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2008年5月21日 (水)

へその緒の効用

1人体の表面は唇・乳首などの一部を除いて、すべて角質化して死んだ表皮細胞から成り立っています。しかしその0.何ミリメートルか下には生きている細胞があり、なかでも垢となってはがれ落ちる皮膚を補填するための細胞分裂をしている最下層の細胞層を基底細胞層といいます。

基底細胞層の下には真皮(繊維芽細胞やコラーゲンからなる)があり、その下に脂肪や筋肉があります。基底細胞層より上には血管がないので、真皮まで切らないと出血しません(図)。

生まれたばかりの赤ちゃんはへその緒をつけていますが、このへその緒の表層の細胞は角質化していなくて、顕微鏡で調べると表皮の細胞とはかなり異なる形をしていることがわかっています(1)。ところが順天堂大学の溝口将之博士らは、この細胞を真皮の細胞の上で培養することによって、まるで表皮の細胞のように見事に角質化することを示しました(2)。

さらに細胞表層マーカー、インテグリンのサブタイプ、ケラチンの種類などを調べると、へその緒の表層細胞は見た目に反して、実はその性質は表皮の基底細胞そっくりだということがわかりました(2,3)。このことは皮膚を移植するかわりにへその緒を移植してもいいのではないかということを意味します。へその緒はほとんどの場合捨てられてしまいますが(昔は捨てずにタンスの奥の方に大切に包んで保管するという習慣があったようですが)、培養して保管しておけば、適合する患者に移植できると思われます。近いうちに実用化されるかもしれません。

1) Hoyes: J Anat (1969) 105, 149-162
2) Mizoguchi et al: J Dermatol Sci (2004) 35, 199-206
3) Ruetze et al: J Dermatol Sci (2008) 50 ,227-231

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