MMP というのはマトリックスメタロプロテアーゼといって、タンパク質を分解する酵素のひとつです)の分泌を促進するということです。MMP-9 は主にコラーゲンなど皮膚の繊維性タンパク質を分解する機能があり、皮膚の新陳代謝や、血管がのびていくときに道をあけていく作用などを引き受けているようです。

MMP-9 は生体にとって必要な酵素ですが、これが増加すると癌が転移しやすくなるといった副作用が発生します。従って癌患者にとっては喫煙は好ましくありません。感染症の患者にとっても、上記の理由でもちろん喫煙は好ましくありません。

しかし肺線維症などの患者について考えてみると、喫煙によって繊維が分解されるというのは好ましいことかもしれません。ニコチンを注射して治療するなどということも、将来あり得ると思われます。

Minqi Xu et al: BMC Cell Biology 2008, 9:19 doi:10.1186/1471-2121-9-19 (15 April 2008)

この雑誌はオープンアクセスで下記から閲覧できます
http://www.biomedcentral.com/1471-2121/9/19

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